佐藤イラストsj佐藤です

 心臓震盪という言葉をご存知でしょうか?    私も依頼者様から伺って初めて知った傷病名です。脳震盪はよく聞くのですが、心臓震盪…。

 心臓震盪とは、「胸部に衝撃が加わったことにより心臓が停止してしまう状態」だそうです。※1比較的弱い衝撃によって起こることが多いらしく、スポーツ中のお子様や若年層に多い症状ですが、一般的に広く知られてはいないようです。

※1:「比較的弱い衝撃とは、胸骨や肋骨が折れたり、心臓の筋肉が損傷するような強い衝撃ではなく、子どもが投げたボールが当たる程度の衝撃です。」

 心臓震盪は衝撃の力によって心臓が停止するのではなく、心臓の動きの中で、※2あるタイミングで衝撃が加わったときに、※3致死的不整脈が発生することが原因と考えられています。

※2:「あるタイミングとは、心臓の収縮のための筋肉の興奮が終わり始める時で、心電図上でT波の頂上から15-30msec(15-30/1000秒)前のタイミングです。」

※3「致死的不整脈とは、心室細動を起こしている状態です。」

hart  調べてみると、まだ1990年代から北米で研究が始まったばかりの傷病名です。ほとんどが前述したスポーツであり、18歳までに多く発症しています。確かに交通事故であればハンドルや転倒時に胸部を強打することもあるので、可能性はあります。しかし、頚椎捻挫や腰椎捻挫と同様に器質的損傷がなく、立証は難しいと思われます。やはり、初期から診断名又は症状を訴えているかどうかの一貫性が鍵になってくるかと思います。しかし、心臓震盪にリハビリが必要でしょうか?リハビリが必要ではないのであれば、どのようにして一貫性を主張すればよいのでしょうか?また、交通事故との因果関係が頚椎捻挫や腰椎捻挫以上に難しいのではないかと考えます。

 この分野はまだ歴史が浅く、整形外科ではなく、循環器内科かもしれません。交通事故はほとんどが整形外科での治療ですが、今後は循環器内科の医師に後遺障害診断書をお願いしに行くときがあるのでしょうか・・・。

 参考文献 心臓震盪から子供を救う会 http://narumi-ecl.co.jp/shinzou-shintou/index.html  

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win 糖尿病と交通事故について

 まず、頚椎捻挫(ムチウチ)の症状として、代表的なものは首の痛みや痺れ、手の痺れ等があげられ、ひどい場合には、疲れやすくなる方もおります。この点、糖尿病の症状にも同じような症状があります。交通事故の被害者の中には、元から糖尿病を患っている方もおります。このようなことになってしまうと、医者でも糖尿病によるものなのか、交通事故によるものなのかの区別は非常に困難です。よって、事故以前から手の痺れ等があったのではないかと保険会社は疑ってしまい、治療費を出し渋る場合もあります。仮に治療費が出たとしても既往症とみなされて後遺障害を否定されやすいのが現状です。

