【事案】

バイクで走行中、減速したところ、後続の自動車に追突され負傷した。直後から頚部痛等、強烈な神経症状に悩まされる。   【問題点】

事前認定で非該当、次いで既に相手方から賠償額の提示が出ている状況からのご相談であった。症状固定日後、3ヶ月は通院していたが、相談時は既に通院を止めており、再申請を急ぐことに。   【立証ポイント】

資料を精査すると、整形外科と鍼灸を併行受診していたが、「整形外科と鍼灸が連携している」ことが判明したため、異議申立手続きで認定の可能性を感じた。急ぎ、面談の2日後に病院同行した。後遺障害申請に理解ある主治医だったため、記載内容について踏み込んだ打合せをすることができ、勝負できる医証が仕上がった。

面談から40日あまりで提出、結果を待つばかりだったが、調査事務所から「救急搬送先(最初にたった1回しか通院していない)治療先」に医療照会をかけたいとの連絡があったた。先回りして、主治医の記載した資料をそれぞれの病院に提出し、やれるだけのことをして結果を待った。

受理日から3ヶ月の審査期間を経て、無事に14級9号が認定された。1回だけ通院の病院に対して、経緯書を確認したところで、新たな発見や経過について分かるはずないと思うが、最近は全ての病院に医療照会がかかる傾向にある気がする。14級9号の認定には、通院先をなるべく少なくすることも留意すべきか・・。   (令和6年3月)  

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【事案】

自転車で交差点を横断中、後方から右折してきた自動車に衝突され負傷。直後から全身の痛みに悩まされる。受傷初期にご相談を頂いた際、「事故から10日後に病院に通院しました。肩の痛みがあります。」との事だった。頚肩腕症候群かな?後遺障害は難しいかな?と思い、対応を急がなかった。   【問題点】

その後、委任を受けた弁護士から、診断書・診療報酬明細書の精査の為、同書類一式が届いた。確認したところ、救急搬送されていることと、なんと「肩鎖関節脱臼」の診断名を目にした。もしや・・肩鎖関節脱臼を見逃していた? 

急ぎ、ご本人との面談を設定した。肩の可動域制限は回復していたものの、鎖骨遠位をみると軽度のピアノキーサインがみられた。ここで、肩鎖関節脱臼の立証に切り替えた。ただし、治療終了までの4ヵ所の病院で、「肩鎖関節脱臼」と診断している医師は1人しかおらず、その病院への通院はわずか2回、確定診断を得られるかが勝負とみた。

  【立証ポイント】

全ての画像を取得し、その画像とピアノキーサインが分かる写真打出しを持参して、最終通院先の医師に後遺障害診断書を依頼した。物腰の柔らかい先生で、今回の経緯を説明したところ、快くご協力頂けた。この先生も同意見で、「肩鎖関節脱臼(TypeⅡ)」の診断名を加えて下さった。

その後の申請手続きは順調に進み、3週間の審査期間で12級5号が認定された。後遺障害の申請はせずに示談交渉に進む予定であったものが、最後に12級5号認定となり、賠償金は4倍に跳ねがった。

被害者さんにとっては、初めての事故で余裕がないため、症状を詳しく説明しきれないことがあります。慎重に症状を聞き取らなければならないと、改めて反省する件となった。

(令和6年3月)  

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【事案】

自転車で歩道を走行中、車道から急に歩道へ乗り上げてきた自転車に衝突される。直後から頚部痛、右上肢の痺れ等、強烈な神経症状に悩まされる。

  【問題点】

本件は、加害者が加入している個人賠責保険への請求となった。   【立証ポイント】

やることは変わらないが、他にも請求できる保険がないか精査すると、ご自身加入の共済が見つかったため、まずは共済に後遺障害申請をかけ、その結果をもとに個人賠社へ申請する方針とした。

受傷機転や通院実績、症状等を鑑みると、自賠責でも14級が認定されると想定、資料を整えて共済へ申請すると、わずか2週間で14級準用(自賠責でいう14級)が認定された。その通知を参考資料として添付し、申請をかけたところ、個人賠償でも14級を認めてきた(自賠責保険調査事務所に諮問したよう)。

