今回は歩行者の何気ない行動が過失に影響する事例をご紹介します。
 

(今回は通勤経路内ではありませんが、病院へ向かう際に危険を感じた場所です。)


 
 歩車道の区別のない道路を歩行する場合、皆様はなにか特別に気を付けていることはありますでしょうか。ほとんどの方が特に気にすることなく、その時々によって歩く場所を変えているのではないかなと推測します。尚、写真の道路ですが、駅や大通りへの抜け道になっているため、自動車の往来が非常に激しい場所です。

 実は、ここに大きなポイントがあるのです。道路交通法によって、「歩行者は、歩車道の区別のない道路においては、道路の右側端に寄って通行しなければならない。」と定められているのです。(※「一定の場合には道路の左側端に寄って通行することができる。」という文言もついております。)

 道路交通法を守り、右側端を通行していた場合には、当然歩行者に過失はありませんので歩行者0:自動車100となります。但し、「ふらふら歩き」(このふらふら歩きというのは、自動車の予想を超えた動きを想定しているため、よほどのことがない限りは適用されないみたいです。)があった場合には、修正要素として歩行者に+5となっております。(判例タイムス【43】)

 逆に左側端を通行していた場合には、歩行者5:自動車95となります。左右が違うだけでこちらにも過失が出てくるとは思ってもみなかったのではないでしょうか。ほとんどの場合、保険会社もここまで厳しく過失について争ってはこないのが実情ではありますが、知っていて損はないと思います。皆様も歩かれる際はぜひとも、このようなルールにお気を付けください。

 尚、修正要素としては、先程の「ふらふら歩き」が+5、「児童・高齢者」、「幼児・身体障害者」、「集団通行」では-5となっております。(判例タイムス【44】)