win  糖尿病とは、インスリンの作用がうまくいかず、高血糖状態になってしまう病気です。インスリンとは、血液中のブドウ糖を筋肉や肝臓などへ取込んで血糖を下げてくれるホルモンです。

 糖尿病は、以下の4つに大きく分類されます。

①1型糖尿病  これは、インスリンを合成する膵β細胞が、免疫異常等によって破壊されてしまうことで発症する糖尿病です。多くは子供がなるものですが、中には成人で発症することもあります。

②2型糖尿病  ①1糖尿病と異なり、これは遺伝的な体質や生活習慣病(高カロリーの食事の取りすぎ、運動不足等)等が原因でインスリンの分泌作用が少なくなったり、働きが悪くなったりして発症する糖尿病です。多くは中高年以降で発症しますが、近年では若年者の発症も増加しております。

③妊娠糖尿病  これは、妊娠中に女性ホルモン等が原因でブドウ糖の処理能力が困難になって発症する糖尿病です。基本的に、出産後には正常に戻ります。

④その他疾患に伴う糖尿病  遺伝子の異常によるもの、他の病気によるもの、アルコールの過剰摂取による膵臓の破壊によるもの、等があげられます。

 これらの糖尿病のうち、日本の糖尿病患者の約95%は、②2型糖尿病です。

 糖尿病の症状として、代表的なものは、

・のどが渇くこと ・尿の量・回数が多いこと ・体重が減少すること ・易疲労性、 ・手足の痺れがあること、 ・目がかすむこと、 ・性機能の不全  等があげられます。

 症状の現れ方は、1型糖尿病の場合は急に発症ずるのに対し、2型糖尿病はゆっくり発症するため、気が付かないまま病気が進行してしまう点にそれぞれ特徴があります。    交通事故に遭われた方の中には、既に糖尿病にかかってしまっている方もおりました。糖尿病の症状は、頚椎捻挫(ムチウチ)や後縦靭帯骨化症の神経症状と重なることがあり、事故による症状であるのか否かの判別が非常に難しいことがあります。    次回は、糖尿病患者が交通事故に遭った場合の立証の厳しさについてまとめていきたいと思います。  

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 開放骨折の場合は、骨が皮膚の外に出てしまいます。これは骨の中にばい菌が入り、感染を起こす可能性が非常に高くなります。処置はデブリードマンと言って、傷口はおろか骨までガリガリ削るように洗浄します。それで一安心ではなく、その後も骨折部位に直接にプレートや髄内釘を接触させた結果、感染を起こし化膿性骨髄炎を引き起こす可能性を残します。ひどいと切断の可能性も予想されます。  kaihou開放骨折のガステロ分類  感染症はMRSA(methicillin‐resistant Staphylococcus aureus メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)と呼ばれ、抗生物質が効きづらいので、開放骨折の場合は医師から最も警戒されます。   met  ○ 黄色ブドウ球菌は、基本的に弱毒菌のため、私たちの抵抗力がしっかりあれば、特に重症化することはありません。 MRSAはこの黄色ブドウ球菌の仲間で、性質は黄色ブドウ球菌と一緒ですが、耐性遺伝子を持っており、抗生物質が効きにくくなっています。その為、治療が思うように進まず、患者の抵抗力だけが頼りになる場合が多いのです。重症化すると敗血症、髄膜炎、心内膜炎となり、骨髄炎などに陥って死亡する事もあります。   ○ 緑膿菌は土壌・水中・植物・動物(ヒトを含む)などあらゆるところから分離される常在菌で、ヒト・動物はもちろん、植物にも病気を起こすことがありますが、その病原性は低く、抵抗力のある人はデブリ洗浄で傷口をきれいにすれば、通常は発病することはありません。   続きを読む »

 本日の病院同行は、脳外傷で意識が回復しない被害者さまです。眼球運動はややあるものの、動くこと、話すこと、表情を表すことがまったくできません。意思疎通不能、完全介護状態です。最近は使われていない言葉ですが、植物人間の状態になります。  df7df77d

 事故受傷からもうすぐ3ヶ月、急性期治療はもはや成すすべもなく・・現時点の所見を主治医にご家族と共に伺いました。主治医は「意識が戻るなど、少しでも改善する可能性は0ではないが、ほぼ例がない」と断言しました。それでも家族は「はい、そうですか」と簡単に受け入れることはできません。「なんとか・・わずかでも・・可能性があれば・・どんなことでもします・・お父さんの意識を戻すことはできませんか」何度も何度も医師に食い下がります。医師はその言葉を一つ一つ丁寧に受け止めますが、やはり答えは限りなくNOなのです。家族の顔に疲労と絶望が入り混じった陰が差します。

