佐藤イラストsj今回はあまり重要視されていない検査をご紹介します。    筋萎縮検査というものもあります。ほとんどの個人整形外科医では行われませんが、記載しておきます。神経症状が起こると、その腕をほとんど使わなくなり、筋力が低下するため、腕が以前に比べて細くなるといった現象が起こるのです。その計測の方法は肘の関節から直角に10センチ上を計測することを上腕周径、10センチ下を計測することを前腕周径といいます。患側と健側で1センチ以上差があるときは記載していただくのがいいでしょう。しかし、利き腕や、スポーツ歴等により元々1センチ以上の差がある方もいらっしゃるため、この検査結果は参考程度にしか見られていないかと考えております。

※ 上記の考えはあくまで、頸椎捻挫であり、頚髄損傷等の深刻な神経症状を起こしている場合は参考に留まらず、他覚的所見として判断されるかと思います。

 よく行われるテストで握力のテストがあります。普通に握力計測を行うため、特に解説は必要ないかと思いますので、割愛させていただきます。

 その他に10秒テストというものがあります。グーとパーを交互に行い、10秒間に何回できるかをみるものです。一般的には10秒間に20回を下回ると運動障害ありと判断されます。ただ、この検査も参考にされる程度で目立った所見ではないかと思われます。

 握力  事務所には一応、握力計、メジャーが備えてあります。

 このように頚椎捻挫の診察で行われているものの大半は自覚症状に基づいたものです。後遺障害診断書に有意な所見が記載されているとしても調査事務所はその部分のみで判断はせず、総合的に判断しているかと思います。どういう要件が揃えば認定を得ることができるのか・・・これからも追求の日々です。  

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山本さんイラストsj  専業主婦、パート主婦、兼業主婦、等々主婦の形態は近年多様になってきました。

 交通事故で後遺症となった方は、逸失利益を保険会社に請求する場合、年収が計算の根拠となります。

 請求はご自身が行ってもよいですが、後遺障害等級が認められた場合、交通事故に詳しい弁護士に依頼して解決をすることを我々はお勧めしております。そして、主婦の場合、365日休みがないと考えられており、また年収は裁判所の基準ですと、約350万円になります。詳しい数値は弁護士に確認してみてください。

 この点、毎月実施しております相談会では、「主婦の逸失利益は、専業主婦でないと請求できないのでしょうか」という質問が多く出てきます。これに対しては、ある懇意にしている弁護士さんは、専業主婦だけでなく、パートをしている主婦の場合でも上記裁判基準(約350万円)で請求できると説明しております。但し、仕事で得られる年収が上記裁判基準(約350万円)を超えている場合には、その高い方の年収を基準に請求するとしています。

 つまり、主婦の場合、主婦を基準とした逸失利益か、仕事で得られる年収を基準とした逸失利益のどちらか高い方を請求することができるのです。

 なお、休業損害を請求する場合も、仕事で得られる年収(月給)で計算するか、主婦の年収から計算するかで請求額が変化しますので、どちらがより得になるのかが気になる方は弁護士等に電話や相談会でご相談ください。

※ 休業損害の金額は交渉となりますが、それを待たず、保険会社は最低でも主婦には1日=5700円を支払います。 c_s_t_24  主婦として請求するためには、結婚して主人と同居しているか、子どもがいるか、家族と同居して主に家事をやっているか等を説明(証明)すれば、基本的に信用されます。

 これまでの記載内容はあくまで主婦を対象として述べております。それでは、近年でも増えつつある主夫が交通事故に遭ってしまった場合、主夫も主婦の年収と同様に逸失利益を請求できるのでしょうか。    このことについては次回に述べたいと思います。  

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 夏の疲れを残す9月も終わり、秋の相談会シリーズ真っ最中です。    事務所も毎日、提出書類のラッシュです。弊事務所では重傷案件が多く、中には3年越しの案件で、いよいよ申請の大詰めを迎えている申請もあります。先月は体調を壊す社員もおり、過酷な業務が続いております。多くのご依頼者の皆様がお待ちなので、少し頑張りすぎたかもしれません。

 最近、職場で体や精神を病んだ結果、残念ながら命を落とした方のニュースが目立つようになりました。昔と違って労災は柔軟に過労死認定をする傾向のようです。それでも、悲劇を回避するため、労働と健康の両立は重大なテーマです。

 過大な労働時間、劣悪な労務環境を強いられる会社をブラック企業などと呼ぶようになりました。日本の97%は中小企業と言われていますが、厚労省が示す労働時間や環境を守っている会社はどの位あるでしょうか。大なり小なり、厳格なルールを守っていては業務が成り立たないと、多くの社長さんが嘆いているかもしれません。

