人気の深夜番組「アメトーク」でこんな放送回がありました。タイトルの「腰が痛い芸人」です。腰痛を抱える芸人の皆さんが集まって、その苦労を語りあいました。不謹慎ながら大笑いしてしまいました。しかし実際に腰椎間板ヘルニアの切除手術を受け、完全回復していない芸人さんなど、本人にとっては笑い事ではありません。
 日本人の5人に1人が慢性的な腰痛に悩まされていると聞きます。交通事故外傷の世界でも、かなり難儀するが外傷性腰椎間板症です。なぜなら急性腰椎症(ギックリ腰等)、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症は外傷では起こりえない、という学説が存在するからです。当然保険会社はこれを全面的に支持しています。しかし、年齢変成、経年変化が既存であっても、外傷によって発症、悪化することはいくつかの裁判判例で認められいます。そもそも40才を過ぎて腰椎に変化がない人の方が珍しいのです。しかしその年齢的・身体的な変性により外傷性を全面否定するのも暴論と思います。実際、「事故前はまったく痛みもなく、普通に生活できていたのに・・・」という被害者さんが後を絶ちません。

 さて、立証作業に入る前に、腰痛の検査と分類を整理します。
 

■ 安静時の痛み ・・・この多くは「病気」なので交通外傷から外れます。

 それぞれ画像(MRI)検査にて描出します。
・転位性脊椎腫瘍
・化膿性脊椎炎
・脊椎・馬尾腫瘍
 

■ 前屈制限 ・・・主に前に屈んだ時の痛みです。

1、SLRテスト 

 
 

下肢を拳上したとき、ピリピリとした放散痛が走ります。
正常であれば 70 °以上あがります。坐骨神経(腰髄神経の L4 ・ 5 及び仙髄神経の S1 ・ 2 ・ 3 の神経根)に障害がある場合は、大腿・下腿の後面に痛みが生じ 50 °を超えて上がりません。

2、 陽性=反応あり

腰椎間板ヘルニア  SLRが代表的な検査所見となります。あとはずばり画像です。
 

 
 
3、陰性=反応なし
 
・股関節疾患
・仙腸関節障害
・筋膜性腰痛
・腰椎症(ギックリ腰等) まずはここまで症状の判別を頭にいれます。明日に続きます。