(令和6年3月)  

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【事案】

何でもない郊外の交差点を自動車で通過する際、右方から信号無視の自動車と出合い頭衝突、乗っていた奥さんと一緒に受傷した。   【問題点】

仕事をしながらの通院で、症状の改善が進まなかった。半年後に夫婦共々、後遺障害申請したが、何故か奥様だけ14級9号が認定され、ご主人は非該当となった。同じ事故で、同じような症状で、同じような治療をして、同じ程度に通院したが、結果が違う。認定基準に照らした結果ではあるが、後遺障害審査がAIでなく、最後は人の感性で決まるからか・・。   【立証ポイント】

早速、医師に奥様と同じように追加の意見書をご記載頂き、提出した。程なく、ご主人にも14級9号が付いた。

(令和6年3月)  

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【事案】

自転車で退勤途上、交差点で自動車と出合い頭衝突したもの。一早く労災治療となっていた。

診断名は、脳挫傷に加え、左頬骨、骨盤の寛骨臼など骨折した。身体の骨折は順調に癒合が進み、14級程度に回復する見込みである一方、高次脳機能障害は必至の件となった。   【問題点】

自転車側に一時停止があり、相当の過失減額から、賠償請求の余地は低い件であった。また、本件被害者さんは、元々の障害があり、1人暮らしの為、ご職場と遠方のご家族の協力が立証作業の生命線となった。

最大の問題は相手損保であった。治療費が労災であることから、相手損保の積極的な介入はないと思われたが、なんと、3か月で症状固定、後遺障害診断書を病院に記載させてしまった。確かに、ご家族はよくわからないままに同意書を差し出していたが、担当者の考え=「障害者は面倒だから早く終わらせよう」としたのか、単に高次脳機能障害の知識(通常、症状固定は1年後)が無かっただけか、いずれにしても、この担当者からすべて取り上げる必要がある。   【立証ポイント】

必要な検査も欠いたまま、わずか3か月後の後遺障害診断書など、破り捨てるしかない。この時点は、骨折の治療でぐったりしたまま退院したばかり、高次脳機能障害の症状が顕在化する前の状態なのです。しかしながら、そこは、丁重に「書類を補充してお返しします」と言って、相保の担当者に書類一式を返して頂いた。

その後、経過的に症状を観察、案の定、3か月後から情動障害を発露、幻聴や幻覚も加わり、以後、進行していった。ついには介護状態となり、施設入居を余儀なくされた。これこそ、高次脳機能障害の症状、そのクライマックスとなった。いつも通り、可能な検査を的を絞って実施、後遺障害診断書は新たに書き直し、すでに書かれた診断書も遡って修正を加えた。症状と事故前後の変化を職場から精密に聴き取り、9か月後、万全に提出書類を揃えた。

担当者とはここで決別。「書類をお返しする」との約束など反故、連携弁護士を介入させて被害者請求へ。問題なく自賠責保険は3級3号、労災は1級-5級の加重障害の判定となった。自賠責に関しては、元々の障害を”加重障害として差し引かれずに済んだ”点が大きい。それぞれの入金(労災は年金支給、7年支給停止だが一時金あり)をもって、これ以上の賠償余地は無きに等しくなった。   それでも、連携弁護士は損害賠償を模索、担当者から譲歩を引き出し、わずかに追加の賠償金を貰って矛を収めた。仮に裁判で介護費用を請求しても、元々、精神障害者手帳をもち、障害年金の受給者であることから、実質審議にはなじまないと判断したからである。   断言します。相手損保に任せていたら、半年で7級4号で終わらされたと思います。   (令和5年7月)  

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【事案】

自動車で渋滞中、後方から走行してきた自動車に追突される。直後から頚部痛等、強烈な神経症状に悩まされる。   【問題点】

受傷初期からご相談を頂き、順調に通院実績を重ねていたが、受傷機転を理由に5ヶ月間で一括対応を打ち切られてしまった。また、通院先の院長が個性的な医師で、独自の解釈「一括対応終了日=症状固定日」と患者に説明していた。   【立証ポイント】

