損保ジャパンは1度、無保険車傷害特約を人身傷害・約款に吸収させて、算定基準を人身傷害と同一にしました。結果、裁判基準を認める無保険車傷害特約・約款の改悪、不合理の感が否めませんでした。その後、また分離させましたが、肝心の支払い基準はどうなったのでしょうか。これに関して旧損保ジャパンは、26年7月改定から先進的かつフェアな約款に改定済みです。
 
 先に人身傷害を請求し、後に賠償請求を行った場合の求償に関しては、裁判基準で総損害額をみます。これは最高裁判例以来、全社認めて約款改定しました。残った問題である、先に加害者に賠償請求した場合、保険金算定の基となる総損害額を裁判で決まった額とするのか、あくまで自社の算定基準とするのか・・(「人傷基準差額vs裁判基準差額説」の対立で問題となっています)。

 これについて、以下の約款で明確に回答しています。つまり、人身傷害を先に請求しようが、相手から賠償金を先にとろうが、請求の順番に関わらず、「裁判で決まった額なのか否か」で支払い基準を合わせる事にしたのです。

 ここでは説明しきれないので、わからない方は過去記事を ⇒ すべては約款で準備されていた

 では、約款ですが、人身傷害も無保険車傷害もほぼ同じです。
 

<人身傷害特約> 第6条(損害額の決定)

<無保険車傷害特約> 第8条(損害額の決定)

 
(1)損害額は、被保険者が第2章(保険金を支払う場合)(1)のいずれかに該当した場合の、次の区分(①~③)ごとの、それぞれ普通保険約款別表3に定める損害額算定基準に従い算出した金額と自賠責保険等によって支払われる金額(注1)のいずれか高い金額の合計額とします。

① ケガの損害
② 後遺障害
③ 死亡
 
(2)加重障害に関すること(省略)
 
3)(1)および(2)の定に関わらず、賠償義務者が負担すべき法律上の損害賠償責任の額を決定するにあたって、判決または裁判上の和解において(1)および(2)の規定により決定される損害額を超える損害額(注2)が認められた場合に限り、賠償義務者が負担すべき法律上の損害賠償責任の額を決定するにあたって認められた損害額(注2)をこの特約における損害額とします。ただし、その損害額(注2)が社会通念上妥当であると認められる場合に限ります。

(注1)自賠責保険が無い場合、政府の保障事業からの補償も対象 (省略)

(注2)訴訟費用、弁護士報酬、遅延利息、その他費用は損害額に含みませんので、差し引きます(省略)

 
(解説)相変わらず、持って回った言い回しですが、つまり、「まずは(1)の自社基準で払います」「裁判できまった額なら(1)の自社基準ではなく、裁判基準で払います」とのことです。
 

 この約款タイプは他に朝日、セゾン、セコム、そんぽ24、ソニーさんです。全社調べる時間があったら頑張ってみます。

 明日はこの問題に、頑固な東海日動さん