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 交通事故の相談で重傷者のお話を聞くことがありますが、診断書を確認すると、時折事故から期間が空いてから診断されることがあります。

 重症であれば普通、直ぐに痛みや症状を医師に相談し、真っ先に検査をして診断されるはずです。それでも何故、後になってから怪我がわかるのでしょうか。相談者に確認すると、他の部位の治療を優先していたからという理由がよくあげられます。確かに、怪我の部位や重さによっては優先順位が下がる場合もあります。 例えば、腕を骨折している他、頭蓋骨骨折・脳挫傷をしている場合、一命をとりとめるため、頭部の治療を優先し、その他の骨折部位については後回しになることがあります。しかし、それはあくまで命に係わったり他に治療を集中しないと取り返しがつかない可能性があったりする例外的な場合です。

 相談者の中には通常見逃さないような場合ばかりでした。何故このような事が起きてしまったのでしょうか。後に病院同行で医師からお話を伺ったり、相談者のお話しを伺ったりしているうちに、以下のようなことが主な理由としてあげられそうです。

 ① 部位が専門家でないと明らかにならない場合で、担当医師の専門ではなかった場合。

 ② 相談者が主な症状で頭がいっぱいで他の症状を我慢していた場合。

 ③ 事故の後に怪我をした場合。


 ①の理由の場合
 この主張はよくあることですが、後遺症(後遺障害)の申請では理由になりません。何故なら、症状を訴えれば、通常の医師であれば専門医に紹介して治療をするよう指示するはずだからです。仮に医師が紹介もせず原因不明のままにするようなことがあればすぐに転院を考える必要があります。

 ②の理由の場合
 結論として、我慢する必要はないので、しっかり医師に伝えてください。①の理由と同様、後遺症(後遺障害)の申請では理由になりません。
何故なら、重傷といえるレベルの怪我の痛みは通常我慢できるものではなく、気づかない方がおかしいからです。それでも期間が空いてから症状を訴えて診断されると、事故と関係ない怪我ではないかと保険会社や調査事務所が疑ってしまいます。

 ③の理由について
 時折、事故と関係ないのに事故で怪我したことにしようとする相談者がおります。そのような詐欺まがいのことをなさると、保険会社は、後遺症(後遺障害)はおろか、治療費の支払いをも打ち切ってきます。仮に事故と関係ある他の怪我の治療費であってでもです。また、後遺症(後遺障害)の申請で、事故で生じた怪我の申請をする場合でも不利に働く恐れがあります。決して嘘はつかず、この場合は我慢して下さい。