 次に、MRI画像を確認してみたところ、後縦靭帯骨化症であったことが判明した場合について説明していきます。

 後縦靭帯骨化症とは、椎体の後面に着いている靭帯が骨化(骨に変性する)する病気です。この骨化した靭帯が脊柱管の狭窄を起し、脊髄や神経根を圧迫すると、手足の痺れ、首の痛みを起します。部位が胸椎や腰椎の場合(頚部に比べ小数ですが)は背中・腰の痛みが生じます。最悪、運動障害も生じる可能性があります。  症状が重い方は手術(圧迫している骨を削る除圧や、除圧後に骨移植やプレート・スクリューで固定する固定術)の必要があります。後縦靭帯骨化症を患ってしまう原因については複数の要因が関与しているのではないかという見解がありますが、明確な原因については不明で、国の特定疾患(難病)に指定されております。ただ、その要因として、肥満や糖尿病等の生活習慣病があげられます。やはり、これまでの相談者で後縦靭帯骨化症を患っていた方の一部は糖尿病を患っておりました。   c_byo_k_8  糖尿病や後縦靭帯骨化症を患った方であっても、症状が出てこなかった場合もあり、交通事故に遭ってからはじめて手のしびれや首の痛みが生じることもあります。しかし、後縦靭帯骨化症の症状はその原因でもありうる糖尿病の症状も重なっており、同じくムチウチの症状にも重なっております。    このような交通事故被害者の症状は元々の疾患であったとして、保険会社は交通事故による症状と見ない場合もあります。保険会社と医師に、「交通事故の後になってから症状が現れた」ことを説明すれば治療費は出してくれるかもしれませんが、手術代の話が出ると打ち切りを迫ったり、最終的に後遺症(後遺障害)を否定されることもあります。仮に等級(このような場合は多くは14級9号)が認められたとしても、後に弁護士が交渉する際に事故との因果関係で争われますので、交渉がしっかりできる弁護士を選ぶ必要があります。

 以上から、糖尿病やそれによる後縦靭帯骨化症を患ってしまうと、いざ交通事故に遭ってしまった暁には他の交通事故被害者よりもとても不利な状況に置かれてしまいます。糖尿病の方々は、交通事故に遭わないよう、普段の生活に十分気を付けて頂く必要があります。もっとも、気をつけていても事故の被害に遭うわけですが・・。

 糖尿病は万病のもとであると同時に真の症状の目くらましにもなってしまうのです。  

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win  糖尿病とは、インスリンの作用がうまくいかず、高血糖状態になってしまう病気です。インスリンとは、血液中のブドウ糖を筋肉や肝臓などへ取込んで血糖を下げてくれるホルモンです。

 糖尿病は、以下の4つに大きく分類されます。

①1型糖尿病  これは、インスリンを合成する膵β細胞が、免疫異常等によって破壊されてしまうことで発症する糖尿病です。多くは子供がなるものですが、中には成人で発症することもあります。

②2型糖尿病  ①1糖尿病と異なり、これは遺伝的な体質や生活習慣病(高カロリーの食事の取りすぎ、運動不足等)等が原因でインスリンの分泌作用が少なくなったり、働きが悪くなったりして発症する糖尿病です。多くは中高年以降で発症しますが、近年では若年者の発症も増加しております。

③妊娠糖尿病  これは、妊娠中に女性ホルモン等が原因でブドウ糖の処理能力が困難になって発症する糖尿病です。基本的に、出産後には正常に戻ります。

④その他疾患に伴う糖尿病  遺伝子の異常によるもの、他の病気によるもの、アルコールの過剰摂取による膵臓の破壊によるもの、等があげられます。

 これらの糖尿病のうち、日本の糖尿病患者の約95%は、②2型糖尿病です。

 糖尿病の症状として、代表的なものは、

・のどが渇くこと ・尿の量・回数が多いこと ・体重が減少すること ・易疲労性、 ・手足の痺れがあること、 ・目がかすむこと、 ・性機能の不全  等があげられます。

 症状の現れ方は、1型糖尿病の場合は急に発症ずるのに対し、2型糖尿病はゆっくり発症するため、気が付かないまま病気が進行してしまう点にそれぞれ特徴があります。    交通事故に遭われた方の中には、既に糖尿病にかかってしまっている方もおりました。糖尿病の症状は、頚椎捻挫(ムチウチ)や後縦靭帯骨化症の神経症状と重なることがあり、事故による症状であるのか否かの判別が非常に難しいことがあります。    次回は、糖尿病患者が交通事故に遭った場合の立証の厳しさについてまとめていきたいと思います。  

