交通事故で加害者・被害者の双方が、文章に署名・捺印して示談書を交わしたら、これは正式に解決を証明するものとなり、法的にも絶対的になります。

 後で、「やっぱり、こうだ」と蒸し返しても、原則、ダメです。したがって、示談書を交わす場合は慎重に行わなければなりません。しかし、原則には例外があるもので、場合によっては成立した示談を無効にできる場合があります。法的には、示談内容を誤解した=錯誤無効を立証しなければなりません。あるいは、公序良俗に反する契約(示談)であったと無効を立証することでしょうか。例えば、入院中の朦朧としている時(正常な判断ができない)に示談した。監禁でもされて脅かされて示談した。・・・これら、極端なシチュエーション下である必要があり、立証はそれなりにハードルが高いものです。法律に関する学術的な見解は専門家に任せるとして、過去の経験から参考例を紹介します。   ○ 免許取りたての女子学生がタクシー運転者と交わした示談書を撤回させた件

 これは、代理店時代のことです。お客様(女子大生)が信号のない交差点で自動車同士の出会頭衝突となりました。直後・その場で、相手(タクシー)運転手から、「私に全面的に事故の責任があります」と示談書に署名させられた件です。

 本事故は、相手タクシーに一時停止があり、「20:80」でタクシーの責任が大きいものです。それは当然にタクシー運転手も知っていると思います。それが、その会社の方針なのか運ちゃんの悪知恵なのか、示談書を車内に常備しており、免許取りたて+初めての事故で気が動転している19歳の女子学生に、まんまと「100%過失を認める」示談書を書かせたものです。

 後に、事故連絡を受けた当方の保険会社担当者が交渉に当たりましたが、相手タクシーは示談書を楯にとり「100:0」を譲りません。膠着状態を見かねて、代理店の私が動くことになりました。

 ご本人を連れてタクシー会社を訪問し、まず、「私はその時、気が動転して・・怖くなって・・署名したものです。示談は撤回します。」と、本人に宣言させました。相手の担当者はそれでも、「示談書は有効に成立したものだ。法的手続きをとる」との返答です。

 同席の私は、「学生・未成年で、免許証をとって3ヶ月の女の子でしょ? 対しておたくの運ちゃんは2種免許取得者でこの道10年のベテランですよね? 一方的に脅かすような口調もありましたよね? 一時停止側の過失が大きいことは当然に知っていますよね? 法的手続きは望むところです。 こちらとしは、本件の経緯、つまり、会社ぐるみでこのような不当な示談行為をしていることを国土交通省(タクシーの管轄省庁)に陳情します。 また、ご本人からの撤回の宣言と今のやり取りは録音していますので、弁護士より裁判所に提出し、本件示談が錯誤無効ないしは公序良俗に反するとして撤回を主張します。 省庁や裁判所がどう判断しますかね」と畳みかけました。

 翌日、タクシー会社から「保険会社同士の話し合いに委ねます」と回答、事実上、示談書は撤回されました。    本件の場合、このような示談ではさすがにばつが悪く、お役所の目もあり・・タクシー会社は渋々引っ込めました。しかし、これが成人だった場合は、民法の原則通り「お互いで合意したこと」として、撤回は難しかったかもしれません。 悪質なドライバーにとって、弱腰の相手はいい鴨となります。  

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 先週土曜日は、法律家の為の実務講座・第10回でした。毎年8月が恒例ですが、今年は6月、東京、大阪の2都市です。    今回のテーマは、高次脳機能障害、脊髄損傷、遷延性意識障害の3大重傷・後遺障害について、弁護士の目指すべき裁判解決です。それぞれ、象徴的な判例を紐解き、介護費用の獲得例をクライマックスとした好取組みを分析しました。本テーマはまさに弁護士マター、私の担当するところではなく、専ら一聴講生となりました。大変、勉強になったことは言うまでもありません。全国各地の弁護士先生からも、現在取り組み中の案件を交え、事例研究、情報交換の場になったようです。

 交通事故裁判は他の民事事件に同じくか、それ以上に和解による解決です。画期的な判例をだしている弁護士は、全国でほんの数人で、同じ先生が重ねて判例を獲得している傾向です。やはり、専門性の高い分野なのでしょう。とりわけ、被害者本人と家族、その人生がかかった重度後遺障害の場合、「弁護士なら誰でもOKではない」事実を表しています。

 一つ残ったことは、判例を獲得している弁護士先生を直接に講師としてお迎えできないか?です。これは来年度以降の宿題としたいと思います。だって、判例をとった先生に直接教えを乞いたいじゃないですか。 「被害者救済の芽を次世代に」・・・交通事故賠償を変えた、優績先生の英断を待ちたいと思います。  

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 前日の解説から、給与額・勤務日、その対比がはっきりしていれば、(b)方式=「休日を差し引いた勤務日数で月給を割って、日額を算定する」ことが正しい算定となります。それでは、アルバイト・パート・日雇い労働者の場合を続けます。

  (2)日雇い労働者やアルバイトについても、労働契約上、実際に労働した時間に応じた金額の給与が支給されることになっているはずですので、適切な証拠があれば、事故前に実際に労働した単位時間(実労働日1日)当たりの基礎収入を算定することが可能です。

 そして、労働契約上、各週・月のどの日に勤務するかが概ね決まっている者(アルバイトにはそのような者が相当数いると思われます。)については、事故に遭わなかった場合、どの日に労働していたかを認定することがきるため、(b)の計算方法で休業損害を算定することができます。このような場合に、被害者側が(b)の計算方法で算定した休業損害を請求しているにもかかわらず、(c)の計算方法を採用することは、休業損害を過少に認定することになるので、適切とはいえません。    他方、日雇労働者は、通常、短期の契約を予定していて、事故の発生の時点で、将来どの日に労働するかが決まってないことが多いと思われます。

 また、アルバイトにも、労働契約上、各週・月のどの日のどの時間に勤務するかが決まっていない者もいます。このような給与所得者についいては、事故に遭わなかった場合、どの日に労働をしていたかを認定することが困難であり、(b)の計算方法で休業損害を算定することはできません。

 しかし、通院などによって、事故に遭わなかった場合と比較して、その分の労働の機会を失い、現実の減収が生じたとみることができますので、休日を含んだ一定期間の給与の平均日額を基礎収入とし、これに通院日等を乗じる方法((c)の計算方法)で休業損害を算定することになると考えられます 。  

