ご相談はお早めに
先日、弊所にご相談のお電話があったのですが、初動に悩まれる方が多いように思います。そこで今回は、弊所の日常的な風景である具体的なやりとりを記載してみたいと思います。
ご相談者:「先月末に自転車で横断歩道を青信号で直進中、左折してきた車に巻き込まれるような形で衝突しました。医師からは全治3週間と言われ、打撲・捻挫の診断名がついています。また、脊柱管狭窄症とも言われています。」
佐藤:「そうでしたか。それは大変でしたね。お見舞い申し上げます。さて、脊柱管狭窄症というのは、交通事故外傷というよりも内在的なもの(つまり病気のようなもの)として捉えられてしまい、あまり好ましい表現ではありませんが、今回の事故前から、腰の治療で病院にかかっていたというようなことはありませんか?」
ご相談者:「実は、事故の前から腰が痛くてリハビリに通っています。通院している医師からは、腰の骨がずれていると言われていたので、今回の事故で後遺症が残るとも言われ、正直不安です。」
その後、事故の概要(加害者の加入保険会社や物損のことなど)を聴取します。
佐藤:「事故の概要は分かりました。ありがとうございます。さて、今回弊所へのご相談ということですが、どのようなことにお悩みでしょうか?」
ご相談者:「はい。今回の事故は退勤中だったので、労災の対象となるのではないかと思い、会社に相談したところ、労災を使っても問題ないという返事を頂きました。今回の事故の場合、労災を使用した方がいいのでしょうか?」
佐藤:「お悩みの件、承知しました。事故の状況がざっくりとしか分からないため、そこまで詳細に回答はできませんが、今回の事故では、双方とも青信号でご相談者様が横断歩道を走行していたということなので、10%の過失を言われる可能性がございます。過失が出る場合には、労災を適用し、少しでも治療費を圧縮した方がよろしいかと思います。
しかしながら、労災治療の場合、病院側が治療期間に制限を設ける(健康保険では150日とよく言われます。)ことが多いです。本来、そのような制限はないのですが、現場ではそのような考えが浸透しており、半年間リハビリさせてもらえないという状況になり得る可能性がございます。まだ後遺症のことを考えるのは時期尚早ですが、後遺障害を申請するのであれば、少なくとも半年間はリハビリ通院しなければなりません。
とはいえ、既往症のことや受傷機転(自転車の修理費が700円で済んだため、保険会社の介入はなく、加害者がその場で精算)を勘案すると、後遺症を考えて行動するよりも完治を目指してリハビリされるのが賢明だと思います。まだ保険会社から過失について言われていないのであれば、治療費は自由診療の一括対応でも問題ないと思いますし、その方が病院は喜びます。保険会社も長期間の通院でなければ、問題なく支払ってくれると思うのですが、労災にした方が保険会社は喜びます。その分、病院はがっかりしますけどね(笑)
つまり、自由診療と労災、ともにメリット・デメリットがありますので、そのあたりを整理して決断してみてください。」
ご相談者:「ありがとうございます。事故の入口から全く分からず、誰に相談していいかも分からなかったので助かりました。今後の治療プランをじっくり考えてから決めようと思います。」
どうでしょうか。「過失がある場合には労災一択!」ということでもないのが分かりますでしょうか。もちろん、骨折や後遺症が残るようなお怪我であれば、労災一択ですが、受傷機転やけがの程度・既往症などなど…様々な要素を勘案すると、自由診療でもいいのではないかという考えにもなります。重傷者になればなるほど、初動が大事になってきます。「ある程度治療してから相談しよう。」では遅いのです。まずはお気軽に弊所へご連絡頂ければと思います。