さぁ、二日目です。この日も盛りだくさん、夏の高次脳祭りは続きます。
 

4、受傷部位別解説 担当:秋葉

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 脳障害と一口に言っても、損傷を受けた脳の部分によって引き起こされる障害は違います。とくに局在性の損傷では損傷部位と症状の一致が立証上、各種検査を行う上で指標となります。また、びまん性の損傷では障害の兆候が読めないので被害者の観察がより重要となります。

MAH00374(1) 講義では「記憶障害」、「言語障害」に時間をかけて解説を加えました。「遂行能力・注意障害」「失認」「情動障害」「失行」「ゲルシュトマン症候群」、「身体機能の麻痺」など、たくさんの論点があり、時間がいくらあっても足りないのです。

 続いて、嗅覚障害での必須検査である「T&Tオルファクトメーター」の検査表の見方、数値計算の演習を行いました。(これは1昨日の日誌にUPしました)

enge また、嚥下造影検査=VF検査の映像を発表しました。近時、脳障害を起因とした嚥下障害(食べ物を呑み込む力が弱くなる)の被害者を担当しました。VF検査とはレントゲンのビデオで、水や流動食を飲み込む様子を視認するものです。この被害者さんのご協力で、めったに目にすることのない検査画像を観ることができました。(この画像は参考画像で研修で使用したものではありません)

kankaku さらに「高次脳機能障害と併合する他系列の障害、含めて認定される障害」については参加された弁護士先生の実例を聞きながら対話方式で進めました。神経系統の障害であっても感覚器に関する障害は併合の対象となりますが、その区別に一抹の疑問を残しています。かなり難しい論点で、結論は持ち越しでしょうか?
 

5、具体的な立証例とその解説 講師:佐井先生、山崎先生

sai

 併合6級の立証例は「意識障害の所見」がない=入口で絶体絶命の件でした。本例は医師に診断書の修正をさせる大勝負となりました。

 5級の例は粘り強く神経心理学検査に立会い、完璧な立証へ導いた好取組。現場の生々しい話となりました。

Yamazaki
 5級の立証例は情動障害の程度を明らかにするべくCAS検査を取り入れるなど、被害者の症状に即応した、まさに”コーディネート”を行った取り組み。神経心理学検査に精通した者にしか成し得ない仕事と思います。

 1級の例は「成年後見人の選任によって依頼を途中で解任された」実例です。今後、事理弁識能力のない被害者を受任する際、すべての弁護士が注意すべき失敗例でした。
 

 その他、介護費用の計算方法、HP戦略、最新情報の解説が続き、2日間を終えました。

 そして、会場は月末の大阪に移ります。