人身事故、とりわけ後遺症を残すような被害事故を追いかけている秋葉事務所です。しかし、物損事故と人身事故の比率は、地域や年度にもよりますがおよそ25:75と言われています。被害額については、圧倒的に人身事故が高額で、また相手保険会社との交渉では、その賠償額が高額になるほど、増減が激しいものです。対して、物損事故は、相手が対物賠償(任意保険):1000万円でもつけていれば、車1台の損害なら間に合うことが大半で、見積金額の折り合いをつけるだけの交渉とも言えます。
 
 しかし、中には洒落にならない程の高額賠償のケースもあります。今回は「ベストカー」さんのweb記事を参照、お借りして、その事例を紹介したいと思います。
 <ベストカーweb 分/藤田隆太さま より>
 
 車を運転するなら保険加入が当たり前。特に最近の判例を見ると、人身事故の際は大変な金額となるため任意保険への加入は必須で、なるべく手厚い保証に設定したい。だが「対物に関しては通常の保証で十分」などと考えていないだろうか? 今回の記事を読んでいただければ、そんな考えは消し飛ぶに違いない。過去にあった高額な事故から、標識や自動販売機など、身近なアイテムとの事故について、その保証額をご紹介しよう。
 
○ 対物賠償の加入率は75.1%!!保険なしでは怖すぎる!!

 高速道路でトラックが横転、炎上して積荷を焼失させた事故では、2億6135万円の認定損害額を認めた例がある。自動車ユーザーなら誰でも加入していると思われている自動車保険(任意保険)。しかし、損害保険料率算出機構の調べによると、任意保険の対人賠償の加入率は75.1%、対物賠償の加入率は75.1%とのこと。これは全国平均の数字なので、大阪、愛知、神奈川、京都などは加入率80%以上だが、沖縄や島根では50%台にとどまっている。

 また、かつてタクシーは対物保険に加入していないといわれた時代があったが、2005年から加入が義務づけられ、対人賠償で8,000万円以上、対物賠償で200万円以上(免責30万円以下)の保険に加入しないと国土交通省の営業許可が下りないことになった。

 しかしクルマに乗るのなら、対人保険はもちろんだが対物保険も絶対無制限で加入しておくべきだ。というのも、近年自動車事故の損害賠償額がどんどん高額になってきているため。

 一例を挙げると、2008年に首都高速道路でタンクローリーが横転して火災が発生した事故で、道路高架部分の掛替費用(約17億円)と、 2 カ月あまりの通行止めによる通行料金の営業損失を合わせ、32億8900万円の支払いを命じた東京地裁の判決は記憶に新しいところ。

 他にも1994年に高速道路でトラックが横転、炎上して車両と呉服、洋服、毛皮など積荷を焼失させた事故では、2億6135万円の認定損害額を認めた神戸地裁の例や、1996年に乗用車がセンターラインをはみ出して、トラックに正面衝突。道路脇のパチンコ店に飛び込み、1億3450万円の賠償金を東京地裁が認めている。


 このように、賠償額が1億円を超えるケースも出てきていることを考えると、対物保険は無制限にするのがベスト。もし保険料を節約したければ賠償額ではなく、免責分を増やすべき。
 
 つづく