これも珍しいケースです。

 指の伸筋腱とは、指の背側に張り付いて、指をまっすぐ伸ばす時に、手の甲から指を引っ張る役割をしています。この腱が断裂すると指が伸ばせなくなり、ただちに手術で再建します。軽度の損傷では保存療法となります。本件の場合、伸筋腱が指のMP関節(根元の関節)で外れてしまったのです。幸い、指の曲げ伸ばしに深刻な影響はなく、痛みと不具合が残りました。手先を使う細かな作業には影響があるといえます。ピアノを弾く方ならご理解いただけるでしょう。

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 自賠責の判断はやはりと言うか、14級9号での評価となりました。 後日談ですが、元々、指の伸筋腱が関節部で外れて動く人もけっこういるようです。担当した弁護士さんもそうでした。
 

14級9号:手指・伸筋腱脱臼(40代女性・静岡県)

【事案】

自動車で交差点を直進のところ、右方より一時停止無視の自動車に側面衝突を受けた。頚椎捻挫の診断のほか、右手の甲、人差指~中指のMP関節部を傷めた。

【問題点】

右手の診断名は伸筋腱脱臼となった。手の甲(中手骨)から示指(人差指)、中指にかかる指の靱帯が、指の屈曲時に左右に動くようになってしまった。これは、どのような後遺障害に該当するのか?
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【立証ポイント】

相談会で指の症状を確認、とりあえず頚椎と平行してリハビリの継続とした。その後、症状固定時に主治医と症状についてどのように診断書に記載するか打合せの上、診断書を作成、頚椎でも14級を確保できる内容に仕上げた。また、秋葉事務所ではおなじみのビデオ立証にて、指の曲げ伸ばしで伸筋腱が外れる?様子を撮影した映像を添付して申請を行った。

結果、細かいこと抜きに、症状の一貫性から頚椎と指の双方に14級9号が認められた。