 映画「レナードの朝」のような奇跡が起きればよいのですが、奇跡はあくまで奇跡です。最近ではミハエル・シューマッハが覚醒した例(脳損傷による昏睡状態からおよそ5ヶ月で覚醒した)が有名です。

 続いて、私は転院の打合せ、必要な診断書、その他必要な事務について医師や事務方に働きかけて現場の調整を図りました。家族だけでこの難局を乗り切るのは相当にヘビィです。

 そして、帰りに被害者さんへ直接、挨拶をしました。ご家族と共に大声でしっかりと話しかけます。聞こえているかどうかはわかりません。しかし、漫画のブラックジャックで、”植物状態の患者の心が生きていて、実は周囲の会話をすべて理解していた”話がありました。私はそれがどうしても頭から離れないのです。

  「お父さん、秋葉と申します。色々とお手伝いさせていただいています。長いお付き合いとなりますが、今度ともよろしくお願いします!」 さらに、

「もし、聞こえていたらまばたきを2回して下さい!」

   すると、なんとなくまぶたが動いたような(!!!)偶然かもしれません、しかし、それだけでも家族にとっては希望です。これからもこのような声がけをご家族は続けていくと思います。

  (追補)  勉強のため随行した今月入所の新人(補助者)にはよいOJT、いえ、人生経験になったと思います。言葉は要りません、これがMC(メディカルコーディネーター)の仕事なのです。  

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 以前、同業の先輩先生に「正確な後遺障害診断書を書いていただくために、気心通じている整形外科に誘致するか、できるだけ通院先で書いていただくか」について意見交換をしました。

 その先輩先生は「なるべく通院中の病院で」と断言しました。”自然が一番派”でしょうか。一方、医療機関との連携を誇示している(弊事務所もそうですが)先生は、気安い病院へ転院させて医証を仕上げることを売りとしています。確かにこれは楽な道です。毎回、未知の病院・医師と折衝することは大変な緊張を強いられます。

 では、私達の姿勢を言いましょう。ずばり、”無形の位”です。柳生新陰流の奥義です。これは剣をだらりと下げて、一見構えをとりません。ノーガード戦法が思い浮かびます。この奥義は先に形を決めず、相手に応じて”後の先”を取る事です。”後の先”とは剣道では”出小手”、ボクシングではカウンターに例えられるでしょうか。

nogerd  どんな医師であっても誠意をもって説明すれば、それなりの診断書は上がります。より積極的に、関節可動域の測定や検査に立ち会うこともあります。また、面談せずとも手紙で診断書依頼、記載事項を訴えることもよく行います。患者に事前に説明して医師へ伝達することもあります。それでもどうしてもこの病院に通ってはいけないと判断した時は転院させます。それは全体の5%に満たない珍事です。

 医師との折衝にはおよそ10パターンもの手段を駆使します。つまり、”無形の位”とは臨機応変を指すのです。どのような相手、状況であっても最善の対応をすることです。例えば、「医師面談は有効か無効か?」など、方法論を議論しているようではアマチュアです。どちらが正しいかではなく、「この場合、どちらを選択するか」がプロの判断です。所詮、目的は間違いのない等級認定、方法は単なる手段に過ぎません。

   医療立証の業務に熟達した者は”無形の位”を会得しています。

 弊事務所では、新人を教える際、何をもって免許皆伝とするか・・この”無形の位”が出来るようになった時と判断しています。ワンパターンで対処する仕事はビジネス効率としては有効でしょう。これはマニュアルの作成・実行で済むからです。しかし、被害者からはもちろん、弁護士事務所、保険会社、病院、交通事故に関わるあらゆる機関から信頼を得るメディカルコーディネーターはマニュアル人間では勤まりません。

 どのような仕事でも臨機応変が望まれます。残念ながらこれが出来る人と出来ない人に分かれます。その人の資質に大いに負託するからです。それでも、少なくともこれができなければ、私達の仕事は単なる「交通事故ビジネス」に成り下がるでしょう。

