骨折での金属固定の術式は進歩しています。近年、めったに変形が残らなくなった印象です。それでも、大腿骨と脛骨の間、その関節面の不整は可動域制限の根拠になります。本件では、深刻な制限が残らなっかたのですが、癒合後の不整を根拠に12級13号を模索しましたが・・結果は14級9号の回答。当然、突き詰めたい認定ではありました。
 
仕方ないです
 

14級9号:脛骨高原骨折(60代男性・埼玉県)

【事案】

道路工事の警備で交通誘導をしていたところ、前方不注意の自動車に突っ込まれ、負傷した。直後から全身の痛み等、神経症状に悩まされる。
 
【問題点】

ご自身の家庭問題や経済的困窮、精神疾患、更には職場との関係など問題だらけであった。
 
【立証ポイント】

通常であれば、抜釘を待ち、検査を十分に受けてから後遺障害診断という流れのはずだが、ご本人から「このままでは生活がままならない。」というご相談を受けたため、次回の診察予約を早め、急遽、後遺障害診断書を依頼することとなった。

関節面に不整があったため、MRIやCTで検証したいところだが、早期にお金を獲得するということがご本人の要望であるため、レントゲンのみで後遺障害申請手続きに進んだ。関節面の不整があることから12級13号を想定していたが14級9号の認定であった。理由書によると、「骨癒合は得られている一方で関節面の不整が認められますが、他覚的に裏付ける所見とは捉え難い」と記載されており、関節面の不整が他覚的所見に分類されない?という極めて珍しいケースであった。

本来であれば、異議申立手続きに進むのだが、依頼者の精神状態や経済面から断念せざるを得なかった。