骨折した椎体はどこですか?   ⇒ 前回    主に圧迫骨折する椎体としてあげられるのは、頚椎、胸椎、腰椎、とあります。  頚椎はC1~7まで、腰椎はL1~L5までと見ればすぐに数えられる数しかない上、頚椎や腰椎は範囲が狭いため、どこが骨折していて、それが何番目の椎体なのかをすぐに判断できます。これに対して厄介なのが、胸椎です。

 胸椎はT1~12までと頚椎や腰椎に比べて、数が多いです。さらに、胸椎は首の根本あたりからみぞおちあたりまでありますので、範囲がとても広いです。以上から、胸椎を数えるのは、頚椎や腰椎に比べると大変な作業です。

 これは医学について素人ではもちろんですが、医学のプロである医師でも数え間違えたりします。例えば、胸椎の12番目と11番目を数え間違えたり、胸椎の12番目と腰椎の1番目とを数え間違えていたりしたことがあります。圧迫骨折は安静にして(保存療法)、骨の癒合を待つことが多いため、リハビリ等は通常せず、圧迫骨折の部位については、臨床上、痛みの部位と骨折箇所が一致していれば、大きな問題はなさそうです。しかし、圧迫骨折が交通事故によるものの場合、医師に診断書を書いて頂く必要があり、また、後遺障害の手続きがありますと、後遺障害診断書はもちろん、骨折部位の画像を保険会社や自賠責調査事務所に提出する必要があります。書いて頂いた診断書に誤りがあった場合、修正が必要になる場合もあります。

 椎体の番号を数え間違えている診断書や後遺障害診断書はこれまでたくさん見てきました。臨床上では大勢に影響はなくても、保険手続上では所々で大切になってきます(例えば、労災申請や保険申請時に傷病名がはっきりしないと書類が書けないという相談者が過去におりました)。  

 保険手続きをしっかりやるには、画像を見れることが必要です。交通事故や保険手続きに力を入れている事務所であるならば、もし相談者が診断書や画像を持参してきた場合には、画像をしっかり見てあげてください。  

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