 アルバイトについては、時給が定められており、勤務日(シフト)もある程度固定していれば、以前から保険会社も(b)方式で算定してくれました。日雇いも同じく、計算が易しいものです。しかし、今回の解説を読むと、証拠が必要であると読み取れます。保険会社に(b)方式で請求をすれば、勤務予定表や過去の勤務表なども必要になるかもしれません。

 保険会社は常に”払い過ぎ”に臆病な生き物です。細かい立証を待たず、(c)方式での支払が無難なのでしょう。そもそも、休業損害の支払いは、被害者の差し迫った損害に対し、急いで対応するものです。したがって、案件の性質に合わせて柔軟に算定方式を使い分けることはもちろん、まずは(c)方式での支払いを受けて、最終的な賠償交渉で、立証書類を基に(b)方式に算定し直し、不足分の追加請求も有かと思います。

 総括しますと、判で押したように「事故前の3ヶ月を90日で割って、日額を算定する」方式は、もはや、スタンダードではない。ただし、「休日を差し引いた実勤務日数から、日額を算定する」方式は、それを裏付ける書類が必要であること。また、実勤務日数と対応する給与が明らかではない場合や、急場しのぎでは、「事故前の3ヶ月を90日で割って、日額を算定する」方式もあり得る、と言う所でしょうか。    

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 今年の『損害賠償算定基準2018・下巻』(いわゆる赤本)引用、 武富 一晃 裁判官 の解説を続けます。   (2)以下、どのような場合にどの計算方法を用いるべきか、給与所得者が継続して完全休業する場合と給与所得者が就労しながら一定の頻度で通院を行っている場合に分けて検討していきます。   給与所得者が継続して完全休業する場合

 休業損害は、事故による受傷を原因とする休業のために支給を受けられなかった減収分(差額)について認められるところ、労働契約上、勤務時間等が定まっていて、実際に労働した時間に応じた金額の給与が支給されている給与所得者については、休業損害を正確に算定するため、計算方法 ②で収入日額を算定し、これに実際の休業日数を乗じる方法((b)の計算方法)によるべきという考え方もあり得ます。

 しかし、完全休業の期間がある程度長期の場合には、(a)、(b)の計算方法のいずれを採用しても、結論に大きな差は出ません。また、休業損害は、事故後も事故前と同様に勤務を続けたという仮定的な状況において得られたはずの給与と現実に得た給与の差額を算定するものであること、給与は、基本給のほか、時間外・休日・深夜労働の割増賃金や歩合給を含む諸手当の金額、時間外労働や休日労働を含む実際の労働時間によって決まるものであって、同じ労働契約のもとでも、金額が期間ごとに変動することから、その性質上、厳密な意味で正確な休業損害を算定することはできません。

 したがって、ある程度長い期間継続して完全休業する場合には、(a)(b)の計算方法のいずれかを採用してもよいと考えられます。実務上、(a)の計算方法が採用されることが少なくないのは、このような事情によるものと思われます。 続きを読む »

 (今まで保険会社が判で押したように提示してきた)休業損害の計算方法について、以前から議論がありました。ついにと言うべきか、今年の『損害賠償算定基準2018・下巻』(いわゆる赤本)において、具体的な見解が示されました。今後の交通事故賠償のスタンダードになりうる算定基準と思います。連携弁護士K先生から、早速のご指摘がありましたので、同本より抜粋して勉強したいと思います。    まず、問題点を簡単に説明します。

○ 保険会社が用いる、休業損害の計算方法とは・・

 事故がおきた日の前の月、前々月、その前月、の3ヶ月間の給与を合算し、それを90日で割った金額を「休業日額」とします。これに、実際に事故で休んだ日を乗じます。

(例)会社員の山本さんは追突事故でむち打ちになり、大事をとって、翌日から会社を3日休みました。その後も、週2回の通院の日は会社を休みました。2ケ月後に完治して示談となりました。会社を休んだ日は合計で15日でした。  会社で書いてもらった休業損害証明書を保険会社に提出したところ、計算・提示してきた休業損害の計算式は以下の通りです。尚、山本さんの給与額ですが、ここしばらく毎月25万円でした。   25万円×3ヶ月=75万円 ÷ 90日 = 8333円(日額)× 15日(休んだ日)= 124995円     山本さんは、そんなものかなぁと印鑑を押しましたが。どうも釈然としません。なぜなら、日額の計算は、完全にお休みとなっている土日も含んでいます。本来、25万の月給は、土日を除いた週20日前後の業務に対しての賃金です。事故前の3ヶ月の出勤日は祭日もありますので、それをひくと(20日、22日、21日)でした。したがって、   25万円×3ヶ月=75万円 ÷ (20日+22日+21日=63日) =11904円(日額)× 15日(休んだ日)= 178560円     保険会社の計算に比べ、約5万円も高いのです。これが正当な計算ではないかと・・・    これら計算方法による金額の違いが、長らく議論となっていました。     ここで、最新の裁判官の解説を見てみましょう。

 

給与所得者の休業損害を算定する上での問題点

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 行政機関の定めるルールはいつもなんの前触れもなく変更されます。人知れず、こっそりとは公表していますが、私達のような業者がそれをキャッチするのは、大抵、相談者からの情報です。

 労災も行政機関です。「行政機関への審査請求」と言えば、行政不服審査法が根拠条文となりますが、これはズバリ行政書士試験の課目です。(これも古い情報ですが、行政書士でも特定行政書士には行政不服審査法に基づく不服申立等における代理権が付与されました。)

 本題に戻ります。労災の認定理由の開示と審査請求(労災請求の結果への異議申立て)について、説明した文章を引用しますと、

 これまでは、労災保険の認定等級に不満がなくても、認定通知後60日以内に審査請求を行うとしていました。 なぜなら、労災保険は、等級認定の詳細情報を開示することなく、等級の通知だけを行っているからです。 ところが、近年、労災保険は認定理由の開示に積極的になっています。 したがって、労働基準監督署に出向いて、認定理由の開示請求を行ってください。  もちろん、労働基準監督署で不十分な対応がなされたときは、60日以内に審査請求に踏み切ることになります。 <交通事故110番HPより>    この60日ルールが、最近、労災請求を経た相談者さまからの情報で、以下に改定されておりました。    決定理由の詳細についてお聞きになりたい点があれば、表記の労働基準監督署まで照会して下さい。

(1)表記の保険給付に関する決定(以下「本件処分」といいます。)に不服がある場合には、本件処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に表記の労働基準監督署を管轄する都道府県労働局の労働者災害補償保険審査官(以下「審査官」といいます。)に対して審査請求をすることができます。

