先月のセミナーからのテーマです。地方で活躍している保険代理店さん向けの内容です。題目は「弁護士の選び方」です。60人を超える弁護士と仕事をしてきた経験から語りました。

 Zoomなど、通信手段が発達した現在、依頼者様との距離感はぐっと縮まった感があります。地元の先生を第一に考えることも捨てがたいと思いますが、弁護士を探す範囲を広げてはいかがでしょうかとの提案をしました。以下、レジュメから抜粋します。

 日弁連設立当初の弁護士人口は5,800人、その後増加し、2024年9月1日現在で45,694人となっています。2001年の司法制度改革の影響から、この20年で2倍以上に急増しています。その内、東京都の弁護士は22,655人ですから、日本の弁護士のおよそ半分が東京にいることになります。

 この統計から、専門性の高い弁護士は、東京に多く存在し、HPも豊富ですから選びやすいと言えます。もちろん、地域の法律事務所の存在こそ地元を支える、無くてはならないものです。ただし、地元先生は、ある分野に専門特化するより、幅広く地域の依頼・事件に当たる必要があります。何でも屋にならざるを得ない環境と言えます。一方、東京の弁護士は飽和気味、特徴のない何でも屋は埋もれてしまう傾向です。東京の弁護士は1~2つの分野に造詣深く、専門特化した事務所が切磋琢磨の状態なのです。

 秋葉事務所でも、この数年、神奈川、埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬のような通勤圏はもちろん、山梨、静岡、長野、福島を超えて、全国から普通にご相談・ご依頼があります。弁護士を探している被害者さんも、相談内容によっては選択を広げる必要があります。例えば、地元の先生に頼みづらい相続や家族問題、その代表的な案件は離婚です。これも、奥様からの希望の多くは「女性弁護士」です。理由はよくわかります。地場産業や地元企業と戦う場合も、地元の弁護士より、完全なよそ者の方がやりやすいことが多いのです。もちろん、交通事故においても、弁護士の力量に差が出る案件が少なくありません。    求められる代理店の理想像は、事故や悩み事の中継センターです。各種の専門家のネットワークが、直ちに顧客様の利益につながるはずです。多くの専門家を確保することが代理店様の実力であり、持続的なテーマと思います。  

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 誤解を恐れずに言いますと、多くの交通事故でそう感じます。

 連携弁護士と過失相殺、過失割合の交渉について、事前に打合せしますと、たいていは、「判例タイムスの割合通り」、「これ以上の修正要素はない」、「紛争センターや裁判で争っても、結果は同じになる」・・このような結論になってしまうのです。

 弁護士は法律や判例に則って、論理的に交渉します。したがって、裁判上でも幅を利かせている「判例タイムス」の相場に拘束されてしまう傾向なのです。法律や理屈を超えた主張は出来ないのです。したがって、「相手と過失割合で対立しているので、弁護士を入れて何とかしてほしい」との相談があっても、多くは保険会社同士で詰めた過失割合を激変させることは難しいのです。近い将来、過失割合の算定は定型化が進み、その行きつく先はAIが担うのでは?と思う次第です。

 もちろん、事故状態から双方の言い分に疑義があり、ドライブレコーダーを検証し、刑事記録を取り寄せ、あるいは交通鑑定に付すことによって、新しい事実が浮上すれば、弁護士に依頼する価値はあります。しかし、多くは、片方、又は両者が納得しない事で交渉が難航しているに過ぎません。

 この場合、弁護士以上に威力を発揮するのは、代理店さんの強交渉です。代理店さんによっては、積極的に契約者さまの主張を代弁してくれます。その主張は、必ずしも道路交通法の規定に縛られません。例えば、「この交差点は私も良く通るが、左角の見通しが悪く、皆注意している。相手はまったく確認していない。その点、5%でも修正できないか」。「この事故状態で相場通りの20:80では、被害者が可哀そうでしょう。ご近所同士なので、これ以上争いは避けたい。なんとか相手に譲歩してもらるよう言ってもらえないか」。

 法律家ではない代理店さんの人情交渉、又は理屈抜きの強引さが功を奏する事があるのです。この点、弁護士費用があるからと言って弁護士に頼るより、話が早く、むしろ効果的と思います。

 プロ代理店さんは、人の機微を知り、交渉力の高い人がおります。私見では、弁護士以上に過失交渉をうまく進めている、頼れる兄貴分なのです。代理店さんは、日夜、弁護士以上に交通事故の解決に尽力していると思います。ただし、強交渉もやり過ぎると、相手担当者から「非弁ですよ(※)」と言われますので、その点は上手く交渉する必要があります。    ※ 非弁護士行為・・・簡単に言いますと、誰かの代理で交渉ができるのは、弁護士だけ、それ以外が有償(有償に準ずる)で代理交渉をしては、非弁護士行為となって違法となります。  

