交通事故の被害者さんによく見かけることの一つに、「甘え」があります。この甘えは、事故に遭った気の毒な自分を、周囲が好意的に助けてくれるはず・・との期待です。それは、多くの場面で裏切られることになります。   1、救急車

 自分の希望する病院へ運んでくれません。ケガの症状に対応できる、至近の病院を目指してくれますが、患者の希望はまず通りません。重傷者にとっては、病院を選ぶほどの余裕がないものですが、仮に希望する病院を言っても、希望通りになることは稀です。救急車はタクシーではないのです。   2、警察

 被害者の力になってくれることを期待したいところです。しかし、原則、警察は民事不介入です。加害者に刑罰を問う場合、刑事事件として、その第一次調査を担っているに過ぎません。民事に絡む、過失割合など警察が決めることではありません。どちらの肩を持つことはありません。

 また、ケガをしているにも関わらず、「物件事故扱い」を勧められることも珍しくありません。「人身事故扱い」となれば、司法警察官の現場検証と、より精密な実況見分調書の作成、双方へ供述調書を作成する必要があります。物件事故の何倍も面倒なのです。よく、被害者側にも過失がある場合、「あなたも刑罰に問われる可能性がありすよ(だから物件のままにしよう)」と、まるで脅し文句のように迫ってきます。実際は、加害者に相当のケガがない限り、被害者が刑罰に問われることはほとんどありません。ただし、その可能性としては0ではないことを根拠に、物件を迫る脅しが常套句になっています。    3、病院

 病院はお金をもらって治療する場所です。そこまでは救済機関と言えます。しかし、事故との因果関係が問われる症状について、責任をもって証明する立場ではありません。具体的には、”その症状は事故によって起きたかどうか”など、保険会社の支払いに関して疑義が生じた場合、その問題には立ち入りたくないのです。病院は淡々と治療するだけ、事故との因果関係など知ったこっちゃないのです。その証明は患者自身で動かなければならないのです。      4、加害者

 詫びの電話でも一本入れば良い方で、保険会社に対応を任せ、それっきり消えてしまうのが加害者です。当初、「物件事故扱いにして」と泣きつくときは、それはそれは謝罪・反省の態度です。ところが、刑事処分が決まったら、梨のつぶてとなり・・多くの被害者さんは憤慨することになります。

 交通事故での加害者はたいてい外野になります。1年後の解決時期には、事故のことすら忘れていることでしょう。   5、そして保険会社

 加害者側・保険会社の対応に、激怒している被害者さんをよく見かけます。もちろん、態度の悪い担当者もいないわけではありませんが、多くの場合、被害者さんの「俺は被害者なんだぞ!」との態度に原因があります。保険会社は加害者に代わって、事故対応の代行をしているに過ぎません。被害者に対して贖罪する立場ではないのです。被害者の態度から、担当者は写し鏡の対応になっているのです。

 淡々と保険会社の決めた基準額で解決を迫ってきますが、それは当然の姿勢です。被害者さんは紳士的な態度で、理路整然と損害を主張し、その証拠となる資料を丁寧に提出する必要があります。よく、これら書類提出に際して、「そんなの加害者がやるべきだ!」と言う被害者さんがいますが、それは逆です。法律上、被害者が証拠を集めて突きつける立場なのです。それが社会・大人のルールです。自分(被害者)は相手保険会社の契約者=お客様ではないのです。よくよく自身の立場を理解をして、対応していかなくてはなりません。    このように、皆、それぞれの立場で仕事をしているだけです。被害者だけの為に働く味方はいません。被害者さんは、自動的に救われる理想郷を夢見ている場合ではありません。自ら動くしかないのです。それが困難であれば、弁護士や秋葉を雇うことになります。お金を頂く私達だけが味方になりうるのです。  

続きを読む »

 本日は酷暑の中、ご参加の皆様、誠にありがとうございました。

 灼熱の埼玉セミナー、10年前の埼玉代協・総会のセミナー講師を拝命した日を思い出しました。その日は37°超えの危険な暑さでした。本日は35°なので、それよりましですが・・。

