「むち打ち」とは俗称であり、正式にはいくつかの病態に分かれます。いずれも治療方法が確立された、とは言い難いですが頚椎捻挫であれば一定の回復が図れます。保険会社が賠償金交渉で逸失利益(将来にわたる損害)を認めない、もしくは2~3年とみる理由は「むち打ちは治るのだから・・」です。しかし症状の残存は病態により差があります。まず自らの病態を把握し、適切な医師の治療を受ける必要があります。併せて症状固定時に正しい後遺障害診断が得られるよう計画・準備をします。
 
1、頚椎捻挫型

(症状)
 多くは追突事故を受けた後に頚部に違和感が生じます。当日はレントゲンで「骨に異常ないですね」と言われ、薬をもらって帰ります。翌日~3日後位になり痛みやこわばり、肩から手にかけてしびれを感じるようになります。
 
(治療)
 安静が第一です。無理に動かしたりせず、痛みが和らぐのを待ちます。
 
(後遺障害認定)
 医師や保険会社の言う通り、多くは「治る」はずです。なので半年間週に2回リハビリに通った程度では後遺障害とはなりません。もし何日経っても症状が軽減しない場合、早期に下記2以下の病態を疑い、必ずMRI撮影をして下さい。
 
2、神経根型

(症状)
 肩から手指にかけてしびれを自覚します。首を曲げるとピリピリとした感覚が走ります。これは頚椎のヘルニアや骨棘(頚椎の骨の角)が神経に触ることで生じます。これは、MRIで視認できます。しかしながら、事故の衝撃で椎間板が突出することは稀です。多くは加齢によるもので、事故の衝撃で神経症状を発することになります。
 神経の圧迫が続く限り症状は残存しますので、ひどいと手術になります。。知覚障害、放散痛、筋力低下など、諸々の神経症状となります。
 
(治療)
 MRIの診断で頚椎(第1頚椎:C1~第7頚椎:C7)のどの部分が神経根を圧迫しているかを確認します。ケースとしてはC5/6、C6/7間、C8の部分が多いです。そしてなるべく早い段階で医師にスパーリングテスト、ジャクソンテストをしてもらい、カルテに記入してもらいます。症状によっては神経ブロックが有効で、痛み・しびれを和らげる効果があります。ヘルニアの突出や変形がひどければ、神経への圧を撮るための前方固定術や、椎弓形成拡大術が必要となります。
 
(後遺障害認定)
 MRI画像からはっきりと神経根圧迫が認められれば、しびれや痛みの症状の根拠となりますので12級13号の対象となります。ただし、40歳を超えた人は大なり小なり頚椎の変形やヘルニアの膨隆があります。したがって年齢変成を考慮した、もしくは画像上微妙な場合は14級9号となります。いずれも整形外科に地道に治療を続けることが大事です。  診断書には他に徒手筋力検査、筋萎縮検査、 腱反射、知覚を加えます。神経症状は丁寧に立証する必要があります。
 
・最初のレントゲンだけでMRIを撮っていない

・画像は微妙、歳も40歳を超えている

・整形外科には月2回通院程度、あるいは接骨院中心

・神経症状の検査をやってない、その結果を診断書に書いてない

・全治療期間において症状が一貫していない(途中から診断名や痛みを訴える部位が変わっている、増えている)

・治療期間に30日の間が空いた
 
 これらの方は非該当もしくは、12級(なのに)→14級(判断)となる可能性大です。毎度口を酸っぱくして言いますが、治療と立証は別物です。早めに立証の計画を立てて下さい。

 他にも解説すべき病態を4つ残しました。明日に続きます。