今月号の通信で特集した「労災」ですが、よくまとまっていましたので、こちらにも掲載したいと思います。
 
 労災は大きく分けて、「業務災害」と「通勤災害」です。補償内容については、労働基準法に「災害補償」に関する条文が定められています。条文に沿って、補償内容を確認しましょう。
 
【1】補償内容(第8章 災害補償) 
 
(1)療養補償(第75条)

・・・労働者が業務上、ケガもしくは病気にかかった場合、その治療費を支払います。

(2)休業補償(第76条)

・・・ケガや病気での療養で仕事を休んだ場合、賃金の60/100(平均賃金)を休業4日目から支払います。

(3)障害補償
(第77条)

 ・・・ケガや病気で障害が残った場合、その程度(1級~14級)に応じて、補償金がでます。7級以上の重い障害には年金での支払いとなります。

(4)遺族補償(第79条)

(5)葬祭費(第80条)

 ・・・死亡の場合、平均賃金の1000日分が支払われます。   葬祭費は平均賃金の60日分。
 
【2】労災使用のメリット
 
(1)全額補償される!

 ・・・健康保険のように、治療費の自己負担はありません。又、交通事故の場合で、自己にも責任がある場合、過失減額がありますが、労災は過失割合に関係なく100%支払われます。

(2)特別給付がある!

 ・・・前述のように、交通事故で相手から全額の請求が困難な場合だけではなく、仮に0:100の事故で相手から全額回収できたとしても、労災から余分に特別給付を得ることができます。相手からの賠償金と丸々二重取りはできませんが、休業損害の20%、さらに後遺障害は等級に応じて特別一時金が余分に請求できます。

(3)将来の再発、症状固定後の治療費も!

 ・・・傷病が治療終了後に再発した場合(再発申請)、特定の傷病名については、症状固定後の治療費も請求できます(アフターケア制度)。


  
【3】請求の注意、問題点

 このように労働者にとって、至れり尽くせりの補償制度ですが・・
 
(1)通勤災害は寄り道厳禁!

 ・・・通勤経路を逸脱、通勤時間を超過した場合、それが常識的な範囲(帰りにコンビニでお惣菜を買った程度ならOKですが)を超えると判断された場合、免責となります。例えば、通勤経路上の居酒屋(座って飲食)はアウトです。では、数分の立ち飲み屋は?・・程度問題でしょうか?

(2)労災を使うと掛金が上がる?

 ・・・「労災を使うと掛金が上がる」と真面目に信じている担当者が少なくありません。確かに1000人以上の労働者を雇用する事業所に限っては、メリット、デメリット料率があり、掛金の増減はあります。皆様の会社はこのような大企業ですか? また、「会社の安全管理が問われてしまう」との言い訳も聞きます。業務中のケガであれば、そうかもしれません。しかし、通勤中の災害では会社に何の落ち度もありません。当然、労働基準局が業務改善命令、安全指導をすることなどありません。

(3)会社が未加入(泣)

 ・・・労災未加入は違法ですが、未だに中小企業で未加入がみられ、まして、パート・アルバイトなどは労災に入っていること自体、怪しいものです。その場合、あきらめるしかないのでしょうか?いえ、労働 基準監督署に申し立てれば、未加入事業所でも、事故後適用がなされます。 つまり、労災が適用された会社は遡って労災に加入することになります。ちなみに、労働基準局の加入指導に従わない企業は、罰則も設けられています。

(4)交通事故の場合は使えませんよ

 ・・・交通事故で加害者がいる場合、「相手(相手の保険会社)がいるので、労災はでませんよ」、「労災は相手の自賠責を使い切ってからですよ」と、残念ながら間違った対応がされています。使用の優先・序列についての法律などありません。内規でそのように対応しているのかもしれませんが・・。

(5)会社の許可がいります

 ・・・ウソです。申請のためには、業務中・通勤中に事故・疾病があった事について、申請書に会社の署名・印をもらう必要があります。しかし、労災適用を認めるのは会社ではなく、労働基準局です。会社に労災の適用権限など端からありません。労働者の届出だけで、審査・認定されるものです。それでも、実際の現場ではこの無理解が勝つようで・・。

 このように、会社が労災を使わせたがらない土壌が存在するのです。秋葉事務所でもこの手の相談はひっきりなしです。労災を使う強硬手段はありますが、労働者は使われる身、会社と事を構えることは「クビ」を覚悟とまでなってしまいます。労災は非常にありがたい補償制度ですが、闇もまた深いものです。
 

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