医師面談ができない病院であるため、依頼者と入念な打合せを行い、あと1ヶ月間だけ事故として健康保険で通院を継続したい旨を医師に伝えていただき、了承を得ることができた。ところが、完成した後遺障害診断書を確認すると、症状固定日=打切り日、追加の診断書も通院期間が空白となっていたため、文書+電話にて修正を依頼し、なんとか当初の目的を果たすことができた。

受傷機転が軽微であったため、非該当を覚悟していたが、2ヶ月に及ぶ審査期間を経て、14級認定となった。

(令和6年3月)  

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【事案】

ゴルフ場で無人カートの衝突を受けて受傷、膝部のプラトー骨折となった。プレート固定後、リハビリを続けた。膝関節の可動域は回復傾向。

  【問題点】

ゴルフ場は責任を認めるのか否か曖昧であったが、傷害保険での支払いを約束した。具体的な後遺症や賠償金の話はなく、入院・通院の保険金での解決を提示してきた段階で、弊所に相談が入った。

この傷害保険は受け取るとして、後遺障害の評価がされていないこと、休業損害や慰謝料、逸失利益など実額損害の評価がされないまま、定額の保険金での解決は飲めない。懸念点は傷害保険金が賠償金の一部とされることか。   【立証ポイント】

病院同行の上、後遺障害診断書を記載頂き、痛みや不具合の14級9号の提示とした。連携弁護士から改めて、損害賠償金の積算を行い、ゴルフ場に提示した。ようやく、ゴルフ場が契約しているであろう、施設賠償責任保険と、相手の代理人弁護士が登場、ここで初めて示談交渉となった。

賠償保険と傷害保険を切り分ける為に、先に傷害保険の入院・通院、そして後遺障害保険金を受け取った。次いで、賠償交渉の結果、14級9号の慰謝料は承諾、その他損害項目も出揃った。ただし、過失減額はシビアな回答、それでも、傷害保険金とは”別枠で”多額の賠償金の獲得に至った。このような施設での事故では、傷害保険金のみで、なんとなく解決している例が多いと思う。

(令和6年2月)  

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【事案】

自転車を押して歩いていたところ、左折してきた自動車に巻き込まれ転倒した。直後から腰背部痛等、強烈な神経症状に悩まされる。   【問題点】

この事故から1ヶ月も経たないうちに、今度は歩行中に自転車にひかれてしまい負傷した。1回目の保険会社としては、連続事故として2回目事故の保険会社に引継対応してもらいたいようであった。2回目事故の担当者も危うく応じそうであった。

また、高齢なため、MRIなどの検査を受けることが困難であった。   【立証ポイント】

まずは1回目と2回目での負傷部位をそれぞれ確認。「頭部打撲傷」という、一部の診断名が重なっているとはいえ、それぞれ負傷した主要の部位が異なり、救急搬送先や治療・リハビリ先も異なるため、連続事故とはせず、それぞれ治療を継続していく方針とした。治療部位・内容については、各病院に事情を説明し、切り分けて頂いた。

受傷機転と症状の一貫性、通院実績を根拠に打撲傷で後遺障害申請を実施したが、MRI検査未実施でも14級9号が認定された。MRI検査の重要度は年々下がっているように感じてはいたが、検査を受けることができるのであれば、それに越したことはない。誤解なきよう追申します。

(令和5年12月)

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【事案】

道路を横断中、右方から走行してきた自動車に衝突され、受傷した。脛骨(すね)の膝下部分を骨折し、プレート固定とした。直後から強烈な神経症状に悩まされる。   【問題点】

骨の欠損がひどく、骨折箇所に人工骨を埋めるなど、骨癒合に時間がかかり1年を要した。また、元々の体質としてX脚であり、そこへ今回の事故によって軟骨が欠損したため、将来膝関節症になることが予見されるとの説明を受け、交通事故としてX脚矯正手術と併行して軟骨培養術を勧められた。とにかく膝がボロボロであった。

