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⑤ デビロービング損傷による場合

 これまでの可動域制限について後遺障害が認められる場合として、骨折や靱帯損傷等の他覚的、客観的な所見が認められる場合に信用される旨、説明してきました。

 今回は骨折も靱帯損傷、神経損傷もない場合の可動域制限についてです。

 デビロービング損傷とは、広範囲皮膚剥脱をいい、交通事故の場合ですと、交通事故の際に皮膚を巻き込んではがれてしまう場合を指します。はがれた皮膚を外傷後すぐに合わせればそのまま再接着して元に戻ることがあります。しかし、損傷があまりにもひどい場合や、皮膚がはがれた後、摩擦熱などで火傷した際に皮膚の再接着・再生ができない場合があります。再接着できなかった場合の手術方法として、植皮術(別の部位から皮膚を切り離して移植する方法)、皮弁術(損傷した皮膚の隣接部位から血流のある皮膚を覆いつなげる移植方法)があげられます。

 皮膚がうまく皮下組織に接着したとしても、大抵は醜状痕が残ります。そこでも等級は認められる場合がありますが、手術後、皮膚が固まってしまい、関節が動かなくなることもあります。 この場合、骨折等をしていない部位であっても、デビロービング損傷によって他覚的、客観的な所見が認められることになります。

 皮膚を原因とする可動域制限はレアケースですが、弊所の記録にあります。⇒ 足関節の機能障害