(2)審査請求に対する審査官の決定に不服がある場合には、決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2か月以内に労働保険審査会(以下「審査会」といいます。)に対して再審査請求をすることができます。また、審査請求をした日からか3か月を経過しても決定がないときは、決定を経ないで審査会に対して再審査請求をすることができます。

(3)本件処分に対する取消訴訟は、当該処分についての審査請求に対する審査官の決定を経た後に、国を被告として(訴訟において国を代表する者は法務大臣になります。)、決定があったことを知った日の翌日から起算して6か月以内に提起することができます。ただし、決定があったことを知った日から1年を経過した場合は、提起することができません。

 また、審査会に対して再審査請求をした場合には、裁決を経る前又は裁決があったことを知った日の翌日から起算して6か月以内に本件処分に関する取消訴訟を提起することができます。ただし、裁決があった日から1年を経過した場合は、提起することができません。

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 前回の弁護士の選び方について、続けたいと思います。

 交通事故に限ったことかどうかはわかりませんが、相談会でも既契約の弁護士事務所に不満を持つ相談者が頻繁に訪れます。

 弁護士は法律を極めた専門職です。その知識と論理的思考・構成力には敬服しています。しかし、現場では法律の専門家と言えど、すべてがプロの仕事をしているわけでありません。例えば、実務のあらゆる局面に対して、学校で習った教科書の知識だけで対処できるでしょうか?これはどの職業でも同じですね。やはり、現場の実戦経験を積んだ者がその道のプロと呼べるのではないでしょうか。

 つまり、すべての弁護士が「交通事故」の経験が豊富なのか?、が問題となるわけです。

 法律職と言っても、実にたくさんの活躍場所があります。司法試験を受かった先生は裁判官や検事、弁護士に分かれます。さらに、弁護士は独立開業する先生、一般企業に勤務する先生もおり、後者は近年増加傾向です。そして、独立事務所で活躍している先生であっても、事件を担当せずに事務所の経営に専念している先生、給与制で多忙を極める勤務弁護士、または名札を置かせてもらっているだけの軒弁先生もおります。このように活躍の立場も様々です。

 さらに、法律事件はたくさんのジャンルがあり、刑事事件と民事事件、民事も細かく分ければ、企業法務、過払い金返還、知的財産、相続、離婚・・と実に様々な分野があり、交通事故はその一つに過ぎません。当然ですが、すべてに精通したスーパー弁護士はいないと思います。

 医師に例えれば、わかり易いと思います。内科、外科、脳神経外科、心臓外科、眼科や耳鼻科、歯科と人体各部、多くのジャンルに分かれています。総合病院の初診では、専門科の診断・治療へと患者を振り分けることが第一です。

 対して弁護士は専門科にわかれているわけではないので、余程特殊な分野でなければ、すべて受任可能です。資格上、特に民事分野では代理人に事件ごとの制限がほとんどありません。もちろん、依頼を受けた先生はその分野の経験が希薄でも、自らの知見と才覚で仕事をしてくれるでしょう。しかし、これを医師に例えると、「歯医者が胃の手術をしている」ようなものなのです。少し極端な例えですが。

 また、医師は自分の科ではない患者が来れば、別の科に紹介します。弁護士も不案内な依頼がくればそうしているはずです。しかし、私の経験では交通事故(など簡単と思うのか)はわりと引き受けてしまいます。それが重傷であればあるほど、報酬に結つくのか手放しません。当然、交通事故に特化して取り組んでいる先生でなければ、おかしな方向へ向かってしまい、結果も芳しくありません。本来、重傷度が高いほど、弁護士の力量に差がでます。最悪、技術・経験の乏しい先生に運命を任せた結果、依頼者の二次被害にまで及びます。    弁護士先生は万能の神ではりません。あらゆる職業に同じく、能力や経験に歴然とした差があるのです。相談の際、「その先生の専門は? 得意分野は? 受任経験は? 解決の方針は?」等、しっかり聞きとり、実力を見極める必要があると思います。結局、ご自身を守るのはご自身の選択なのです。

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 最近は事務所内で月1~2回勉強会を実施しています。実践的な知識は即、業務の役に立ちますが、知識の根底となる理論を固めておくことも大事です。

 それでは、昨日の「自賠法と民法」のテーマから、よく質問されることについて、質疑応答形式で回答しましょう。 c_n_10

(質問)  交差点で出会い頭の衝突事故にあい、頚椎捻挫になり通院をしています。また、車の修理費も40万円ほどかかるそうです。相手保険会社の担当者は20:80と、私にも20%過失があると言っています。しかし、ケガの治療費は何故か全額払ってくれるそうです。

 どうして、相手の保険会社はケガの支払いは過失減額しないで払ってくれるのに、車の修理費は20%減額するのですか? 人身と物損で過失割合が違うなんて、納得できません(プンプン#)   (回答)  それは自賠責保険が優先的に適用されているからです。ケガの場合、任意保険会社は対人賠償保険で支払いを代行しますが、120万円までは自賠責保険から回収できます。但し、物損に関する支払いは対物賠償保険で支払います。物損には自賠責からの支払いはありません。

 自賠責は被害者の過失が7割以上もあるような事故でもなければ、過失減額なしに100%支払いを受けられます。だからこそ、自賠責の限度120万円までは、任意保険会社は過失減額なしに支払ってくれるのです。

 保険会社の対人賠償保険約款は民法を基にしつつ、自賠法を優先適用している側面があります。保険会社担当者は腹の傷まない自賠責の範囲で支払いを済ますこと、これを常に目標にしています。  20120120続きを読む »

 被害者さんからの相談で、「相手保険会社が弁護士を立てて、調停の提案がきました!」が少なからずあります。治療が長期にわたる方に多いようです。保険会社が治療費の打切りや示談解決へ進めるにあたり、業を煮やしている様子が伝わってきます。

 被害者側は調停云々の前に、まずやるべき事をしっかり抑える必要があります。後遺症が残った場合、等級認定を済ませているでしょうか?(認定を受けている場合)認定等級は正当でしょうか? 申請・認定なきまま、後遺症はないものとして調停で解決させられてしまいます。相手保険会社(弁護士)の狙いは早期解決です。後遺障害認定手続きなど待たず、さっさと進めてしまいます。