 来週は珍しく転院ミッションが控えています。   

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 用語説明です。

 病院や介護施設における医療介護情報提供書のことを指します。入院中の患者の治療や経過、検査結果など、すべての診察内容の記録を要約したものであり、別の機関への申し送りを円滑に行うため、看護サマリーや退院サマリーなど様々な種類があります。  診察内容の記録の要約ですが、具体的には退院後、転院後の患者への処置を指示したものや、検査結果の数値及び説明などが書かれることがあります。  

 検査先の病院と診断先の病院を結ぶ、このサマリーが後遺障害の立証上、大変重要な書類となります。高次脳機能障害の場合は特に治療や診断をする病院と検査を行うの病院が違うことが多くなります。検査先の病院で行った神経心理学検査等の資料を回収し、診断先の主治医に託すことになります。この橋渡しはメディカルコーディネーターが担うことになります。    今日の病院同行でも、まず担当医 → OT(作業療法士)の説明 → CT(臨床心理士) → ST(言語聴覚士)と 院内を被害者家族と共に面談、各担当に「サマリーをよろしく!」と言って回りました。

 本件も高次脳機能障害の客観的なデータを確保しました。材料の揃った状態でシェフに料理をオーダー、つまり、後は主治医に診断書を記載していただくのみです。

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 10回にわたり下肢実績を投稿しましたが、続いて上肢、とくに手首~上腕を特集してみましょう。

 まずは読影力が光った実例です。繰り返し言っていますが、治療を目的とする医師の読影と後遺障害を立証する私たちの読影は視点が違います。診断書を医師任せにした結果、多くの被害者は後遺障害を取りこぼしていると危惧しています。被害者さんは相談先を選ぶ際、その法律家が画像を観ているのか否かはもちろん、できれば読影力を推し量るべきと思います。「主治医に診断書を書いて来てもらって、内容を精査してから審査に提出するから」としか言わない相談先は不安ですよ。

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併合11級:橈骨遠位端粉砕骨折(40代男性・神奈川県)

【事案】

バイクで渋滞の2車線道路の間を走行中、左側の自動車が急に車線変更したため衝突、右手首、左手甲を骨折したもの。その後、1年の通院を経て症状固定前に相談会に参加された。

【問題点】

まず画像である。粉砕骨折した橈骨を確認、骨折の割に癒合状態はまずまず。続いて可動域の計測をしたところ4分の3制限を計測。以上から12級6号を予断したが、これではあまりにも普通の対応。数多くの相談先から私たちを選んでいただいたが、期待に応えることができたのか?何か物足りなさを感じた。

【立証ポイント】

相談会後、画像を改めて読影したところ尺骨の茎状突起部が骨片化していることに気付いた。もちろん診断名はない。これは以前にも経験したパターン。早速、主治医に面談し、指摘したところ「あ、確かに骨片化しているね。これは手首に深刻な影響はないけど、診断名が必要なの?」と。そこで、後遺障害診断書に「尺骨茎状突起部骨折、癒合不良、骨片化」と改めて記載、長管骨の変形欄に「イ ...

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 下肢の未投稿実績はまだ残っていますが、キリがいいのでシリーズはここまでにします。最後は、そのまま申請したら併合11級であったであろう案件を一つ引き上げた仕事です。等級一つでも数百万円賠償金が膨らみます。特別に私に依頼下さった弁護士先生&被害者さまの期待に応えることができました。

kaihou  本件はガステロ分類タイプⅢA(真ん中)

併合10級:脛骨・腓骨近位端骨折・下肢醜状痕(40代男性・神奈川県)

【事案】

ツーリング中、後続バイクの追突で転倒、右下肢の脛骨・腓骨を開放骨折。創外固定、受傷部の皮膚移植を施行。その後、危惧していた感染症を併発し、治療は2年以上を要した。既に弁護士に委任も、症状固定を前に後遺障害の医証まとめに特化した依頼を受けた。

【問題点】

重傷で苦しんだ以上、等級の取りこぼしは許されない。できうる最大の等級獲得を検討した。脛骨・腓骨が近位端骨折であるゆえに膝関節の可動域制限12級は余裕で立証できる。醜条痕も見ての通り。しかし、本件の問題は足関節の可動域制限の原因であり、その究明が必要であった。

【立証ポイント】

主治医と共に改めて読影を行い、脛腓骨・骨頭部の交差部の癒着が原因であると結論、それを診断書に落とし込んだ。足関節の機能に腓骨頭の可動が影響することを学んだ。これで膝関節と足関節でそれぞれ12級7号を確保、11級相当とした。

