① 法的に保険会社の示談代行を可とした。

② 紛争センターのような仲裁機関を設置した。

③ 保険会社が顧問弁護士、協力弁護士を受け入れる。

 示談代行付き保険は3つの制度を引き換えとばかりに誕生しました。以降、保険会社による示談・支払いの一貫した解決が可能になり、それが当たり前になっていきました。一方、弁護士は保険会社の交渉でも解決に至らない案件を受け持つようになりました。

 時は流れ平成に入り、私は旧安田火災(現 損保ジャパン)に入社しました。一年目にサービスセンターに短期配属され、山のような事故時払いデータや統計を目にしました。そこで警察に届出された交通事故に対し、保険会社による示談解決は84%との数字をみました。このほとんどが保険会社 対 被害者の交渉で解決しています。このうち弁護士が介入する代理交渉はどのくらいの数字でしょうか?これについてはデータがありませんでしたが、多くは問題のある被害者に対し、保険会社側が雇う形が多かった印象です。

 被害者側に立つ弁護士が少ないのでは?その頃から長らく疑問に思っていました。

 ここ2~3年急激に被害者側にアプローチする弁護士が増えてきましたが、未だ弁護士に委任して解決を図ることは一般的ではないと思います。やはり圧倒的に「保険会社vs被害者」の直接交渉なのです。理由を考えました。

保険会社主導の解決

 あまりにも保険会社のシステムが優秀で、被害者は保険会社のペースで解決に誘導されます。人身担当者がついて病院への一括払い(病院に治療費を直接、精算してくれる)や、物損担当者がついて、さらに物損アジャスターが活躍(被害車両を見るため、足を運び検証)し、組織的に解決を図ります。特に任意保険の加入者同士の事故で、双方に車両保険や人身傷害特約が付いていれば、両社の保険会社によりスムーズに解決してしまいます。もちろんその方が円満でよい結果も多いと思います。しかし後遺障害を残すような事故の場合、保険会社の基準=少ない賠償額で円満解決ではあまりに被害者がかわいそうです。

保険会社寄り?の弁護士

 交通事故を扱う弁護士の多くは顧問、・協力弁護士出身です。そして保険会社との関係が切れても、世話になった保険会社と争う案件は受任しない、徹底的には争わない、このようなケースを未だに目にします。

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 中断していましたシリーズを再開。前回まで 被害者救済業務 を分析 ④

 テーマは 「交通事故業務を保険会社から弁護士の手に取り戻せ!」

 なぜこのようなテーマに至ったのか、交通事故における保険会社vs弁護士の歴史で解説します。  

<1> 交通大戦争

 1974年3月に示談代行付きの自動車保険が販売されました。一番の注目は「示談代行を保険会社がやってくれる」ことです。当時の日本は60年代のモータリゼーションを経て、一家に一台自動車保有が定着した頃です。そして「交通大戦争」と呼ばれるほど交通事故が多発していた時代でした。

 警察庁交通局「平成24年中交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締り状況について」から事故数の推移を見てみましょう。(↓クリックするとはっきり見れます)

 74年当時の数字を見てください。死亡者数、年間16000人超のピークから12000人まで減少したとはいえ、5000人以下に減少した平成24年に比べすごい数です。もちろん負傷者数や物損を含む事故総数自体も、当時の車の台数約4000万台と現在の約9000万台と比べると異常な件数であることがわかります。  

<2>弁護士vs保険会社

 このような背景から、保険会社の自動車保険の販売促進と内容充実は社会的要請でもありました。この膨大な事故数に対し、当時9,830人の弁護士が担うことには限界があります。ちなみに平成24年は司法制度改革の成果で32088名となり、当時の3倍超となっています。  そのような状況で保険会社は「示談代行付き保険」の認可を求めました。現在では当たり前となりましたが、保険会社が対人事故や対物事故で、加害者と被害者の間に入って交渉をしてくれるのが「示談代行付き保険」です。しかし弁護士会は「弁護士以外が他人の事件に介入し、示談をするのは弁護士法72条『非弁行為』にあたる」と反対したのです。簡単に言いますと、「お金を取って、他人に代わり、示談交渉ができるのは弁護士だけ!」と弁護士法で定められているからです。しかし大量の事故の解決には、保険会社が間に入って交渉するのが合理的なのはわかりきっています。保険会社、弁護士の両者で行政を巻き込み調整作業が行われました。

 

<3>示談代行付き保険、ついに発売、その背景

 法的な解釈論は長くなりますので、ここもざっくり言いますと、「法的に白黒つけず、被害者保護に乗っ取った社会的な公益性を優先させた」決着をしました。弁護士法72条は弁護士の職域を守るものではなく、示談屋さんなど被害者を食い物にする悪い人を排除するのが正当な目的です。だから保険会社さんの示談は悪いことではない・・と解釈が進みます。  そして、保険会社、弁護士両者の調整は以下の制度を作ることによって成されました。まさに現在の交通事故業界を形作るシステム(下線)がこの時生まれたのです。

  ① 特段の支障がない限り、原則として被害者が直接請求権を行使できるものとして、被害者救済の途を開くとともに、これによって、保険会社の当事者性を強く打ち出すこととした。

・・「他人のために」示談をすることがダメなら、保険会社は「保険金支払い義務を負う当事者でもあるので、他人のためだけではないよね」・・・このような解釈とし、違法性から遠ざけます。

