前回の記事で予想した通りの展開が待っていました。山Pが脳外傷の患者を現場でオペするシーンで、脳内出血・脳圧上昇で危険な状態への対処を急ぎ、頭蓋にドリルで穴を開けて、血腫(出血が一箇所に溜まって固まってしまう状態)の排出を試みました。CTで脳内を観る暇もなく、一刻を争う場面です。当初は「硬膜外血腫」を疑い、次に「硬膜下血腫」と予断、しかし、血腫は見つかりません。ついに、脳腫脹(のうしゅちょう)による、脳圧の上昇を突き止め、看護師 比嘉 愛未さんの補助で脳脊髄液を簡易的なドレーンで排出、命を救いました。 

 まさに、脳外科医による救急救命を象徴するシーンでした。専門用語が飛び交いましたが、一つ、疑問が。脳圧上昇の原因を「脳腫脹」と。私はそこで「脳浮腫(のうふしゅ)」では?と思いました。どうも知識が曖昧です。そこで、早速調べてみました。
 
脳浮腫
脳の間質組織(細胞外腔)の含水量が異常に増加した状態をいう。脳出血、脳梗塞の急性期、脳腫瘍、脳膿瘍、脳外傷などの病巣の周辺部にみられる。脳浮腫が高度になると、脳容積の増大により脳幹が圧迫されて、小脳テント切痕ヘルニア、大後頭孔ヘルニアなどを引起すことがある。副腎皮質ホルモンの投与や減圧術、原因疾患に対する治療などが行われる。

○ 脳腫脹
脳実質組織に液体成分が異常に増加して、脳の容積が増大した状態。従来、脳間質組織の含水量が増加する脳浮腫と区別されてきたが、脳組織には間質が非常に少いので、両者は厳密には区別できないため、原因を問わず脳容積の増大した状態を一括して脳腫脹という。  
 {引用:ブリタニカ国際大百科事典}
  
 なるほど。所詮、素人の知識ではドラマに追いつきません。それでも、勉強の機会を与えてくれる貴重な番組です。

 ちなみに、脳内の圧が上昇し、脳実質に損傷が起きれば、障害の残存は必至です。交通事故などの外傷を問わず、硬膜下(外)血腫、くも膜下血腫などにより、脳内の血溜りが増大し、脳を圧迫し続けた結果、言語障害や半身麻痺を引き起こします。当然、高次脳機能障害の原因ともなります。その点からも、血腫の除去は一刻を争うのです。