昨日、28年度の行政書士試験・合格発表がありました。

 数年来、8万人以上が出願するようなフィーバーは収束、ここ数年は減少し、5万人代に落ちつたようです。それでも、その20~30%は受験料7000円を払っただけで欠席します。国家資格で最も欠席率の高い受験のようです。合格率は年によってばらつきがありますが、およそ10%前後で推移しています。今年も新たに約4千人が行政書士となるはずです。ここまでの統計数字も変ですが、なんと言っても特徴的なのは、毎年この合格者の30%程度しか行政書士にならないことです。???、つまり、合格しても書士会に登録をしないのです。登録しなければ行政書士業をできませんし、行政書士を名乗れません。これは合格者のほとんどが登録する税理士さん、司法書士さん、社労士さんと比べると大変に異常な現象と言えます。

 行政手続きの専門家である、行政書士の活躍が望まれる場面は多肢に渡ります。その職業的魅力は、出願数をみれば士業の中でも人気はトップクラスです。しかし、せっかく合格しても・・登録しない。一体、何のために行政書士試験を受けたのでしょうか?疑問は尽きません。合格者の3割ほどしか行政書士にならず、また、登録しても周囲は特認書士(公務員経験年数で自動的に行政書士になった先生、申請者の全員が書士になりますので、試験組登録者より多いことも・・)ばかり、新規参入の厳しさからか10年以内の廃業が多いようで・・結局、厳しい業界なのでしょう。これでは、数字上、試験をする意味がわかりません。毎年、特認組の登録だけで行政書士は足りてしまうのではないかと。試験に集まる莫大な受験料(7000円×5万人=〇億円!はどこへ?)が無駄に思えてしまいます。

 弊所でも通年、補助者の募集をしています。しかし、業務内容が行政書士とは離れたものからか新人の応募は少なく、逆に私と同世代どころか、年上の応募者が多いのです(年配の先生は逆に人を雇い、指導する立場でなければ困りますよね)。中高年を雇用差別しているわけではありません。業界の将来のためには、若年層に給与を支給、生活保障のもとに育てることが最優先であるからです。 一体、若い合格者はどこへ進路をとっているのでしょうか。
 
 このように、なかなか事務所は増員できません。それでも毎年数千人の合格者さんがいるわけで、医療調査業にもう少し感心を持ってもらえないものか・・思案の毎日です。もっとも、行政書士資格と関係ない業務であるので、募集には資格にこだわらず門戸を広げています。

 一介の書士が業界の試験制度を語るには驕慢にみえますが、少々寂しい気がします。趣味で合格証を手にしただけでしょうか? 数千人の中にはすぐれた人材がいるはずです。だからこそ、行政書士を若くして志す、将来性のある人材に期待してしまうのです。