   【立証ポイント】

コロナが落ち着いた段階でようやく医師面談が可能となったため、現状把握や今後の方針について医師から説明を受けた。X脚矯正の骨切術や軟骨培養については、保険会社が交通事故としては支払ってくれない旨、ご本人が再度長期の休みを取ることができない職業であり、ご本人もそれを望んでいない旨を医師に説明し、なんとか手術前に症状固定とする流れへ持っていくことができた。

可動域制限では等級を逃しており、軽度な動揺性は自覚症状レベルであるものの、靭帯に異常がないため、軟骨の欠損を証明して12級13号を目指すこととなった。抜釘手術時に、内視鏡で関節面を確認するとの事だったため、後遺障害診断書作成時に内視鏡検査の画像打出しを添付していただき、審査に付して40日、速やかに12級13号が認定された。   (令和5年12月)  

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【事案】

バイクで直進中、急な車線変更をしてきた自動車に衝突され受傷する。直後から腰と膝の痛みに悩まされた。

【問題点】

自動車と接触したものの転倒せず、踏ん張った際に痛めたとの事で、バイクの損傷箇所も言われなければ分からない程度であった。これは小破=軽微な事故に分類される。およそ、14級の認定すら困難に感じた。   【立証ポイント】

痛みの残存はあるが、歩行や可動域、正座・胡坐など問題なく行うことができるため、MRI検査の実施は諦め、腰椎での14級9号のついでに膝を狙う方針とした。ご本人の意向により整形外科と整骨院を併用したため、整形外科単独での通院回数はそこまで多くはなかったが、1ヶ月程度で腰と両膝にそれぞれ14級が認定された。とくに、膝の認定は、大甘に感じた。

後遺障害に理解のある主治医だったため、今回の結果に繋がったように思われる。骨折なく、画像所見が乏しい被害者さんにとって、受傷機転や症状の一貫性・通院回数もさることながら、「病院選び」が1番重要なのではないだろうか。

(令和5年11月)  

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【事案】

交差点で信号待ち停車中、後続車の玉突き衝突で前車にも衝突したもの。   【問題点】

救急搬送先の病院は1回だけ、その後、自宅近く整形外科に通院を始めた。2カ月後、職場の異動により、通院の便から職場近くの病院に転院することになった。

いつも通り、病院同行後、丁寧に書類を揃えて申請したが、治療先の変遷が不自然に思われたのか、初回請求は非該当の結果が返ってきた。   【立証ポイント】

いつも通り、2院に対して意見書の記載を頂き、再請求した。それでも、医療照会がかかり、その度に病院の不興をかいつつ4か月経過、ようやく14級の回答となった。

すんなり1回で認定されない案件も度々です。むち打ちの14級認定は、(症状を)疑われることが前提の審査・・そんな気分にさせられます。

(令和5年11月)   

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【事案】

横断歩道を歩行中、左方より走行してきた自動車に接触し、負傷した。直後から足の痛み、神経症状に悩まされる。第5中足骨のみの骨折は多いが、第5以外の4本は珍しい。

【問題点】

ご相談の段階で既に骨癒合が完了しており、半年が経過するのを待つだけだったが、足首や足指の曲がりが悪く、力が入らない等、日常生活でも支障をきたしていることが分かった。14級9号の認定はとくに問題ないが、13級以上にもっていく要素を見つけることができなかった。   【立証ポイント】

このまま申請をかければ14級9号はほぼ間違いないが、リスフラン関節の靭帯損傷やアーチが崩れているようなことが分かれば、上位等級が狙えると思い、主治医にMRI検査の手配を依頼した。残念ながらMRIにて所見は見つからなかったため(ご本人にとっては良いこと)、自覚症状と可動域制限に注力し、後遺障害診断に臨んだ。協力的な医師であったため、足首の可動域計測に加え、足指の可動域(5本全て)も依頼したところ、「このケガで本当にこの計測が必要だと思っているのか?」と再三確認されたが、少しでも上位等級を狙いたい旨を説明し、渋々計測していただいた。(結果として、全ての指(MP・IP、MTP・PIP)が等級認定に該当しない数値だったため、主治医には悪いことをしたと思っています。)

