昨夜の放送では、患者を助けたい一心とはいえ、灰谷先生のミスが連発、最後にはホームに転落、意識不明で搬送されました。その際、毎度、救急救命科で飛び交うセリフ、「意識レベル3桁です!」と。 

 本日は意識障害についておさらいしたいと思います。高次脳機能障害における自賠責や労災審査の入り口部分で、非常に重要な記録となります。それとは関係なく、救命の現場では必須の初期所見です。GCSの運動1については、ドラマの救急搬送のシーンで毎度のごとく、医師が患者に「手を握って下さい」と言っていますね。

 最後に、劇中、処方箋に書かれた睡眠薬について、薬シリーズから復習します。
  

ジャパン・コーマ・スケール(JCS)
日本で考案、医療機関、救急隊で広く使用されており、
3-3-9度方式とも説明します。
 刺激なしで覚醒 1 清明とはいえない
2 見当識障害あり
3 名前、生年月日言えず
1
2
3
 刺激すると覚醒 1 呼びかけで容易に開眼
2 疼痛刺激で開眼
3 疼痛・呼びかけでやっと開眼
10
20
30
 刺激しても覚醒せず 1 疼痛に対し払いのけ動作
2 疼痛に少し手足を動かす
3 疼痛に反応せず
100
200
300

 

グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)
国際的に使用される分類です。

開眼
1 自発的
2 音刺激により
3 痛み刺激により
4 痛みでも開眼せず
4
3
2
1

言語
1 見当識あり
2 見当識なく錯乱
3 不適当な言葉
4 理解し得ない音声
5 なし
5
4
3
2
1

運動
1 命令に従う
2 払いのける
3 疼痛に対し逃避
4 異常な屈曲
5 疼痛で伸展
6 なし
6
5
4
3
2
1
トータル

 
 GCSの場合、最高15点、最低3点となります。 通常11点以上で中程度の障害を残し、7点以下の被害者は死亡、植物状態の可能性が高いと言われています。
 
 灰谷先生の「3桁」とは、JCSの100~300を指し、意識なしです。睡眠薬の影響で昏睡しているのかもしれませんが。
 
 <自賠責や労災が認定する高次脳機能障害の要件として、以下の基準が存在します>

頭部外傷後の意識障害が少なくとも6時間以上続いていること、もしくは、健忘症あるいは軽度意識障害が少なくとも1週間以上続いていること」

① 意識障害・・・半昏睡~昏睡状態で呼びかけに開眼・応答しない状態で、JCSが3桁GCSが12点以下のもの

② 軽度意識障害・・・JCSが2~1桁GCSが13~14点のものを示しています。

 自賠責調査事務所は、初診時、約6時間後、約24時間後、約1週間後、約1ヵ月後、1ヵ月以上の6段階で意識障害の推移を確認できる「頭部外傷後の意識障害についての所見」の書式を用意して意識障害のレベルを判定しています。
 
★ 処方されていた睡眠薬とは?

 ちなみに、処方されていた眠剤は、ハルシオン0.5ml、マイスリー5ml でした。(薬シリーズから復習)
 椎名 桔平さん演じる橘先生がガッキーに「量が多いぞ」と言っていました。ハルシオン、マイスリー共に超即効性ですので、就寝時の服用が指導されているはずです。通勤前には飲むべきではありません。 灰谷先生、何やってんだよ。(真相は次回か)