Q、自転車走行中、自動車に交差点で巻き込まれ転倒、左橈骨遠位端骨折となりました。ボルト固定手術を経て、医師からは完治を言われているものの、自覚症状として手首が曲がり辛くなりました。近日中の症状固定を予定しています。医師は骨の癒合に問題はない、MRIでも異常は見られないとのことです。

  そこで後遺障害についてお聞きしたいのですが、手関節の可動域について、ケガをした手首の可動域(背屈40°掌屈50°)合計90°であり、ケガをしていない手首の可動域(背屈70°掌屈90°)が160°です。これを法律相談で専門家に見ていただいたら、4分の3以下の制限で12級と聞きました。10級はダメでしょうか?
 

A、その専門家は参考運動を見落としています。10級か12級か・・・本件の場合、この参考運動(橈屈、尺屈)が明暗を分けます。左右差が2分の1にわずか10°オーバーしているので、「惜しい、10級を逃した」状態です。橈屈、尺屈の計測を加え、この参考運動の左右差が2分の1以下となれば、10°のオーバーを負けてくれるのです。

   

部位

主要運動

参考運動

手関節

背屈

掌屈

合計

橈屈

尺屈

正常値

70 °

90 °

160 °

25 °

55 °

8 級 6 号

10 °

10 °

20 °

   

10 級 10 号

35 °

45 °

80 °

15 °

30 °

12 級 6 号

55 °

70 °

125 °

20 °

45 °

 

 しかし可動域制限にはそもそも前提条件があります。可動域制限で等級を獲得できるか否かは可動域制限の数字だけではなく、受傷時の骨折状態と症状固定時の癒合状態を確認しなければ予断できません。変形癒合(骨の形が変形)、転位(骨がズレている)、偽関節(骨が癒合していない)がないと、「骨がきれいにくっついているのに、なんでそんなに動かなくなるの?」と調査事務所は考えます。特に本件は「骨癒合は問題ない・・」と医師が判断しています。
 可動域制限は留まるところ、画像の裏付けが必要です。