受傷時の骨折画像(3DCT)の打出しも後遺障害診断書に添付し、自覚症状に信憑性を持たせて申請した結果、ちょうど1ヶ月で14級9号が認定された。多発骨折の被害者とムチウチ被害者が同じ等級というのは、正直納得がいかない部分(後遺障害慰謝料は同額)でもあるが、「非該当」では目も当てられない。ひとまず最低限の仕事は果たせたのではないだろうか。

(令和5年11月)  

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【事案】

自転車で横断歩道を走行中、自動車に衝突される。頭部を強打したため救急搬送され、外傷性くも膜下出血、脳挫傷、側頭骨骨折の診断が下された。   【問題点】

受傷から1年以上経過していることから保険会社から打切りを迫られて、ご相談にいらした。主治医は高次脳機能障害に理解がなく、高次脳機能の検査すらまともにしていなかったため、すぐに検査できる病院と検査結果を評価できる医師を探す必要があった。   【立証ポイント】

直ちに病院同行の日程を調整し、主治医と面談することができた。大きな病院のため、恐らく高次脳機能障害の検査をすることは可能だったが、この医師では正しい評価・診断書作成は厳しいと判断し、以前、別件でお世話になった病院への紹介状を依頼した。

ひとまず検査と評価に問題はなくなったため、夫に事故前・事故後の変化を詳細に聞き取り、医師に提出した。診察では分からないような日常生活についてのエピソードを盛り込み、検査結果だけでは書ききれない項目についても、実情に踏み込んだ記載をしていただくことができた。本件は意識障害が軽度であったため、9級認定を想定していたが、日常生活の観察が評価されて7級4号が認定された。

一見すると、事故前と同様に回復しているが、ご家族や近しい人にしか分からない苦労が多々あるのが高次脳機能障害である。今回、無策のまま元の主治医に後遺障害診断書を依頼していたならば、12級13号若しくは14級9号で終わっていたかもしれない。

(令和4年8月)

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【事案】

トラックに同乗し、信号待ちで停止中、後続の自動車に追突されて負傷。その後、腰部痛に加え、右下肢の痺れ等の強烈な神経症状に悩まされる。   【問題点】

ご依頼の連絡があったときには、既に事故から2年以上経過しており、事前認定で非該当という結果であった。受傷から2ヶ月後に緊急手術(後方摘出術)を受けているにもかかわらず、非該当という結果が出たということは、何か他に理由があるのかもしれない。実際、調査中にボロボロでてきた。   【立証ポイント】

資料の収集先として、手術を受けた総合病院とリハビリ通院していた個人整形外科があり、後遺障害診断書は手術を受けた総合病院で作成されていたことが分かった。そのため、治療経緯に沿って、数珠つなぎで資料を取り付け、申請する方針とした。

まずは、関係が良好だという個人整形外科を受診し、初診から終診時までの推移が分かる資料を依頼した。患者に寄り添いつつも誇張のない資料が完成したため、その資料を持って総合病院を受診した。執刀医は既に転院しており、経過を診ていた担当医に事情を説明、個人整形外科で作成された資料を軸に、それらに沿った記載内容に担当医も快諾して下さり、先の個人院ではできなかった神経学検査等も実施していただいた。

また、日常生活での困窮点をご本人から詳細に聞き取り、分かりやすい文章に仕上げた。自賠責窓口でのゴタゴタはあったものの、審査が始まれば約1ヶ月で前認定が覆り、見事14級9号が認定された。

異議申立手続きを進めていくうちに、受傷機転が軽微であったことや救急搬送されておらず、物件事故扱いになっていたこと、後日に症状が重くなった事、相手方保険会社の担当者から良く思われていないことなど、ネガティブな要素は枚挙にいとまがない。穴の開いたポイで大物出目金を狙うかのような申請だった。