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 開放骨折の場合は、骨が皮膚の外に出てしまいます。これは骨の中にばい菌が入り、感染を起こす可能性が非常に高くなります。処置はデブリードマンと言って、傷口はおろか骨までガリガリ削るように洗浄します。それで一安心ではなく、その後も骨折部位に直接にプレートや髄内釘を接触させた結果、感染を起こし化膿性骨髄炎を引き起こす可能性を残します。ひどいと切断の可能性も予想されます。  kaihou開放骨折のガステロ分類  感染症はMRSA(methicillin‐resistant Staphylococcus aureus メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)と呼ばれ、抗生物質が効きづらいので、開放骨折の場合は医師から最も警戒されます。   met  ○ 黄色ブドウ球菌は、基本的に弱毒菌のため、私たちの抵抗力がしっかりあれば、特に重症化することはありません。 MRSAはこの黄色ブドウ球菌の仲間で、性質は黄色ブドウ球菌と一緒ですが、耐性遺伝子を持っており、抗生物質が効きにくくなっています。その為、治療が思うように進まず、患者の抵抗力だけが頼りになる場合が多いのです。重症化すると敗血症、髄膜炎、心内膜炎となり、骨髄炎などに陥って死亡する事もあります。   ○ 緑膿菌は土壌・水中・植物・動物(ヒトを含む)などあらゆるところから分離される常在菌で、ヒト・動物はもちろん、植物にも病気を起こすことがありますが、その病原性は低く、抵抗力のある人はデブリ洗浄で傷口をきれいにすれば、通常は発病することはありません。   続きを読む »

 用語説明です。

 病院や介護施設における医療介護情報提供書のことを指します。入院中の患者の治療や経過、検査結果など、すべての診察内容の記録を要約したものであり、別の機関への申し送りを円滑に行うため、看護サマリーや退院サマリーなど様々な種類があります。  診察内容の記録の要約ですが、具体的には退院後、転院後の患者への処置を指示したものや、検査結果の数値及び説明などが書かれることがあります。  

 検査先の病院と診断先の病院を結ぶ、このサマリーが後遺障害の立証上、大変重要な書類となります。高次脳機能障害の場合は特に治療や診断をする病院と検査を行うの病院が違うことが多くなります。検査先の病院で行った神経心理学検査等の資料を回収し、診断先の主治医に託すことになります。この橋渡しはメディカルコーディネーターが担うことになります。    今日の病院同行でも、まず担当医 → OT(作業療法士)の説明 → CT(臨床心理士) → ST(言語聴覚士)と 院内を被害者家族と共に面談、各担当に「サマリーをよろしく!」と言って回りました。

 本件も高次脳機能障害の客観的なデータを確保しました。材料の揃った状態でシェフに料理をオーダー、つまり、後は主治医に診断書を記載していただくのみです。

  018

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 清々しい天気でした。山梨遠征はいつも好天に恵まれています。

 さて本日の内容は、中学生の骨端線損傷の異議申立についてです。既に事前認定で「非該当」なっております。自賠責保険の回答は「骨折等、器質的損傷がない・・」ことを理由に、疼痛と可動域制限を否定しています。しかし事故後1年以上も症状が収まりません。おそらく自賠は「成長痛」によるものと判断しているようです。

 成長痛を少し調べてみましょう。  

成長痛 

 12歳未満の小児に多く、4人に一人の頻度で起きると言われています。特に原因なく夜間、両下肢に痛みが生じ、翌日になると痛みが軽快して障害などは全くなく普通に歩けるようになります。。痛みの出現は両側で、大腿、膝、下腿など下肢に多く出現します。時に前腕、頭部などの痛みを伴ないますが、下肢の痛みと同時に出現します。

 成長痛の特徴として、筋肉、関節、骨などには異常を一切認めません。仮に異常があれば別の疾患となりますので、鑑別疾患を疑う必要があります。仮に異常があれば捻挫、打撲、骨折など別の疾患を考える必要があります。

 治療は保存療法です。傷病ではないのでそのままにするしかありません。疼痛の緩和のために投薬やマッサージも有効ですが、中学校を卒業するまでにほとんどが消失します。    このように成長期の子供さんにとっては「既往症」なのでしょう。しかし本件の場合は受傷した右脛骨・腓骨の遠位端、つまり右足首のみに疼痛が出現しています。両足ではないのです。単なる成長痛で諦めるわけにはいきません。なんらかの器質的損傷があったのかもしれません。これについて骨端線の観察、関節裂隙の左右比較を主治医に主張し、原因究明のため両足のXP 、ヘリカルCT検査を快諾して頂けました。これから専門医の読影を乞い、画像の解明作業です。

   

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 「不全」・・・・【意味】物事の状態や活動のしかたが完全でないこと。十分でないこと。また、そのさま。不完全。

 交通事故外傷名によく見たれる言葉で「不全」があります。

 不全骨折、不全麻痺、不全損傷 ・・・ 重いケガではないようです。中途半端なケガかな? 