 私達の事務所でも当然ですが労働時間、環境には順法を心がけでいます。大抵のことは工夫してやりくりしていますが、目下の悩みは業務の性質と量から有給が取り辛いことです。それと、担当を持てば、相談者さん・依頼者さんから土日祭日関わらず電話がは入ることでしょうか。休日対応に対して厳格に線を引くことは、社員の体力・精神力を損耗しないためにも必要かもしれません。私は学校を卒業して以来25年、携帯の電源を切ったことがありません(最初の3年はポケベルでしたが)。まさに昭和の悪習です。これでは説得力がありませんね。

 定められた労働時間で成果をだす・・至上命題ながら苦戦が続いています。しかし、平素から依頼者の皆様からたくさんの励ましを頂いております。事務所一同、疲労困憊してもモチベーションだけはマックス・ハイテンションです。 秋葉先生イラスト

 入所希望の皆様、そんなひどい事務所ではないですよ。頭に鳥が止まることはないですが、順法第一です。  

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2016092913350000 先週は浜松まで病院同行がありました。9月末だというのに気温は30度、蒸し暑さに辟易しました。

 浜松からローカル線で北上すると、平地が一段高くなります。この辺りの台地は、徳川家康vs武田信玄で有名な戦場、三ヶ方原です。

 タクシーの運転手さんに聞くと、同行した病院から3km程西方に激戦地、祝田の坂の石碑があるそうです。また、遠州は来年の大河ドラマの舞台となるそうで、運転手さんは今から観光案内のための特別講習を受けているそうです。

 440年前、住宅地が広がる、こののどかな台地で大戦争があったとは思えません。病院同行をつつがなく終えると、寄り道せず早々に帰路につきました。

 写真は遠州小松駅、単線に情緒を感じます。  

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 このシリーズで訴えていること=「人身傷害を先に請求する場合、過失分だけですよ」に対して、もの申してしるわけですが・・細かいことを指摘しているなぁ、と印象を持たれている方もいらっしゃるでしょう。しかし、長らく自動車保険に関わってきた者として、いかにアンフェアな改定なのか、憤りをもってしまうのです。車両保険を例に改めて問題を浮き彫りにしたいと思います。  

「車両先行」・・車両保険を例にとります。

   車両保険はご存知の通り、契約している自身の自動車の修理費を支払うものです。事故で相手がおり、それぞれに責任があった場合、相手から差し引かれる自己の過失割合分を支払うことになります。

 この過失相殺の交渉は、事故状況の食い違いや、双方の意識の違いから、長期化することが少なくありません。そこで、車両保険に加入している契約者は、相手からの回収を待たずに、自身が加入している車両保険に修理費全額の補償を先行して請求します。これを業界では「車両先行」と呼んでいます。

 これで修理工場も安心して修理に取り掛かれます。そして、長い交渉、示談を待たずに、修理完了した自動車が自宅に戻ってきます。車両保険の安心感を実感する瞬間です。

 その後、全額の車両保険を支払った保険会社はいずれ交渉をまとめ、相手から過失分を回収することになります。 c_y_42相手がなかなか修理費をくれないことが・・

 ここまで説明すればお解かりでしょう。人身傷害の先行支払いは、そもそもこの安心感をもたらすものだったのです。それが、「過失分だけ、協議の上で払います?」となりました。これを、車両保険の例に当てはめれば、いかに、安心感を損なう約款改定か理解できます。「車両先行は全額OK」、「人傷先行は全額NG」と物損事故と人身事故の扱いに差別が生じたのです。人身傷害は発売以来、賠償交渉を待たず、過失分関係なく全額払われる、”夢の全額補償”が売りだったはずです。

 自動車の修理費に裁判基準、保険会社基準など、複数の基準はありません。しかし、人間の慰謝料や逸失利益には保険会社と裁判の二つの基準が存在します。そもそも問題の根源はこの2つの支払基準があまりにも乖離でしていることでしょう。保険会社も苦しい約款改定と自認しているはずです。   c_y_98    それにしても、損J日興、朝日、セコム、ソニー、そんぽ24、セゾンさん達のように、「賠償先行か人傷先行か、請求の順番に関係なく、裁判で決まった総額なら認める」といった潔い約款に比べて、東京海上日動のグループは執念深く、自社基準を押し通そうとします。

 あいおいさんは賠償先行の場合、裁判での金額は認めるとしていますので、この点は損J日興のグループに同じです。しかし、支払い限度を自社基準額とする地雷が埋まっています。また、人身先行では何かと「自社との協議」で値切りそうです。仮に、人身傷害に自身の過失分を人傷基準で先に請求・受領、後に賠償社から賠償金を受け取ったとして、その賠償金が裁判で決定したなら、ようやく不足分を裁判基準で追加請求することが可能となります。理屈ではそうですが、実際はうやむやになりそうです。

 三井住友さんは、臆病にも最初から「自社との協議」で支払いの抑制を図っています。これは賠償、人傷の請求の順番に関係ないので、最もこの問題から距離を置いた約款と言えます。これらは契約者に対して、アンフェアでいびつなルールとのそしりを受けるでしょう。    問題は”そしる”機会が少ないことです。”そしる機会”は実際にこの問題に直面する契約者さんに限定します。契約の際にここまで細かく他社と比較することなどないこと、頼るべき弁護士先生が保険に精通していないケースが多いこと・・、結局、保険会社はこれら契約者にとっての難題を承知なのでしょう。この問題は水面下の落とし穴なのです。  