 厳しい作業に反して、認定の報告を聞いたときにはガッツポーズが飛び出た。依頼者がこの結果を非常に喜んでくださったので、諦めなくてよかったと心から思う案件であった。   (令和5年10月)   

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【事案】

自動車で信号のない交差点に進入したところ、右方から走行してきた自動車に衝突される。直後から頚腰部痛等、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

ご相談を頂いたときには既に1年が経過しており、半年で一括対応終了となったものの、長く通院した方がいいという外部からのアドバイスを鵜呑みにして、その後半年間、健康保険で通院を継続していた。加えて、一括対応中は週3回の頻度だったが、健康保険に切り替わった途端、月2回の頻度に激減していた。

【立証ポイント】

後遺障害診断書を依頼するにあたり、症状固定日を一括対応終了時に遡って作成していただく方針としたが、MRI検査未実施だったことが判明したため、MRI検査の手配後に現在の日程で症状固定する方針に切り換えた。

無事にMRI検査を終え、主治医に「所見もないし、後遺症の申請は通らないよ。」と嫌味を言われながらも後遺障害診断書を作成していただき、審査に付した。

受傷機転、一貫性、所見等いずれも△ではあったが、約2ヶ月の審査期間を経て、14級認定となった。正直、初回申請での認定は厳しいと予想しており、再審査請求を覚悟していたため、依頼者も弊所も大喜びの結果となった。

(令和5年4月)  

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【事案】

道路を横断中、左方より走行してきた自動車に衝突され、足首を骨折した。開放骨折後の骨端線損傷と診断され、経過観察を続けた。   【問題点】

骨癒合が過度に進んでいるため、骨長調整手術を行うことになった。主治医からは「成長が止まった段階まで経過観察しなければ何とも言えない。」との説明を受けたため、ご両親もどこで一区切りつけるのか迷っていた。主治医の見解やご両親のお気持ちも理解できるが、保険会社が10年近く面倒みてくれるはずがない。どこかで「症状固定」としなければならなかった。   【立証ポイント】

症状固定のメリット・デメリットを説明し、ご本人やご両親、主治医が納得するタイミングを模索した。事故から丸2年というところで折り合いがついたため、後遺障害診断時に自覚症状、開放創と脚長差の計測を依頼した。見込み欄には「今後も定期的に経過を観察する必要があり、成長に伴い、骨長に左右差が生じた場合には、再手術の可能性がある。」という関係者全員(相手保険会社は望んでいないと思われるが)が納得する文言を記載いただき、審査に付した。

子どもの骨折(しかも骨端線損傷)では十分な回復が見込め、14級9号に留まる可能性もあった。しかし、「解放骨折」の重傷性から、脚長差の後遺障害が認められた。他に13級以上の認定がなかったということも要因(その場合には、併合扱いになるため、審査が厳しくなる印象がある)の一つではないかと考える。

  今後、成長とともに脚長差が広がり、再手術ということは考えにくいが、可能性はゼロとは言えない。その点、後遺障害認定を得たことで、ご両親も納得の解決へ向かうことができる。   (令和5年8月)  

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【事案】

原付バイクで幹線道路を横断の際、右方よりの自動車と衝突、大腿骨の股関節脱臼骨折と鎖骨の骨折。股関節は人工関節置換術を施行したが、鎖骨は観血的手術を避け、外部からバンド固定&保存療法とした。高齢者の場合、プレート固定を避ける傾向。

クラビクルバンド

【問題点】

外見上、左右差が分かるほどの変形はなかった。   【立証ポイント】

それでも、変形で12級5号が認められれば、併合で等級が一つ繰り上がるので、簡単に諦めることはできない。改めて、受傷初期からのレントゲン、CTを経過的に編集、変形癒合に至るまでの画像を打ち出し、添付した。

変形の認定はあくまで外見からの判断であるが、鎖骨の癒合状態から認定を引き出した。甘めの認定に助けられたと思う。   (令和5年5月)   ※ 併合の為、分離しています。  