次に、実際に動かして検証してみた

続いて醜条痕を写真撮影、別紙にて詳細に大きさを計測・記載、万全の医証で提出した。その後、醜状痕の面接には念のため弁護士の立会いをお願いした。

結果、醜状痕でも12級相当をゲット、併合10級にまとめた。これがお金を頂くプロの仕事。  

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 昨日の記事から専門用語を解説します。それと専門医から最新の治療情報を。

  ※1 デブリ洗浄=デブリードマン、デブリードメント、略してデブリと呼ばれます。感染、壊死組織は 正常な肉芽組織の成長の妨げとなるため、は創傷外科治癒において最初の処置です。  開放骨折の場合、傷口を洗うような生ぬるいものではありません。骨折面のゴミや骨片を洗浄・除去するにとどまらず、骨と骨髄をゴリゴリ削り取ります。感染症のリスクを低くするため、なるべく多めに組織を除去する必要があるのです。したがって骨の癒合・再生は遅くなります。  

※2 イリザロフ法=1951年、ロシアの医師ガブリル・イリザロフが初めて実施しました。人工的に骨を切り、創外固定器(通称、イリザロフ)をつけます。 そして、外から1日1mmぐらいのペースで骨の隙間を広げていきます。その間、骨の自然治癒力により隙間が修復され伸びていくわけです。最近ではケガ(下肢の短縮障害)だけではなく身長を伸ばす手術としても知られています。原始的な方法ですが脚を伸ばすには最も効果があります。 c_g_l_26

★ 最新知識

 本日、専門医の面談にて、感染症の監視のためのPET検査があり、これが有用であることを聞きました。開放骨折では感染症を防ぐことが基本中の基本です。PET検査は一般にガン検査に用いられますが、この専用PET検査はまだ一般的には流布していないようです。

pet_001続きを読む »

 現在、下肢の重症案件を数件お預かりしています。下肢の骨折の中でもやっかいなのは開放骨折です。これは骨折部が皮膚を突き破り、外に出てしまった骨折を指します。人体の内部での骨折と違い、骨の内部にゴミやばい菌が入ってしまうからです。 kaihou 過去記事 ⇒ 開放骨折のガステロ分類  治療は骨の整復の前に、骨の開放部のごみや骨片を綺麗にする必要があります。洗浄と言うより、骨や骨髄までゴリゴリ削り取る作業です。ばい菌を残さないために組織ごと、多めに削り取らなければなりません。したがって骨の癒合が大幅に遅れてしまうのです。これを「デブリ洗浄」(※1)と言います。  そして、ばい菌が暴れださない様、血液、骨髄の監視が続きます。昨年、ようやく解決した被害者さんは受傷から1年後になって感染症となり、せっかく骨も傷口も塞がってきたのに、再度切開し、感染部をデブリ洗浄しました。また整復のやり直しです。おかげで症状固定まで3年を要しました。

 現在も感染症の危険を抱えた、開放骨折の依頼者さんを3人お預かりしています。治療費を支払う保険会社との折衝、長期的に診てくれる病院・医師の確保で奔走することになります。場当たり的で何もできない病院には早く見切りをつける必要があります。また、相手保険会社からしっかり治療費を確保しなければなりません。保険会社としては長期かつ手術が数度伴うので健保の使用を強く要請してきます。しかし、病院側は健保使用により、イリザロフ法(※2)など特殊治療、入院期間の縛りなどの治療内容の制限がなにかと妨げになるので困ります。自由診療による治療費の利益(=健保の2倍以上)だけの問題ではないのです。  このような周囲の思惑が絡み、うかうかしていられないのです。色々な調整、交渉が必要となりますので、ここはメディカルコーディネーターの真骨頂です。

 交通事故の解決では、この前半戦が重要となることがしばしばあります。重度の骨折の被害者さんは早期に専門家を確保して下さい。賠償問題は後回し、まずは自らの足で再び歩くことが目標です。

※1~2は明日解説します。  つづく 

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 今朝は新幹線で宇都宮、先ほど帰宅。ここ数日の医師面談から・・

 事前に「怖い先生」「厳しい先生」と聞いていました。しかし、毎年200回以上、医師面談をしていれば、どんな先生であろうと今更びっくりはしません。本件も実際にお会いして、お話をした結果、すんなり診断書の記載を了解していただけました。修正・追記も了解いただけました。特に難しい先生とは感じませんでした。

