昨日の筋電図に続いて神経伝導速度検査を。 筋電図ができないときに実施します。既に筋電図検査を行っている場合は必要性は薄れます。 

■ 神経伝導速度検査とは

 末梢神経を皮膚上で電気刺激し、誘発された電位を記録し、伝導速度、振幅などを測定するものです。これによって末梢神経疾患、脊髄疾患の診断、病態の把握に活用できます。運動神経刺激によって筋肉で誘発される波形を検査する運動神経伝導検査と、感覚神経自体の電位の波形を検査する感覚神経伝導検査とに大別されます。  刺激をすることで神経や筋肉の反応が得られ、得られた反応を用いて伝わる速さを測定したり、波形の分析を行います。検査中ピリッ、ピリッと感じます。正常の場合にはある程度の決まった速さで伝わる興奮の速さが遅くなるか、もしくは反応が出ないなどの所見が認められます。障害がある場合には、障害の部位や障害の程度、障害の範囲を判断することができます。

■ 上肢、下肢の場合

 皮膚の上に電極を貼り,神経に体表から刺激を加えます。腕では通常正中神経か尺骨神経でそれぞれ運動神経線維と感覚神経線維を調べ、足では後脛骨神経で運動神経線維、腓腹神経で感覚神経線維、腓骨神経で運動と感覚神経線維を調べます。

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 昨日は「腓骨神経麻痺」の疑いのある被害者さんと主治医面談でした。足首が完全に動かないわけではないのですが、背屈(足首を上にそらす)が不能なので「不全麻痺」が正確な表現でしょうか。しかしその可動域の制限だけでは後遺障害の認定は得られません。それを裏付ける検査数値と確定診断が必要です。そこで主治医先生にタイトルの検査依頼となるわけです。  中には「なんで治療が終わったのに検査するの?必要ないよ」、「保険請求のため?それは医者の仕事じゃないよ(・・めんどうだなぁ)」という対応の医師もいます。医師の言う事もごもっともと思いますが、後遺障害を残した患者にとっては切実な問題なのです。毎度苦労させられますが、昨日の医師は検査の必要性に御理解をいただき、誠実に対応して頂けました。本当にありがたいです。   では針筋電図について・・・

■ 筋電図とは  筋線維が興奮する際に生じる電気活動を記録することで、末梢神経や筋肉の疾患の有無を調べる検査です。筋電図検査といった場合には,筋肉の活動状態を調べる針筋電図と筋肉・末梢神経の機能や神経筋接合部を検査することができる誘発筋電図の両者を含める場合もあります。

■ 脊髄損傷に対しては  脊髄にある前角細胞と呼ばれる運動神経以下の運動神経と筋肉の異常を検出するために行われます。これらの部位に疾患がある場合には,その障害がある部位や,疾患の重症度などを評価することもあります。異常を示す筋肉が限局している場合には,その分布により末梢神経が原因か脊髄が原因かなどをある程度推定することができます。

■ 顔面神経麻痺に対しては  表面筋電図検査は四肢や顔面などに不随意に起こる運動が見られる場合に時として有用です。この検査の利点は、針電極や電気刺激を用いないので、疼痛を伴わないことです。                                   

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  明日から連休ですね。5/2、5/6の平日を休みにして10日間大型連休!の方もいるようです。私は・・今年に入って連休はとってないような気がします。目標は3連休確保です。

 肩の後遺障害も本日の6回目で一旦終了します。肩と言っても腕の骨、上腕骨の肩関節部分を取り上げます。  

6、上腕骨近位端骨折 ■ 治療

 上腕骨近位端は4つの部位に分かれており、  ①上腕骨頭 ②小結節 ③大結節 ④骨幹部です。  大結節は棘上筋腱部が付着し、転位が残存すると腱板機能障害やインピンジメントの原因になります(肩の後遺障害2~3 参照)。小結節は肩甲下筋腱部が付着しています。  これらが折れてしまうと脱臼を伴うことが多く、骨折の部位、骨片(折れて転位した骨)のようすによって治療法が分かれます。軽度で転位がない場合、ハンギングキャスト(キブス包帯)、機能的装具で固定します。  関節内の骨折は骨膜性仮骨が期待できないので転位がひどいと骨頭壊死といった怖い症状が続きます。したがって横骨折、粉砕骨折、開放骨折では手術による整復が必要です。

  骨幹部(上腕部分)の骨折は橈骨神経麻痺を残す可能性もあります。

※ 骨膜性仮骨・・・骨折部に新しい骨組織が作られて自然修復していきます。これが関節内の骨折では上手く機能しないので深刻なのです。  

■ 後遺障害

 やはり運動制限を残すことが多く、可動域によって12級6号、10級10号の選択となります。  

 これ以上は「腕の後遺障害」にとっておきます。  良い連休を!