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 事務所をほぼ1週間閉めましたが、休み中も電話やメールは一日一件程度ありました。

 深刻な交通事故は無かったのですが、詐欺被害や暴力被害、離婚、その他諸々の相談です。多くは、弁護士が対象となる事件ですが、弁護士費用を払ってまで依頼するのか否かが最初の選択です。したがって、概要をお伺いして、簡単なアドバイスで終わることが多いようです。

 お盆期間に限りませんが、詐欺被害の相談は多いようです。詐欺の多くは、「取られたら終わり」となります。相手から返してもらうことは至難の業です。たいていは、行方をくらまし、逃げます。仮に刑事事件となって、相手が捕まっても、相手のお財布にはお金はありません。裁判で判決を取って、さらに(もし、財産があれば)差し押さえの手続きが必要です。この間の弁護士費用は50万円を超えます。しかも、お金を取り戻す可能性は低い。したがって、費用対効果から泣き寝入りが少なくありません。

 もはや、詐欺大国となった日本ですが、詐欺に気を付けると言うことは、安易に人を信用しない社会になることです。すぐ人を信用する、赤の他人でも信用する・・これらは日本人の美徳でもあります。治安がよく、安全が只と言われた美徳が失われていくように思います。    自動車保険の世界も・・詐欺が多いのです。  

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 本日は横浜セミナー、企業の顧問をしている弁護士先生をお招きして、主に会社内でのパワハラについて解説頂きました。      ハラスメントの定義から、事例、対策まで・・やはり、旬のテーマです。質問が多く、盛況な勉強会となりました。

 Y先生は、「法律問題以前に、日頃の人間関係が大事で、信頼やコミュニケーションから回避するもの」と述懐しました。もめ事を法律で解決することは、それこそ最終手段です。ハラスメントが起きないような職場環境にすべく、社員全員の日常の心構えや努力が必要と思いました。    

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 弁護士先生に聞きますと、それ程珍しい現象ではないそうです。双方、判断の基準が異なるからです。民事の場合、一審(地裁)にて事件の事実を究明、認定します。証拠がすべてではありますが、完全な証拠が揃わずとも、裁判官が事実認定することがあります。解り易く言いますと、状況証拠からの判断でしょうか。

 一方、刑事裁判は、人の罪を裁くのですから、証拠が不完全であれば、判断はより慎重になります。よく言う、「疑わしきは罰せず」でしょうか。    交通事故の裁判でも、双方、結果に強弱が生じます。刑事裁判では、加害者への罪は驚くほど軽いと感じます。まず、「わざとやったわけではない」こと、任意保険の加入があれば「損害賠償を実現できること」、さらに、被害者が「厳罰を求めない意向」の場合、相当に減刑されます。それでも、民事上では、ひき逃げや飲酒など、加害者の悪質性を追及して慰謝料増額を主張します。     かつての事故を紹介します。この加害者は、救護せずに現場から立ち去り(ひき逃げですね)、翌朝出頭(アルコールが抜ける時間を稼いだ?)でした。刑事記録の供述調書を閲覧しましたが、状況から明らかに飲酒運転と思います。ただし、直後のアルコール検査はなく、翌日では検査の意味がありません。したがって、刑事事件としては、「自動車運転過失致死傷罪」に救護義務違反が重なりますが、飲酒運転などの厳罰=「危険運転致死傷罪」までは至りませんでした。

 一方、民事では、裁判まで至らず交渉解決となりましたが、(相場よりも)慰謝料の増額を飲んで頂きました。相手保険会社は、ひき逃げ+飲酒の疑いから折れ気味、強硬姿勢は取れなかったようです。    その事故 👉 7級4号:高次脳機能障害(40代男性・神奈川県)      今回、引用する事件ですが、刑事事件では飲酒運転が認められず無罪、行政処分では飲酒運転に相応する処分となり、その処分の撤回を求めた民事裁判で結果が食い違いました。     <読売新聞オンラインさまより引用>

 「酒気帯び運転」」刑事裁判は無罪だったが、民事は認定 ~ 免許許取り消し無効の請求を福岡地裁棄却 5/30(木) 福岡地方裁判所    酒気帯び運転を巡る刑事裁判で無罪が確定した福岡市の男性(40歳代)が、福岡県に対し、運転免許取り消し処分の無効などを求めた訴訟の判決が29日、福岡地裁であった。林史高裁判長は男性が酒気帯び運転をしたと認定し、請求を棄却した。刑事裁判と正反対の認定となり、男性側は控訴する方針。

 男性は2020年1月に同県筑紫野市の路上で酒気帯び運転をし、警察官の顔につばを吐いたとして道交法違反と公務執行妨害罪で起訴され、免許取り消しの処分を受けた。1審判決で懲役10月、執行猶予4年の判決を受けたが、21年の控訴審判決は「第三者が車を運転した可能性が認められる」として1審判決を破棄。道交法違反については無罪として罰金20万円を言い渡し、確定していた。