 やり取りはわずか3~5分です。医師は多忙で患者の診断に分刻みですから、だらだら話をすることを嫌います。理路整然と要望を伝え、無駄を極力排した折衝としなければなりません。医師も人間、色々なパーソナリティーがあって当然です。私達、メディカルコーディネーターの「コーディネーター」とは調整役という意味です。あらゆる相手・条件・場面でも調整し、まとめ上げるのがプロの仕事です(たまに失敗もありますが)。

 中には上手く医師と折衝して診断書を記載依頼できる患者さんもいるでしょう。しかし、現実は患者さんが医師と上手に話をまとめることは難しく、特に口下手な患者さん、遠慮がちな患者さん、気の短い患者さん、いずれも上手く交渉ができません。多くは、医師のとの相性で運命が左右されてしまうものです。結果として良い診断書が仕上がりません。やはり、少なからず専門家の手助けが必要です。交通事故賠償の世界では、メディカルコーディネーターは潜在的に望まれている、隠れた仕事と思います。人知れず頑張らねばなりません。

 診断書の記載依頼、これは書類のやり取りだけでは埒が明きません。医師にしっかり説明・申告しなければ、不正確で内容の乏しいものとなります。それで等級を取りこぼしては泣くに泣けません。医師面談が決め手となることが多いのです。

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 すでに審査中の案件ですが、未提出画像の追加提出を調査事務所からリクエストされることがあります。当然ですが、全画像を完璧に提出しなかった当方に落ち度があります。 c_g_a_6  画像検査の記録を見落としてしまったのか?それとも病院側がCDに焼きもらしたのか?多くは些細なミスです。もっとも困るのは病院に問い合わせたところ・・・「その画像は存在しません」です。大病院の場合、文章課や開示記録係といった窓口で問い合わせます。しかし画像が無いと回答された場合、自賠責調査事務所にそのように回答するしかなくなります。しかし画像検査の記録が残っている場合、調査事務所も引きません。つまり板挟みの状態に陥るのです。

 めったにあることではありませんが、事前認定を進める保険会社の担当者や被害者請求手続きをする私のような業者は画像の取集で苦労しています。最近はCD-ROMが中心なので、焼きもらしが画像不足の主な原因です。しかし数年経過したフィルムの場合は画像倉庫に保存されますので、病院の担当者さんに一苦労をかけてしまいます。そして医師法上の保存期間は5年です。

 医証は時間が経てば経つほど散逸しがちです。それは障害の立証を科せられた被害者側に不利に働きます。書類・画像の確保の意味からも、事故の解決は早めに進めるべきです。

 毎度のことですが早めの相談で早めの申請、そして異議申し立てをすることがないよう、初回で完璧に書類を揃え、万全の申請をしなければなりません。  

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 今日は千葉県房総半島です。日差しは相変わらず真夏のそれ。しかし日陰の風は程よくさらっとしています。

2014090208370000内房の駅の多くは高架で線路をまたぎます 

 さて、本件ですが腰椎圧迫骨折の確認です。診断書に「圧迫骨折」と書かれていても、それが事故によるものではないことがあります。高齢者の場合、転んだだけで、もしくは自然に腰椎が圧潰していることがあります。事故による新鮮骨折か否か・・これはレントゲンよりMRIが頼りになります。ざっくり言って、T2強調で水分反応が強く出れば新鮮骨折ですが、弱ければ陳旧性(≒古傷)となります。 20110805MRI STIR確認 ...                <p><a class=続きを読む »

 東京研修会、お疲れさまでした。研修会のレポートは後日まとめます。

 今回は2日間、みっちり高次脳機能障害です。参加された弁護士先生の感想も概ね好評でした。とくに「弁護士会主催の研修では判例研究に終始しているが、こちらは実践的で即、役にたつ」「等級認定がいかに大事か、他の研修では等級獲得という視点が欠落している」・・・手前味噌ですが、被害者を救済するための実戦力を付けて頂くための研修を行っています。判例・法律研究も大事ですが、まずは目の前の被害者を助けなければなりません!

