今朝は早くから病院同行でした。そこで「脳血流SPECT検査」を行いました。
 
■ 脳血流SPECT検査 (脳血流シンチグラフィー)
 
1、検査の目的

 脳の各部における血流状態や、脳の働きをみるための検査です。脳の形態を見るX線CTやMRIではとらえられない、早期の脳血流障害の検出、神経症状の責任病巣の検出、脳の機能の評価などに有効です。

 例えば、脳挫傷が経度で、CTやMRIでの病変部が微妙でも、SPECTではっきり描出できる場合があります。病変部の脳血流が弱まると図のように色がはっきりつきます。

 本日の被害者さんは受傷から5年経った事故でしたが、左前頭葉、左側頭葉脳に血流の低下があり、受傷部と一致していました。
 
2、検査の方法

 造影剤を静脈注射後、ガンマカメラで脳を撮影し、脳血流分布を示す脳の輪切り画像(断層像)を作ります。検出はベットの上に仰向けに寝ているだけで、1回の撮影は30分程度で終わります。検査の目的によっては、脳の血管を拡張させる薬を投与する場合があります。
 
3、この検査でわかる疾病

 脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血など、脳血管障害が一般的です。
 
 他に脳神経細胞の機能低下や脱落を原因とする精神疾患、てんかん、認知症(痴呆)があります。高次脳機能障害はこのカテゴリーに入ります。これらの障害では、脳の形態に変化がない部分で脳血流が低下することが多く、脳の病気の診断、病状の評価や治療判定に役立ちます。
 

  
<まとめ>

 平成23年4月の審査基準の新様式でも、未だ主流はCT、MRIです。脳血流の低下は病気でも起きます。CT、MRIに外傷性所見がなく、スペクトに異常が現れたとしても、事故受傷による障害の証拠にはなりません。スペクトはCT、MRIによる画像所見の裏付け、あるいは、障害程度を説明する為の補強と考えています。