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 数年前、自動車保険(バイク)のお客さんが高速道路で車へ追突する事故を起こしました。ケガは鎖骨骨折です。命に別条なく、骨折なのでくっつきさえすれば大丈夫と思っていました。その時は後遺障害についての勉強も浅く、損保の研修でも「骨折は後遺障害にならない=プレート固定等の手術が進歩しており治るもの」と教わっていたような気がします。しかし癒合部分の鎖骨が盛りあがってしまい、それが外見上からも確認できます。結果的に鎖骨の変形癒合で12級6号が認定されました。「後遺障害の審査は厳しいものなので審査の結果に期待しないで下さい」、とこのお客さんには説明していましたが、割とすんなり認定となってホッとした事が思い出されます。    鎖骨は、胸鎖乳突筋により上方に引っ張られているため、骨折すると骨折部内側が上方へズレやすいのです。プレートやワイヤーで固定する手術がとられますが、完全に元通りに修復されず変形を残しやすい骨といえます。  

5、鎖骨骨折・脱臼  

■ 病体

1、鎖骨遠位端骨折  

 ※ 骨折部分の呼び方  ・遠位端 ・・・ 心臓から遠い部分。 鎖骨の場合、肩よりの方。   ・近位端 ・・・ 心臓に近い部分。 鎖骨の場合、首よりの方。 ・骨幹部 ・・・ 骨の中心部分。     ひびが入った程度では保存療法。しかし鳥口鎖骨靭帯損傷を伴う場合、手術が必要となります。そして肩の可動域に制限が残りやすくなります。  さらに怖いのは関節内骨折です。肩鎖骨節(鎖骨と肩関節の結合部)にひびが入るケースで、レントゲンでも見逃されやすい部分です。自然癒合せず関節症変化となると決定的に可動制限が残ります。

※ 肩鎖骨節 ・・・ 鎖骨と肩関節の結合部。鎖骨は肩甲骨の肩峰と鳥口突起に挟まれ、肩鎖靭帯、鳥口鎖骨靭帯で結合されています。  

2、鎖骨骨幹部骨折

 冒頭の例のあるとおり、上方へ転位(ズレる)しやすく、ひどいと骨折部が皮を突き破り、飛び出す(開放骨折)こともあります。その為手術による整復が後の癒合具合を左右します。また神経血管損傷も伴うケースもあり、上腕神経叢麻痺のチェックも必要です。  

3、肩鎖骨関節脱臼

 肩を下にした転倒により発生します。肩鎖靭帯のみの損傷で亜脱臼、鳥口鎖骨靭帯も損傷すると完全脱臼です。完全脱臼の整復位保持には手術が必要ですが、脱臼が残存しても機能障害はほとんどないとされています。  

 この肩シリーズ、文章の説明だけでは限界を感じます。肩は人体で最も可動域が広く、複雑な関節と言えます。近日模型写真やイラストを挿入してよりわかりやすい内容に改編したいと思います。  

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 少し中断した肩シリーズを続けます。

 最近読んだ小説 「忍びの国」は面白かったです。著者は「のぼうの城」(近日映画公開します)ですっかり有名となりました和田 竜さんです。舞台は戦国時代、織田勢の伊賀攻めを史実織り交ぜ綴っています。伊賀・・御存知の通り忍者の里で、作中で忍者が「縄抜けの術」を使いました。これは捕縛され縄で縛られていても、肩の関節を外して縄から抜けてしまう技です。現在でも体操選手で可能な人がいるそうです。ケガの頻発で脱臼ぐせとなり、自らの肩をぶつけて肩の関節を外すことができると聞きました。これは医学上、随意性肩関節脱臼と呼び、ほとんどが後方脱臼です。

 交通事故では自転車、バイクの運転者に多く、衝突の衝撃や転倒の際に手をついた時に肩に負担がかかり起きることがあります。これは「縄抜けの術」と違い、前方脱臼が圧倒的多数です。  

4、外傷性肩関節前方脱臼 ■ 病態

1、バンカート病変 (関節窩前下縁の関節唇剥離)

 関節唇とは肩甲骨(受け皿側)の関節面周囲にある、軟骨で出来た土手のようなものです。これが脱臼時にはがれるので、脱臼する道が出来てしまい、脱臼を繰り返すと言われています。  治療は保存療法とられますが、手術(内視鏡の一種で見ながらこの病変部を修復する方法=鏡視下バンカート修復術)も広まりつつあります。