 さて、研修内容からその実践力を示す一例を挙げます。今研修では脳障害で少なからず併発する嗅覚障害の判定について、演習問題を実施しました。

 どのホームページでも嗅覚障害についての記載は、

 数値5.6 以上 嗅覚脱失 = 12級相当

 数値2.6 以上 5.5 以下 嗅覚の減退 =  14級相当

 とあるだけです。でも検査表の見方、わかっているのかなぁ?きっと専門書や交通事故110番のHPを写しただけじゃないですか。一体どれくらいの専門家さんがこの数値を理解しているのかとても心配です。

 以下、テキストから抜粋します。研修会では表の見方、数値の計算方法を伝授します。本気で後遺障害に取り組みたい先生は今からでも大阪研修会にお申込み下さい。  

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 最近、弁護士先生から寄せられた質問について、質疑応答。(内容は若干脚色しています)  

Q)肩甲骨を骨折した被害者さんですが、肩関節が脱臼し、もちろん整復はなされたのですが、以後も2度脱臼を起してしまい、肩関節に不安定性を残しています。この場合、後遺障害の認定は何級でどのように立証したらよいでしょうか?  

A) 不安定性と脱臼癖は程度の差と言えるかもしれません。

 イメージでは 不安定症 < 動揺性肩関節 < 脱臼ぐせ < 完全脱臼

 脱臼は大きく分けて2種、関節唇の損傷による前方脱臼(図1)であるバンカート病変、上腕骨の骨頭の損傷によるヒルサックス病変です(図2)。他には後方脱臼も外傷によって起きることあります。 バンカートxp続きを読む »

 本日の病院同行は軸椎の椎弓骨折の被害者さんです。事故から2年、受傷後2本のスクリューで椎弓固定術を施し、昨年末、抜釘しました。本人のリハビリ努力の成果で可動域も回復傾向です。  本件の問題は未だ医師の経過観察が続き、症状固定していないため、補償問題が進まないことです。早速、医師面談で骨の癒合状態、経過の説明を受けました。癒合も完了し、特に異常はないとのこと。画像も見せて頂きましたが変形・転位もなく、可動域制限の回復も頷けます。

 医師は「次は11月の診断にしましょう、予約日はいつにしますか?」と言いました。

 すでに被害者さんと症状固定と後遺障害診断へ進めることを打ち合わせ済です。

 私は「症状固定と判断できる状態であれば、補償問題に進みたいので、先生いかがでしょうか?患者さんも早く解決へ舵を切りたい意向です」と意見具申しました。

 医師は患者の意向を尊重し、後遺障害診断書の記載を快諾いただけました。

 おそらく一番ほっとしているのは相手保険会社の担当者さんでしょう。

 症状固定日は患者の状態を見て判断するのが第一ですが、予後の観察を慎重にするあまり、いたずらに解決を伸ばすのは決してよい判断とは言えません。

 メディカルコーディネーターの仕事は結果として相手の保険会社さんに感謝されることもあります。

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 熱を下げたり、痛みをやわらげるお薬です。 成分はアセトアミノフェンです。

karona-ru 「アスペイン」、「アテネメン」、「アトミフェン」、「アニルーメ」、「アンヒバ」、「カルジール」、「カロナール」、「トーワサール」、「ナバ」、「ネオセデナール」、「ピリナジン」、「ピレチノール」これらの薬品名はアセトアミノフェンが主成分となっています。  

【効果】

 作用のおだやかな解熱鎮痛薬です。皮膚の血管を広げて熱を放散させる作用や、痛みの感受性を低下させる作用があります。ただし、対症療法薬ですので、熱や痛みの原因そのものを治すことはできません。

【薬理】

 アスピリンと同様にシクロオキシゲナーゼ (COX) 活性を阻害することでプロスタグランジンの産生を抑制します。しかし前述のとおり、アセトアミノフェンはアスピリンやイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と異なり、抗炎症作用をほとんど持っていません。

 正常な服用量においてアセトアミノフェンは非ステロイド性抗炎症薬と異なり、胃を刺激せず、血液凝固、腎臓あるいは胎児の動脈管収縮などの影響がありません。また、オピオイド系鎮痛剤(モルヒネなど、トラムセットが有名)と異なり、興奮、眠け、などの副作用がなく、依存性、抵抗性および禁断症状がないという利点を持っています。

【交通事故外傷では】 

 打撲・捻挫、骨折で急性期の炎症の鎮痛に登場します。しかし炎症そのものに効くわけではないので、痛み止めのエース、ロキソニンに合わない患者(ロキソンニンは胃を強烈に刺激するので胃が弱い人)や、発熱を伴うケースに処方されます。

 私見ですが、カロナールなどアセトアミノフェン系の痛み止めが処方される患者のケガはわりと軽傷と思っています。後遺障害が残るような頚椎捻挫では特にロキソニンのアレルギーや特別な理由がない限り、あまり処方されない方が良いような印象をもちます。    