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 なぜ、三井さん、あいおいさん、AIG、大同さん、イーデザインさん、SBIさんは契約者の「人傷先行」請求に対して、支払金額を”契約者の過失分だけ”(以下、過失分限定払い)にしたいのでしょうか?    普通に人身傷害を加害者・被害者双方の話し合いで賠償額を決める”償い”の保険ではなく、”予め決められた弊社の基準で支払う定額の”傷害保険としたいことは間違いないでしょう。しかし、それだけに留まらず、「人傷先行」によって、総損害額を裁判基準で持っていこうとする、契約者もしくは弁護士への対抗策ではないかと思っています。 teresasanma

 難解な話ですが、お付き合い下さい。

過失分限定払いは「人傷先行」策 潰し?

 相手から賠償金を受け取る前に人身傷害保険を先行して、損害額の全額を受け取り、後に相手から賠償金を受け取り、「契約者の権利を害さない範囲、つまり、裁判で決まった損害額の全額をオーバーする金額についてのみ、先に人身傷害を支払った保険会社は返してもらう」との規定が、平成24年2月の最高裁判例「差額説」で定まり、各社、約款をこれに対応させました。

 詳しくは ⇒ 「絶対説」と「差額説」

 以降、人身傷害に精通した弁護士さんが、この差額説判決をもとに、先に人身傷害保険に対して、人身傷害基準であろうと過失減額無しで全額を受け取り、続いて、相手に対して賠償額を裁判基準で獲得することにより、裁判基準で総額を確保しました。この、損害総額を保険会社基準ではなく、裁判基準に引き上げるといった、いわゆる「人傷先行」の作戦をとるようになったのです。

「人傷先行」策

 「差額説」判決の根拠となった、代位(求償)の規定、「被保険者または保険金請求権者の権利を害さない範囲内で」を生かし、先に人身傷害にせっせと請求します。とくに高額となる後遺障害の慰謝料と逸失利益を事故相手(賠償社)に請求する前に、人身傷害から確保します。まずは人傷基準とはいえ、自身の過失関係なしで100%を得ることができます。自身の過失が大きければ大きいほど威力を発揮します。

 そして、次に相手側に賠償請求します。裁判で決まった総損害額、(交渉や斡旋機関で決定した賠償総額の場合は、約款上、認めないので争いになりますが・・)その内から先に人身傷害特約で得た分を返します。その際、「契約者の権利を害さない範囲で」返せば良いので、以下のように訴訟基準の損害全額1000万円を確保し、それを超える300万円を人傷社に返せば済むことになります。

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 続いて、「賠償先行」の支払い保険金の算定方法をみてみましょう。これは(5)の部分です。その前に(4)ですが・・これは前項で、「人傷先行」の場合は契約者の過失分しか払わんよ、とした為、「代位」=求償の規定に例外規定を設けたようです。これも、人身傷害の先行払いについて、支払い抑制?の準備をしているようで・・あまり気分の良いものではありません。

 

(4)本条(2)の場合には、当社が人身傷害保険金を支払った場合であっても、第11条「代位」の規定にかかわらず、当社は、保険金請求権者が賠償義務者に対して有する権利については、これを取得しません。

  <翻訳>  これは、元々、人傷先行の場合、普通に11条「代位」で、「払った保険金は私どもが相手から返してもらいます」と、相手に対する求償権をうたっているところ、「(2)人傷先行にて、自社との協議や裁判で先に過失分を決めて支払う」ので、支払った過失分につき、求償分が発生しないとを予定している一文と解します。

 だからこそ、「被害者(契約者)の過失分を少なめに判断(?)して払うだろうな」とゲスの勘繰りをしてしまいます。  

(5)賠償義務者からの損害賠償金の支払いを先行した後に、保険金請求権者が人身傷害保険金を請求した場合であって、賠償義務者との間で判決または裁判上の和解において損害の額が確定し、その基準が社会通念上妥当であると認められるきは、当社は、その基準により算出された額を本条(1)の損害の額とみなして、第4条「お支払いする保険金の計算」(2)に規定する計算式を適用します。 ただし、これにより算出される額は、本条(1)の人身傷害条項損害額基準に基づき算定された損害の額を限度とします。

<翻訳>  「賠償先行なら、裁判での金額を認めます」との裁判基準差額説の説明ですので問題ないと思います。これは、損保ジャパン日本興亜と同じくフェアなルール設定です。  (詳しくは ⇒ 損JNKのルール

 ただし、ここにも人身傷害基準を盾とする毒が潜んでいます。(5)の後段、「ただし、」以下の一文です。 続きを読む »