 もっとも72条違反を回避する目的での「直接請求権」ですので、現場ではほとんど意識されていません。例えば、加害者が自分に責任がないと思って、自分の契約している保険を使わないと言えば、保険会社の担当者の多くは、「契約者(加害者)が保険を使わないと言ったので、うちは対応できません」としれっと答えます。そのような場合、被害者は「直接請求権」を発動すればよいのですが・・・この議論は本筋にはずれますので別の機会に取り上げます。

  ② 「交通事故裁定委員会」の設立。被害者(または被保険者)に不満が生じた場合に備えて、中立かつ独立の第三者機関である「交通事故裁定委員会」を設立することとした(昭和49年2月27日発足)。この裁定委員会は、学識経験者および弁護士により構成され、被害者等の正当な利益の保護に資することを目的として、自動車保険に関し、保険会社、被保険者および自動車事故の被害者のうち二者以上を当事者とする民事紛争について、無料で和解の斡旋を行うこととしている。  裁定委員会はその後昭和53年3月に「財団法人 交通事故紛争処理センタ-」に改組され、現在では、高等裁判書が所在する8都市(東京、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、高松、福岡)および金沢とさいたまに設置されている。

・・・行政側は保険会社に示談権を与えた(あくまで代行権、代理権とは歯切れ悪いながら区別)、つまりこれは絶大な力です。なぜなら、支払う側の保険会社が交渉上、有利に決まっています。お金を握っているのだから当然です。したがって被害者が保険会社と交渉決裂した場合、駆け込み寺が必要となります。こうして一種のガス抜き機関、紛争センターが誕生したのです。

  ③ 保険会社が顧問弁護士、協力弁護士を一定数、常に契約し続ける。

・・これは明文にされていないので裏協定かな? 保険会社からの仕事は新人弁護士にとって良い収入源となります。

  ①で法的な問題を回避、②で行政の立場から公平性を確保、③で弁護士にも利益を、でしょうか。

難しいことを簡単に説明するのは難しいです。来週に続きます。

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 昨日、カルテの保存期間を5~7年と曖昧な書き方をしましたので、少し説明を加えます。

 保存義務と期間は医師法に定めれています。

<医師法> 第24条(診療録の記載および保存) 第1項 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。 第2項 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、5年間これを保存しなければならない。

 1項で記録義務、2項で保存義務が明記されています。町の病院では5年きっかりで処分しているようです。大病院だとカルテは地下の文章室などに保管されており、割と長めに保存されています。文章係に聞くと「当病院では7年間保存しています」と答えが返ってきました。なぜか7年と病院内で規定されている病院に出くわします。いずれにしても保存スペースが限られていますので、長い期間の保存は敬遠気味です。

 さて、このカルテも遅ればせながらデジタル化の波が押し寄せています。「電子カルテ」、導入が進んでいます。今週訪問した病院でも導入が決定、文章科の職員の仕事もシステムオペレーターとなります。英語、独語まじりの複雑怪奇な文字を解読する手間が省けて、私達は大歓迎です。将来あの達筆が見られなくなる?のは寂しいですが。

  

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 この病院は、患者本人が閲覧を申込み、そのうえで開示分の請求を行います。被害者と共に病院へ出向きました。

 ずいぶんと解決が長引いている件です。事故日が平成17年4月26日です。高次脳機能障害が否定された被害者さんですが、否定の理由は「高次脳機能障害の3要件」を満たしていないからです。

高次脳機能障害認定の3要件

①傷病名が以下のように確定診断されていること ・脳挫傷・ びまん性軸策損傷・びまん性脳損傷・急性硬膜外血腫 ・急性硬膜下血腫・外傷性くも膜下出血・脳室出血 ・骨折後の脂肪塞栓で呼吸障害を発症し脳に供給される酸素が激減した低酸素脳症

② ①の傷病についての画像所見 ・XP  ・・・頭蓋骨骨折とそれに伴う脳損傷を確認できます。 ・CT  ・・・冠状断といって輪切りにスライスした画像を確認します。連続した画像は脳委縮の確認が容易です。 ・MRI ・・・T2フレアーなどで点状出血や脳委縮等、病変部を確認します。

③ 頭部外傷後の意識障害が少なくとも6時間以上続いていること、もしくは健忘症あるいは軽度意識障害が少なくとも1週間以上続いていること

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 先日、仲間の行政書士である山崎先生が、あるところから指摘を受けたようです。「行政書士を批判するようなことをHPで書くのはどうか?」ということらしいです。

 確かに同業・士業のことに触れるのはデリケートな問題です。限られた文章では誤解を生むこともあるかと思います。私も常日頃から、同業・他業に向けて積極的に意見展開をしています。もちろん単なる批判ではないことは、文章からご理解頂けると思います。顧客(ここでは交通事故被害者)が安心して相談できる、健全な業界たるべく、その端くれとしての矜持は持っているつもりです。山崎先生もそのような正義感に基づく、業界全体の憂慮を表現しているに過ぎません。

 では業界の憂慮についてですが、これは毎回相談会に参加する被害者さんたちの報告からもたらされるものです。これも単なる批判と思わず、少し聞いて下さい。

書面での賠償交渉?はいいとして・・・謎の違約金?