 調停の目的とは「相互の歩み寄り」による解決です。つまり、調停員が「(被害者と保険会社の主張する金額の)双方の間位で手を打たないか?」などと斡旋案をだしてくる”ぬるい場”です。しかも、どちらかがその斡旋案を蹴ったらおしまいです。調停の斡旋案に拘束力(斡旋案に従う、または尊重する)はないのです。   c_y_38 ← イラストのような・・  交通事故の場合、多くは保険会社vs被害者となりますが、この交渉の斡旋の場として「交通事故紛争処理センター」(以後、紛セン)があります。調停との一番の違いは拘束力です。「保険会社は斡旋案を尊重する」ことがうたわれています。絶対的な拘束ではないにしろ、保険会社が斡旋案を蹴って、上部審査の審査会や裁判にすることは稀です。断言します、紛センは調停に比べてはるかに被害者に有利です。

 逆に保険会社及び相手弁護士は調停が有利、だから調停解決を持ち出してくるのです。(もっとも紛センは保険会社側から申立てするものではありません。あくまで被害者側のための機関です。)    ここで被害者の採るべき行動を整理します。

1、調停など蹴る。

 双方が参加しなければそもそも調停となりません。ただ、無視・無断欠席は駄目ですよ。必ず、事前に不参加を表明して下さい。

2、後遺障害の認定は?

 後遺障害が賠償金の最大ウェートを占めます。まず、ここを固めなければいけません。秋葉の出番は正にここです。損害がすべて明らかになっていないのに交渉も何もありません。

3、紛センに申立て。併せて弁護士を立てる。

 調停を蹴ったからにはこちらも対案を用意すべきです。それは裁判か紛センです。もちろん、交渉の継続でもよいですが、ここまでもめたら交渉は現実的ではないでしょう。そして、できれば被害者側も代理人(弁護士)を立てて進めるほうが良いです。相手弁護士と交渉するのはそれなりにハードです。    この1~3をしっかり抑えることが基本行動です。交通事故の解決はクールに進めるものです。そして加害者側保険会社に主導権を握られっぱなしから脱却し、被害者側で後遺障害を立証する、代理人を立てる、紛争センターや裁判に持ち込む行動と気概が必要です。

   以下、調停について抑えておきましょう。     民事調停手続 (裁判所さまのHPより抜粋)

1.概要

調停は,裁判のように勝ち負けを決めるのではなく,話合いによりお互いが合意することで紛争の解決を図る手続です。調停手続では,一般市民から選ばれた調停委員が,裁判官とともに,紛争の解決に当たっています。

2.民事調停の特徴

•手続が簡単  申立てをするのに特別の法律知識は必要ありません。申立用紙と,その記入方法を説明したものが簡易裁判所の窓口に備え付けてありますので,それを利用して申立てをすることができます。終了までの手続も簡易なので,自分1人ですることができます。

•円満な解決ができる ...

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 今月、行政書士の交通事故業務について、その線引きを示す一つの判断が届きました。

 大阪高裁平成26年6月12日判決(判例時報2252号の61頁)

 この裁判は行政書士が依頼者に対して報酬を請求したところ、「その業務が弁護士法72条に違反するから無効」と依頼者が支払いを拒否、対して行政書士が報酬の請求訴訟を起こしたものです。結果は、行政書士の訴えが退けられたのですが、その過程で業務内容の適否に具体的な判断が成されました。

 有償で賠償交渉に関わる事が弁護士法72条違反であることは明白として、この高裁判決では興味深い論点が示されました。行政書士の交通事故業務でグレーゾーンであった業務が弁護士法72条に違反するか否かについて・・・   ① 「自賠責保険の請求代理行為」は法律事務とされた

② 交通事故に関する事務は「将来、紛争が予想されれば法律事務となる」

③ 報酬設定で経済的利益の○%は72条違反の根拠

   まず、周囲の弁護士によると、やや驚きだったのは「自賠責保険の請求までは行政書士も可能」と解釈していたところ、①で否定された点です。これは弁護士間でも意見が分かれていました。今後、逆の判決も出る可能性があり、予断を許しません。自賠責業務に関する事務の線引きについて議論が続きそうですが、少なくとも委任請求を行っている行政書士は”後ろ指差され組”に入ったことになります。

 ②について、交通事故はほとんどのケースで紛争が予想されます。紛争が予想される事務をすべて72条違反とすれば線の引きようのない解釈となります。例えば離婚業務で有責配偶者の証拠(ラブホテルの前で写真を撮る等)を収集、レポートを作成した探偵業務は紛争が予想される法律事務に当たってしまい、探偵さんは非弁者となってしまいます。したがってこれは絶対的な解釈までは及ばず、調査業務か法律事務か、個別に判断が求められると思います。

 ③は「報酬自由の原則<72条違反を構成する根拠?」とかなり乱暴な解釈と思います。これはこの行政書士のあやしい?業務内容から、その違法性の根拠を示す報酬計算とされました。やはり個別判断に留まるように思います。    訴えを起こしたのは、書面による賠償交渉を業務としたバリバリの赤本書士です。

(赤(青)本書士とは・・・賠償交渉を被害者の裏に回って書面作成によりフォロー、「賠償交渉はしていません、書面作成しただけですよ」と、”とんち”で72条違反を回避したつもりの行政書士)

 この赤本書士に対して一罰百戒、その主張すべてにNOが突きつけられました。結局、何を言っても説得力がなかったのでしょう。本裁判は依頼者と報酬額を巡るトラブルが発端です。少なくとも依頼者の納得が得られない業務と報酬内容なのでしょう。関西の行政書士・弁護士から聞くと、この先生は平素から疑義・問題のある業務と報酬請求をしており、懲戒の申立ても受けているようです。

 行政書士の性質によっては、つまり、72条に遵法、真面目な先生であったら・・もっと慎重な議論が展開されたと思います。(もっとも裁判騒ぎになどならないですが)  これが一民事事件に対する個別判断であるとしても、判例が一つの規範であることは変わりません。業界全体はもちろん、交通事故に係る行政書士は厳粛に受け止めるべきでしょう。今後、弁護士・行政書士の両会が業際問題について申し合わせを行い、グレーゾーンの線引きが進むことを望みます。

 c_f_n_3=   8603563続きを読む »

 福井地裁判決の判旨が待たれるところですが、最後に私の注目点について触れます。  

3、司法はこの民事事件の判決の根拠を自賠法にのみ置いたのか?

  20saibannkann 自賠法第3条により有責!

