後遺障害の調査・申請の仕事は審査側の自賠責・調査事務所と考察を同じくする作業でもあります。

 申請側は障害の実態を掴み、審査側の要求するであろう医証を揃える・・等級認定に至る障害の全容を解明する作業や思考回路は、実は双方一緒だったりするのです。この辺は経験を積んだ者にしかわからないでしょう。

 リカバリー案件である本件は、初回申請で申請側である私と審査側の考察が異なってしまった件です。それでも最後は双方同じ結論に揃いました。

 業者が行う異議申立てとは反論・争いの類ではないように思います。例えば「鎖骨骨折」という出題に対する高度な答え合わせではないかと・・。申請側が読み違える、過剰な主張となることもありますが、審査側も限られた資料から実態を捉えられない、抑制的な判定となることもあるでしょう。双方ともに間違いが起きます。これが異議申立ての本質かもしれません。
 

非該当⇒14級9号:鎖骨骨折 異議申立(40代男性・埼玉県)

【事案】

バイクでT字路を直進中、左から一時停無視の自動車が飛び出してきたため、衝突を避けようとして転倒、鎖骨を骨折、救急搬送された。診断は右鎖骨遠位端の粉砕骨折で、即、手術でプレート固定を行った。

その後、相談会に早く参加され、レントゲン画像で骨折状態を見たところ、肩関節は外転の制限を予想した。

【問題点】

抜釘後、MRI検査をしたが肩腱板に目立った損傷はなかった。肩関節の可動域は疼痛の影響で外転・屈曲ともに90°であった。整復状態からやや無理のある数値で心配だったが、受傷様態から無理のない回復程度であることから、この数値のまま申請した。

結果は「非該当」、整復は良好で変形・転位が見られないことから「そんなに肩が曲がらなくなるわけはない!」との回答。つまり、自賠責・調査事務所の怒りを買ったよう。

【立証ポイント】

嘘偽りなく肩関節可動域を計測したはずである。この頑固な痛みと可動域制限について、症状固定後も治療を継続した。等級が出ないのならば回復努力に一層力が入る。

一方、原因の究明も進めた。画像鑑定では腱板損傷を思わせる高輝度所見があるものの、決め手となる所見が見出せなかった。そこで、セカンドオピニオンとして、肩関節の専門医の受診に進めた。

改めてMRI検査を行ったところ、鎖骨を固定するためのL字型のフックプレートの影響下に長く晒されて肩峰下、周辺靭帯から三角筋にまで炎症を起していることを突き止めた。このフックプレートは不安定な骨折部の固定に有用ながら、周辺組織にそれなりの負担をかけると言われている。

この所見から14級9号を目指して異議申立てを行った。これなら自賠責も認めてくれた。そして、症状固定から1年あまり、可動域はほぼ回復した。調査事務所の(可動域制限はないという)判定は正しかったと言わざるを得ない。私達も経験を重ねるごとに謙虚になります。

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