    さて、今年注力しております過失相殺、ある損保代理店さまからご質問がありました。   Q:「自転車通行OKの歩道があるにもかかわらず。車道を走っている自転車と事故を起こした場合、わざわざ車道を走っていることへの過失を問えるものでしょうか?」   A:「自転車は道路交通法上、軽車両になります。原則、車道走行となります。自転車通行できる歩道は、単に自転車もOKとしているに過ぎません。したがって、その道路の規制により例外はあるかもしれませんが、車道の走行自体に過失は生じません。」となります。     この問答に直接答える記事は見当たりませんが、自転車の歩道走行は例外規定であることが伺われます。以下、警察庁のHPから引用します。   <警察庁HP>  自転車安全利用五則(令和4年11月1日交通対策本部決定)から   1.車道が原則、左側を通行 歩道は例外、歩行者を優先

続きを読む »

 毎度、セミナーでは参加者様からも、進んでエピソードを伺うようにしています。今回のテーマは過失相殺Q&Aです。問題の中、路上横臥者をひいてしまった場合の過失割合です。    昼間は、横臥者30:自動車70 が基本割合です。自動車の前方注意義務が強く取られている印象です。    夜間は、横臥者50:自動車50 と自動車の過失が減ります。    夜、道路に寝ている・・多くは酔っ払いと思います。これまで、弊所の受任例でも数件ありました。いずれも重傷事故になっています。道路で寝ていれば、その人へ過失が取られることは言うまでもありません。対人賠償からの支払いより、寝ていた方に適用される人身傷害での解決となったケースもありました。    その例 👉 8級1号:視神経管骨折・失明(30代男性・千葉県)    やはり、酔って寝ている状態は危ないのです。夜間で人通りがなければ、そのまま逃げられて、加害者が捕まらない可能性も高いと思います。悲惨な事故になりますが、自業自得の側面から50:50となるのでしょう。    本日ご参加の損保代理店さまでも、同様のエピソードを伺いました。夜間の酔っ払いの交通事故被害は、そう珍しい事故ではないようです。    

続きを読む »

 交通事故の交渉場面の多くは、保険会社VS被害者の構図です。被害者が弁護士を雇って、交渉にあたることがありますが、逆に保険会社が弁護士を雇って、(いえ、契約上は加害者が雇うことになりますが、たいてい保険会社から紹介された弁護士です)交渉にあたることがあります。    この保険会社から紹介された弁護士は、保険会社の顧問弁護士、あるいは正式名称ではありませんが、協力弁護士と呼ばれています。保険会社は賠償金を支払うにあたり、保険会社の基準内で、できれば低額に収めたい立場です。協力弁護士はそれを擁護する事がミッションになります。加害者側が代理人となる協力弁護士を立てる場面は、被害者の交渉態度に問題があるケースや、被害者側の希望する賠償金に折り合いがつかない場合でしょうか。

 この協力弁護士は保険会社の擁護者ですが、逆に被害者側の代理人になれば保険会社と戦うことにもなり得ます。 長年、議論になっていることは・・これって双方代理?、ダブルスタンダード? 節操がない? などの意見です。硬派な弁護士は、立場上、旗色を鮮明にするため、どちらかに専念しているようです。一方、代理人ですから、依頼者がどちらであっても、受任すればその立場で、誠実に業務遂行することになる・・これに、何ら問題はないとも言えます。弁護士は法律上の代理権を持った「依頼者の代理人」ですので。同一の事故で、双方から依頼を受けること(双方代理)はできませんが、別の事件であれば違法になりません。あくまで一方からの依頼に専念するかどうか、これは弁護士事務所の方針に過ぎないことで、どちらの考えが正しいかを問うているわけではありません。    さて、被害者さんが弁護士を選ぶ場合、どちらの弁護士を選びたいと思いますか? やはり、弁護士の立場が心配です。この先生は、平素から仕事をもらっている保険会社に対して、「ガチで戦ってくれるのか?」です。保険会社は民間企業・営利企業です。弁護士事務所も同じです。つまり、被害者の相手が協力先の保険会社となれば、取引先に弓引く構図になってしまいます。もちろん、顧問や協力先の保険会社なら、その被害者の依頼は引き受けないことになるはずです。逆に、取引のない保険会社が相手なら、引受OKとなりますでしょうか。ただし、将来、この保険会社からの顧問契約や、仕事の依頼に繋がらないことにはなると思います。保険会社からの顧問料や依頼は、弁護士事務所の経営上、安定収入になります。言わば有力な顧問契約先になります。これらの判断も、弁護士事務所の経営方針次第となります。