 先月、九州の相談者さんからの実話。

 地元でも有名な行政書士の先生に交通事故の解決を依頼しました。後遺障害の認定についてはあまり積極的ではないながら、病院も同行して下さり、相手保険会社との協議もしてくれたようです。その後、当方の相談会にいらした理由ですが、まだ被害者請求等、等級認定が進んでおらず、医師との折衝や追加検査が滞り、このピンチをなんとかしたい、とのことです。どうもその行政書士先生は診断書が作成され、保険会社に提出が済むのを待っているようです。したがって等級認定後、賠償金交渉を書面で進めようとしている意図がうかがえます。

 賠償交渉の方法は被害者さんが納得すれば、書面であろうと弁護士を使おうと、選択の問題と思っております。しかし、診断書の段階で難渋が続き、何もしてくれない行政書士に困って当方に相談してきたのです。私の仕事は交渉ではなく、まさにこの段階で損害の立証をすること、つまり医証(診断書・検査データ)を取得し、等級を認定させることです。そして交渉は連携する弁護士に一任して進めます。この被害者さんも、このような連携のレールに乗らないと埒があかないのです。

 しかしすでに行政書士に依頼しているので、横取りみたいなことはできません。「どの方法を選択するか、誰に委任するか決断してから、再度来て下さい」ということになります。  そして当方に依頼する決断をして下さった際、「ちゃんと先任の行政書士さんに断りましたか?」と聞いたところ、「精算金の請求?」を受けたそうです。この方の場合、弁護士費用特約に加入しているので、そこから相談料や日当を請求するんのだろうと軽く考えていたのですが・・・なんと!80万円も請求してきたそうです。私もびっくりして「一体何の名目か明細書をもらって下さい」と思わず口出しです。明細の内容にもよりますが、こんな無茶な請求では保険会社を怒らせてしまいます。そして既に着手金を支払っていますので、保険会社はもう払いません。80万円は被害者の自腹が確実となります。  翌日、被害者さんはその行政書士に明細を請求したところ、「そんなのありません」との回答です。行政書士に限らず明細=名目のない請求など非常識です。そこで再度、「引き継ぐ弁護士が明細を下さい」と言うよう指示しました。

 するとその先生、「えっ!それでは80万円は結構です」と・・・・ここで被害者さんも怒り爆発、「では何のための80万なのか!黙っていれば払わされたのか!」と。

 一方、私の怒りは「この不透明な80万円の請求」ではありません。極論すると、被害者さんが納得すればいくらでも良いとさえ思っています。一番の怒りは、

 なぜ弁護士が出た瞬間、引っ込めたのか?堂々と請求内容を主張できないのか!

 残念ながら、後ろ暗い業務内容と請求を認めたことになります。弁護士の存在に怯えながら仕事をしている交通事故・行政書士の実に多いこと!。つまり違法すれすれである自らの業務を自覚しているのです。  さらに報酬をめぐって不透明なやり取りが頻繁に起こっています。「おかしいな?」と思うやり取りを昨年だけでも4件聞きました。どの業界でもあることですが、曲がりなりにも法律職者がそうでは困ります。報酬自由の原則があるとはいえ、被害者さんが納得していない、もやもやとした報酬支払は常態的なことに思えます。

 同業者としてこの先生の告発や実名表記はできませんが、こんなことでは業界全体の信用低下が進むばかりです。真面目に取り組んでいる行政書士が浮かばれません。行政書士が民事業務で活躍するには弁護士を含め、周囲からの信用が欠かせません。特に交通事故業務を行う行政書士には、倫理観が強く問われていると感じます。そのような意味で、少なくとも被害者さんたちに訴え続けていくしかないのです。「間違いのない相談先を選んで!」と。

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 土日は相談会でふさがることが多いので、貴重な休日と思いきや、書類との格闘!それでもお昼は築地市場で食事をします。貴重な休息の時間です。本日の日誌は2枚の写真でお茶を濁します。

  マグロのから揚げ、食べきれない量です。しかもたった500円!

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■最後の挨拶

 今日は日比谷のラウンジで打ち合わせでしたが、その最中、担当した被害者さんとばったり。もっともそのビル内に連携した弁護士先生の事務所があるので、ありうる話です。事故は無事に解決し、今日は最後の打ち合わせに寄ったそうです。弁護士に引き継ぐまで1年も一緒に戦ってきました。解決に感慨もひとしおです。引き継いだ弁護士先生の仕事に感謝するとともに、最後に被害者さんとご挨拶できてよかったです。弁護士に連携し、その後解決に至ると、ほとんどの方が電話やメールでお礼の言葉をかけて下さいます。でもお会いするのが一番ですね。清々しい気持ちになりました。

■ 他士業さんとの打ち合わせで気になったことを一つ。

 お会いして相談をするときですが、電話やメールではなく、お互い顔を合わせて相談となると、それなりの緊張・敬意をもって接することになります。昨日は埼玉県から弁護士先生が足を運んで下さいました。仕事の綿密な打ち合わせに熱がこもります。こちらをまっすぐ見ながら、時折熱心にメモを取っております。雑談も含めて、ついつい話が長くなってしまいました。

 対して今日は税理士先生です。初対面ですが、前日の弁護士と真逆の印象となりました。まず私服。もちろん、それぞれの仕事のスタイルを尊重しますのでスーツであろうと私服であろうと気にしません。そして席に着くとノートパソコンを開き、こちらの話をカタカタ入力しています。情報をメモする必要がありますので、これも今や普遍的な仕事のスタイルと思います。しかしパソコン入力の傍らの会話となると、何か窓口で乗り物チケットでも買っている印象です。単なるメモを取る行為の代用ですので、それが気に障ることは決してない、つもりでした。

 しかし昨日今日と比較し、終了後の気持ちの差を感じてしまったのです。私は古臭い礼儀やしきたりより、合理性を好む人間と思っています。 でもね、さわやかさが違う?、何この違和感は???

