季節は初夏を迎えようとしていますが、春の重傷認定シリーズ①②に3つほど追加します。この3つは同一案件です。内容ギッシリなので、3つに分けて整理したいと思います。

 第一弾は、案件としてはレアな臓器腹部の障害です。排尿障害の事案は何度も経験してしますが、生殖機能の障害については2度目です。今回、初のリジスキャン検査を実施しました。検査のできる病院と医師は少なく、患者の誘致が必要です。また、費用も健康保険が使えませんので、相手保険会社と(自由診療で高額な)検査費用を巡る折衝が必要です。この点、弁護士の交渉力がものを言います。医療調査の行政書士(あるいは医療調査員)と、対相手保険会社に備える弁護士、この両輪が立証活動を順調にするのです。

 交通事故の中でもとくに重傷案件の場合、行政書士・弁護士の単独受任では心もとないと思います。片方だけの活躍では、本件の立証は難しかったと思います。この両輪体制と専門性を評価、ご依頼下さった依頼者さまの慧眼に敬意を表しています。

   チームで戦っています。士業の連携こそ、専門性が活きるのです!  

6級相当:骨盤骨折・生殖機能障害 排尿障害(20代男性・東京都)

【事案】

歩行中、自動車の衝突を受け、骨盤を骨折した。自動車は逃走したが、後に逮捕され、幸い任意保険の存在を確認できた。

内臓損傷は数箇所に及び、大腸・小腸の切除と一時的な人工肛門の増設を含め、腹部に数度の手術を施行した。不幸にも、最初の術中に低酸素脳の状態が生じ、脳にも障害を残すことになった。

主な症状を列挙すると、生殖機能、排便・排尿の障害、脳由来の神経症状から軽度の言語障害と易疲労性、体感バランス・筋力の低下、4肢の軽度麻痺、さらに、胸腹部・背部・臀部の広範囲に瘢痕・手術痕を残した。

【問題点】

非常に多くの障害を残したことから、検査、診断書記載について、それぞれ担当した専門科の医師の協力を取り付ける必要があった。

自賠責保険が規定する障害の系列について、立証作業を整理・構築でき、必要な検査を熟知している事務所に依頼できるか否か・・本件事故の解決の第一歩を誤ってはいけない。

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