 かつて、ある弁護士に、この問題について見解を聞いたことがありました。協力関係にある保険会社であっても、被害者から依頼を受ければ正々堂々戦うそうです。なんでも、その保険会社の担当者から「先生、敵対する被害者からの依頼でも忖度せずビシビシ来て下さい。弊社は弁護士の立場を尊重しています」と言われたそうです。一見、フェアなやり取りに聞こえます。この弁護士先生はそれを受けて安心、双方の依頼を受けることに胸を張っています。しかし、長年、保険会社勤務&代理店経営をした秋葉は、この保険会社担当者のセリフが、「(熱湯風呂を前に)押すなよ、いいか、押すなよ」と聞こえてしまいます。これは、ひねくれた勘ぐりではなく、民間企業には”(元請・御店には逆らわない)=商売の仁義”が根底にあると思うからです。    

 

続きを読む »

 長年、交通事故業界、それも被害者様のご相談を担当していますと、本当に助けるべき被害者なのか迷うことがあります。相手保険会社の塩対応、あるいは横暴な対応に憤慨して、時には相手側に弁護士を入れられた被害者さんが、救済を求めて相談にいらっしゃいます。もちろん、丁寧に拝聴した上で、対応策を検討します。しかし、時には、道徳的に助けられないケースもあります。

 立場上、被害者様の窮状を救うことが前提です。弁護士のみならず私共も、被害者様の言い分を信じる事からスタートすべきです。それが士業者としての基本だと思います。しかし、残念ながら被害者の中には不道徳な方も含まれています。例えば、事実と違う損害を訴える不正請求、嘘の症状を装う詐病、暴力的な言動・態度をする方も含まれます。このような不道徳が明らかである場合、ご依頼を受けることはできません。職業倫理として当然なことです。  ただし、問題ある依頼者か否か、容易にわからないことの方が多いと思います。神経質になり最初から疑ってかかる姿勢、これも職業倫理に反するものですが、盲目的にご依頼を引き受ける事も罪なのです。不正な請求者を擁護する事務所は、保険会社から悪徳のレッテルを張られます。それこそ、今後にわたって正当な被害を訴える被害者さんを受任しても、「あの何でも引き受ける事務所の依頼者」として色眼鏡、疑られてしまう結果になるのです。

 ご相談を受けて、訴えの正当性を検討するに悩ましいことは多々あります。これも士業事務所の宿命と思っています。  

続きを読む »

 報道でご存知と思いますが、小学生の列に突っ込んだ2人組による、ひき逃げ事件です。実は、全国の統計上、1日平均10件はひき逃げが発生しています。死亡等、大きな事故でなければ、一々マスコミは取り上げません。今回は下校中の小学生の列だったので、取り上げたと思います。

 「まぁ、ひどい運転者ですこと」、巷では非難の声が上がります。しかし、交通事故の仕事に30年以上も携わっていますと、実にひき逃げは多く感じます。とりわけ、外国人ドライバーによる無保険、ひどいと無自賠責、おそらく不法滞在もあり・・その結果からか逃走は決して珍しいものではないのです。せめて、自賠責位は入っていることを祈ります。もしくは、被害児童の親御さんが自動車保険の人身傷害に加入があれば、そちらを頼ることになるかと思います。   <NHKニュースさまより>

埼玉 三郷 小学生ひき逃げ事件 車の同乗者か 1人から事情聞く

 埼玉県三郷市で小学生4人がけがをしたひき逃げ事件で、現場から逃走した車に同乗していたとみられる1人から警察が話を聞いて、当時の状況の確認を進めていることが捜査関係者への取材で分かりました。一方、運転していたとみられるもう1人は所在が分かっておらず警察は引き続き行方を捜査しています。  14日、三郷市でSUVタイプの乗用車が小学生10人ほどの列に突っ込み、6年生の男子児童4人をはねてけがをさせたあと逃走しました。警察がひき逃げ事件として捜査を進めたところ、逃走した乗用車が15日、現場から2キロほど離れた住宅の駐車場で見つかり、押収されました。乗用車には事件当時、2人が乗っていて、運転していたとみられる1人は今も行方が分かっていませんが、同乗していたとみられるもう1人についてはその後、見つかりすでに警察に任意で事情を聞かれたことが捜査関係者への取材で分かりました。警察は、引き続き、話を聞いて当時の状況の確認を進めることにしています。また、逃走した乗用車は中国籍の男性が所有していて、この男性と連絡がとれていないことも新たに分かりました。警察は運転手とみられる1人の行方を捜査するとともに、所有者が何らかの事情を知っている可能性があるとみて、所在の確認を急いでいます。