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 相談会会場前で鉄道祭り(だったかな?)をやっていました。大宮と言えば鉄道の街です。長らく電車の基地・整備施設がありました。

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 今回の相談会の所感ですが、「依頼者のニーズ」について。

 交通事故被害者、相談者は何を求めて相談のドアをノックするのでしょう?もちろん、事故の解決に他なりませんが、やはりその目的にも具体的な要望があります。ここで話を難しくするのが、その要望を具体的に説明できない、そして自らもその要望に気付いていないケースです。

 昨日の例では、医師との折衝を苦手とする被害者さんでした。それなりに重傷であるため保険会社の打ち切りは急がされませんでしたが、しばらくして示談金の提示となりまた。慌てて医師に後遺障害診断を依頼しようにも、長い治療期間を要したため、医師が交替していたり、医師が患者にできるだけの治療を終え、治ったとの認識になっていたり・・つまり患者への興味が薄れてしまったのです。

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 相談会で多い相談の一つに、「後遺障害の審査で「非該当」の通知を受け、納得がいかない」があります。

 理由は様々ですが、そもそも後遺障害の基準に達していないケースが多いようです。しかし中には障害等級がつくようなケガ・自覚症状を示しながら、必要な検査を行っていないものが少なくありません。

20140508_3 症状固定時になって初めて「匂いがしない」、「腱損傷がある」、「実は骨折していた」など、なんで受傷してから今まで気づかなかったのよ!と医師を責めたくなる診断書を目にします。しかし医師に必要な検査を依頼し、自らの治療はもちろん、障害の立証をするのは被害者自身です。ダメな医師なら早々に見切りをつける決断も必要なのです。しかしこれは初めての事故、初めてのケガ・症状では少々酷な話でもあります。いつも早めの相談を呼びかけているのはそのためです。

 最近の例では、腱損傷を診断名に書きながらXP(レントゲン)しか撮っていないケースがありました。XP、CTは基本的に骨しか見えません。骨折の診断のための検査です。筋肉、軟骨の類はMRIでないと写りません。したがって診断名に「腱損傷」とあってもそれが写っている証拠(MRI)がなければ、なんの判断もできないのです。これでは却下(非該当)で当然です。

 つまり勝負以前に「土俵に上がっていない」のです。こんな無駄な試合で悔しい思いをしてほしくないのです。  

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 GW前の記事を読んだ被害者さんから質問を頂きました。先日の記事は各関係者に対し色々と配慮が必要であるため、やや不明瞭な主張となってしまったかもしれません。 さて質問ですが、相談会でもよくあるパターンです。今度はわかり易く解説します。(Q&Aのモデルケースにすべく、少し脚色を加えてあります。)  

Q)今年2月、交通事故(停車中に追突された)でむち打ちとなり、治療中です。直後から首の痛みのみならず吐き気、めまいがひどく最初の1週間は会社を休みました。その後、会社に復帰して週2回ほど整形外科に通っていましたが、先生はあまり熱心に診てくれません。そもそも退社後の時間では診察が終了してしまいます。すぐに遅くまでやっている近所の整骨院に転院しました。ここの先生は腕が良いとの評判で、確かに施術も丁寧で親切です。相手の保険会社も問題なく転院と治療費の支払いに応じてくれました。

 しかし秋葉さんの記事を見て「整骨院での治療では後遺障害が認定が不利」とありました。最近は首から手先にかけてしびれもあり、あまりよくなっているとは言えません。また相手の保険屋さんも「もう3か月ですがそろそろどうですか?」とやんわりですが治療の終了と示談を迫ってきています。このまま整骨院で治療を継続でよいのでしょうか?先行きが不安です。  

A) 原則から申し上げれば、患者がどのような治療方法を選択しようがそれは患者の自由です。むち打ちの症例について経験が豊富かつ適切な処置ができる病院であれば心配ないです。しかし下手な病院より整骨院の方が効果が高いことがあります。そのような意味では現在の整骨院を選択されたことは良いと思います。

c_g_a_7 しかし何事もメリットだけではなくデメリットが存在します。本件の場合、しびれなど神経症状が発生しています。これについて病院の医師でなければその事実を診断できません。医師が「単なる捻挫・打撲ではなく、神経症状があること」を診断書に書けば、相手保険会社もそれなりに治療の延長を認めます。しかし現状、病院に行っていないので医師の診断を仰げません。では今更「治療は整骨院でやっていますので診断書だけ書いて下さい」と言ってもお医者さんは面白いわけがありません。その感情を抜きにしても、「しばらくの間、患者を診ていなかったので正確な診断ができない」と記載を拒否します。結果として保険会社から打切りを迫られても抗弁できなくなります。

