このようなことを言ったら、不遜かもしれませんが、秋葉事務所はある意味、プレ審査機関と思っています。

 弊所では、仕事をシンプルに以下、2分しています。

1、明らかに後遺症がある被害者さんを、正しい等級認定が受けられるように誘導する。

2、明らかに後遺症が乏しい被害者さんには、後遺障害は諦めるよう説明する。
 
 だからこそ、正式な審査の前に、フィルターの役割を果たしていると自負しています。事実、申請前の等級予想では、80%を言い当てます。では、不確定な20%は・・・これが正に14級9号なのです。14級9号・神経症状の等級認定は、認定基準上、「医学的に、証明に至らずとも説明が可能」であれば認定されますので、具体的な基準・数値が明確ではありません。すると、審査担当者の印象で決まることもありえます。つまり、骨折などを伴った他の障害に比べ、認定or非該当の自由幅が広いのです。

 実際、モラルに問題のある申請者は、訴える症状も疑われますので非該当にされます。私が保険会社のSC(支払い部門)に研修で配属された頃、何度も自賠責調査事務所からの電話をとりました。自賠責の審査担当者が、申請者の訴える症状が信用に足りるか疑問に思った場合、任意保険の担当者へ「この被害者はどんな人?」と聞けば済みます。任意保険の担当者は受傷直後から数ヶ月間に渡り申請者をみてきたわけですから、善悪・人柄を把握しています。この電話一本で、ネガティブな情報が伝われば、往々に非該当が決まります。ここで何を言われるかわかりません。だから、常日頃から被害者さんに保険会社の担当者とケンカするな!と訴えているのです。
 
 しかし、本例は解せません。なぜなら、申請8日後の結果では、書類の往復時間で終始するはずで、審査などしていないに等しい。これは、本件特有のネガティヴ情報が、誤って”問題のある申請者”として伝わったと推測します。いずれにしても、被害者さんも私達も大変な手間を強いられます。


 山本「異議申立は大変なんだから、よくみて下さいよ!(怒)」
 

非該当⇒14級9号:頚椎捻挫(40代男性・東京都)

【事案】

自動車搭乗中、交差点で信号待ちの為、一時停止した直後、後続車の追突を受ける。直後から頚部痛や腰痛の他、下肢の痺れ等の神経症状が続いた。

【問題点】

本件は加害自動車の追突であり、加害者に100%過失ある事故であったにもかかわらず、加害者側が急ブレーキを踏んだ被害者に責任があると、訴えを起こしている極めて特殊な事例であった。

その後、被害者請求をするが、申請からわずか1週間位で非該当の通知が届く。この審査期間の短さから、審査せずに門前払いとされたよう。こちらも即座に異議申立に踏み切った。

【立証ポイント】

調査事務所の超短期間での非該当は明らかにおかしい。何か悪い情報が間違って伝わったのか?

新しい医証の提出という再申請の建前に則り、改めて主治医に「頚椎捻挫の症状の推移」「神経学的所見の推移」を依頼した。心優しい主治医は急ぎ、1週間で書類をまとめてくださった。

今度は、調査事務所に事故状況について誤解がないように、刑事記録の写しを添付、事情を丁寧に説明した異議申立書を提出した。

すると、再申請からわずか1か月後に14級9号が認定される。やはり、初回申請は何かのミスとしか思えない。本件の軽率な初回審査には苦言を呈したい。