車が見つかった駐車場近くの住民「何度か見かけた」

 車が見つかった駐車場の近くに住む90代の女性は「事件に関わった車が路肩に止まっているのを何度か見かけたことがあります。2人組の男性が乗っていたと思います。2人で何か話しながら降りてくることもありました。この近くにも小さな子どもが住んでいるので、怖いなと思います」と話していました。  

続きを読む »

 いやぁ、北海道から九州沖縄に至るまで、弁護士事務所と連携しているのは本当です。信じて下さい。

 多くの士業が、宣伝上の大風呂敷で「全国対応します!」とうたっていますが、本当に各都道府県に支店を置いている弁護士事務所など、ほんの数事務所です。全国対応の実際は、郵便やzoomなど通信で対応しているに過ぎません。だからこそ、冒頭の「信じて下さい」となります。

 今年に入り、北海道と福岡からの依頼が入りました。郵送でやり取り可能なわずかな手間だけお手伝いするとして、やはり、当地の連携弁護士に頼ることになります。その点、全国各地の弁護士先生に対し、電話一本で話を通すことができます。これで、当地のご依頼者さん達も安心です。全国の弁護士先生との連携も、かつての案件のやり取りはもちろん、交通事故の勉強会などを通して構築した人脈です。    全県には及びませんが、主要都市ならまずOKです。  

続きを読む »

 長年、交通事故に携わって、とうに30年を超えています。当然に、過失割合でもめにもめた事故をたくさんみてきました。多くは、一方あるいは双方の妥協で解決します。もちろん、根拠は『判例タイムス』の割合を、そのまま採用か、わずかに修正を加えたものでした。双方の気持ちは分かりますが、争い自体の労力と時間の無駄を感じてしまいます。

 その争いの中で、甲乙が入れ替わる(つまり、加害者と被害者が逆になる)ことはめったにありません。ここでは、重大な事実誤認や、一方の嘘から事故状況が変わってしまったケースは除きます。判例タイムスの原則や解釈にそぐわず、裁判官が個別具体的に過失割合に決着をつける場合のことです。裁判官独自の判断、実は相当に珍しいことなのです。それが、昨日のセミナーで目にしました。    まだ結審していませんので、詳しいことは書けません。この事故は、判例タイムスによると、当方80:相手20の事故形態でした。しかし、その担当弁護士は、ドライブレコーダーを解析し、現場検証から緻密に事故状況を明らかにしました。当方が悪くない事情を積み重ねて主張しましたところ、まだ和解提示ではありますが、担当判事は20:80と逆転の結論をしたのです。

 これは、大変に珍しいことなのです。多くの事故は、保険会社の担当者が判例タイムスを手に、その基準を相場として片が付くものです。裁判で争うにしても、それは死亡・重度障害など、大きな賠償金が絡む重大事件に限定されます。だからこそ、判例タイムスに載るような事例とならず、少額事故での弁護士の快挙は目立つものではないようです。    本件の依頼者さんは、この逆転劇に対して、「0:100にならないの・・」と未練が残るそうで、やや、やるせない気持ちではあります。しかし、本件の弁護士を誰よりも秋葉事務所は賞賛します。将来、AIの判断になるかもしれない過失割合です。それでも、人間のやることがまだまだあるようです。      

続きを読む »

 昨日の主婦休損ですが、もう一ネタ掘り下げましょう。     主婦の休業損害、その議論は深いものです。家族の形が多様化した現在、様々な家族の姿があるからです。内縁関係は、昔から損保も家族とみなしてくれます(※)ので、普通の夫婦・家族と同じ扱いです。主婦性の立証に関して、色々と検討を要するケースとして、同性カップルやルームシェアする他人同士があります。これらは、家計を担う就労者と、内助の功となる家事従事者の関係性を説明する必要があります。   ※ 損保は内縁関係の認定に対し、およそ郵便物だけで判断可能です。同じ家に、それぞれ内縁夫婦の郵便物が届いており、その宛先住所が同じならば、同居の証明としてくれるのです。    今までで、もっとも難しい議論となったのは、無職の高齢者や障害者を介護する無職の同居人です(この家族は社会保障で生活しています)。この場合の家事労働ですが、就業者への内助の功にあたりませんので、休業損害は認められないことになります。介護に支障がありながら、主婦性が否定されて0円はあまりに酷です。これらは、個別具体的な事情として、相手損保や委任した弁護士が検討を重ねることになります。ちなみに、このケースでは、主婦性の議論を捨てて、通院日に代替のヘルパーを雇用、その費用を損害額としました。    さて、主婦性の議論において、勉強不足となる損保担当者は、窮すると「何でもかんでも6100円」と決めこみます。これは、自賠責保険から回収する際、労働能力(労働意思も)を有する者として1日6100円が最低額となり、その額までならば容易に回収が可能だからです。まるで思考停止状態の損保ですが、被害者側も、その提案に乗ることが上策のケースもあります。ここで、担当者を勉強不足とまで糾弾できないでしょう。      一方、被害者の味方である弁護士さんも、主婦休損の立証から、一流~三流で以下のような差になります。   三流:これは、ずいぶん前の交通事故相談会に参加された被害者さんです。すでに弁護士に依頼済ですから、セカンドオピニオンになります。見せてもらった賠償請求書ですが、弁護士のポンコツぶりに落胆したものです。なんと、内縁関係の同居者である奥さんですが、ケガで休んだスーパーマーケットのパートの賃金を休業損害として、杓子定規に請求しています。週3日勤務で1日5時間・時給1100円です。つまり、1日あたり5500円。クソ真面目に職場へ休業損害証明書と源泉徴収票を取り付けて、相手損保に提出済ではないですか!