 やはり人は大事な話をするときは正面を向きあい、目を見て話す、服装でも何でもいいのですが形で敬意を表すべきです。初対面なら尚更です。メモは大事ですが、それは主ではありません。あくまで「面談」をしているのです。つまりパソコンに入力する作業は後でもできます。結果として「あたなとの話のついでに仕事をやっとこう」という姿勢にしか映りません。

 「人のふり見て我がふり直せ」・・・自身も被害者から相談を受けることが多いので、自らの姿を見直す機会になりました。

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熊本からの相談

 いつもの事故相談と思いきや、遠い九州から。知人が首都圏に住んでおり、そこで最寄の相談先として、私を選び、電話を下さいました。早速、こちらに在住の被害者さんに連絡を取りました。そして至急のアドバイスと共に、相談会等へお越し下さるように言いました。理想的な解決のレールに乗るためには、できるだけ早いコンタクトが重要です。それを取り持っていただいた九州の損保代理店さまに感謝です。そして顧客を大事にされている姿勢に敬服です。    相談チャネルとして、損保出身である私は損保代理店に注目しています。地域の代理店さんに、当然ながら契約者の事故情報が集まります。代理店さん経由の事故相談は以前から何件もありました。代理店さんの段階で、被害者の初期対応がかなえば、いっそう被害者救済が進むと思います。新たな課題として取り組んでいきたいと思います。

 全国の損保代理店様、契約者様が被害者となったら・・・「人身傷害特約」や「搭乗者傷害保険」の請求はもちろん、「弁護士費用特約」などにも目を光らせ、是非ご一報下さい。被害者救済全国ネットワークが機能中です!

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 昨年の医師面談数は約200件、うち新規の医師にお会いしたのが80名ほど。そのなかで面談を拒否された医師は3名です。

 数字からみると96%強の面談率なので、面談拒否はレアケースと言えます。

 本日は珍しく面談拒否の医師でした。病院の姿勢というより医師の判断での拒否です。

 面談を拒否する医師の拒否理由ですが、多くは「患者以外の第三者の介入を断る」もしくは「診断中なのでお断り」です。この判断は診断権を持つ医師なら当然の権利です。したがって面談をしていただけること、これはありがたいことになります。もっとも正式な面談ではなく、患者の付き添いをお願いすることが大多数です。これは時間的にご迷惑をかけるわけではないので、96%の医師は特に問題なく許可となります。

 医師は患者を治すことが仕事です。それ以外の保険であるとか、賠償であるとか、これらに医師は関与したくないのです。そのような原則がある以上、昨年の96%の医師の皆様に感謝です。 

 と、ここまでは優等生的発言。

 実際、面談を拒否する医師は、単に「面倒」、「患者以外の第三者に対処できない」、「独自の哲学に凝り固まっている」、「ごう慢」・・・等々、あまり評価できるものではありません。やはりと言いますか、この医師達の評判ですが、病院内でも事務方や患者から批判をよく耳にします。病院外(保険会社、調査会社)からも良いことを聞きません。総じて難しいタイプの方が多いようです。

 したがって気にしてはいられません。被害者の診断書をしっかり仕上げて頂くことが、私たちメディカルコーディネーターの仕事です。面談叶わずとも他に方法はあります。年間200件も医師面談していれば、様々な対処が身に付くのですよ。

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 初期対応の嵐!そして画像精査、診断書分析が次々と舞い込んでいきます。

 今日は有用な記事が書けません!ごめんなさい。

 <お知らせ>

 ご覧のとおり、トップページに相談会の日程をUPしました。

★ もっと奥へ行ってみようか・・「牛に引かれて善光寺」、3/17 長野相談会、決定!

★ 好評、山梨相談会2nd、急きょ4/20に設定!

                        

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 3連日相談会の締めは山梨県甲府でした。東京からわずか2時間の距離ですが、白雪を頂いた山並に囲まれた盆地に遠征感たっぷりです。

 さて、20名ほどの相談者で盛況を極めましたが、新鮮な驚きの連続でした。

 ピンボケ信玄 →

1、交通ルール無視、荒っぽいのかな?

 追突事故が多いのはどこの地域も変わりませんが、交差点で出会い頭事故が多く、なおかつ衝突の勢いで、衝突車がブドウ畑に突っ込む事故や、衝突車がさらに歩道の歩行者をはねてしまった事故もありました。いわゆる衝突車2台による共同不法行為ですが、農家や歩行者にとっては「とばっちり事故」とも言えます。このいくつかの事故で共通するのは、見通しが良い交差点に関わらず、スピード超過、一時停無視や信号無視など・・・荒っぽいドラバーが多い印象です。そういえば前日の首都圏相談会でも茨城県で類似事故がありました。この被害者もとばっちりを受けて水田にはねられ、自動車も水田へ。見通しがいいのになぁ。

2、専門家を待っていた?

