一般的には神経痛をやわらげる薬として知られています。交通事故外傷では末梢性神経障害性疼痛に用い、むち打ち、外傷性頚部症候群で上肢~手指、腰痛打撲で下肢に、それぞれ痛みやしびれが生じる神経症状の緩和のために服用されます。打撲や打ち身の痛みにではなく、神経性の痛み、しびれ等に処方されるところが単なる痛み止めとの違いです。
 
【適用】

 神経障害性疼痛は、神経の損傷から起こる痛みです。このうち脳や脊髄以外の末梢性のものを”末梢性神経障害性疼痛”といいます。代表的なのが、帯状疱疹のあとに残る”帯状疱疹後神経痛”、糖尿病にともなう”糖尿病性神経障害”、”三叉神経痛”などです。

 そもそも、リリカ(プレガバリン)は帯状疱疹後の神経痛にのみ使用可能でした。平成22年10月に末梢性神経障害性疼痛の適応を取得したため幅広く使用できるようになったのです。
 
【薬理】

 過剰に興奮した興奮した神経系統において、電位依存性カルシウムチャネルの機能に対し補助的な役割をになうα2δ(アルファ2デルタ)サブユニットと強く結合します。すると、神経シナプスにおけるカルシウム流入が低下し、グルタミン酸等の興奮性神経伝達物質の放出が抑制されます。その結果、神経障害性疼痛がやわらぎます。
 
【副作用】

 以下の初期症状等に注意が必要です。
 
心不全…息苦しい、胸が苦しい、動悸、疲れやすい、むくみ、体重増加。意識消失。意識がなくなる。
 
横紋筋融解症…手足のしびれ・けいれん、手足に力が入らない、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。
 
腎不全…だるい、吐き気、むくみ、尿の濁り、血尿、尿が少ない・出ない。
 
血管浮腫。顔や唇、舌、喉がひどく腫れる、飲み込みにくい、息がしにくい、手足が腫れる。
 
低血糖…力の抜けた感じ、ふるえ、さむけ、動悸、冷や汗、強い空腹感、頭痛、不安感、吐き気、目のちらつき、イライラ、
 
眠気、ぼんやり。さらに重くなると、異常な言動、けいれん、昏睡(意識がなくなる)。
 
 リリカの代表的な副作用は、眠気を催したり、めまいやふらつきです。とくに高齢の人は、それらの症状から転倒や転落につながるおそれがあります。当然、飲酒は控えるべきで、アルコールとの飲み合わせで、より眠気やめまい、ふらつきなどを起こしやすくなります。
 
【交通事故治療における注意】

 リリカは、カプセル25mg、リリカカプセル75mg、リリカカプセル150mgと含有量別に調節されています。濃度は医師の指示を守って服用します。少量から開始し、効果や副作用をチェックしながら1週間以上かけて増量していきます。逆に、めまいなどの副作用が強いときは濃度・回数を下げます。

 以前75mgを1か月飲み続けて「(むち打ちから3か月経っているのに)めまいがひどくなった・・・」被害者さんがいましたが、これはリリカが強すぎたことが原因と思いました。早速、医師にこれを訴えて、25mgに変更、服用の回数を減らしてもらいました。バレリュー症候群のような不定愁訴は、リリカの過剰服用が原因の場合があるのです。痛み、しびれを強く訴え続けると、医師も処方濃度・回数を減らす指示をしない(忘れる?)ことがあります。この辺に気を配るのも私達の仕事と思います。医師や薬剤師、医療従事者ではない私達は、安易な口出しを慎むべきですが、よく気づく注意点です。。