 このシリーズを読んで下さった方にお分かりと思いますが、「私は内縁ですが主婦です」と言って、主婦休損の1日1万数百円で請求すべきです。ケガでスーパーを休んだ日は、たったの5日です(合計27500円の請求)。一方、主婦となれば、通院実日数は60日ですから、少なくとも最初の30日は認められるとして、10700円×30日=321000円です。ところが、この弁護士先生、端から「内縁関係なので主婦は無理です。職場に証明書を書いてもらって下さい」との指示でした。この知識不足から、依頼者さんは30万円近く損するところだったです。慌ててその弁護士に陳情、請求額を訂正してもらいました。  対して、相手損保担当者さん、27500円なら喜んで支払うでしょう。しかし、最終的に自賠責の回収額を下回る支払いはご法度です(任意保険会社の不当利得になります)。慰謝料がそれほど延びず、支払いに余裕がある場合、弁護士先生に対し、「先生、休業は最低6100円みれますので、6100円×5日で計算しますね」と、おまけみたいに増額してくれます(相手損保に増額してもらってどうするの!)。こんな気の抜けたサイダーみたいなやり取りをたまに見かけるのです。     二流:損害賠償論に習熟した弁護士です。内縁関係であろうと、「実質、二人は家族です。旦那は勤務しており、パートとはいえ被害者の主業は主婦です。」ときっぱり、1日約10700円×実通院日数で請求します。相手担当者も難しいことは言わず、認める傾向です。

 ただし、認定日数は交渉となるでしょう。打撲・捻挫程度のケガであれば、ケガの回復が進む中、「60日まったく家事ができませんでした」は、さすがに通らないと思います。ケガ・症状によっては、30日以降は1/2、60日以降は1/4と、逓減した算定とする場合もあります。

 もう一つ、最近の損保担当者の反撃を紹介します。「主婦の休業は認めます。ただし、パートの休業損害証明書も提出して下さい。パートに出ているのに家事だけはできません、それはないでしょう」。そりゃそうです。パートに復帰以降、主婦休損の請求は説得力を欠きます。このように、損保担当者だって成長しているのです。        一流:上級者は、さらに主婦性の立証について、ノウハウを重ねています。例えば、郵便物届先や住民票の住所が別で、内縁関係を疑われたカップルであっても、町内会の会長さんに「あぁ、あの二人は同居しているよ」との証明書を発行してもらい、立証します。また、冒頭の主夫や同性カップルの場合、一方の勤務実態を職場に証明してもらい、奥さん(旦那さん・・同性カップルの場合はどっちでしょうか?)の主婦性を丁寧に立証します。この辺のノウハウは、交通事故を相当件数重ねたプロの仕事になります。秋葉事務所でも、幾度となく、お手伝いをしてきました。

 保険会社は、これらの事情を理解する為の「家族構成表」の提出を求めてくる場合もあります。立証する側の弁護士は、より踏み込んだ家族の関係性を説明、交渉にあたっています。   続きを読む »

 本日のセミナーの課題は、過失相殺です。かなりベタなテーマですが、Q&A方式に馴染みやすく、参加者の皆様へ8問出題、回答していただきました。    所感としては、思ったより「難しい」。毎度、判例タイムスに合致する事故状況を検索して、過失割合の相場を判断するものですが、何も見ないでの回答は簡単ではありませんでした。次回のセミナーでは、もう少しヒントを盛り込み、答えやすい形に変えようと思います。

