高脂血症、高コレステロールですが、中性脂肪の数値なども含めて脂質異常症と総称されています。主に健康診断での指標は、LDL(悪玉)とHDL(善玉)と2分しています。「悪玉を120㎎以下に下げて、善玉を上げましょう」と指導されています。
この指導も、最近では単純にLDLの数値だけで評価せず、中性脂肪の数値、血圧や血糖値なども加味して指導されています。その人の体質や親兄弟の病歴なども参考にしますので、単に「120mg以下でなければ高脂血症です。今すぐ薬を飲みなさい。」などと、LDLの数値だけで判断しません。実際に、ある医師は「もし、血圧や血糖値、中性脂肪が基準以下なら、180mgを越えなければ体質的な要因で、そう心配しなくても良い」と言っています。また、悪玉・善玉の呼称も、やや古い概念です。悪玉とされるLDLでも、体の組織を作る為に絶対に必要なもので、一定量を保つべきが正しい解釈です。現在はHDL:LDLのバランス1:2が推奨されてており、HDL:LDLの比率と総コレステロール量を注視しています。
高脂血症は食事だけでは改善できない、体質的な要因が大きいと言わるようになりました。それは近年の研究や実験から明らかになっています。例えば、「卵の黄身はコレステロール値が高いので控えるように」との指導は、ひと昔前のことです。コレステロールの3/4は体内で生成されます。つまり、食事的な要因は1/4に過ぎません。しかも、コレステロールの高い食事を控えると、その分、体内でのコレステロールの生成量が増えることがわかりました。逆にコレステロールを取りすぎると、体内での生成が減るわけです。卵の悪玉説はとうに廃れているのです。毎日1~2個は問題ない、これが結論です。
結果として、食事だけでの改善は難しく、運動やストレスなどを含め、その人の体質に合わせて総合的に対処する必要があります。もちろん、食事が関係ないわけではありませんから、油ものは控えるべきです。脂質の多い食事は、中性脂肪の数値にすぐに表れます。しかし、脂質やコレステロールも体には無くてはならないものです。高すぎる数値が問題なのです。脂質も飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けて、前者(乳製品、脂肪の多い肉、マーガリン)を控えて、後者(オリーブオイル、青魚、ナッツ類)を積極的にと、管理栄養士が口を揃えています。
実は秋葉も高脂血症で、今年のLDLは170mgです。他の数値は、ほぼ標準値・A評価ながら、脂質だけはC評価です。食事に気を付けて少しづつ下げていますが、どうやら体質的に高めのようです。薬は飲んでいませんが、より食事と運動に注力したいと思います。母も高脂血症気味で、脳梗塞で亡くなっています。できればLDL140mg以下に、血液サラサラが生涯の目標です。
さて、交通事故外傷との関わりですが、やはり、薬の飲み合わせについては、お薬手帳で服用中のお薬を示し、医師や薬剤師の指導に従う必要があります。かつて、かなりLDL高値で治療中の方がスタチンとの飲み合わせ悩んでおりました。医師は、患者の訴える手のしびれに対してメチコバールを服用したかったのですが、主成分がビタミンB12なので、コレステロールに影響があることから服用を止めました。整形外科では、お薬の処方に窮すると処方される(飲み合わせに禁忌が少ない)メチコバールですが、高脂血症の患者には珍しく抑制的な薬なのです。
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交通事故外傷の治療の面では、先の説明の通り、高脂血症の度合いをどうとらえるか、服薬をどうするか、全体像から判断するべきです。相当な(脂質)異常値でない限り、骨折や捻挫、手術や治療に深く関与しないように思います。その点、高血糖や高血圧と違い、高脂血症の概念やケガへの影響は、ぼやっとした印象をもっています。
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