 この「不全」が診断名の頭に付くと障害の想定は少し慎重になります。よくあるケースで説明します。むち打ちで整形外科医が患者の訴える痛み、痺れを聞いて診断名を付ける時、その診断名は大きく三つに分かれます。

1、頚椎捻挫  → おもに痛み(とりあえずこれで大間違いとはならない診断名です)

2、外傷性頚部症候群  → しびれ等、神経症状を伴うもの(実は曖昧な診断名)

3、頚髄損傷  → かなりひどいしびれを訴えたとき(詳しく聞くと「頚髄損傷の疑い」となります)

 ここで問題なのは3の頚髄損傷です。これは上肢、下肢が麻痺して動かなくなるほどの重篤な傷病名です。しかしMRIやシンチグラフィーなどの検査もせずに安易に診断名を付ける医師が珍しくありません。もちろん患者は痛みや痺れがひどくても歩いて通院しています。すると診断名が「不全麻痺」、「頚髄損傷の疑い」とトーンダウンしてきます。ちなみにこの診断名のみを信じてまともに損害賠償請求を起こす法律家が後を絶ちません。医師の主観で決めた診断名のみでは立証も何もありません。  話を戻します。この場合の「不全麻痺」は「頚髄損傷の疑い」と同じように思われがちですが、医学上は意味が違います。「不全」とは完全麻痺ではなく神経作用の残存が認められる状態を指します。例えば上肢にしびれがあるもののなんとか日常動作は確保している、しかし下肢は動かず車イス・・・これも不全麻痺と言えます。簡単に言いますと神経が完全にやられてしまって動かないわけではなく、動作の一部が確保されていれば不全麻痺です。麻痺の具合が軽いという意味ではないのです。手がまったく動かない完全麻痺に対して、しびれがある程度は軽度麻痺であって、不全麻痺との表現は医学的には違います。  不全を曖昧な意味で捉えると正確な診断がぼやけます。不全を正しい解釈で理解すること、そして医師が正しい意味で使用しているかを確認しなければなりません。

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言語聴覚士(ST=Speech Therapist)

 言語聴覚療法は、脳卒中の後遺症や外傷による高次脳機能障害、構音障害(うまく話せない)、失語症(言葉が出てこない)、摂食・嚥下障害(食べたり飲んだりすることがうまくできない)のある患者さんを中心に各種検査ならびに訓練を行います。

 STは言語及び聴覚に障害を持つものに対して訓練等の業務をおこなう者です。治療内容は脳卒中の後遺症や外傷による高次脳機能障害で構音障害(うまく話せない)、失語症(言葉が出てこない)、摂食・嚥下障害(食べたり飲んだりすることがうまくできない)のある患者さんを中心に各種検査ならびに訓練を行います。

 高次脳機能障害の立証で行う神経心理学検査には欠かせない専門職です。    「言語聴覚士法」(平成9年12月制定)  

臨床心理士(CP=Clinical Psychologist)

 臨床心理学に基づいた知識と技術で援助する専門職は、日本では、心理カウンセラー、サイコセラピスト、心理士、心理相談員など、さまざまな名称で呼ばれています。

 CPは心の問題で不適応に陥っている人、病気やけがなどをしている人への心理的援助が中心です。心理テスト、心理療法のほかに、デイケアやコンサルテーションなどの活動も行います。活動場所は病院に限らず市町村の公共施設、学校、刑務所・少年院など多肢にわたります。