 セミナーは回を重ねて熟成させるものです。次回、静岡ではより精度を上げていきたいと思います。参加者の皆様、大変お疲れ様でした。  

続きを読む »

 「ケガをしていたとしても、会社を休んだとしても、役員報酬は払われるのですから、法人役員の休業損害は生じないはずです」と保険会社は言います。正論ではあります。仮に長期間の入院で労働実態がなくとも、役員報酬は払われることが普通と思います。  ただし、例外はあります。少人数の企業、家族内企業(3ちゃん企業など呼ばれます)は、法人企業であっても限りなく個人事業主で、お父さん社長が現場で実働していることが普通です。この場合、どうやって休業損害を証明するのか・・絶対的な方法はありませんが、丁寧に実働記録を集めて提出、交渉することになります。それと、そもそも法人自体の売り上げが下がっていなければ、説得力を欠きます。したがって、以下の書類を集めます。できれば、税理士や取引先が証明している書類が望ましいです。会社自ら作成の記録では、常に”お手盛り”が疑われるからです。   ・事故前年と、事故当年の申告書類。減っていることが前提です。

・取引先からの注文、請負を示す書類。ケガでキャンセルとなればなお良し。

・現場にでている、実働していることを示す、元受けからの業務記録。

・自社の記録ではありますが、現場記録、業務日誌など。     たいていはこれらが揃わず、保険会社に屈することになります。有能な弁護士も武器(証明書類)がなければお手上げです。  

続きを読む »

 現在、道路交通法違反で刑罰の対象となる、あるいは行政処分として切符を切られることはありませんが、後部座席のシートベルトがより強く指導されると思います。

 その理由ですが、50年間の交通事故の歴史を振り返ります。現在、死亡事故は減少の一途をたどっていますが、その理由として、シートベルトの着用が挙げられます。信じられないことですが、昭和30~40年代、運転者の多くがシートベルトをしていなかったのです。私の父も、近距離ではしていなかったと思います。お巡りさんも一々切符を切らず、「注意だけ」が多かったと思います。それでも、継続的に取り締まりを強化した結果、昭和50年頃には運転手のシートベルトが普通になりました。  次いで、助手席です。私が子供のころ、助手席でシートベルトをしている人が珍しかった印象です。1970年代(昭和40~50年)の交通戦争時代は年間1万人以上が交通事故で亡くなっていました。その内、運転者は助かるも、助手席の死亡が多かったことから、助手席のシートベルト強化が進みました。警察、自治体、教習所の指導強化が続きましたが、やはり、取り締まりと罰金が効果的でした。

 そして令和の現在、後部座席への強化に時代が進んだと思います。本日、埼玉県で痛ましい死亡事故がありました。自動車vs対向車との衝突ですが、シートベルトをしていた運転者と助手席の人は助かりましたが、(おそらくシートベルトをしていない)後部座席の方は亡くなりました。

 ここ数年、タクシー乗車時に運転手さんから「恐れ入ります、シートベルトの着用にご協力をお願いします。」と丁重に呼びかけらます。まだ、お願いベースですが、いずれ過去の歴史のように、取り締まり・罰則強化に及ぶと思います。  

続きを読む »

 依頼者さまのお悩みで少なくないものの一つに、被害者感情があります。

 弁護士含め私達の仕事は、正当な補償を勝ち取ることです。実利ある解決とは、金銭の多寡に他なりません。しかし、加害者に対してのモヤモヤした感情のやりどころは・・と逡巡してしまうのです

 賠償金で被害感情を拭うしかないのですが、簡単に割り切ることができないものです。ついには、「お金の問題ではないのです(怒)!」と言う方もおります。

 私達のできることは、被害者感情の解消や気持ちの整理ではありません。ただ、しっかり賠償金を確保して、できるだけ早く解決させることです。また、刑罰においても、加害者への処分は検察が判断し、裁判となれば、裁判所が決定することです。被害者参加制度もできましたが、基本的に被害者抜きに進むものです。

 交通事故の解決とは、身も蓋もない言い方ですが、「お金の問題です」。負の感情を持ち続けることは、決して健全ではありません。賠償金を得て、1日も早く、平穏な日常を取り戻していただくことが一番です。私たちにできる励ましの言葉としては・・車好きの人であれば「賠償金でレクサス買いましょうよ」、旅行好きの人には「賠償金入ったらハワイに行きましょうよ」など、具体的な目標を提案しています。不謹慎な物言いですが、それが意外と気持ちを前向きにさせる効果があったと思います。

        

続きを読む »

注目の判決?