 新聞によると「無過失が証明されなければ賠償責任があると定める自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づき「賠償する義務を負う」と認定。対向車側に4000万円余りの損害賠償を命じた。」とのことです。何が問題かといいますと、判断を自賠法に置いたことです。通常、不法行為を問う民事裁判では民法を根拠に考えます。もちろん、他の法律が検討されないわけではありませんが、まずは対向車の運転手に責任があるかないかについて判断して欲しいところです。

 例えば、「時速○kmでセンターラインを超えて来た自動車を回避することは不可能である。したがって責任はなし。原告の訴えを棄却する。」もしくは、「○m前からセンターラインオーバーの車両を認めることができたはずであるから回避の可能性があった。したがって1割の責任がある(10:90)。被告は賠償金○円の10%を支払え。」とします。つまり、物の筋から言えば、まず、責任関係を明らかにすべきでしょう。

 しかし、これまで解説したように自賠責保険が適用されれば、被害者に大変有利な救済的支払いが成されます。今回の例でも4000万円の支払い判決です。少なくとも自賠責から死亡限度額3000万円が支払われるでしょう。では残り1000万円を対向車の任意保険会社が支払うのか?と疑問が残ります。もし、対向車に過失があったしても仮に10%とすれば、自賠内で支払いが済むはずです。よって、任意保険は支払いを免れます。過失割合はこの裁判で判断されたのでしょうか?この謎は追って確認したいと思います。

 それはさておき、裁判官は民法の不法行為の判断を無視して自賠法のみを根拠に判断したのでしょうか?それとも2つの判断をそれぞれした上で、結論で自賠法を用いたのでしょうか?  

 これは、実は今後の交通事故裁判で重要な分岐点になると思います。

・被害者に有利な自賠法を民法の特別法(優先適用する法律)と位置づけるのか?

 それとも、

・一応は民法で過失の有無が判断されたが、あたかも事情判決のようにそれは適用せず、自賠法にて解決を図りなさい、との判断か?

   前者の考え方であれば、今後の人身事故裁判で、原告側は常に「自賠法に基いた」主張をするようになってしまいます。後者なら私的には納得です。  これから何人かの弁護士先生に意見を聞いてみようと思います。  

 人身事故解決の実際、ほとんどが自賠責保険の支払いで解決しています。任意社は自賠限度額(傷害:120万円、死亡3000万、後遺障害4000万)までなら自賠責保険(自賠法)か任意保険の(被害者にとって)有利な方を適用し、超えれば任意保険(約款)、もめたら民事交渉・司法判断(民法)となります。そのような流れである中、被害者にもっとも有利である自賠法を最後の司法判断まで優先的に通せば、過失責任の判断がすっ飛んでしまうように思うのです。

 この地裁判決はあくまで、被害者救済に則った特別な判断で、実は民事上の責任の有無はしっかり決着されていることを願います。そうでなければ、対人・対物賠償を支払う立場の相手の任意保険会社、人身傷害保険、車両保険を支払う自身契約の保険会社、求償する立場の健保や労災、その他、自賠責保険金を超えた額を請求する立場の人達は困ってしまうはずです。     c_s_j_1

 

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 原発事故で被害を受けた被害者の皆さんは怒り心頭で東電側弁護士の反証を聞いたことでしょう。では、法律以前の非常識論理が交渉材料となり、加害者側に有利に働くのでしょうか?かえって被害者の態度を硬化させ交渉が長引き、訴訟上では裁判官の心証すら害する・・つまり、逆に加害者側に不利に働くことはないのでしょうか?法律家ではないど素人の私はそう心配してしまうのです。

 これは交通事故でもよく聞く話です。それでは、加害者側(保険会社の)弁護士の「とんでも反証・交通事故編」を紹介します。全部実話です。

  〇 片目を失明した被害者の損害賠償請求に対し、相手弁護士は・・ とんでも反証 「片目が残っているから大丈夫、ちゃんと見えるので逸失利益はない」

 これに対し、被害者は「じゃ、今から(その弁護士の)片目を潰してやる!」と当然に激怒、裁判官もこの反証は一切取り上げず、怒気を示したそうです。  ハムラビ法典がしっくりきますね。 20061121

  〇 横断歩道上の歩行者をスピード超過(およそ60km)の自動車ではねた加害者の弁護士は・・

  とんでも反証 「自動車が来たらよけるべき、したがって歩行者に過失20%ある」

 この弁護士は70代の高齢者である被害者にアスリートを超越した運動神経を要求しています。  刑事裁判でもこの加害者は「被害者は後ろ歩きで横断していた」などと供述しました。被害者はマイケル・ジャクソンのようにムーンウォークで横断したようです。結果は、裁判官「そんなわけないでしょ!」と激怒。民事裁判と同じ弁護士でしたがこれを言わせちゃまずいでしょ。 mj   〇 高次脳機能障害(5級)を負った被害者に対し・・ 続きを読む »

 連携弁護士さんからよく苦言を聞きます。「相手には(実態上、保険会社の)弁護士が介入しています。今後はその弁護士と交渉します。それ自体は問題ないのですが、めちゃくちゃな反論をしてきてイラっとしています・・」 i-b_1  加害者側が弁護士を立てることは正当な権利です。そこで、双方の主張をぶつけ合うこと、その結果で解決が導かれることは自然な流れです。今日、問題として挙げるのはその主張内容です。

 私の場合、連携弁護士に被害者の窮状を「自賠責の認定等級」という形で託します。これは、それなりに権威のある審査機関での審査結果として重きをなします。また、認定等級の過程で得た、医師の診断書や検査結果も重要な証拠です。これらに被害者自ら語る陳述書を添えます。対して、加害者(保険金を払う立場の保険会社)の弁護士も保険会社の顧問医の意見書や自ら検索した判例、医学的な文献を根拠に反論します。

 繰り返しますが、その結果、双方が歩み寄る示談や訴訟上の和解、または判決が下ることによって、損害の真実、もしくはより双方が納得できる賠償金に近づくわけです。しかし、中にはどう考えても非常識、法律以前のめちゃくちゃな論理展開をする弁護士がいるのです。  

 震災・原発事故に関するニュースから引用します。震災による原発事故の補償問題で東電と被災者の交渉が続いています。以前、放射能の被害について、東電の弁護団からとんでも論理が飛び出しました。(以下、要約)

 「放射性物質のようなもの(セシウム他)がそもそも民法上の「物」として独立した物権の客体となり得るのか?仮にその点が肯定されたとしても、債務者として放射性物質を所有しているとは観念していないことに鑑みると、もともと無主物であったと考えるのが実態に即している。」  つまり、放射性物質は東電がそれをコントロールし、支配している所有物ではない。したがって、責任を取って取り除けと言われても困る。飛んで行った放射能、およびその被害に責任など持てない、ということです。

 これは小学生が聞いても「おかしい(怒)!」と思います。民法上の「無主物」にすり替えるなど、どう考えても通る話ではありません。  直接には自然災害による事故・被害であるから東電の過失はないのか? だとすれば東電の安全措置、災害予見に瑕疵はなかったのか?・・これがすべての争点と思っていました。しかし、呆れたことに「そもそも拡散された放射能など知ったこっちゃない、責任がまったくない」との主張もされていたのです。

 この弁護士団は有名な先生方です。頭が悪いわけはありません。敢えて交渉上の戦略なのでしょうが、無茶な論理を恥や外聞もなく持ち込んだのです。おかげで東電はマスコミから大バッシング、「東電は悪」という風評に拍車をかけました。この論陣は東電の擁護になったのでしょうか?