 それでは、該当の約款を見てみましょう。

 各社、記述に違いがありますが、比較的、容易なあいおいさんを確認します。 とにかく、人身傷害の約款は難解で、弁護士先生すら悩ませています。契約者が正確に読解することはほとんど不可能に近いと思います。  

第5条 損害の額の決定 (1) 当社が人身傷害保険金を支払うべき損害の額は、被保険者が人身傷害事故の直接の結果として、次の①~③のいずれかに該当した場合に、その区分ごとに、それぞれ別紙に定める人身傷害条項損害額基準により算定された金額の合計額とします。 ただし、賠償義務者がある場合において、区分ごとに算定された額が自賠責保険等によって支払われる金額(自賠責保険等がない場合、または自動車損害賠償保障法に基づく自動車損害賠償保障事業により支払われる金額がある場合は、自賠責保険等によって支払われる金額に相当する金額をいいます。以下この(1)において同様とします。)を下回る場合には、自賠責保険等によって支払われる金額とします。 ①傷害 治療が必要と認められる場合 ②後遺障害 後遺障害が生じた場合 ③死亡 死亡した場合 (2)賠償義務者がある場合には、保険金請求権者は、本条(1)によるほか、次の算式によって算出される金額のみを、当社が人身傷害保険金を支払うべき損害の額として請求することができます。 損害の額=本条(1)の各区分ごとに算定された金額の合計額-賠償義務者が保険金請求権者に対して法律上の損害賠償責任を負担するものと認められる部分 (3)本条(2)の「賠償義務者が保険金請求権者に対して法律上の損害賠償責任を負担するものと認められる部分」とは、本条(1)の各区分ごとに算定された金額に対し、次の手続きに基づいて決定した賠償義務者の責任割合を乗じた額(この額が自賠責保険等によって支払われる金額を下回る場合には、自賠責保険等によって支払われる金額とします。)の合計額をいいます。 ①当社と保険金請求権者との間の協議 続きを読む »

 度々、テーマにしてまいりました、人身傷害ですが、近時の約款改定で各社、様々な変更を進めています。    今夏の弁護士研修でも取り上げた、不合理な約款の一つを挙げます。これは些末な改定ではすまない内容です。何せ、発売以来、最大の売りにしてきた、「自分の過失分を引くことなく、損害の全額が補償される」=夢の保険が壊れたからです。以下の表の国内社、及び通販系ではアクサ、SBI、チューリッヒが類似の約款としています。

 加害者に賠償金を請求する前に、人身傷害保険で自己の慰謝料や休業損害を先に受け取ることができます。そして、後遺障害が残れば、その慰謝料と逸失利益も相手と示談して賠償金を得る前に全額が受け取れる、非常に安心感に溢れる保険でした。   c_y_101  しかし、以下の会社は、「相手がいる場合、(相手からその責任分をいずれ受け取れるのだから)自己の過失分しか払いません」としました。相手に任意保険がある場合、いずれ、相手から相手の過失分に相当する賠償金を受け取れるとは思いますが、先行して全額の補償が得られないことになります。

 下表は「賠償先行」、「人傷先行」の場合、それぞれ裁判基準か人傷基準かを一覧表にしたものです。

 何のことやらわからない方は、こちらで復習を ⇒ 人身傷害特約 支払い基準の変遷

損 保 約 款 賠償先行     人傷先行  全 額  過失割合分 あいニッセイ 28-4-1 訴訟基準 訴訟基準 協議・裁判・調停 AIU 26-7-1 訴訟基準 訴訟基準 協議・裁判・調停 富士火災 27-10-1 訴訟基準 訴訟基準 協議・裁判・調停 大同火災 27-10-1 訴訟基準 訴訟基準 続きを読む »

山本さんイラストsj

 はじめに述べました通り、味覚障害・嗅覚障害は交通事故で鼻や顔面の骨折、脳挫傷等の器質的損傷が認められていれば、神経や脳がやられている可能性があり、疑われることは少ないですが、器質的損傷が認められない場合には、保険会社は疑う可能性が高いです。

 さらに、器質的損傷が認められていない場合には特に大切ですが、いずれにしても症状が確認できたら直ちに医師や保険会社に相談する必要があります。何故なら、受傷直後の段階からでも、食事等をした際に気付くはずだからです。また、味覚・嗅覚の障害は交通事故外傷だけではなく、ストレスや病気、更年期障害等で発症することがあります。    c_n_6  事故から数カ月目で症状が現れた場合、仮に事故後すぐに発症しても相談するのが遅くなってしまった場合、交通事故によるものではなく、別の病気によるものではないかと保険会社は疑い、また病院も事故によるものかどうかを判断できなくなります。最悪、保険会社は通院治療費も出さない対応をすることもあります。症状を訴えることを遅れてしまった場合、後遺障害の申請の際にも影響が出ます。