 この日の判決では、男性が主張する車を運転した第三者について、車を映した防犯カメラ映像からも確認できないことや、誰であるか特定していないことから、裏付けを欠くと判断。男性自らが酒気帯び運転をしたと認められると判断し、処分は適法であると結論付けた。     簡単にまとめますと・・・本人が飲酒運転をしたという絶対的な証拠がなかったので、刑事上は無罪となりました。したがって、免許取り消しなどの行政処分も無効だと主張しました。この人の行いや状況をみれば、完全な証拠がなかろうと、「飲酒運転しただろう」と民事上の判断になったと思います。    

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 民法改正案、参院で成立しました。夫婦別姓制(選択性)の導入比べ、異常なスピード感を感じます。子供の権利が絡む問題で、長らく議論されてきましたが、優先順位を高く考えたのでしょうか。

 まず、基本的なことを簡単に。親権とは、未成年の子供の利益のために、監護や教育を行ったり、子の財産を管理したりする権限であり義務の総称です。親権を持つとは、子供の意思決定権を親が持つことです。その親権を父母の双方が持っていることが、共同親権です。日本の法律では夫婦が離婚した場合、親権は父母のどちらかに帰属することになります。つまり、一方は親権を失います。欧米では離婚後も双方がともに親権を持つと認める国が多いようです。    本日は他コンテンツの参照ばかりで恐縮ですが、概要を抑えておきましょう。     <ちょっと専門的な解説 👉 ウィキペデアさまより>  共同親権(英:Joint custody)とは、両方の親に親権が与えられる親権形態である。共同親権は、共同身体的親権、共同法的親権、またはその両方を合わせたものを指す場合もある。

 共同法的親権では、子どもの両親が、例えば教育、医療、宗教的な養育などに関する主要な意思決定を共有する。共同親権では、共有親権または共有居住権とも呼ばれ、子供は両方の親と同等または同等に近い時間を過ごす。

 離婚や別居の後、両親が共同親権を持つだけでなく、子供の共同法的親権を持つこともあれば、一般的には、片方の親が単独で法的親権を持ちながら、共同法的親権を持つこともあり、まれに、片方の親が単独で法的親権を持ちながら、共同法的親権を持つこともある。

 共同親権の反対は単独親権であり、子どもは主に一方の親と同居するが、もう一方の親は子どもに定期的に面会する面会交流権を有する場合がある。共同親権は、一部の兄弟姉妹が一方の親と同居し、他の兄弟姉妹が他方の親と同居する分割親権とは異なる。   <時事通信社さまより引用>

 民法などの改正法成立により、父母双方が離婚後も子どもの親権を持つ「共同親権」導入への道が開かれた。新制度は2026年までに始まる見通しだが、離婚により子どもと離れて暮らす当事者らからは、導入を巡り賛否の声が聞かれた。

 「感無量だ」。神奈川県の会社員男性(47)は18年に離婚し、元妻と暮らす子どもと会えない日々が続く。子どもは会えない間に18歳を迎え、成人した。男性は改正法成立を「長年の思いが実り安心した」と歓迎する一方、「家裁がDV(家庭内暴力)被害の訴えなどについて正しく判断できるのか疑問だ。新制度が始まっても、共同親権が適用されないケースも出てくるのでは」と懸念を示す。

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道路交通法改正!    自転車による交通違反への反則金制度(青切符)の導入を柱とする道路交通法改正案が3月5日に閣議決定されました。成立すれば、青切符の反則金制度は公布から2年以内に施行され、今までくすぶっていた自転車の交通違反取締りが大きく変わると思います。

 今回提出された改正案では、青切符による自転車の取締りは16歳以上に適用され、112の違反行為が対象ですが、このうち重大な事故につながるおそれのある違反を重点的に取り締まることになるようです。尚、反則金の額は今後、政令で決まりますが、原付バイクと同等にする方針のようです。    具体的には、   ・信号無視(6,000円)   ・一時不停止(5,000円)   ・右側通行などの通行区分違反(6,000円)   ・自転車の通行が禁止されている場所を通ること(6,000円)   ・遮断機が下りている踏切に立ち入ること(7,000円)   続きを読む »

 ご存知と思いますが、ニュースで勝手に婚姻届けを出された男性の事件が流れました。なんとも珍妙な事件ですが、詳しい弁護士先生に聞くと、そこそこ起きる事件のようです。

 何故このようなことが起こるのか・・・役所が「届出主義」と言って、法律の要件を満たす文章を提出された場合、必ず受理をしなければならない決まりとなっているからです。役所にしてみれば、不法に作成された婚姻届けを見抜くのは難しく、一々、窓口審査などしていられない事情もあります。そもそも、法は、故意に不実の婚姻届けをする悪意者など、想定できていないと思います。   (テレビ朝日Newsさまより)