 つづく

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 この解釈では私の本を買ってしまった先生、研修に参加してしまった先生への案件紹介は非弁提携とされてしまうのです。

 他の例に当てはめると、弁護士事務所と契約して事務機器を常時納品している業者さんがPL訴訟の代理人をこの弁護士事務所に依頼、受任したら・・紹介の対価を得ていることになり、この契約関係は違法となります。これでは世の中の経済活動はストップしてしまいます。これはあまりにも極端な法解釈で、立法趣旨からも逸脱しているように思います。

 判例によると、紹介と利益供与が「特定の相手」と「反復継続」しているかが適否のポイントのようです。一度きりの紹介、たまたまの書籍購入・研修参加ならセーフとなります。しかし、困ったことに出版・研修は続いていくのです。一度でも本を買ったら、研修に参加したら・・案件の紹介はできなくなります。もしくは、案件を紹介した弁護士は著書購入禁止、研修参加謝絶とするしかありません。もう訳がわからないです。

 ここまで利益供与を厳格に判断する必要があるのでしょうか?書籍については不特定多数の購入者など把握できません。研修参加した弁護士のほとんどは案件のやり取りなど皆無の知らない先生です。要するに、案件の紹介は特定の弁護士とはならないのです。  また、印税は一冊せいぜい150円( しかもたいして売れない(泣) )、講師代も数十時間かけてレジュメを作成し、2日間喋り捲った結果、1人の参加者からは1万円に届きません。金額の大小の問題ではないのはわかりますが、あまりにも常識からかけ離れた、馬鹿げた法適用です。法解釈が世間一般の常識を超えていると思います。  

 あれはダメでこれはOK、結局、相対的解釈ばかりなのです。おまけにこの手の議論は弁護士先生によって解釈が正反対、バラバラです。常識判断では済まない法律解釈の深淵を覗くが如しです。そこに民間企業の常識が通じない、業界の不可思議さを感じます。これをグレーゾーンと呼ぶのであれば、倫理と常識から判断すれば明確に白黒がつくのになぁと思います。

 弊事務所では日々、大勢の弁護士先生と案件のやり取りをしていますので、その関係に非常に神経を使っています。事実、連携先の弁護士とは個人的な飲食すら控えているのです。一方的な贈答品の関係もありません(おかげで何十人の弁護士と連携して仕事をしていますが、弁護士のお友達は一人もいません(泣) )。なんで弁護士とだけにこのような過緊張な関係を強いられるのでしょうか。    やはり問題の本質=立法趣旨から逸れています。そして、忘れて欲しくない事は「被害者救済」という根本原理です。これが根底にある限り、ぶれることはありません。行いが正義に根差していれば、おのずと法解釈も定まるように思うのです。

  ※ 本記事は想像以上に反響が多く、多方面への配慮から誤解のなきよう、今週一週間の間に追記・修正を重ねました。時を同じくして関西で懲戒請求を受けた行政書士のニュースが入りました。私はこの先生の違法・適法の判断を語る立場にはありません。しかし、少なくとも不当・不法業務にてグレーゾーンで暗躍している士業者や業者が存在することは事実です。このような輩の跋扈が法の解釈を極端に厳格にしている原因と思います。  

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 法律解釈はやっかいです。当然に遵法、真面目に業務に取り組んでいますが、常にコンプライアンスについてチェックするようにしています。疑義があれば適時、弁護士に相談しています。しかし、困ったことに相談する弁護士先生によって、または事例によって解釈が違うのです・・・  

 最近では連携の事務協議の際、ある弁護士先生から弊事務所の調査費用の算定について、ご指摘を受けました。調査費は定額が普通で、成果によって上下する費用となれば、72条の非弁に抵触するとのことです。確かに弊事務所は獲得等級に応じて報酬を設定している側面があります。単なる調査や書類作成でこの「成功報酬」としての費用算定は問題のようです。理由ですが、「成功報酬」的な計算はあたかも法律効果を生む法律事務による請求方法であるから、その業務は非弁行為となる・・? かなりこじつけに近い解釈のように思います。それでも謙虚に受け止め、慎重に考えなければなりません。これは「報酬自由の原則」と比較対比される理屈で、なかなか判断の難しいところです。

 しかし、ある弁護士先生よれば、「これは行政書士報酬の設定に関する指摘で、報酬内容における倫理上の適否判断に過ぎない」つまり、非弁とは別の論点とのことです。なんかだか行政書士だけに難癖を付けているように思えてきます。そもそも、成果によって代金が上下する仕事は他にいくらでもあるのです。ここでも「あれはOKこれはNG」となります。  

 また、27条をより噛み砕いた『弁護士職務基本規程』の13条では「依頼者紹介の対価」の禁止、つまりキックバックを違法としています。

 民間企業では紹介・斡旋の費用や謝礼は常識的なものです。弁護士を除く士業間でも目くじらを立てる暇がないほど普遍的に目にします。しかし、弁護士だけは特別に考えなければなりません。紹介料は弁護士の代理権を支配することになり、悪い業者をはびこらせる元凶になります。つまり、悪質な紹介屋が生まれてしまうのです。法律が資本主義の力関係に組み敷かれてしまい、正当な代理権の行使が妨げられます。このように代理権を商売のルールから遠ざける必要性は理解できます。    もちろん、私と連携弁護士との間に利益供与はありません。ところが私の著書を買う、私が講師を務める研修に参加するなどが実態上、案件紹介の対価(≒紹介料)となるのでは?と指摘する先生がいるのです。

 つづく  

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 昨年からいくつかの弁護士事務所から連携のお声掛けを頂いております。大変、光栄なことで感謝しております。しかし、事務レベルで連携の協議をしていますと必ず問題となるのが弁護士法27条「非弁提携」禁止規定です。  