 後遺障害申請では、自賠責調査事務所は醜状痕を除き、原則、書面のみで審査をします。発症したかどうかは、原則、診断書で判断することになります。事故から数カ月経過した診断書で傷病名や症状が書かれても、保険会社や調査事務所は事故によるものではないのではないかと疑いやすくなります。

 どうしても診断書のみでは受傷直後に発症したかどうかがわからい場合、最悪、受傷直後のカルテや看護記録等を開示請求して内容を確認することがあります。過去の案件で、受傷直後の看護記録に嗅覚についての記載がわずかに残っていたため、看護記録も申請時に提出したことがあります。なお、その案件では12級相当が認められました。

 しかし、カルテや看護記録の開示請求は、病院側はとても嫌がります。治療面でも後遺障害の申請面でも医師には協力して頂かなければなりません。なるべく医師の負担になるようなことは避けるべきです。   

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 久々の仙台出張です。翌日は秋分の日なので、思い切って鳴子温泉に逗留、休暇としました。恒例の温泉レポートをさせていただきます。    鳴子温泉郷は国内で大別される11種類の泉質のうち9種が揃う、温泉銀座です。7年前は鳴子温泉駅から川渡温泉まで歩いて湯めぐりをしました。今回は共同湯マニア垂涎の「滝の湯」をメインにすべく、宿はその隣、これまた温泉ファンに人気の「ゆさや」さんに宿をとりました。鉄筋コンクリートのホテルが並ぶ中、「風情」という賜物を得るために、古い木造二階建ての旅館には何としても泊まっておかなければならないのです。  2016092212430000  そして最大の恵みは、白濁の硫化水素(≒硫黄)泉が、ゆさやさんの「弱アルカリ性」と、隣の滝の湯の「酸性」と、交互に堪能できるのです。  2016092212430001続きを読む »

 高次脳機能障害の仕事、仙台は2度目です。

 高次脳機能障害の立証であれば、全国各地に出向きます。なぜなら、現場で経験を積んだコーディネーターが動くことにより、遺漏なき医療調査・医証収集が達成できるからです。机上の理論、単なる書類収集作業では見落とされることが頻発します。これは書類審査のみで判断される高次脳機能障害の宿痾とも言えます。

 当地の弁護士先生の要請により、仙台入りした当日、本人、家族の面談を行いました。本人の観察、家族からの症状聴取を行えば、想定等級が決まります。

 翌日は主治医面談を実施しました。主治医の認識、実施された検査の数値を確認すれば、立証計画の策定に進むことができます。追加が必要な検査を打診、または他院への検査誘致を検討します。 doc-web  短時間の面談で医師の協力を取り付けなけれななりません。今回も治療と障害の立証、それぞれに理解のある医師で安心しました。医師との折衝から、本件は家族の観察を重視、それらを医師へ詳細かつ的確に伝達することで、精密な診断書の作成が可能と判断しました。

 このような判断は相当の経験を積まなければできないはずです。手前味噌ですが、日本で高次脳機能障害を最も経験している行政書士事務所は、秋葉事務所かと自負しているところです。

 多くの弁護士事務所から自賠責保険の手続き、言わば立証局面で協力要請を受けております。被害者救済に専心した、そして裁判に勝ちたい弁護士先生からのアプローチを常にお待ちしています。  

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山本さんイラストsj頑張っています!

 接骨院偏重、通院日数が少ない、MRI検査が遅れた・・・これら認定上の不利を覆すものは、やはり、神経症状の有無と症状の信憑性です。認定されるべき被害者さんが等級を取りこぼさないよう、しっかりフォローしています。   14級9号:頚椎捻挫(40代女性・静岡県)   14級9号:頚椎捻挫(20代男性・埼玉県)   併合14級:頚椎捻挫・腰椎捻挫(30代女性・神奈川県)   c_kei_3  

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堀越さんイラストsj堀越が調べました!

 ペット保険について調べてみました。まず第一に、動物は人間と違って、診療はすべて自由診療となります。ペットの治療費は全額、飼い主負担で高額となります。保険が望まれるようになったのは自然な流れと思います。

 ペット保険は、約27年前にイギリスで、愛犬のためにある女性が設立した保険会社から始まったそうです。現在では各国でペットに対する保険が数多く普及されているようですが、その背景には、我々のペットに対する価値観が変化しつつある傾向にあるように思われます。

 現在、日本には数多くのペット保険会社が存在します。そこで、ペットに対する保険についての通院・入院・手術等に対する損害保険について、3社を例にあげてみました。各ペット保険会社を比較してみますと、金額、システム、プラン等はさほどの変化はありませんが、大きな違いは、日額あたりの支払の限度額や利用できる日数に限度がある商品なのか、年間あたりの支払の限度額だけが設けられている商品なのかであります。   <主なペット保険の比較表の例>

アイコム損害保険 どうぶつ健保ふぁみりぃ

通院(限度額・限度日数)  日額1万4千円・20日間 日額1万2千円・22日間 入院(限度額・限度日数)  日額1万4千円・20日間 日額3万円・22日間 手術(限度額・限度回数)  1回14万・2回 年間の保険金支払い限度額  84万円 続きを読む »