被害者男性:「(婚姻の事実を)全く知らなくて。Xで(夫婦の記載が)見える戸籍情報を公開していて。本当にそうならヤバいと思って」、それで市役所に戸籍を取りに行くと、婚姻関係にされたことが事実だと判明。実際に提出された婚姻届を見せてもらいました。   被害者:「完璧に書かれた婚姻届ではなかったので、対策できなかったのかって、役所に怒りをぶつけてしまった」    当然、取り消してもらえるだろうと考えた男性。しかし、男性は思わぬ事態につきあたります。   被害者:「婚姻届で、僕が被害者じゃない扱いになる」    警察に相談すると、届け出が偽造されたとしても、被害者は市役所で、男性が被害届を出すことはできないというのです。    市役所に取り消しを申し入れると、家庭裁判所で夫婦関係にない証明をする必要があると言われてしまいました。   被害者:「家庭裁判で婚姻無効になるまで半年はかかる。だいたい1年は覚悟してと、弁護士に言われた・・・」

 

 結婚するには、戸籍法で定める婚姻届を役所に提出しなければなりません(民法739条1項)。民法は「届出なければ結婚なし」という届出婚主義を採用しています。

 法律では、「結婚」のことを「婚姻」といいます。届出がなければ、いくら事実上の夫婦生活が続いていても、法的な婚姻にはなりません。法律の根拠がない=「事実婚」と区別します。

 また、届出は、当事者双方および成年の証人2人以上から、口頭または署名した書面でしなければなりません(民法739条2項)。 条文は以下の通りです。    民法739条(婚姻の届出)

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 webにて受講です。日本行政書士会、所属する東京会と、2つの受講が義務付けられています。毎度、職務上請求書の適正利用が最重要課題となっています。それだけ、行政書士による不正使用が、他士業よりダントツに目立つそうなのです。

 職務上請求書とは、相続手続きなどで、ご依頼者の戸籍謄本などを代理で取り寄せできる書類なのですが、別の目的で使用する書士が存在するそうなのです。「目的外利用はダメ」と言う簡単なルールなのですが、一部の心無い書士のおかげで、注意喚起と言うべき研修を、何度も繰り返し受講しなければなりません。

 とは言え、行政書士法や関連規則を復習、見直す契機となり、ルール順守のチェックになります。ただ、その中で毎度難しく感じる部分は、倫理綱領です。法律の条文であれば、明確な規定が定められていますが、こと、「倫理的であれ」は、具体性がなく、また、解釈も人それぞれ違いますので、やっかいです。例えるなら、不倫です。これは民事上の問題、当事者同士の問題でありますが、字義通り倫理的ではないこと=道徳から外れる行為とすれば、「行政書士が不倫をするなど、もっての他!」となります。<行政書士倫理第25条乃至第31条:行政書士としての品位を保持しなければならない>は、そこまで要求しているとは思いませんが・・。 

   一応、研修では、場面に応じて様々な事例を示しています。もちろん、それらは常識的です。ただし、対依頼者さまの事例の中で、弊所が迷う部分は以下の3つです。   ① 正当な事由なく依頼を拒んではならない   ② 依頼を拒むときは説明義務がある   ③ 不正の疑いがあるときは事件を受任してはならない    業務の性質上、ご依頼に対して、お断りすることは少なくありません。そこで、その理由が正当であるか否かが、問われます。②の説明義務は当然で、理由の説明は避けられません。その理由が正当か否か、意見が分かれるところです。模範回答には無難に「依頼者の希望する期限に業務を完了できないから」とありましたが、単なる断り文句=ウソかもしれません。嘘は倫理的ではなく、品位にもとるかもしれません。

 ③は疑いだけで(証拠がなくても)良いのであれば、ある意味、依頼者さんの正邪を勝手に判断することになります。ご依頼者を信じるのか疑うのか、倫理感に揺れることになります。    各士業でも、ほぼ①~③は同じく規定があるようです。どの先生も、ご依頼者によっては「性格的に合わないかな」と感じることはあります。士業と言えども民間企業、企業の都合でお客さんを選ぶ権利はあると思いますが・・。そこは簡単にご依頼を断れないジレンマがあるのです。  

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 最近のドラマ、昭和では許されていた事が令和ではコンプラ違反になる「不適切にもほどがある」が話題です。確かに、会社では少し前の時代、それ程目くじら立てることもなかった風習・言動が、今やパワハラ・セクハラにあたります。当然に、昭和の時代を生きてきた年配の人達は、十分に気を付けていると思います。ところが、例の市長さんのニュースから、日本全国、そのようなおじさんの存在が明るみに出ています。言わば、おじさんのハラスメント版「Me Too運動」でしょうか。