第二十七条 弁護士は、第七十二条乃至第七十四条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。

   つまり、非弁者から紹介を受けてはいけない、非弁者に弁護士名を使わせてはいけない掟です。最近はクレサラ業務で下請け会社に法律事務を委託したケース、その業者から紹介を受けたケースなどが問題となりました。これを許すと法律が資本主義における力関係に組み敷かれることになります。27条の立法趣旨はそれを防ぐため、72条違反の業者=非弁者を排除することと聞きました。ここで言う「非弁者」とは、主に72条違反の非弁行為をしている者を指します。

  第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

   非弁行為とは一般的に知られている通り、弁護士資格を持たずに代理行為を有償で行うことです。示談屋などが最たる例です。また、士業者もその法律で許された業務から逸脱した行為について指摘されることがあるようです。もちろん、私は代理行為をしていません。医療調査と事故に関する書類の収集が主業務です。自賠責保険の請求代理すら原則していません。私は非弁者に当たらないので、案件紹介を多くの弁護士・行政書士と相互に行っています。

 交通事故業務では、賠償交渉は代理行為となりますので当然ながら弁護士資格が必要です。自賠責保険の請求代理については争いがありますが、行政書士の代書権でOKという考えも多数です。では、弊事務所の行う医療調査業はいかがでしょうか?これは代理権も代書権も必要ない調査業務に分類されると思います。例えば弁護士が離婚案件で代理交渉をするとします。その際、有責配偶者を立証する、つまり浮気の調査が必要となった場合、探偵さんに調査を依頼します。この弁護士と探偵さんの連携は27条の規定「非弁者への名義貸し」になるのでしょうか?もちろん、単なる下請け業務であり、27条違反と解する弁護士先生は聞いたことがありません。「ラブホテルの前で浮気現場の写真を撮った探偵さんは非弁者?」とはならないでしょう。常識的にそう思います。

 しかし、交通事故業務において、自賠責への請求代理はもちろん、医療調査を行政書士もしくは無資格者に下請けで仕事を出す場合、「これらの業務は個人の権利に密接に関係している法律事務であり、それを外部に委託したら27条違反を構成する」と考える弁護士先生が少なからず存在します。つまり共に個人の権利に密接に関係しているであろう、浮気の調査はOKで、交通事故の調査はNGとなります。これは法的判断から離れた、感情的な判断に思えてなりません。

 つづく  

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 今日の新聞記事から・・民法改正案が来月提出されます。

 今まで法の不備が指摘されていた分野にテコ入れです。交通事故に関係する具体的な項目は、まず遅延利息5%の改定です。市場金利の変動に対応すべく、一定期間(3年ごと)で見直しすべきとの声は以前からありました。おそらく、今改定で3%に変更と思います。

 また、約款についても法律で規制、もしくは無効とできる条項が加わります。ちょうど先日の実務講座にて、「消費者の権利を害する保険約款の問題」について指摘したところです。弁護士が保険会社に約款を曲げた保険金請求をする際、今回新設される民法条文が主張の根拠となるはずです。

 内容を以下、抜粋しました。(2月10日 時事通信)    法制審議会(法相の諮問機関)の民法部会は10日、契約ルールなど債権に関する規定を見直す民法改正要綱案を決めた。事業者が消費者に示す「約款」をめぐる規定を新たに設け、消費者の利益を一方的に害するような約款は無効とする。法制審は24日に要綱案を上川陽子法相に答申。これを受け、法務省は3月下旬に民法改正案を国会に提出する見通しだ。  今回の改正項目は約200に及び、法制審はそのほとんどを昨年8月に固めたが、約款の規制については経済界が反発し、調整が続いていた。民法の債権規定の大幅改正は1896年の制定以来初めてとなる。  約款は、保険や公共交通機関、インターネットサイトなどの利用規約として使われる。消費者が約款の内容や存在を知らずに事業者とトラブルになるケースが多く、消費者保護の観点から検討を進めていた。

 要綱案によると、 (1)事業者が約款を契約内容とすることを明示していれば、消費者が理解していなくても有効 (2)消費者の利益を一方的に害し、信義則に反する約款の条項は無効 (3)契約後の約款の変更は、消費者の利益になる場合などに限定―との原則を明記する。   

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 昨日からつづき・・・

 

Z先生:「しかし、なんといっても早期解決を目指すべきでは・・・」

秋葉:「もちろん被害者の希望が白黒はっきりした決着や、遅延利息5%+弁護士費用10%の増額よりも一刻も早い解決を望むのならそうです。であれば、そもそも裁判などせずに交渉もしくは紛争センターで解決する道がベターと思いますが・・・。  ここである弁護士先生を例にとります。この先生、判決まで徹底的に争うことで有名で、保険会社もこの先生が手強いことを知っています。昨年、私が担当した後遺障害3級被害者の対J○社案件をこの先生に引き継いだところ、J○社は請求額全額をあっさり認め、争わずさっさと保険金を支払いました。裁判で負けて、遅延利息や弁護士費用まで取られるくらいなら・・という判断です。  普段から判決まで争う姿勢の弁護士、また判例実績のある弁護士は『戦わずして勝つ』早期解決を成し遂げていますよ。結局のところ本気で判決による解決を基本姿勢にしている弁護士を保険会社はリスペクトしています。徹底的に戦う戦略の延長線上に「和解解決」が選択肢としてある・・・これこそ交渉力と思いませんか?」

Z先生:「確かに『戦わずして「妥協金額ではなく、勝訴金額を取って」勝つ』ことが一番の理想です。」

秋葉:「Z先生も頑張ってそのような弁護士になって下さい!」

   訴えたい事はつまり、障害の立証は難しく手間がかかるので、それを避ける弁護士が多いということです。そしてZ弁護士に「和解」が普通・正当と思わせてしまった保険会社の脅威を語りたいのです。保険会社は若い弁護士を協力弁護士として雇い、交通事故の実務を依頼します。その内容は問題のある被害者への対応が中心です。まともに話し合いができない人、保険金詐欺・詐病者、心身症者などの対応ばかりです。問題のない被害者への対応、つまり被害者救済の仕事は経験しません。 またZ先生のように、ほぼ全件和解とする裁判の経験から交通事故裁判は和解が当然と認識してしまうのです。  保険会社は誰より交通事故のプロです。それに戦えるのは弁護士だけです。その弁護士がいつの間にか保険会社であたかも(骨抜きにするための?)研修、ではなく、経験をされている事実を保険会社にいるときから目の当たりにしてきました。そもそも被害者のために戦う弁護士は保険会社側から依頼される仕事をしないはずです。