 私達の仕事の主目的は後遺症の残った被害者さんに、間違いの無い後遺障害等級の認定をさせることです。

 そのような方針でずっとやってまいりました。したがって、主に相談の対象は後遺症の残る重傷者となります。それはこれからも変わらないでしょう。しかし、先週末の東京相談会は盛況で、後遺障害の対象ではなくとも、入通院期間の慰謝料や休業損害を巡った示談交渉を要望する被害者さんが多くみられました。    当然ですが、人身事故被害者の96%は後遺障害など残らない軽傷者です。後遺障害の対象は4%程度なのです。つまり、後遺障害を残す被害者さんは少ない。では、後遺障害の対象とならない被害者さんに対して、6ヶ月程の治療期間の慰謝料を巡る交渉は必要でしょうか?

 検証してみましょう。骨折の無い、6ヶ月の通院で示談の場合、保険会社の提示60~70万円に対して、弁護士が請求する裁判基準は80~100万円、その差は20~30万円程度といえます。仮に弁護士に依頼して20~30万円の報酬を払ったら、その差額は0円になってしまいます。下手をすると経費が別途かさみ、費用倒れの恐れもあります。

 したがって、軽傷者への有償対応は積極的とはなりません。以前、交通事故を主業とする他事務所さんいくつかとお話をする機会をもちました。「そもそも後遺障害の対象者は少ないので、軽傷者さんでもできるだけ募って受任する」ような方針を聞きました。マメなことだと感心する一方、商売に徹しているなぁとも思いました。以前もこのHPで語ったように軽傷者は、保険会社の提示額であっても、それほど損はなく、救済対象から遠いと思っているからです。

 それでも、弁護士費用特約(以後、弁特)の存在が20~30万円の差を埋めてしまうのです。弁特で報酬が支払われるのであれば、差額はそのまま被害者さんの経済的利益になります。「弁特があるから・・」とのような軽薄な仕事はしませんが、軽傷といえど、上手に示談交渉ができない、交渉によっては大幅に増額する被害者さんも少なからず存在します。これは弁護士の仕事として、一定数はお助けする余地があります。誤解のなきように言いますと、それは弁護士以外の、例えば自賠責保険手続きをする行政書士の仕事ではありません。その点、利益に走った無駄な自賠責申請などは慎むべきでしょう。

 まとめますと、軽傷者さんは保険会社との直接交渉で解決させることが自然です。その内一定数、代理交渉が必要な被害者さんは仕事の対象となります。そこには被害者さんの事情を斟酌すべきで、その受任判断には倫理感が必要となります。費用対効果だけで語ってはいけないように思います。

 この硬派な姿勢を堅持しなけければ、交通事故業務は(交通事故被害と言う)人の弱みに付込んだ、単なる金儲けに成り下がるでしょう。 pics260  

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山本さんイラストsj シリーズ3回目です

 嗅覚についての必要な検査として、① アリナミン検査(P)、② T&Tオルファクトメーター検査、があげられます。    ①アリナミン検査(P)とは、においがする物質(アリナミン注射液、プロスルチアミン注射液)を静脈に注射して、肺から気化することで自分の呼気から自分でにおいを自覚できるかどうかを検査するものです。

 ここで感じるにおいは、甘い香=ニンニクに含まれる成分であり、市販の栄養剤、滋養強壮ドリンクに含まれているものです。

 この点、アリナミン検査には、もう一つ、フルスルチアミン塩酸塩を使用した、アリナミン検査(F)というものがあります。

 ここで注意が必要なのは、自賠責保険で重要視しているのは、前者のアリナミン検査(P)であり、後者のアリナミン検査(F)は参考にしか使われない点です。病院によってはFの検査しかやらない場合もあり、また、医師もどちらかがわからないで実施している場合もあります。よって、Pの方の検査をして頂くためには、慎重になる必要があり、紹介先や通院している病院で実施できるかどうかを調べる必要があります。   ②T&Tオルファクトメーター検査とは、ニオイ紙にあるにおいをつけて、鼻先約1cmに近付けてにおいを嗅ぐことで、何のにおいがするかを当てる検査です。

 においは5種類あり、バラのにおい、焦げたにおい、腐敗臭、甘いにおい、糞臭があり、さらに、においの濃さを、原則、5段階で分けて検査します。しかし、焦げたにおいの場合は検査液を作成できないため、例外的に、4段階で分けて検査することになります。

 検査結果を表に○と×でチェックを入れて記載されます。この点、○は検知域値(においを感じる所)、×は認知域値(どんなにおいかわかった所)であり、自賠責等級は×の方の数値を計算して決まります。

 数値は、5種類の×の各段階の数値を合計した数値を5で割ることで原則出します。しかし、チェックの下に下矢印が記載されている場合があります。これは、5段階で測定できなかった場合に記載するもので、その場合はその種類の数値に1を足して計算します。

