久々の仙台出張です。翌日は秋分の日なので、思い切って鳴子温泉に逗留、休暇としました。恒例の温泉レポートをさせていただきます。
 
 鳴子温泉郷は国内で大別される11種類の泉質のうち9種が揃う、温泉銀座です。7年前は鳴子温泉駅から川渡温泉まで歩いて湯めぐりをしました。今回は共同湯マニア垂涎の「滝の湯」をメインにすべく、宿はその隣、これまた温泉ファンに人気の「ゆさや」さんに宿をとりました。鉄筋コンクリートのホテルが並ぶ中、「風情」という賜物を得るために、古い木造二階建ての旅館には何としても泊まっておかなければならないのです。
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 そして最大の恵みは、白濁の硫化水素(≒硫黄)泉が、ゆさやさんの「弱アルカリ性」と、隣の滝の湯の「酸性」と、交互に堪能できるのです。
 2016092212430001宿の隣が滝の湯!

 まずは酸性の滝の湯から・・

 鳴子の、と言うよりも東北の共同湯を具現した質実剛健な木造造り、丸太を模した導管から、まさに滝のように硫黄泉が湯船に流れ込みます。色は白濁、香は硫黄臭、味はレモン、そして、まろやかさの中に草津や那須湯本ほどではないにしろ、酸性のピリピリ感が肌を刺します。どっしりとした浴感に満足です。
 温度は44~45°位かな、何度も浸かっては出てを繰り返します。湯客は皆一様に厳しい表情、攻めに耐えているようです。酸性の硫化水素泉は攻撃的、そう、湯に鍛えられているのです。

 対して、ゆさやさんの通称”うなぎ湯”は・・

 写真の通り、モダンかつレトロ、浴室の表情からしてたまりません。二つの湯船があり、メイン槽は43°で白濁、40°の弱温槽は透明な翡翠色。味はゆで卵の白身、ph値は7.0ほどの弱アルカリ性は柔らかく、薄絹のように肌に吸い付いてきます。同じ硫黄泉でも滝の湯と正反対の浴感なのです。
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 何時間でも浸かっていられるやさしい湯、この空間には、母体回帰の安心感が弛んでいます。浴槽ではそれほど感じなかったぬるみ感は、湯上りで実感、全身に化粧水をまとったようにツルツル感がいつまでの続くのです。

 そして、翌日はまた滝の湯へ・・この硫黄泉の硬軟を交互に楽しむ贅沢さ。これが硫黄泉のSM、ツンデレと言わずして何と言いましょうか、他に表現が見当たりません。