 逆に、寛容性が失われているとの見解も聞きます。確かに、行き過ぎたハラスメント糾弾は、糾弾自体が目的と化しては、健全ではありません。何事も極端はいけません。ただし、おっさん側から、「最近は寛容性がない社会でギスギスしている」と言うと、自己弁護にしか聞こえず、若者は引くと思います。    それでは、ハラスメントと寛容の線引きですが、どのように基準化すべきでしょうか?    実は、その答え=線引きは、昔も今も変わらないように思います。まずは、相手を慮る配慮だと思います。幼稚園の時、誰もが保母さんから、「相手が嫌がることをしてはいけませんよ」と教わったはずです。自分は何ともないが、相手が嫌に思うことはあります。それを察する必要があります。また、誰にやられるか、言われるかによっても違います。ハラスメントの線引きの難しさは、絶対的基準ではなく、(相手によって変わる)相対的基準だからにつきます。

 例えば、キムタクは女子に対して、「お前さぁ」と呼びかけますが、これこそまさに、日本ではキムタクだけに許されています。通常、「お前」などと呼ばれるのは、それが上司・先輩であっても不愉快に思うでしょう。壁ドンも、キュンとなるか、恐怖となるか、当然に相手次第なのです。これら好悪の感情は、普遍的に相手次第、時代と無関係に思うのです。    相手の気持ちを慮ることは、いつのどこの社会でも、マナーとして身に着けるべきです。そして、自分がキモいおっさんなのか、キムタクなのか、自己判断が必須です。自分が誰なのかを正確に知ること事こそ、コンプライアンスの第一歩、平たく言えば、「優しさ」につながるものと思います。    とは言え、自分のことを客観視することは難しいものです。そこで来月、損保営業マン向けに、「弁護士によるパワハラ・セクハラ等のケーススタディ」の研修を企画しました。該当地域の方にご案内を送りましたが、興味ある方は秋葉事務所までお申し込み下さい。    不適切発言が頻発の秋葉も参加します。    

 

 

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 今年も色々なニュースがありましたが、交通事故絡みに関しては、時々意見展開しています。今回は、交通事故と直接関係ない事ではありますが、愚見をお許しください。   (1)韓国の女性DJさんへの痴漢行為

 このニュースに関しては、テレビやネットで侃々諤々、様々な意見が飛び交いました。それらの意見の多くは、以下ABに二分しているようです。    A: 痴漢行為を受けて当然の恰好や、受ける可能性が高いシチュエーションに自ら飛び込んだ・・痴漢行為をされる側にも責任がある。    B:痴漢行為は100%加害者が悪い。加害者の為に、何故、(この場合)女性が服装や行動に制限を受けなければならないのか(怒)。     どちらの意見が正しいか? それは当然、Bに決まっています。犯罪行為の是非など問うまでもないと思います。ただし、Aの意見が根強いことも事実です。すると、B派は、女性に対する不当な抑制だのと激昂、Me Too運動、広くジェンダーの問題に発展させるのです。     ちょっと、待って、    この場合、議論を二つに分ける必要があります。   C:痴漢行為自体は、犯罪ですから絶対的に悪であり、加害者が100%悪いことで、ひと段落とします。次に、犯罪行為を惹起する服装や行動、管理体制については、相当に問題があったと思います。誰でも予想のつく事件で、起きても何ら不思議な事件ではないのです。残念ながら、世の中には悪い人や、避けようのない事故や天災が存在します。生きていく上でリスク管理が必要なのです。その点、被害者側の「うかつさ」は問われて当然です。つまり、この問題は、両極端な意見の勝敗や正誤ではなく、二つの問題として、別々に議論する必要があります。    少数ながら二つを分けて意見展開する=C派の方も散見しました。C派の人で、交通事故を例に、上手い説明をした方の意見をみました。それを引用します。「交差点で青信号になったので、渡りました。すると、信号無視の自動車に跳ねられました。これは、自動車が100%悪いです(0:100)。ただし、ケガをして大変な目に遭います。だから、青信号でも左右を観て渡りましょうね、と安全指導されるのです」。自動車運転過失傷害罪と交通安全指導、別々の問題ですね。まさに、本件の痴漢問題にも当てはまります。

 世の出来事は複雑です。物事を二つの対立軸にすることは、「おろか」とまでは言い過ぎですが、まったく未熟な発想で、その発想が極端であることが問題なのです。何事も善悪、白黒では計れない事があります。善悪は立場で逆転しますし、どっちとも取れないグレーもあれば、問題をいくつかに分けて考えるケースもあるのです。本件は、まさに、痴漢行為と予防対策、別々の議論にすべきなのです。    (2)マスク拒否男性の無罪主張

 この事件、高裁でも威力業務妨害などの判決となりましたが、最高裁へ上告するようです(周囲の弁護士さんによると、最高裁では却下されるとの予想です)。これは、意見が二分することなく、被告であるマスク拒否の男性への判決が正当との意見が大多数、議論の余地はないようです。それでも、小数意見を蔑ろにせず、審理することは民主主義の根幹です。