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【事案】

原付バイクで幹線道路を横断の際、右方よりの自動車と衝突、大腿骨の股関節脱臼を伴う骨折となった。即座に人工関節置換術を施行した。診断名は大腿骨の骨頭下骨折、頚部より骨頭寄りの骨折のよう。

【問題点】

事故状況から、バイク側の過失が大きく、相手保険会社から一括対応(治療費の直接払い)はされなかった。また、人身傷害も未加入なので、国保のみ頼りの治療となった。それ以外は自己負担と覚悟していたところ、見かねた代理店さまより紹介となった、。

また、本件の特異な点は、介護保険を使って、入院下での集中リハビリとした点です。介護保険に対しても第3者行為届を記載・提出した。次いで、市役所から「国保の第3者届も提出お願いします!」と、弊所に電話が鳴った。どうやら忘れていたよう。   【立証ポイント】

人工関節なので10級11号は確実であったが、介護保険による治療費のレセプト収集など、いつもより取集する書類は多かった。提出後も、事故状況の回答書が要請された。さらに、介護保険使用に関する資料の提出も要請された。任意社の介在の無い場合、審査は慎重になるので仕方ないと言えます。

これらに丁寧に対応を続け、確実に10級11号の認定とした。予想通り、重過失減額から20%保険金が控除されたが、まったく何も保険金が入らないと思っていた依頼者さまにとっては、恵の保険金となった。

賠償交渉が無い事故だと、弁護士は腰が引けてしまいます。このような自身の責任が大きい事故で、困っている被害者さんは多いと思います。   (令和5年5月)    

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【事案】

自転車で直進中、右脇道からの自動車の衝突を受けて転倒、左大腿骨頚部を骨折後、人工関節置換術を施行した。   【問題点】

人工関節の手術後、リハビリを計画していたが、持病での手術入院、さらにコロナ院内感染と、めまぐるしく治療が重なり、落ち着いてリハビリを進めることが出来なかった。何より、病院がコロナ治療と一緒にレセプトを作成したため、公費となるコロナと、健保扱いとなる事故を分けなければならなくなり、5か月も待たされた。   【立証ポイント】

それでも、人工関節なので10級11号は確実であった。レセプトの欠損を説明して提出したが、自賠責は律儀に「書類が揃ってから!」と書類を返してきた。仕方なく、レセプトを待った。また、必要性の薄い可動域計測も追記要請され、それにも対応して再提出、今度は1か月も待たずに認定票が返ってきた。正直、提出書類に関して、もう少し柔軟性が欲しいと思った次第。

(令和5年7月)  

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【事案】

原付バイクでT字路を直進中、狭路から右折してきた自動車と衝突し、負傷した。直後から大腿部の痛み、神経症状に悩まされる。

  【問題点】

救急搬送先では見当違いの部位をレントゲン撮影し、骨折が見逃されてしまった。翌々日に別病院を受診し、即入院・手術が実施された。一安心と思ったら、「症状固定は手術から1年経たなければ判定しない」と言う、頑なな医師であった。また、被害者自身が人に弱みを見せず、医師に「痛みや困窮」を言わない気質であった。   【立証ポイント】

初診時に骨折の傷病名がなかったが、保険会社が一括対応をしているため、その点は問題とならずに済んだ。また、定期的にご家族へ連絡し、痛みを訴えない本人の実状を聞き取り、その内容を細かく描写した。

後遺障害診断書の作成に後ろ向きであった主治医が事故から1年が経過する段階で転勤となったため、後任の医師に自覚症状を説明し、可動域計測、手術痕の計測等、細かく検査していただいた。後遺障害診断書上、股関節の可動域数値は3/4制限となったが、骨折の癒合状態が良好だったため、1ヶ月も経たずに14級9号で認定された。

高齢者が骨折すると、事故前に比べ生活は一変し、ご家族への負担が増大する。その点を踏まえると14級9号認定は軽いように思うが、認定基準に照らし合わせると、仕方がない…と納得せざるを得ない。予想通りの結果ではあるが、モヤモヤが残る案件である。   (令和5年7月)  

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