 もっとも問題なのは、裁判を避けがち、起こしても全件「和解」、基本姿勢が「交渉解決」前提のクレサラ方式事務所です。その事務所は、保険会社から先に「先生、今回も赤本の7掛けでどうでしょう?」と打診される始末、これでは依頼者への背信とも思えてきます。これを早期解決などと呼んではいけないと思います。

 昨日から続く本記事は被害者に「和解が常道となってしまった交通事故裁判の実情」、それを「普通のことと認識してしまっている弁護士の多いこと」、さらに「早期解決の美名のもと、保険会社と談合的な示談をしている事務所があること」を知ってもらう目的で書きました。  単に知人の紹介で弁護士を選ぶのではなく、交通事故で戦ってくれる弁護士なのか否か・・・被害者自らがしっかり見極める必要があります。

                       

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 最近、既に弁護士に依頼済であるにもかかわらず、裁判の進行についての質問が寄せられています。もちろん賠償交渉は私の専門外です。しかし平素から座視できない交通事故裁判の現実について言及することがあります。それに対し、ある中堅弁護士Z先生からご意見をいただきました。そのZ先生との対話を(一部脚色が入りますが)披露します。  

弁護士Z先生:「秋葉先生は80%以上の交通事故裁判が和解前提で、弁護士が戦ってくれないと言いますが、交通事故で多くの場合、判決まで争っても被害者の望む決着は難しく、裁判官も和解を強く勧めます。総合的に見て和解の方が被害者の利益となるケースが多いのでないですか?」

 これは交通事故裁判の80%以上が和解となることを憂慮する私の主張への反論と思います。

秋葉:「お答えする前に、Z先生にお聞きします。先生は保険会社の顧問弁護士、もしくは協力弁護士をやっておられましたか?」

Z先生:「ええ10年やりました。ここで交通事故の実戦を積みました。交通事故の審議は長引きがちです。多くの場合、保険会社との和解がベターであると経験しました。」

秋葉:「それはある意味当然です。保険会社との交渉では全件、和解となる構造になっているからです。なぜなら保険会社の提示する賠償基準は判例と比べ、半分以下のケースが多く、勝ち負けをはっきりつけなくても、相互の歩み寄りにより、つまり和解でも被害者の得る賠償金は大幅にUPするからです。そして後遺障害の賠償金については医学的な判断が非常に難解かつ時間を要します。対して保険会社側は長年の蓄積により傷病に対して膨大なデータを持っています。それを使い顧問医の意見書としてすみやかに提出してきます。対して被害者側の弁護士は証拠=医師の意見書等の取得に苦戦し、なかなか提出してこないので審議が進みません。これを裁判官が嫌うのです。こうして和解による相互歩み寄りが推奨されるのですね。」

Z先生:「そうです。医師の協力を得ることは至難です。障害の立証は医師次第となっている現実があります。」

秋葉:「同感です。立証は医師次第です。だから私たちメディカルコーディネーターは早期から数度の医師面談を通じて、医師に対し障害の立証について協力を取り付けています。裁判に耐えうる証拠集めは何と言っても医師の診断、検査結果を引き出すことです。そして後遺障害等級の獲得がなによりの挙証となります。被害者側で医証を集めること=16条請求(被害者請求)はそのような意味もあるのです。先生は事前認定(加害者側保険会社に障害認定作業を任せる)をしていませんか?」

Z先生:「・・・・・・。しかし自賠責で認定された等級も裁判で再度検証されます。交通事故裁判はとても時間がかかります。被害者の経済的事情も考える必要から和解が良いケースもありませんか。」

秋葉:「だから16条(被害者)請求で自賠責保険金をまず確保する必要があるのですよ。話を戻しますが、もちろん経済的事情の他、戦略的に和解に持ち込むケースもあるでしょう。例えば障害と既往症の関連が強く素因減額で不利になりそうなケース、または自賠責の後遺障害認定でかなり実情より有利な等級がついてしまったケース、これら白黒つける審議に耐えられないケースには和解が有効なオプションであることに変わりありません。しかしいくらなんでも交通事故裁判全体の80%超はないでしょう。多くのケースで和解による早期解決を立証努力しないこととすり替えていませんか?障害で苦しむ依頼者は、裁判で自分の窮状を認めて欲しいのではないですか?それに答えるのが弁護士であり、それをお手伝いするのが私たちではないでしょうか」

 つづく

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自賠法第3条<自動車損害賠償責任>

 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、(1)自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、(2)被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに(3)自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

自賠法第4条<民法の適用>

 自己のために自動車を運行の用に供する者の損害賠償の責任については、前条の規定によるほか、民法(明治29年法律第89号)の規定による。

民法709条<不法行為>

 「故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」

★ 自賠法3条と民法709条を比べる

① 加害者の範囲

 民法709条は、自動車の運転手など、被害者に対して不法な行為を行った者に対して責任を追及します。加害運転者はもちろん、業務中の事故であればその使用者(使用者責任:715条)、子供であればその親(親権者責任:712条、714条)など。  一方、自賠法3条は「自己のために自動車を運行の用に供する者」(=運行供用者)に対して責任追及できます。現実にはやや自賠法が広範囲と言えますが、それぞれの適用範囲はほぼイコールです。

② 事故の対象範囲

 民法709条は、人に対する損害である「人損」及び物に対する損害である「物損」を対象とします。一方自賠法3条は「人損」のみを対象とします。  実例として、相手保険会社が「人身の支払いは100%出します。しかし物損は20:80です」というような人損、物損で違った過失減額を主張してくる場合があります。これは保険会社の対物賠償保険の約款は民法709条を基にしているため、それぞれ根拠となる法律が違うために生じてしまうのです。おかしな話ですが・・。

③ 立証責任

 両者の大きな違いは、過失責任の立証責任が加害者側に転換されていることにあります。つまり民法709条は責任を追及する被害者側が加害運転者の過失を証明しなければならない(過失責任主義)のに対し、自賠法3条は加害者側が自ら過失がなかったことを証明(無過失責任主義 → 自賠責保険 非適用の三条件)しなければなりません。つまり被害者にとって自賠法=自賠責保険の適用の方が楽なのです。

★ 自賠責保険が使えない=加害者が責任を逃れる三条件

1、 自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと 2、 被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと 3、 自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったこと

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