 ただし、裁判の争点ですでに問題がズレています。この裁判はマスクの規制の正当性は関係ありません。切符は、乗客の規定順守を条件で購入していますから、乗客は航空会社・乗務員の指示に従う事になっています。マスクの着脱どころか、フライトに適さない服装なども規制の対象で、極論すれば、フライトの安全確保の為には、ある意味、人権すら制限されているのです。本件の場合は、乗務員の指示に従わないこと、乗務員の腕をつかむこと(暴行と判断された)、騒ぎを起こすこと、結果としてフライトが遅れること、これが問題なのです。飛行前の機内は、マスク着脱の論争をする場ではないのです。この点、議論が平行線となっています。

 被告は暴行や職務の妨害を否定していますが、10月30日の高裁判決は「乗務員は被告に対応するため、機内監視などの保安業務や他の職務ができない状態だった」と、判決の理由としています。つまり、マスクの是非など、審理の外、どうでもよいのです。フライトの安全の期する規制と、コロナ対策としてのマスク義務は、別の議論なのです。完全に別問題と言ってもよいでしょう。

 もっとも、普通であれば、不承不承マスクをして乗り、後に(マスク規制は人権侵害だと)問題提起する。あるいは、降りる。このように対処すべきでしょう。どうして、たかがマスクの着脱で、こうも頑張るのかなぁ、その人にとっては、その場で絶対に譲れない、その場で絶対に解決しなければならない、大事な問題なのでしょうが・・。    マスク警察・・もはや思い出になってしまった感があります。確かに、同調圧力や過剰な正義を振りかざすことに対する警鐘は必要だと思います。コロナ対策の総括として、議論すべきことは残ったと思います。ただし、これは飛行機の搭乗中のいさかいとは、まったく別の問題です。この方は、その場で、分けて考えることはできなかったのでしょうか。    もっとも、議論すべき意見の相違ではなく、必要な検証でもなく、単なる思い違いを起こす人、巷に少なからず存在します。裁判まで発展する前に、知恵で回避できないものか・・と思ってしまいます。     

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 障害を追った人は100%の人間ではない、よって、パフォーマンス低下分○%を差し引いて、その人の生産性とします。    実に人権を無視した考え方に聞こえます。    しかし、前日の自賠責保険のルールを基に逸失利益を逆算した通り、損害賠償の公平の為に障害分を将来収入から差し引いて計算すること自体、理にかなった仕組みです。事実、判決後、多くの法学者さんの見解や、連携弁護士先生の意見を聞くと、これは正当な理屈であり、むしろ、裁判所は被害者寄りに踏み込んだ判決をしたとの評価が多いようです。    そうであっても、本件被害者さんは生れてからご家族と共に、それこそ聴覚のハンデキャップを克服する努力を続けてきました。家族の思いは、「この子は普通の子と変わらない」 のです。    一方、賠償上の評価として、仮に障害やハンデがあっても、それを克服する「特別の努力」という概念があります。本人・家族の努力によって、あるいは職場の理解から、障害のマイナスを埋めた結果、他の同僚と同じ賃金、同じ地位の被害者さんも存在します。弊所の連携弁護士も、この「特別の努力」を立証することで、既往症など減額を防ぐ論陣を張っています。

 また、もちろん少数ですが、障害を持っていたとして、他の才能や努力から、健常者以上に稼いでいる被害者さんも存在します。当然、その収入実績を主張することになります。判例上、実態収入を基とした、高額判例も目にします。つまり、個別具体的な立証が必要であると言えます。    さて、子供さんの場合です。未就労者ですから、収入実績を示すことができません。ある程度、進学した場合は高校の成績から大卒の賃金センサスが採用されることがあります。また、何かスポーツや芸術分野で特別な才能を発揮した場合も考慮されるでしょう。しかし、しかし、、小学校の場合です。学業成績にしても、まだ実績が十分とは言えません。将来、大学進学する事や一部上場企業に就職することなど、まだわからないのです。    本件はまさに、将来どうなるかわからない子供を評価しなければならなかったのです。    障害を持った子供の将来を予想するに、普通の子の収入平均で良いのか? 大変、難しい議論なのです。逸失利益算定の難しさを集約する言葉があります。    それは 蓋然性 です。   👉 蓋然性とは?    本件の判示は、「年齢に応じた学力を身につけて将来さまざまな就労可能性があった」と、特別の努力、聴覚障害者でも健常者同様に活躍できる社会の進歩、技術の進歩を踏まえています。それでも、「将来どうなるかわからない」ことを完全に無視はできませんでした。「労働能力が制限されうる程度の障害があったこと自体は否定できない」とのことです。