 計算式:(A+B+C+D+E)÷5

 自賠責等級は、嗅覚を喪失した場合は12級相当が、脱失した場合には14級相当、がそれぞれ認められます。 具体的には数値が5,6以上であれば12級相当、2,6以上5,5以下は14級相当です。なお、上記数値の最大値は5,8です。

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 鉄道会社の賠償請求は・・・敗訴 ⇒ 自社の損害 ⇒ 損金? or 新しい保険で損害補填?    まさに、新保険誕生の土壌作りが今回の裁判だったのではないでしょうか。以下、yahooニュースの記事を続けます。    訴訟の意図は「敗訴」と「悪人の不在」

 この裁判は「認知症という社会問題と企業の対応の仕方」といった問題を浮かび上がらせた。しかし、JR東海の意図は違う、と私は考える。JR東海の意図は損金処理の下地作りだ。むしろ、JR東海は敗訴を想定して訴訟を起こし、一審の勝訴こそ想定外、二審も不服、最高裁判決の敗訴で安堵した。むしろ、JR東海は敗訴するために訴訟を起こした。負けて勝つためだ。

 そもそも資本金1000億円を超え、売上高1兆円以上、約2500億円の利益を得るJR東海が、1つの家族に対して、たった720万円程度の損害補償を求めるという行為を疑う。事故は不可抗力であり、この程度の金額なら損金処理で済ませてもよさそうだ。いじめと批判されても仕方ない。ちなみに最高裁判決があった3月1日のJR東海の株価は2万365円で、前日より150円高。翌日3月2日の株価は2万750円と上昇した。最高裁敗訴は企業イメージにとって良くないけれど、株価は下がらなかった。

 仮に、JR東海の目的が約720万円の損害補償ではなかったと考えてみよう。JR東海が金銭の代わりに欲しかったモノ。それは「損金処理の裏づけ」ではなかったか。JR東海にとっては小さな金額でも、損金処理をするためには「損害賠償の請求先がない」という事実が必要になる。上場企業として、損金処理には確固たる説明責任がある。事故の被害者はJR東海であり、本来は事故を起こした責任者が補償すべきだ。しかし、相手に悪意も責任能力がなければ、自社で処理するしかない。

 そこでJR東海は裁判を起こした。敗訴が前提にある。訴訟の意図は、この事故に対する「責任者の不在」だ。最高裁判所はJR東海の意図通り「JR東海の過失はなく、遺族にも過失はない」という判決を出した。今後、これが判例として有効になる。同様の人身事故が発生して損害が出たとしても「最高裁が認めたから損金処理しますよ」となる。最高裁判決だから株主も文句を言えない。    大企業が遺族をいじめるという意図ではなかった

 JR東海は最高裁判決で敗訴した。それでいいのだ。意図通り。まさしく「負けて勝った」。もともとJR東海は事故で亡くなった男性や遺族に対し、怒りも恨みはなかったはずだ。とはいえ、裁判の相手に対して訴訟の真意は説明できない。結果的に事故を起こした家族がスケープゴートになってしまった。その意味では「JR東海の家族イジメ」の批判を受けても仕方ない。判決後の様子が報じられていないけれど、JR東海からこの家族に対して、何らかの精神的ケアがあればいいのだが。

   ここまで、あくまでも私の考察に過ぎない。しかし、この仮説が当たっているとすれば、「鉄道会社向けの人身事故損失に対する保険商品」は必要だろうか。

 8月29日付けの読売新聞報道によると、東京海上日動火災保険は9月から鉄道会社向けに、人身事故が起きたときの損失を補てんする保険商品を販売するという。人身事故による車両や施設の補修、復旧にかかわった職員や外注先への人件費、電車の運休による営業損失、振り替え輸送委託先への支払いなど、最大10億円まで補償する。

 認知症患者が亡くなる程度の人身事故損害額は、企業の体力からすれば損金で処理できる程度。もし保険の補償が必要になるとすれば、その規模は、人身事故の結果、列車が脱線し、乗客に死傷者多数、線路際の建物も損壊、というレベルだろう。福知山線尼崎脱線事故のような規模もあるかもしれない。しかし、そのとき、最高10億円で済むだろうか。むしろ、企業におけるさまざまなリスクに対応する、もっと大型の保険になりそうだ。 続きを読む »

先日、注目すべき判決と新型保険発売のニュースを目にしました。

少し前の事故で覚えている方も多いと思いますが、”認知症患者が線路内に侵入し死亡、その処理で鉄道会社に損害を与えた事故”です。

鉄道会社が認知症患者の家族に損害賠償請求を起こしたことについて、世間ではその是非について、議論が絶えませんでした。判決が定まった後、その背景について、示唆に富んだ記事がyahooニュースに掲載されましたので、その抜粋を紹介したいと思います。