 治療内容は主に心理カウンセリング、心理学系の検査、リハビリ指導です。臨床心理士は(財)日本臨床心理士資格認定協会の認定を受けた者です。近年、国家資格化も検討されています。    ※ 2005年、国家資格(認定心理士)として国会で承認されました。     

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 リハビリテーションを行う病院ではリハビリを専門とした準医師ともいうべきスタッフがおります。それぞれ国家資格者で厚生大臣の免許が必要です。

 やはり英語二文字で呼ばれることが多いようです。整形外科やリハビリ科を出入りすることが多い私達も覚えておかねばならない知識です。2回に分けて整理しておきましょう。  

理学療法士 (PT=Physical Therapist)

 理学療法は、身体の機能回復に加え、基本的な動作(起き上がり・座位・立位・歩行等)の運動を指導および介助方法の指導を行います。整形外科の病院ではおなじみで、多くのクリニックにリハビリ科が併設されています。

 PTとは、何らかの疾病や傷害(スポーツを含む)などに起因する後遺症を持つ方に対し、徒手療法および物理療法(温熱、水、光線、電気治療)を用いて、諸機能の改善を図るものです。

 治療内容は能力障害が残ったとき、基本的動作や日常生活活動を改善するための指導、そして社会生活を送る上で不利な要素を少なくするための福祉用具の選定や住宅改修・環境調整、在宅ケアなども行います。近年では、生活習慣病の予防・コントロール、障害予防も理学療法の対象になっています。    「理学療法士及び作業療法士法」(昭和40年6月制定)  

作業療法士 (OT=Occupational Therapist)

 作業療法とは、疾病や事故で心身に障害が生じた方々に、作業活動などを用いて訓練を行い、日常生活や社会的な自立を援助する、リハビリテーション医療の一専門分野です。

 OTは身体又は精神に障害のある者に対して、主に応用的動作能力又は社会的 適応能力の回復を図るため、作業療法の治療・指導・援助をおこなう者です。

 治療内容としては、身体機能(関節可動域訓練や巧緻動作訓練、利き手交換訓練など)や高次脳機能へのアプローチを行います。急性期リハビリテーションとして日常生活活動 (Activity of Daily Living:ADL)、つまり食事や更衣などの身辺動作がなるべく早く自立できるような視点を持って様々な作業活動を用いながら援助します。    「理学療法士及び作業療法士法」(昭和40年6月制定)  

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 器質的損傷がないとき。

 器質的損損傷とは骨折、靭帯損傷、軟骨損傷など目に見える(レントゲン、MRIに写る)ケガのことです。

 交通事故外傷ではしばしば、これら目に見えるケガがないのに痛みや痺れなど不調を起こすことがあります。そして自分しかわからない苦しみを抱え、医師の治療も効果が表れず、立ち往生してしまいます。相手の保険会社からも「嘘のケガ?」と疑われて、ますます精神的にも衰弱していきます。

 現在、医学や検査方法の進歩によって、神経麻痺や自律神経の失調など検査、診断が可能な傷病名もありますが、すべての症状が解明されたわけではありません。「私は脳脊髄液減少症、MTBI、CRPS、胸郭出口症候群なんです」・・・お医者さんでもめったに口にしない傷病名をすらすら挙げてくる被害者さんもいます。もちろん医師から確定的な診断をされたわけではありません。現実に専門医からそのような診断を受けることは稀なのです。その中には心身症、心の病気の範疇に入る方も残念ながら大勢います。

 患者が一番不安な事・・・それは原因不明の症状に悩まされ、処置の方法、改善の希望が見えないことです。だから(珍しい)傷病名にすがりつくことになります。 もちろん、原因の精査・検査、専門医の診断を仰ぐことは大事です。しかしそれでも原因を特定できないこともあるのです。

 やはりケガを克服するのは患者本人です。病院も薬もそれを助ける手段でしかありません。いつまでも「気の毒な被害者」で落ち込んでいてはいけないと思います。傷病名にすがりついて安心するより、前向きに不調と付き合い、しっかり治療をこなし、早く社会復帰してもらいたいと思います。                        

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 続いて開放骨折にについて。  

■ 開放骨折 (open fracture)

 開放骨折とは、折れた骨が外皮を突き破って飛び出ることです。説明しただけで痛そうです。初期治療では徹底的な洗浄、そして破傷風防止から抗生物質の服用が必須です。開放創からの感染に注意を払っていきます。  

ガステロ分類と感染リスク                        

   タイプ Ⅰ             タイプ ...