 現状の法律である限り、蓋然性を検討して、どうなるかわからない将来を「推測する」しかないのです。その推測ですが、損害賠償は何処まで行っても公平な判断でなければならないのです。進歩的に考えて、将来のある子供さんの予想について、「蓋然性はバラ色にすべき」との人権的な意見が存在します。また、法律はそのままに、逸失利益は削っても、その分、慰謝料を増額させて、実質100%に近づける案も目にしました。まさに、人智を絞った、より被害者救済のアイデアが望まれます。    結論になりますが、秋葉の仕事としては1、弁護士の仕事は2です。     1、蓋然性を高める記録・証拠を集めて、弁護士に託す     2、弁護士は法解釈・テクニックを使って、実質の損害額を高める交渉に尽力する     本件は、控訴されるのかどうか、まだわかりません。秋葉への取材は3月4日、関西・読売テレビ「報道番組ten」で放送とのことです(関東では観れません。後日、ネット放送はあるようです)。今後も事件を見守っていきたいと思います。      

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 あくまで、自賠責保険基準からの検討になりますが、自賠責保険の基準=考え方は裁判にも踏襲され、裁判官の判断材料になることが多いものです。

 事件の経緯について、逸失利益計算から自賠責流に逆算していきます。   【1】まず、聴覚障害についておさらいします。    👉 耳の後遺障害 ⑤ 難聴 Ⅰ    本件被害者さんの聴覚障害の程度は不明ですが、

 4級3号:両耳の聴力をまったく失ったもの 

 6級4号:両耳の聴力が耳に接しなれば大声を解することができない程度になったもの    いずれかですが、本件の場合、逸失利益の額から6級4号が推測されます。   【2】次に、逸失利益についておさらいします。

 本件、最大の争点は、亡くなった女の子の将来の損害=逸失利益(うべかりし利益)です。逸失利益とは、「もし、障害がなければ、将来これだけの収入があったでしょう」を予想・計算するものです。    その計算式は以下の通りです。   事故前年の年収 × 喪失率 × ライプニッツ係数(喪失年数-中間利息)=逸失利益    詳しくは 👉 自動車保険の値上がりの言い訳・前編~まず、逸失利益を復習    6級の労働能力喪失率は67%です。      逸失利益の計算は、後遺障害と死亡の保険金算定に生じます。    Ⅰ. 

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 昨日は行政書士会の「第15回倫理研修」をwebで聴講しました。足を運ばずに研修を受けることは非常に楽で助かります。コロナ禍で唯一の美点と思います。    行政書士法はじめ、各法令に順法であることは当然のことです。定期的に業務のチェックを怠ならいよう、注意喚起のきっかけとして、このような研修は定期的に受講すべきものです。今回のカリキュラムで、とくに気になったことは掲題の「倫理」です。行政書士法とは別に、わざわざ、倫理綱領として明文化しています。これは、法律で律しきれないことを謳ったものです。

 ただ、法律と違って具体性がなく、抽象的な表現が多く、人によっては解釈が分かれそうです。「道徳的であれ」、これは、意外と難しいルールかもしれません。   第一章 一般的規律

第1条 行政書士は、誠実にその業務を行うとともに、行政書士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。    果たして、私に品位があるのか・・・。自問自答してしまいます。ふざけた言動はダメなのか、風刺の効いたHPのイラストも引っ掛かりそうです。聖人君子といかないまでも、気を付けるべきことは多いように感じました。   👈 品位がない?  

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今回は歩行者の何気ない行動が過失に影響する事例をご紹介します。  

(今回は通勤経路内ではありませんが、病院へ向かう際に危険を感じた場所です。)

   歩車道の区別のない道路を歩行する場合、皆様はなにか特別に気を付けていることはありますでしょうか。ほとんどの方が特に気にすることなく、その時々によって歩く場所を変えているのではないかなと推測します。尚、写真の道路ですが、駅や大通りへの抜け道になっているため、自動車の往来が非常に激しい場所です。

 実は、ここに大きなポイントがあるのです。道路交通法によって、「歩行者は、歩車道の区別のない道路においては、道路の右側端に寄って通行しなければならない。」と定められているのです。(※「一定の場合には道路の左側端に寄って通行することができる。」という文言もついております。)

 道路交通法を守り、右側端を通行していた場合には、当然歩行者に過失はありませんので歩行者0:自動車100となります。但し、「ふらふら歩き」(このふらふら歩きというのは、自動車の予想を超えた動きを想定しているため、よほどのことがない限りは適用されないみたいです。)があった場合には、修正要素として歩行者に+5となっております。(判例タイムス【43】)

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歩行者は守られています    今回は歩行者側に問題のある事例を紹介します。年齢・性別を問わず目立つのが歩行者の信号無視です。ドライバー側からしてみれば、歩行者が違反を繰り返したとしてもお咎めなしというのは正直納得できません。違反切符を切られてもいいような気がしますが、それはさておき歩行者の赤横断と自動車の青信号進入の過失について見てみましょう。  

(前回同様、私の通勤経路内で最も信号無視をする歩行者が多い交差点です。)