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認知症患者による鉄道人身事故損害請求訴訟

 JR東海が敗訴した民事訴訟を振り返る。この事故は2007年12月7日、東海道本線の共和駅で起きた。アルツハイマー型認知症の91歳、要介護4認定、認知症高齢者自立度IV認定の男性が徘徊し、ホーム先端のフェンス扉を開けて線路に侵入。列車にはねられて死亡した。事故の影響で東海道本線の列車20本に約2時間の遅れが発生した。

 JR東海は、振り替え輸送などの費用719万7740円について、亡くなった男性の妻と4人の子に対して損害賠償の民事訴訟を起こした。名古屋地方裁判所はJR東海の請求を認め、男性の妻と長男に全額の支払いを命じた。理由として、男性自身に判断能力がなく責任を負えないとしつつも、妻には男性の徘徊に対する予見と注意義務、長男には監督義務があったと認定した。

 男性の家族側は名古屋高等裁判所に控訴。家族側はJR東海の過失を指摘している。ホーム端のフェンスが施錠されていれば、男性は線路に降りなかったと思われるからだ。しかし、名古屋高裁の判決はJR東海の過失は認めなかった。一方、長男は別居していたため監督義務はなく、同居していた妻には注意義務があったとし、JR東海への支払額を359万8870円へ減額した。当時85歳だった妻も要介護1認定だった。それでも名古屋高裁は妻の監護能力を認め過失を認めた。具体的には、過去の徘徊の経験から、当時も徘徊を予見可能であり、徘徊を察知するセンサーのスイッチを妻が切っていたからであった。

 2016年3月の最高裁で、判決はJR東海の請求を退けた。家族側逆転勝訴、JR東海の逆転敗訴と報じられた。本件の主な争点は、認知症患者とその家族の監督・注意義務であった。高齢化社会の到来にともなって、認知症は社会問題であり、世間の関心を集めた。JR東海に対する弱者いじめという批判もあった。JR東海の立場を思慮した論考は少なかった。

 yahooニュースより (杉山 淳一様 記事) 

次回完結

最高裁で負けたJR。だが狙い通りだった?JRの狙いが凄すぎた

 

 

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 最近は事務所内で月1~2回勉強会を実施しています。実践的な知識は即、業務の役に立ちますが、知識の根底となる理論を固めておくことも大事です。

 それでは、昨日の「自賠法と民法」のテーマから、よく質問されることについて、質疑応答形式で回答しましょう。 c_n_10

(質問)  交差点で出会い頭の衝突事故にあい、頚椎捻挫になり通院をしています。また、車の修理費も40万円ほどかかるそうです。相手保険会社の担当者は20:80と、私にも20%過失があると言っています。しかし、ケガの治療費は何故か全額払ってくれるそうです。

 どうして、相手の保険会社はケガの支払いは過失減額しないで払ってくれるのに、車の修理費は20%減額するのですか? 人身と物損で過失割合が違うなんて、納得できません(プンプン#)   (回答)  それは自賠責保険が優先的に適用されているからです。ケガの場合、任意保険会社は対人賠償保険で支払いを代行しますが、120万円までは自賠責保険から回収できます。但し、物損に関する支払いは対物賠償保険で支払います。物損には自賠責からの支払いはありません。

 自賠責は被害者の過失が7割以上もあるような事故でもなければ、過失減額なしに100%支払いを受けられます。だからこそ、自賠責の限度120万円までは、任意保険会社は過失減額なしに支払ってくれるのです。

 保険会社の対人賠償保険約款は民法を基にしつつ、自賠法を優先適用している側面があります。保険会社担当者は腹の傷まない自賠責の範囲で支払いを済ますこと、これを常に目標にしています。  20120120続きを読む »

佐藤イラストsj前回のつづき  今回は腱反射テストをご紹介いたします。この検査は行われることが非常に多いため、経験ある方も多いはずです。    腱反射テストとは、正式には深部腱反射テストといい、医師が書類に記載する際にはDTRとなっている場合もあります。(Deep Tendon Reflex)の略です。頚部の場合には上腕二頭筋、腕橈骨筋、上腕三頭筋の3か所を検査することが一般的です。上腕二頭筋はC5/6(主にC5)、腕橈骨筋はC5/6(主にC6)、上腕三頭筋はC6/7(主にC7)と言われています。

 検査方法としては打腱器(ハンマーのようなもの)で対象となる腱を叩きます。叩くことによって腱が急激に伸張され反射が誘発されます。 c_kei_7

 結果としては亢進、軽度亢進、正常、低下、消失の5パターンがあり、亢進(+++)、軽度亢進(++)、正常(+)、低下(±)、消失(-)で表示されます。  末梢神経に異常があるときには低下、消失が出現することが多く、脊髄に異常があるときには亢進、軽度亢進が出現することが多いとされています。

※亢進とは異常なほどに反応が出てしまうことを指します。

 しかし、体質や個人差によって反応が出やすい方とそうでない方がいますので、14級であればあくまで参考程度でしか判断されないことが多いかと思われます。  

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