2、ヒル・サックス病変 (上腕骨頭後外側の陥没骨折)

 これは肩甲骨側ではなく、上腕骨側に発生する病変です。脱臼時に関節窩前下縁部に上腕骨の後方が押し付けられることによって上腕骨のその部分に陥没骨折を起こすことがあります。その陥没骨折を完全に修復できなかった場合、脱臼ぐせとなってしまいます。  

■ 後遺障害

 習慣性脱臼では12級6号の後遺障害等級が認められます。重篤で腋下神経麻痺が合併すると、さらに運動制限が加わります。ほとんど肩が動かなくなった場合10級10号となります。高齢者では腱板断裂や大結節骨折も伴うケースもあります。その場合も運動障害の残存から等級を計ります。脱臼癖は程度問題でもあり、不安定性程度の診断では12級13号止まりです。  

■ 立証

 やはり亜脱臼位まで圧をかけたストレスXPが有効でしょう。動揺関節の場合も圧をかけた結果、亜脱臼位まで不安定性がないと12級6号以上の障害とはなりません。

   多くの体操選手や名横綱 千代の富士を悩ませた症状です。肩の周辺の筋肉を鍛えたり、技を工夫したり、脱臼と付き合いながら競技を続けたようです。

 

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 後遺障害の立証で難しい事の一つ、それは既存障害との区別です。既存障害とは元々の持病のことです。そしてもう一つ、事故との因果関係を否定される、受傷数か月後に発生した症状です。これは事故の損傷が引金となったものなのか、それとも関係なく起こったのか?・・・調査事務所は当然後者を選択し、障害を否定します。  相談を受ける側も事故による障害であるのかどうか、それを立証できるか否か、知識と経験を積む必要があります。   

3、肩腱板損傷と区別しなければならない疾患 ■ 肩関節周囲炎 (いわゆる五十肩)

 早い人で40代から発生する、慢性的な疼痛と拘縮です。拳上(腕の挙げ下げ)だけではなく内旋・外旋すべてに痛みが起きます。肩峰下滑液包にプロカインを注入するプロカインテストは診断治療に有効です。あとは保存療法になりますが、半年~1年で緩和します。  これを被害者が「交通事故の後遺障害だ!」と主張しても相手にされません。また逆に腱板損傷なのに医師が検査もせず、「五十肩ですね。そのうち治ります」となったら最悪です。

■ 石灰性腱炎 (石灰性沈着性腱板炎)

 腱板内にカルシウム結晶のかたまりが付着して、間節が動く際それが触り激痛が起きます。 レントゲンで視認できます。ほとんどが保存療法で治癒します。

■ 肩峰下インピンジメント症候群

 反復する拳上動作で棘上筋や肩峰下滑液包が鳥口肩峰アーチに衝突して損傷や炎症を生じます。腱板断裂に伴い発症するケースもありますが、これは突発的な外傷によるものではなく、連続した動作によっておきる関節傷害です。したがって野球のピッチャーには投球障害肩としてお馴染みです。

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 昨日は誕生日でした。お祝?1日のアクセスが200を突破しました。たくさんの方に読んで頂けると励みになります。サボらず、張り切り過ぎず、コツコツやっていきたいと思います。  

2、肩腱板損傷の診断   多くは棘上筋腱が大結節付着部から断裂するケースです

■ 圧痛部位

 大結節上方(肩と腕をつなぐ部分)に痛みが生じます。特に腕を外転60度から上に挙げた時に顕著で、肩の高さ以上に上げるとその痛みが軽減します。腕の無力感も伴うので腕の上げ下げ自体が自力で困難となります。これらがドロップアームサイン(昨日業務日誌参照)によって判定できます。  

■ 画像

① MRI (T2) ・・・腱板の断裂部分が高輝度で描出されます。

② MRI (造影剤使用) ・・・完全断裂に至らない損傷の場合、微妙な病変部をよりはっきりさせるため造影剤が有効です。腱板の亀裂部分から造影剤が漏出するので損傷が明らかになります。 しかし造影剤使用はかなり限定的です。最近のMRI高性能マシン3.0テスラでは断裂部がしっかり写るので造影剤はいりません。MRI検査も技師の腕によって左右します。

③ エコー ・・・超音波をあて反射音波の変化よって画像を描出する技術です、基本的に超音波は液体・固体がよく伝わり、気体は伝わりにくい。よって断裂・亀裂部分が腱の表面に描出されます。