 先日、10歳児童が運転する自転車と乗用車の衝突事故で自転車側に過失100%を認める判決が下されたというニュースがありました。ニュースからの情報しかありませんため詳細は分かりませんが、少し記載してみたいと思います。   ~下記文章は11月18日の産経新聞より抜粋~

 事故現場は信号機のある交差点。男性が運転する乗用車の対面信号は青を示していた。向かって左側に塀があり、見通しは悪い。男性はアクセルペダルを踏まず、徐行して進入。すると左側から赤信号を無視した10歳児の自転車が飛び出してきて、車とぶつかった。車はほぼ停止状態だったため、児童にけがはなかった。

 乗用車の運転手は児童側に修理費用を求めて提訴。大阪簡裁は「本件事故の原因は児童にある」との判断を示し、児童側の過失を認定した。判決のポイントは3つ。1つ目は乗用車側が交差点の手前で速度を落とし、徐行していた点。

 2つ目はドライブレコーダーの映像から認定した児童側の運転の状況だ。自転車は歩道上を徐行せずに走行し、児童は前方の信号が赤であることを確認しなかった。

 3つ目は、車側の事故の予見可能性。この点について裁判所は、現場が見通しの悪い交差点で、赤信号を無視して自転車が飛び出してくることを予見できるとはいえないと指摘した。 児童側は判決を不服として控訴したが、大阪地裁で行われた控訴審でも「児童と男性の過失割合は100対0」と認定された。児童側は上告している。    今回の事故を判例タイムズで照らし合わせると、基本的には【236】自転車80:自動車20となり、そこに児童の修正要素-10が加わり、自転車70:自動車30になることが予想されます。これはお互いに走行していた場合を想定しており、今回の事故では、自動車側がほぼ停止状態にあったということから自転車が勝手に突っ込んできたということになります。また、子どもがケガをしなかったということもポイントかと思います。

 当初ニュースを見たときには、画期的な判例が出たと思いましたが、よくよく調べてみると、個別具体的な判断がなされただけであり、この判例をもって基本過失が変わるとは思えません。ちなみにですが、これがバイク対自動車だった場合は【161】0:100となります。やはり免許の有無が関係しているのかもしれません。今後、自転車にも免許が必要になったならば、過失にも変化が生じてくると思います。  

続きを読む »

 およそ、相談・受任の過半数は捻挫・打撲の軽傷に入るものです。ただし、その内から一定数は軽度とは言えない神経症状に陥り、通院が長びきます。そのような被害者さんに後遺障害14級9号をつけて、実利的な金銭解決を図ります。これが、弊所の考えです。

 一方、被害者さん及びご家族の人生を左右するような重傷案件も少なくありません。そのようなご相談に対しては、先約・予定を飛ばして直ちに駆け付けます。ご本人はもちろん、ご家族の心配は想像を絶するものがあります。できるだけ早く、今後の流れや予想される事態への対処を説明します。これで、ご心配は少なからず解消するものです。でなければ、精神的な疲労で参ってしまいます。

 周囲からの間違った情報や、定かではないネット情報に翻弄されず、正しい解決へのロードマップを引きます。解決まで計画的に進めなければなりません。やはり、ご相談は事故後、早ければ早いほど良いと言えます。死亡案件でも、同じことが言えます。業界の通例では、相手保険会社の対応は荼毘に付すまで、一般的には49日後になります。それまでは、ご遺族にはお見送りに専念することになります。

 死亡事故は取り返しのつかない事態です。秋葉事務所では、死亡の因果関係に疑義でもない限り、とくに調査・証明することはなく、諸手続きのお手伝いに留まり、直ちに弁護士に任せることになります。秋葉事務所の役目は限定的と言えます。生きていればこそ、事務所の力を発揮できるのです。勿論、ご家族の気持ちも、できれば命を取り留めて欲しかったと思います。

 死亡のご相談は、平均年間1~3件でしょうか。今年もすでに2件を数えました。わずかのお手伝いでも、心を込めて尽くしたいと思います。  

続きを読む »

 秋葉事務所では見込み薄い等級申請のご希望に対して、消極的です。いえ、むしろ、止めるように言う事もあります。それだけ、後遺障害の認定が無理な件に対して、無駄な時間とお金を使ってほしくないと考えています。原則はそうですが、年に数回、ご自身の納得の為に受任することがあります。

