女性にとって下肢の醜状痕も辛いものです。

 生足でスカートを履けば、キズが見えます。既に持ってるスカートを履くことがなくなり、せっかく購入したそれらお気に入りのスカートは無駄になります。そう、明らかに金銭的損害が生じているのです。男女の醜状痕評価が平等な等級になったとは言え、ズボンを履く機会の多い男性に比べ、実状はあらゆる場面で女性の損害が顕著と思います。

 以前も、80歳を過ぎた女性の太ももの醜状痕について、12級相当の認定を取得後、弁護士に引き継ぎ、その後の交渉で賠償金をしっかり獲得しました。

 まず、相手の保険会社側から、「高齢者だからスカートはなど履かないでしょう。また、モデル等の職業ではないから、脚のキズ自体に減収などの直接な損害はない。したがって逸失利益は0円評価」との「失礼な!」回答を受けました。

 対する連携弁護士は「今後、ミニスカートが履けない等、服装が制限され、現実に損害を受けている」と反論、モデルではありませんが、主婦として逸失利益を10年、慰謝料も赤本満額を勝ち取りました。

 ミニスカートを履くことに年齢・職業は関係ありません。
20070725

12級相当:下肢瘢痕(90代女性・千葉県)

【事案】

青信号の横断歩道を歩行中、相手自動車が右折進入し、両足をひかれた。片足は大きく損傷、そのダメージから切断し、もう一方の足甲も中足骨多発骨折、膝下からデグロービング損傷と重篤。さらに、肘も骨折した。

※ デグロービング損傷とは”広範囲皮膚剥脱”創のことで、皮膚が組織ごとはがれてしまった状態です。ひどいと傷口が壊死し、植皮等が必要となります。

【問題点】

事故から1年以上経過後、症状固定し、後遺障害診断書が出来てから相談に来られた。切断肢はある意味、立証作業はない。しかし、もう一方の脚については、精密に等級を定めなければならない。残った脚の立証作業を開始した。

【立証ポイント】

後遺障害診断書の他に写真を添付して申請する。申請後、提出した写真では足りず、自賠責調査事務所から醜状痕の面接の要請があった。

c_g_s_6下肢の醜状痕は12級の認定条件である、”手のひらの大きさの3倍以上”あることは明白であった。しかし、相談者は高齢かつ片足切断で車イスのため、介護施設で生活している。このような状況で面接に行くことは非常に酷であり、メジャーをあてた写真を改めて撮影して提出することにした。

自動車に轢過された際、膝から下の下肢に広くやけどを負ったことで、デグロービング損傷をしていた。
具体的にはは ① 脛側 → ② ふくらはぎ側 → ③ 脛側(①よりも下側)→ ④ 足首 → ⑤ 足の甲・踵までらせん状に広がっており、さらに、周辺の皮膚が溶けて固まっている。脛側から見ると、らせん状(線状)ではなく、一面状に醜状痕があるように見える。脛側の面の計測はすぐにできたが、らせん状の部位についてはメジャーをあてて撮影するのは困難、写真のみでは伝わりにくいと感じた。

そこで、醜状痕を動画撮影し、映像ディスクに焼いた。写真と映像のCDをそれぞれ調査事務所に提出し、無事に12級相当が認められた。