 さらにこれから3か月後(受傷から半年)、保険会社がかなり強硬に治療費打ち切りを迫ってきます。もしその時点でも症状が残っているのなら、後遺障害の申請をしてある程度の保険金を確保する必要があります。後遺障害がなければ60~70万(保険会社基準)程度の慰謝料で解決ですが、14級9号の後遺障害が認定されればさらに75万円ほど(保険会社基準)加算されます。裁判基準ならさらに100万円以上増額する可能性もあります。後遺障害認定があるかないかでこれほど賠償金が変わるのです。ただし病院に通っていないと、この後遺障害の診断書を書いてもらえなくなる可能性が高いのです。

 つまり、少なくとも医師の指示による転院、もしくは両者を併用した通院が必要だったのです。さらに言わば、後遺障害認定を視野に入れるなら病院中心の治療にすべきなのです。

 昨今の整形外科ではリハビリ、理学療法(機能回復)と付随する緩和治療(症状を和らげる)に積極的です。理学療法士を抱え、設備の充実した個人開業医も増えています。この分野では目的はやや違いながら整骨院と商売敵の状態です。このような整形外科では「できればリハビリの治療費も自院に落としてもらいたい」のが本音です。「他(整骨院等)で治療して、最後だけ病院で診断書を書いて」・・これでは医師もへそを曲げます。このような事情をみても後遺障害の可能性がある場合は病院での治療が望ましいのです。

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 むち打ちが単なる捻挫ではなかったら?    後遺障害が見込まれるほどの重篤な症状を示す患者に対しては、整骨院(以下、接骨院含む)での施術通院をやめさせます。もしくは医師の診断を受けた上で、病院との連携治療を強く提言します。

 とくに、捻挫・打撲の炎症が治まる時期なのに、頚部から上肢にかけて重だるいような痛み、手指にしびれが走るような患者は、神経症状が強く疑われます。病院に戻ってMRI検査を行い、しかるべき治療を進める必要があります。ロキソニンなど単なる痛み止めではなく、神経性疼痛の対処にリリカの服用も検討すべきです。その上で初めて施術、東洋医学の効用を考えるべきなのです。これ以上は単なる行政書士が語るに勇み足、止めておきます。    たまに整骨院から提携の声がかかります 

 現在、整骨院が交通事故を業務とする弁護士・行政書士と連携を進める動きが活発です。とくに、行政書士では以前から整骨院と業務提携をしている話をよく聞きます。私は以前からこの連携の構図が謎でした。なぜなら、昨日断言したように、整骨院に通院すると後遺障害の認定は非常に厳しくなると思っています。私は後遺障害を立証する立場の業者です。私と同じスタンスの行政書士なら整骨院の患者を依頼者とすることはあり得ません。

 昨年、整骨院の先生から業務提携のお話を頂き、色々と話を聞いてようやく謎が解けてきました。   

行政書士と整骨院の連携の仕組み

  <Ω整骨院の本音>

 交通事故患者は相手自動車の自賠責保険から施術料を回収できる、しかも健保治療と違い自由診療です。利益は2~3倍に膨らみます。交通事故患者は高利益が見込めるお客様なのです。だからなんとでも確保したい。しかし、いざ保険会社に請求すると、請求額が多すぎると渋られる。それでも、なんとか自由診療を続けたい。「患者の為に(整骨院の利益の為にも)・・なんとかいい方法はないか?」   <行政書士αの登場>

 交通事故専門を看板にしているα先生は、Ω先生に提案します。「交通事故の患者を紹介して下さい。私が自賠責保険に請求をして施術料を確保して差し上げますよ。」   <連携成立>

 Ω先生は渡りに船とばかりに、むち打ち患者をα行政書士に紹介し、α先生は慰謝料を患者に、治療費をΩ先生にそれぞれ自賠責保険の請求手続を行います。このように、治療費の請求で任意保険会社が支払いを渋ると、α先生が自賠責に直接請求をかけてくれます。つまり、Ω先生は行政書士をフィルターにして、保険会社との摩擦を避けることができます。そして、α先生は患者の慰謝料から保険金請求代理に対して報酬を得ます。まさか、Ω先生からマージンはないと思いますが・・。     つづく  

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