 それは、可能性は低くとも、完全に医療調査が成されていない、必要な検査が漏れている、つまり、正しく申請されなかった件です。これに対しては、9回裏まで投げ切っていないと表現しています。やるべきことをやっての等級で解決を図るなら良いのですが、中途半端な申請とその結果を受け入れてしまうと・・心残りの原因になります。その為に再請求をすることがあります。これは、解決後の気持ちの整理につながります。

 昨日は久々にそのような相談でした。可能性は低くとも0%ではありません。必要な事をやり切って解決へ向かいたいと思います。交通事故は、被害者さんにとって一生に1度の惨事です。その解決に向けて、時にはロスタイムも必要な時があると思うのです。  

続きを読む »

 秋葉事務所は医療調査が主ですので、(事故の)原因調査はめったにやりません。先日は早起きして、事故現場へ。事故状況の調査と言うよりは、自動車の動きをスピード別に再現するものです。動画と写真、それぞれの撮影に2時間程かかりました。

 保険会社側の調査員・アジャスターは、その目的別に3つに大別されます。自動車の修理費を調べる通称、アジャスター。医師面談等を通じて被害者のケガ・治療状況を調べる医療調査、事故現場の実調などから事故状況を調べる原因調査、です。

 弊社の依頼主は保険会社ではなく、被害者です。物損アジャスターとしての業務ですが、被害車両の金額は工場が見積もりしますので、介入の場面はほとんどありません。事故状況の調査(原因調査)ですが、近年、グルーグルマップのストリートビューで事故現場を確認できますので、基本的な事故状況の把握は大変楽になりました。双方の言い分が食い違えば、まず保険会社側が動きます。その保険会社の調査内容に疑義が無ければ、被害者側で動く事は少ないものです。詳しく踏み込む場合、弁護士が刑事記録を開示するなどして、賠償交渉に備えます。

 やはり、保険金の多寡に最も影響のある医療調査こそ、人身事故の被害者側に常に必要な調査であると考えます。一方、死亡や重傷案件では、事故状況次第で過失割合が決まりますので、原因調査も重要な仕事になるのです。

 

続きを読む »

 秋葉事務所は比較的、遠方を厭わずに受任します。病院同行も、北海道から九州までありました。逆に東京都の中心部での事故はほとんどなかったと思います(もちろん、被害者さんのお住まいは中心部から郊外になりますが)。

 それが今月、事務所の近所、中央区内での事故を二件受任しました。いずれも、交差点歩行中の被害事故でした。灯台下暗しと言いますが、これは珍しいことなのです。

 いずれも、重傷案件です。多くの弁護士事務所がある中、専門性を基準に秋葉をご指名頂きました。期待に応えるべく、鋭意取り組みたいと思います。

続きを読む »

 初回は無料相談ですから、積極的にご利用下さい。大手弁護士事務所が席巻するネット世界で、よくぞ秋葉事務所を見つけて頂いたものだと感心しています。

 相談内容は多枝に渡りますが、やはり、先に弁護士事務所数軒に相談しても、答えが得られなかった末の方が多いようです。たいていは、秋葉事務所の回答で止まります。それは、秋葉が弁護士より優れていることを表すものではありません。交通事故被害者さんの困窮点・疑問点は、法律問題に限らないからに他なりません。

 よくある質問は、自賠責保険や任意保険を初めてとする保険に関する事です。さらには、傷害保険、生命保険、共済、労災など公的保険にまで及びます。これらは、さすがに餅は餅屋、秋葉より詳しい弁護士は少ないと思います。とりわけ、後遺障害に関する相談は、医学的な知見を避けて通れません。この分野に特化した事務所は少なく、弁護士先生の交通事故業務の経験則が問われます。この分野でも、”寝ても覚めても後遺障害”、秋葉事務所に一日の長があると自負するところです。

 最大の問題は、それらの相談がビジネスにつながらない点でしょうか。多くの相談は正式に受任してお手伝いすることにはならず、アドバイスで完結することが多いのです。ビジネスにならずとも、無料相談とはその宿命を負うものです。覚悟して事務所を運営しています。

 

続きを読む »

お問い合せはお気軽に!

事務所メンバー

「交通事故被害者救済」がスローガン! 病院同行に日夜奔走しています。解決まで二人三脚、一緒に頑張りましょう。

代表者略歴を見る!

部位別解説 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

今月の業務日誌

2025年7月
« 6月    
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

月別アーカイブ