 今回の相談会を待っていました!とばかりに朝から急きょ参加を希望する方が4名、中にはわざわざ会場までお越しになり、予約をして夜7時に再び来られた方もいました。交通事故相談会に飢えているのかな? つい参加者に事情を聞いてしまいました。多くの方は「交通事故専門の弁護士・専門家が東京から出張相談に来ること」をありがたく感じていたようです。そして多くの方と今後も相談を継続することになりました。わずか2時間の距離でも、東京との情報格差はもちろん、なにより当地に交通事故に特化した専門家が少ないのではないか?と感じました。

3、素朴な被害者さんたち

 今回の一番の収穫は「私たちを待っている人がいる」、ことに気付いたことです。

・交通事故の相談先がなくて困っている・・ ・弁護士は敷居が高く相談を躊躇している・・ ・弁護士費用特約の使い方がわからなかったから・・ ・相手保険会社に頼りっきり・・ ・どうすすめていいかわからず、事故から何年も経ってしまった・・

 東京や周辺都市では考えられないほど、相談先や情報が少ないことに愕然としました。首都圏では数えきれないほどたくさんの相談先があります。ネットでも弁護士・行政書士で溢れかえっています。被害者もパソコンに向かって、毎晩熱心に交通事故の情報を集めています。被害者も相当の知識を蓄えますし、相談窓口も競争激烈です。そして情報過多で被害者さんもスレ気味。それが常識と思った自分の頭の固さを反省しました。地方都市ではまだまだこちらからアプローチしなければ、被害者との出会いがかなわないのかもしれません。    相談者さんは皆、不安そうに相談室に入ってきますが、帰りは吹っ切れたように明るい表情で席を立ちます。今回の相談者20名にこちらも励まされました。

 まだまだ声掛けが足りない、私たちも努力不足です!

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 交通事故業務での対応力、知識、業務能力を磨くには何が一番有効か? それは経験です。

 その経験とは、たくさんの案件、実例と向き合うことです。例えば相談会で毎回10~20人の被害者に対応します。ケガの種類も、事故の形態も様々です。もちろん、そのすべてを受任できるわけではありません。私が心がけていることは、「もし私が受任した場合、解決までどのように進めるか?」、これを一緒に考えます。全件そうしていると非常に疲れますが、良いシミュレーション、訓練が果たせます。これをこの2年間に参加した相談会で励行しました。バーチャルながら600件を超える交通事故外傷を脳内で取り組んだことになります。  実際に受任し、実務を行った案件を含めると膨大な経験則です。これが業務能力を向上させる一番の方法であると思います。

 たとえば交通事故業務一筋10年、とうたうベテランであっても年間の相談・受任件数が20件程度では、いつまでたってもビギナーの域をでません。だからこそ実際の被害者さんたちと面談し、ともに解決策を模索する相談会は、最高の学習の場となります。  交通事故賠償は非常に奥が深い分野と思います。もっともっと経験・実践を積まねばなりません。

 今日は六本木、明日は有楽町、そして翌日の甲府に移動です。山梨ではたくさんの被害者さんが待っています。

 頑張ります!!!

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 もう一度この特約の約款をみてみましょう。(T社)

第2条 (4)この特約において、弁護士費用および法律相談費用とは下表のとおりです。

①弁護士費用 あらかじめ当社の同意を得て弁護士、司法書士、行政書士、裁判所またはあっせんもしくは仲裁を行う機関に対して支出した弁護士報酬、司法書士もしくは行政書士報酬、訴訟費用、仲裁、和解または調停に必要とした費用 ②法律相談費用 法律相談の対価として弁護士、司法書士または行政書士に支払われるべき費用

 どこの会社もこの定義とほぼ同じです。払われるのは訴訟・仲裁・和解・調停に必要な費用、相談費用です。対象は弁護士、司法書士、行政書士、裁判所、斡旋機関です。かなり広範囲のようです。しかし「あらかじめ当社の同意を得て」と条件がありますので、支払い担当者の解釈で支払い範囲が広がったり、縮まったりします。実際、その保険会社の解釈というよりは、担当者の解釈で支払いOKだったり、ダメだったり・・・統一された解釈がないようです。    このような環境下、弁護士、行政書士が常識的な請求をしていれば、おのずと保険会社の支払い基準、相場が固まってくるのが健全な姿と思います。しかし、法律事務所のHPでは「弁護士費用のある方」、「弁護士費用のない方」と二重表記が目立ちます。その分け方に、商売上の理由が露骨に見える事務所があります。これを保険会社は想像以上に問題視しています。

 そして、某社の担当者から「当社としてはA事務所に対し、弁護士費用の支払いはしません」との宣言!

 A事務所は保険会社を甘く見た報いを受けました。そして保険会社の体質を知らないことが、さらなるペナルティを受けることになります。かつて護送船団方式で全社、同じ約款、同じ掛け金であった体質の名残でしょうか、この保険会社の対応は、他の会社にも飛び火します。少なくとも国内大手の保険会社から、同じ対応をうけることが予想されます。外資系通販は同調しないと思いますが、もともと弁護士費用の支払いを渋る体質なので・・。

 私が心配していることは、A事務所だけの対応に留まればよいのですが、真面目な請求をしている他事務所にまで厳しい目を向けられることです。

 最近はLAC(日弁連の弁護士紹介機関)を受け皿とし、そこでの弁護士費用の基準・相場を多くの保険会社が推奨しています。なんとか弁護士費用特約と弁護士の関係存続は大丈夫と思います。しかし、今のところ行政書士会ではそのような申し合わせはありません。政治力から考えても、行政書士は約款から外れ、排除の危険性があると思います。