④ 間節鏡 ・・・腱板不全断裂の確定診断に有用です。主に鏡視下手術(直径2~10mmの細長いビデオカメラを手術部位に挿入し、テレビモニター上に映し出された映像を見ながら行う手術)の際に用います。

■ 筋萎縮

 視認できますので、等級申請の際に写真添付をします。腱板断裂では断裂のあった棘上筋もしくは棘下筋の委縮となります。しかし他の筋に及ぶ場合、僧帽筋(副神経麻痺)、三角筋(腋窩神経麻痺)の時は腱板損傷以外の病態も疑う必要があります。  

<後遺障害等級>

部位

主要運動

参考運動

肩関節

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 最近肩の不調を訴える被害者が続きました。交通事故外傷でも比較的見逃しやすいのが筋腱の損傷です。断裂まですればそれなりの検査と治療が行われますが、僅かな亀裂や損傷は単なる捻挫の類と同一視されがちです。後遺障害の診断の時になって「肩が動かない!」と訴えても診断名や治療実績がなければ認定上疑問視されてしまいます。人体でもっとも自由に動く関節部だからでしょうか、肩の関節部は骨も筋も複雑です。今日から数日特集します。  

1、肩の機能障害   骨に異常はありませんでしたが・・・   ■ 肩関節可動域からチェック

① 腕の拳上(呼ばれてハイッ!と手を上げる)  

  可動域検査で言うと 「屈曲」 (前方拳上)です。    通常「気を付けの」位置から肩間節を軸に腕を耳の横まで拳げる。背泳ぎの腕の動きです。    = 180度 が参考可動域です。

  ※ 体の柔らかさには個人差がありますので腕の左右の差を見て異常と判断します。

 上げきった状態での安定には肩周りの鳥口上腕靭帯後方、間節包後部、小円筋、大円筋、棘下筋(肩回りほぼすべて)が正常である必要があります。これらの筋や他に広背筋、大胸筋胸肋部の緊張によって動きが制限されます。  

 ② 逆に腕を後ろに曲げます  

  可動域検査で言うと 「伸展」 (後方拳上)です。   「気を付け」の位置から肩間節を軸に腕を後方へ伸ばす = 50度 が参考可動域です。

 鳥口上腕靭帯後方、間節包前部、他に大胸筋鎖骨部、前鋸筋の緊張が影響します。  

 ③ 真横から腕を挙上

  可動域検査で言うと 「外転」 (側方拳上)です。 通常「気を付けの」位置から羽根を広げるように肩間節を軸に腕を耳の横まで拳げる。    = 180度 が参考可動域です。   (屈曲と混同しているケースを散見します。説明するときジュディ・オングのように、と言っています)

 上げきった状態での安定には肩周りの鳥口上腕靭帯後方、間節包後部、小円筋、大円筋、棘上・下筋(肩回りほぼすべて)が正常である必要があります。他に間節上腕靭帯中部・下部、間節包下部、広背筋、大胸筋の緊張も影響します。

 ◎ 腱板損傷も重度となるとこの「外転」ではっきりわかります。  患者の腕に手を添えて90度(肩の高さ)まで持ち上げてあげます。そして手を離すと自力で維持できずストンと腕が落ちます。これをドロップアームサインと呼びます。棘上筋に損傷があるケースが多く、痛みは角度によって発生します。  

 ④ 腕を内側に曲げます 

   可動域検査で言うと 「内転」 です。   「気を付け」の位置から肩間節を軸に腕を体側へ曲げます = つまり体にぶつかって曲がらないので 0度が正常です。

  三角筋、棘上筋、僧帽筋上部、 鳥口上腕靭帯、間節上腕靭帯上部、間節包上部、肩峰下滑液包の緊張により異常をきたします。つまり普通に「気をつけ」の状態を維持できない、そのままでは肩が痛む、といった状態です。  最近の間違い例では腕を体の前で内側に曲げて計測したものを見ました。これでは「スーダラ節♪」の振りですね。  

 ⑤ 肘を曲げて腕を外側へ開きます / 内側に閉じます

   可動域検査で言うと 「外旋」 / 「内旋」 です。    「気を付け」の位置から片腕だけ「短く前へ習へ」をします。そこから外側・内側へ開閉します     外旋 60度  内旋  80度  が参考可動域です。

  前述のすべての筋腱が関わっており、肩腱版に損傷があれば必ず制限はあるはずです。しかしこの可動域検査の数値は等級審査上あまり重視されていないようです。この動きに少しくらい制限があったとしても日常それほど困らないから?でしょうか。少なくとも「パッパパヤッパ♪」を歌う金井克子さんは困るはずです。(けっこう古い歌も知っています)                                           続きを読む »

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