先日、久々に骨盤骨折の被害者さんの股関節の計測を行いました。診断名と骨折部位から、内転・外転の可動域制限を予想しました。計ってみたらビンゴ! 案の定、12級レベルの可動域制限を確認しました。 そこまでは良かったのですが、参考運動である外旋と内旋の計測に際し、どちらが外旋と内旋だったか、疑問が生じました。

 下図を見ると、外側に下腿(すね)を倒すからこれが外転、逆に内側に倒せば内転と一瞬思いがちです。しかし、正解は逆です。計測するのはあくまで股関節です。下腿を外側に倒せば、大腿骨の骨頭は骨盤の寛骨臼の中を、内側にぐるりと回って曲がる(だから内旋)ことになります。下腿を内側に倒せば、その逆です。

 

 後遺障害等級の評価上影響は無かったとはいえ、あまり計測することがない関節ですので、すっかり油断していました。
 

 
○ 外旋と内旋、参考運動が評価されるとき?

 下肢の股関節では、主要運動の可動域が2分の1または4分の3を僅かに上回るときは、股関節の参考運動(外旋・内旋)が、2分の1または4分の3以下に制限されていれば、10級11号、12級7号が認定されています。
 そして、僅かとは、10級11号では10° 12級7号では5°とされています。

○ 計測法

 下の写真のように、うつ伏せが計りやすいと思います。他の計測法に、座位、仰向け(臨床測定)があります。

 (外旋)

 (内旋)
<出典 ROMナビ  (有)ラウンドフラット>
 
 固定概念に捉われず、常に自己の知識をチェックすることが大事と痛感しています。