 B保険会社などは「行政書士は法律相談費用(10万円限度)のみ!」と請求内容の妥当性など無視、ヒステリックにまで行政書士の業務を否定しています。

 これはズルい請求をする法律家さんたちが招いた、自業自得かもしれません。

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 先日、仲間のMC山崎先生から情報をいただきました。それはある保険会社の担当者さんが弁護士費用特約の支払いに対し、厳しい目を向けざるを得ない、不届きな法律家さん、事務所を名指しで挙げたことです。以前にも記事に取り上げましたが、「保険会社の特約があるのだから・・・」と無茶な請求、アンフェアな請求をする弁護士、行政書士が少なからずいるのです。 困ったものです。

 

弁護士費用特約が出なければ、後は保険会社に文句言ってね

 これはある行政書士事務所の対応ですが、被害者に弁護士費用特約が使えます(使える可能性があります)と言っておきながら、費用が出なくても責任は取らない、やり方です。

① 契約の際は「弁護士費用特約で私どもの報酬はまかなえますので」と言います。被害者は迷わず「お金がかからないなら!」と即断、契約します。

② 仕事の完了後、相手が保険会社なのだから・・と普通より高額の請求をします。

③ 保険会社が支払いを渋ると、

④ すでに委任請求(被害者に代わって請求しますので、自賠責保険金を事務所口座に振り込ませています)で保険金を握っていますので、そこから報酬を抜き取った差額を被害者に支払います。その際、「保険会社が払わないのが悪い、うちには責任ありません」の姿勢。

⑤ すると弁護士費用特約から費用が出ると思っていた被害者は怒り心頭、保険会社に文句を言います。

⑥ ...

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 力の入ったシリーズ、交通事故業務に関わる業者にメスを入れる文章は疲れます。  例えるなら火中の栗を拾うような作業ですので、手は火傷でケロイド状です。

 さて、毎日のように法律事務所や仲間のMCから質問の電話・メール、診断書・画像鑑定などの依頼を受けています。信じられないと思いますが、これは全部「無料」、お足をいただいていません。もちろん被害者からの初回相談もそうです。

 資格を持つ士業はその専門業務のやり方、ノウハウで食べています。市販のマニュアルはあくまで基本知識で、実際の業務は実務知識・ノウハウがないと仕事になりません。するとそれらを門外秘扱いとし、その伝授に「研修費」、「高額なマニュアル販売」などで同業を商売相手にしている先生が大量発生します。それは行政書士に顕著です。イソ弁など先輩事務所に弟子入りして仕事を覚える弁護士と違い、行政書士はほとんど求人がありません。新人書士はお金を払って伝授を乞うしかないのです。

 翻って私たちのチームですが、交通事故被害者を救済する知識、ノウハウを売り買いする事に違和感を禁じ得ません。なぜなら、その知識やノウハウで救われる被害者を想像してしまうからです。他の法律家と契約した被害者さんであっても、「間違った方向へ行って欲しくない」一心です。  対して、知識・ノウハウを秘匿して、高いお金で売る=同業者から収益をあげる・・・そんなセコい精神で仕事をしたくはないな、と思うのです。

 例えるなら私たちが科学者チームとします。世間ではコレラが大流行しました。苦心の末にワクチンの製造方法を開発しました。急ぎ患者に渡す必要があるのに、それを製薬会社に高額で売ります。製薬会社は患者にさらに利潤を載せて売ります。結果として人助けが階層ビジネスになるのです。ワクチンを欲する人より、まず商売、商売・・・どう思います?

 私たちにとっての「コレラの大流行」は「現在の保険会社独り勝ちの交通事故業界」なのです。(保険会社さん、例え悪くてごめん!)

 そう考えると眼前に道は開けてきます。 

 被害救済の志をもって仕事をする方には、お金なしで教えます。

 その対価は、被害者救済のために一緒に歩んでいただきたい、それだけです。

 いつでも多くの同志、仲間に門戸を開いています。

 ただしお金だけを見て仕事をしない、誠実、真面目な人だけですよ。

 なぜなら、ほんの少しのノウハウだけパクると、離れていく人が多いので・・・

 (HPでレントゲン、骨モデルやミニカーを出している弁護士・行政書士です・・・商魂たくましいです。ちゃっかりしています(笑)。しっかり被害者救済に役立て下さいよぉ!)

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「初めての事故で不安も多く、疑問に対し、正しいアドバイスを受けたい」、当然の気持ちですが、これも当たり前のことではないのです。肝心の専門家にたどりつくのは容易ではありません。市町村の無料相談、弁護士会の相談、保険会社の相談・・・たくさんの窓口が存在し、HPでは専門家が溢れかえっています。しかし安心できる回答を持つ実力者はほんの一握りです。

毎回、交通事故相談会に参加する被害者さんで、少なからず存在するのが、

〇 複数「相談窓口」を回ったが、納得できる回答が得られない。

〇 すでに弁護士、行政書士に依頼しているのに、不安で聞きに来た

なぜ、これらの被害者さんに「専門家」が力になれないのでしょうか?