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銀ブラではなく、銀座サク(サクサク歩いて通勤)    最近、運動も兼ねて最寄りの八丁堀駅よりも3つ前の銀座駅で降りて、歩くようにしています。猛暑のおかげで、事務所に到着する頃には汗だくになっていますが、たまに吹く風が心地よく、今後も続けられそうです。さて、今回は通勤中によく目にする歩行者VS自動車の事例についてまとめてみます。

 危険な場面に遭遇することが特に多いのは、「信号のない横断歩道」です。(下の写真は私が普段から横断している交差点です。)  

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 よく会社・法人様から相談される問題です。    従業員が現場への移動中の交通事故で、相手にケガをさせてしまった。この場合、会社が責任を問われないか?    このご質問・ご不安に関して、まず、顧問弁護士に見解を求めたそうです。法的には従業員が不法行為で第3者に損害を与えた場合、使用者である会社にも責任を問われることになります。法律の専門家である顧問弁護士は、法的根拠を検討し、過去の判例なども紐解いて、会社への訴えを回避する策を練ることになります。

 会社に責任を問うとなると・・従業員の指導・管理に問題があって起きた事故か否かが問われます。その交通事故が、単に従業員のハンドルミスではあれば、会社には責任がないように思います。しかし、被害者側に弁護士が立てば、加害者である従業員に対しては「会社の無理な超過勤務で疲労していた」、「会社がしっかり安全講習をしていなかった」などの理由から、会社へ難癖をつけて会社の責任にしようとします。それは、本音を言いますと、個人よりも支払い能力のある会社へ賠償金を請求する方が、回収の目途が立つからです。実際に裁判では、使用者責任が成立するかなどお構いなしに、加害者と会社を一緒に訴えることがマストなのです。    まるで、「飼い犬が噛んだら、その責任は飼い主や」 のようです。それだけ、会社の立場は弱く、使用者責任は容易に用いられる概念なのです。    もっとも、交通事故ですから、自動車に自賠責保険、任意保険がついていれば、従業員と会社共に、その責任を肩代わりして支払ってくれます。使用者責任などを真剣に問う、あるいは回避しようと思案する必要はなくなります。

 交通事故に係わらず、事故の多くは法律より保険で解決している現実があります。私どもは、もめ事や事故に対して、「加害者に賠償保険の加入があるか」に注目します。事故の多くはたいてい保険が解決するものと思っています。    他の例として、   (例1)小学生(10歳)のA君が公園で遊んでいて、他の小学生B君を押し倒して腕を骨折させました。Bくんの親御さん、「Aくんの親に治療費を払わせる!」とすったもんだの始まり・・。   ⇒ 確かにA君の親御さんの親権者責任が問われます。が、そんなことより、Aくんの家族に個人賠償責任保険があるのか、まずこれに注目、保険加入を調査します。個人賠償責任保険相手に、治療費や慰謝料など、賠償請求を突きつければ良いのです。

  (例2)A社の社員さんが市場でフォークリフトで作業中、他社Bの社員の足をひいてしまい、足の甲を骨折させた。「B社の労災の支払いでなんとか収めたい」   ⇒ フォ―クリフトに自賠責保険、任意保険の加入はわりとあるものです。構内事故であっても自賠法上、交通事故は成立するのです。A社B社、共に悩んでいないで、さっさと労災事故を交通事故に転換すれば良いのです。もちろん、治療費と休業補償はまず労災に請求、その不足分は慰謝料と一緒に自動車保険に請求します。A社の使用者責任を問う事より、円満に話は進むはずです。    

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 例の山口県阿武町の誤入金問題で大きな進展がありました。ニュースの通り、電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕されたT容疑者さんの出金先、決済代行業者3社が町に約4300万円をあっさり返還しました。  

 阿武町側が田口容疑者が税金を滞納していたことから、税金滞納者に対する徴収法に基づき、同容疑者の口座があるA銀行に情報提供を求め、口座からの金の動きを把握、決済代行業者を揺さぶった結果です。回収を果たした阿武町の代理人弁護士である中山先生は、テレビでしらっと「どういうわけか全額振り込んできました」のような事を言っていましたね(正確には9割回収)。法律関係者は気付いています。「たかが地方税数万円の差し押さえ手続きのついでに、少し脅しをかけただけで・・4000万円が」と言う「してやったり」、あるいは皮肉が込められているのです。

 多くの識者、周囲の弁護士さん達が感心していることは、中山先生がT容疑者の地方税滞納(わずかな金額でしょうが)に着目し、その取り立て・差し押さえを可能とする国税徴収法に基づいて、決済代行会社に圧力をかけた点です。法知識は元より、法律を応用して回収を果たした力業は称賛です。

 国税徴収法に基づく財産調査であれば、迅速にお金の流れを調査でき、滞納処分は強い処分なので、滞納処分の税金が少額であっても、口座全体を押さえることができるようです。今後、様々な事案に応用できる手段だと思います。以下、この機に少し勉強しました。   続きを読む »

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