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 骨折シリーズ続けます・・・

(1)骨折の分類   まず学術的な分類から

1、完全骨折   

  完全に連続性が絶たれている。

2、不全骨折   

  骨梁が途絶しているが、骨全体の連続性は維持。若木骨折など。

3、病的骨折   

  骨腫瘍など局所の骨強度の低下による。

4、疲労骨折   

  健常な骨に繰り返し付加が加わり起こる。行軍骨折。 ・・・剣道部時代が懐かしいです。

5、脆弱性骨折 

  骨粗鬆症など脆弱な骨に軽微な外力が加わり生じる。・・・高齢者がリハビリ中に起こす例があります。

6、不顕性骨折 

  X線で検出できない骨折。MRI、骨シンチが有用。 ・・・立証にも力が入ります!

7、骨挫傷

  骨折に至らないが、骨内出血がみられる。MRIが有効。 ・・・器質的損壊と呼ぶには弱いです。

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 骨折と一口に言っても、その折れ方にいくつかの分類があります。

 最近の例ですが・・・圧迫骨折なのか骨挫傷なのか? 

           骨幹部骨折なのか骨顆部骨折なのか?

           複雑骨折なのか粉砕骨折なのか?   

 このよう臨床での判断を迷っているケースを見ます。

 もちろんこれらは診断した医師が判断します。しかしどっちつかずの微妙な画像所見の場合、医師の主観で左右される結果となります。その骨折具合の判定も後遺障害の認定に少なからず関わってきます。

 したがって臨床においての骨折状態を正しい後遺障害診断に結び付けるため、骨折について正確な知識が必要です。

 例えば圧迫骨折における圧壊率は等級認定上の条件に重きをなします。また関節可動域制限も骨顆部(関節の部分)の骨折では説明がつきますが、骨幹部(骨の両端を除いた幹の部分)の骨折では可動域制限の根拠になりづらいのです。

 下肢の骨、大腿骨(太もも)と脛骨(すね)で見てみましょう

骨幹部 

骨顆部 骨の末端の一方ですが心臓から遠い方は 遠位端です 骨顆部 ...

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 悪いタクシー会社の運転手は事故にあうと、必ず懇意にしている病院で「温泉治療が必要」との診断書を書いてもらい、長期休暇=湯治に出かけました。・・・保険会社在籍時、事故処理課(社内ではサービスセンターと呼びます)で研修をしていた時、人身事故担当者からよく聞いた話です。    悪名高い「温泉治療」、ケガの程度からすれば、単なる詐病者のバカンスかもしれません。しかし、昔から日本人は「湯治」により、自然治療や自己回復を図ってきました。もっと踏み込んで言えば、骨折、靭帯損傷、関節拘縮や神経麻痺、挫傷・・・ほとんどのケガの治療に温泉は一定の効果が認められています。ただ西洋医学との比較の中で、「療養」の位置づけに抑え込まれています。

 大事なことは専門医による診断を伴った、効能と目的が合致した温泉治療の確立です。草津をはじめ、いくつかの温泉地では病院を併設し、診断と温泉をリンクしています。今後、温泉専門医と専用病院がすべての温泉地に常設できれば、交通事故外傷の治療としてもっと陽の当たる分野となるはずです。    温泉好きとしては、正しい形での温泉治療について、及ばずながら啓蒙活動をしていきたいと思います。ネタのない日は温泉治療について散発的に取り上げます。今日はプレリュードという事で・・。 

                                                                                                          

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