お待たせしました。直接請求権の行使によって、事例の草薙さんと香取先生は修理費の支払いを受けることができたのでしょうか?多くは以下Aパターンで解決します。
 
 
<Aパターン>

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香取弁護士:「私どもは東京ダイレクトさんに直接請求を行います。約款〇ページに書いてありますよね?」

東京ダイレクト損保 担当 中居氏:「(うっ、そうきたか・・)わかりました。しかし約款上、裁判や調停での結果が必要です。もしくは弊社契約者である稲垣さんと草薙さんの間で示談が成立するか、草薙さん側が稲垣さんへ請求をしない旨の念書の作成が必要です。」

香取先生:「当人同士の示談は無理でしょう。また、草薙さんは稲垣さんへ修理費を請求するつもりはありません。したがって念書はいつでも差し出しますよ。ここまで来たら中居さん、稲垣さんを説得してくださいよ。でないと進まないでしょ? 稲垣さんが拒否したら仕方ないですが法的手段、つまり裁判をしますよ。」

中居氏:「わかりました、稲垣さんと相談します。」

 

 こうなると、東京ダイレクトの中居さんは稲垣さんを説得するようになります。
 

中居氏:「相手は弁護士をいれてきました。本気のようです。ただし稲垣さんへは直接請求しないことの念書を草薙さんから取れば保険で払えますよ。もっとも念書などなくても稲垣さんが保険を使うと一言いえば、弊社は交渉と支払いに進めますけど・・」

稲垣さん:「だから俺は悪くないし、保険を使わないって言っているでしょ。何とかならないの?」

中居氏:「私どもが保険を使わなければ、相手の弁護士は稲垣さんを訴えるようです。事故状況が少し食い違っていますが、やはり稲垣さんの責任が重くなると思います。もう保険を使って弊社に任せて頂いても良いと思ますが。」

稲垣さん:「訴えられたらどうなりますが?」

中居氏:「8~9割は稲垣さんの責任とされる可能性があります。弊社はそれに従って保険金を支払わなければなりません。」

稲垣さん:「・・・う~ん(もう面倒だな)、わかりました。保険を使って進めて下さい。もう中居さんに任せますよ。」

中居氏:「承知しました。ではすぐにでも交渉を進めます。」
 
 
 こうして直接請求権など関係なく、中居氏と香取先生はお互いの自動車の修理費・写真の交換を行い、電話交渉にて10(草薙さん):90(稲垣さん)で承諾書を交わしました。草薙さん側は10%の責任を飲みました。ちなみにこの10%で、自分の対物賠償保険は使用しないと太陽損保の担当 木村氏に伝えました。草薙さんだって来年の掛金が上がるので、わずかな金額での保険使用は避けます。

 すったもんだしましたが、普通の物損事故の解決に戻りました。「直接請求権」が有名無実となる瞬間です。この約款が知られていない理由は、発動されないままに解決となることが多いからでしょう。
 
 この事件の本質は・・稲垣さんは保険使用で来年の掛金アップする、それを避けるために自損自弁に持ち込んで保険使用を回避したい、それを保険会社も「契約者が保険を使わない以上、保険は使えません」としれっと言って対応をしないこと、この二つのご都合主義です。この二者の結託は被害者にとって本当に困ります。

 さて、このような解決パターンが多いながら、それでも稲垣さんが食い下がった場合の解決事例を明日、Bパターンとして解説します。
 

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