それはズバリ、専門家ではないからです。あくまで「自称」専門家です。この方たちが、被害者を2次的に交通事故の迷路に落とし込みます。とくに頼れるはずの弁護士先生も全員が交通事故を熟知しているのではありません。その原因を分析します・・・

2、自称 専門家の実態を解明する

①基本的な知識に欠けている

これが致命傷です。交通事故解決に必要な知識は民法の損害賠償だけではありません。とくに保険知識、医療知識は必須です。それについて、すべての弁護士が精通しているわけではありません。 弁護士が扱う仕事は、刑事事件、離婚・相続、企業法務、債務整理、個人民事再生・・・とにかくたくさんあります。交通事故はその一つに過ぎません。弁護士が100人いても交通事故をきちんと扱える先生は2~3人と思っています。それだけ専門性の高い分野です。まして相手は巨大な保険会社です。年間数万件の事故処理をする超専門家組織です。ど素人の弁護士はいいようにあしらわれてしまいます。

②よくわからなくても受任する

であれば、交通事故の相談者がきたら、交通事故に強い先生に紹介をすればいいのですが・・・ほとんど紹介しません。よくわからなくても受任してしまいます。結果として(よくわかっている)保険会社と妥協的な示談をするに留まり、被害者はがっかりです。これは保険会社の賠償提示があまりにも低いため、大した交渉をしなくても、つまり単に弁護士であるだけで、それなりに増額効果があるからです。被害者側を「勝った気分」にさせて交渉の幕は閉じます。

③ そして「後遺障害の等級が取れてからまた来て」の体制

つまり、損害が明らかになってから着手する、立証作業にはあまり関与しない、姿勢です。損害項目が揃ったら保険会社と妥協的な金額にて早期解決を図る仕事で楽をしようとします。深刻なのは「それが普通の業務でしょ」と信じて疑わない弁護士が多いことです。 長らく交通事故の解決の構図は「被害者vs保険会社」でした。1974年3月に示談代行付きの自動車保険が販売されてから、8割を超える交通事故は被害者と保険会社との示談で解決してきました。弁護士が関与するのは3%ほどです。裁判などめったに起きませんし、そのほとんどが和解で終了します。したがって弁護士に損害立証や賠償交渉の経験が不足してしまったのです。

④ クレサラ方式?

最近、保険会社と弁護士が、まるで示し合わせたように赤い本(≒裁判基準)の7割で手を打つ解決例を多く見ます。これは大手法人事務所に多く、まさか保険会社と暗黙の協定をしている?などの噂すら聞こえてきます。 やり方は近年隆盛を極めた過払い金返還請求の要領です。事務所の補助者が計算した書面を、FAX等で保険会社と数回往復する事務仕事だけです。そして既定路線70%での合意となり、システマチックに早期解決が果たせるのです。これなら面倒な交渉も「形だけ?」で済みます。事務所経営・利益第一主義と、支払い削減志向の保険会社の利害が一致するわけです。心ある弁護士はこれを「クレサラ方式の解決」と軽蔑しています。

⑤賠償交渉の場面に弁護士以外が顔をだす。

構造的に弁護士が頼りないため、保険会社天国となっているのが現状です。そこで間隙を縫うように、行政書士等、弁護士以外の関与が増えています。弁護士法72条で代理権を持たない者の代理行為、賠償交渉の代理は禁じられています。したがって法律の合間をかいくぐって参入してきますが、その効果は法律的な制限がある以上、限定的です。弁護士に及ぶものではありません。ではせめて弁護士に勝る専門性を発揮する場面を列挙してみます。

・休業損害の請求のため、損益勘定帳の作成を税理士に依頼する。

・労災の請求をするため、社会保険労務士に依頼する。

・140万円以下の請求の場合、簡易裁判所での代理を司法書士に依頼する。

・自賠責保険の被害者請求を行政書士に依頼する。

このような限定的な作業であれば、他士業者を使う意味もあります。 しかし請求金額に関わらず賠償金の代理交渉ができるのは弁護士のみです。 続きを読む »

 先日は被害者と保険会社の関係から問題点を抽出しました。保険会社主導の解決、被害者囲い込み、これらを容認したままでよいのでしょうか?次の論点に移る前に、軽く解決策を示しておきます。

   ① 保険会社とは紳士的に応対する。何事も理路整然と説明し、要求された書類は速やかに提出する。  保険会社は利害が対立する相手ではありますが、親の仇ではありません。けんか腰はもってのほかです。カチンとくることを言われても、絶対にケンカをしてはいけません。非常識な請求も絶対にダメです。(問題はそれが非常識かどうか?判断がつかない被害者さんですが・・)  もし証明書類をきちんと提出し、理路整然と説明しても支払いが受けられなければ、この交渉は弁護士に委ね、最後に決着をつければよいのです。それまでは上手に利用すべき存在です。        

② ...

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交通事故の被害者になりました。これから解決までの長い戦いの日々が始まります。この間、加害者と交渉することは稀で、相手に任意保険がついている場合は、その担当者との付き合いが中心となります。そして被害者の8割超はその担当者と示談に及び、解決とします。しかしその示談の内容に満足のいく方はほとんどいません。 なぜ、不満足ながら保険会社と示談してしまうのでしょうか?それまでの時期に適切な対策ができなかったのでしょうか?これを分析してみます。

1、相手保険会社への(過度な?)期待

加害者に任意保険会社がついていました。自動車の修理費を修理工場に払ってくれました。ケガの治療費を病院に払ってくれています。休業損害も毎月支払ってくれます。ある意味これはとても親切なことで、「俺は被害者だ、そんなの当然でしょ」と思ったら、最初のつまづきが待っています。

民法上の損害賠償の原則は「挙証責任は被害者にあります」。つまり被害者自身で自身の損害の証明をして加害者に請求をするのがルールです。ルール通りですと、被害者自ら自動車の見積もりを提出する、治療費の明細を提出するなどして賠償を受けます。この間、整備工場や病院への支払いは被害者が立て替えるのが筋です。しかし保険会社は「一括払い」と言って、病院に直接治療費を支払ってくれることが多いのです。また修理工場にアジャスター(調査員)が足を運んで見積もりの検証をしてくれます。これは全部無料です。潤滑な事故の解決のために法律はさておき、合理的に動いてくれるわけです。しかしこれらは当たり前のことではないのです。

被害者はつい「自分は被害者なのだから補償されて当然」と考えがちですが、被害を受けた側が自動的に守られるなど、世界の常識にはありません。どこの国でも「やられた側」は「やった側」に厳しい戦いを挑まなければなりません。そして任意保険未加入の加害者に被害を受けた場合、泣き寝入りが普通なのです。

 日本は法治国家で国民の道徳心も高く、世界でもトップレベルで人を信用できる社会です。だからこそ被害者に甘えが出てしまうのだと思います。親切な保険会社に解決までどっぷり委ねてしまい、結果として最後の示談金で泣かされることになります。

最後に提示された賠償金額はあくまで保険会社の基準での数字です。当然、裁判や弁護士の交渉する基準より遥かに低いものです。しかしこれまで担当者のペースで進められてきたので、これから事を構えるのが面倒になり、妥協的な示談をしてしまいがちです。また、保険会社の基準がかなり低い、という事実にすら気づきません。もちろんこの事実など担当者は伏せています。つまり被害者側に圧倒的な情報不足があるのです。逆に言えば保険会社の被害者囲い込みが成功した?とも言えます。

ある法律事務所の事務員にこう質問されました。「秋葉さん、なんで保険会社はこうも安い示談金しか提示しないのでしょうか?いくら営利企業と言ってもあんまりではないでしょうか?」 確かに裁判で請求する金額の半分以下、下手をすれば3分の一にも満たないときもあります。私の答えは、「だって解決までおんぶにだっこ、専任の担当者が被害者の面倒を見てくれるのですよ、その手間は結局、無料ではない、ということです。そして民法においても示談は相互の同意で成立するものですから、その内容で被害者が納得すれば何ら問題ないのですよ」

被害者はこのからくりを理解する必要があります。

「自分は被害者なのだから加害者に手厚く補償してもらって当然だ。相手の保険会社がしっかり補償してくれる。別に弁護士などの代理人に頼らなくても上手くいくはず」  

・・・被害者の多くはこのような幻想に陥っているのです。

 対して加害者は事故など「運が悪かった」としか思っていません。一刻も早く保険会社に任せて事故など忘れたいのです。実際3か月もたてば謝罪の気持ちなど雲散霧消しています。そして保険会社はボランティアで被害者救済をしているのではありません。できるだけ少ない金額しか払いたくないのです。被害者とは利害が対立する存在です。これを忘れてはいけません。

 自分の権利を守るのは自分であって、加害者や相手保険会社ではありません。ではどうすればいいのか?

明日に続きます。

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 昨年から首都圏を中心に10を超える弁護士事務所に「連携」を説いて回っています。

 私たちが常日頃口するこの「連携」とは、単に業務提携を呼びかけたものではありません。また自賠責被害者請求は行政書士、相手との交渉は弁護士、この2局面をつなぐだけの単純なものでもありません。これは交通事故の被害者を救済する、まったく新しい発想と自負しています。それは「被害者救済業務」すべてをひとつの事業と考えるプロジェクトです。

 これを今日から数回、腰を据えてじっくり解説します。

 まず被害者救済業務の全体像を把握してもらうことから始まります。およそ交通事故に遭ってから解決まで、被害者本人、病院、メディカルコーディネーター(行政書士等)、弁護士の4者の仕事を整理します。

     <完全解決までの基本的な流れと役割>続きを読む »

 先週土曜日は静岡まで講演会を聴きに行きました。掲題の通り、高次脳機能障害の当事者・家族の支援団体が主宰の講演会です。

 プログラムは以下の通り。

1、講演『高次脳機能障害の理解』  

  橋本 圭司 先生 (国立成育医療研究センター・リハビリテーション科医長)

2、対談 高次脳機能障害 当事者 & 橋本 圭司 先生

3、『高次脳機能障害当事者の就労支援を考える』 シンポジウム

 片桐 伯真 先生 (聖隷三方原病院リハビリテーション科部長)

 S さん (○○障害支援センター相談員)

 T さん (作業療法士)

 内容は橋本先生の高次脳機能障害の解説と対処法の講義、当事者との対談を前半とし、後半は就労支援に携わる先生方の取り組みを紹介するものでした。    高次脳機能障害の方は不可逆的で回復しないものと言われています。しかし一方では多くの医師により回復の研究、努力も続けられています。臨床の現場で多くの患者を診ているのが橋本先生です。最前線で多くの症例を把握している、とくに小児・幼児の脳障害では国内第一人者です。(先月もお世話になったばかりです)  先生の講演で印象的だったことを一つ。「高次脳とは人間の高いレベルでの脳の働きであり、それが失われてしまうことは、より人間らしくなったとも言えます。」 人間の高いレベルでの脳の働きとは、物事を計画する能力、暗記する能力、感情を抑制する能力、行動を指令、コントロールする能力などです。これらが壊れてしまうと、段取りが悪く、忘れっぽく、感情的で、思いつきで行動する・・・つまり多くの人間に共通する弱点がでてきてしまう。『人間だもの』by相田みつお なのです。 この前向きな見方、新鮮な発想は当事者はもちろん、家族をも勇気づけるものです。 続きを読む »

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