最近の受任案件2件を例に、再度、警鐘を鳴らします。    交通事故のケガで後遺障害を残してしまうことは。人生最大級の痛恨事です。いくら加害者や保険会社を恨んでも、もう事故前には戻りません。しかるべく等級認定を受け、お金で解決するしかないのです。最初の関門である自賠責保険への等級申請について、初回申請の方と異議申立申請の方、それぞれの被害者と昨日、電話やメールで意見交換しました。  

初回申請Aさん

 記載された後遺障害診断書をみると、一部不記載、関節可動域の明らかな誤計測がありました。どちらも等級の認定基準に関わることながら、大勢には影響は薄いかな?と思っています。しかし、初回で正当な等級にぴたっと収めるために、わずかな妥協が影響してはいけません。石橋を叩いて渡る慎重さも必要です。

 症状固定後、仕事へも復帰した今、再度の医師面談と診断書修正にAさんは及び腰です。しかし、悔いのないように進めるために「一緒にもう一度、医師面談をしましょう!」と説得しました。この病院は予約制でなかなか医師面談がかないませんので、まず医師に誠意を込めた手紙を書き、ご判断を仰ぎます。より良い診断書の完成に力は抜けません。後遺障害診断書の作成こそ最初の勝負なのですから。    初回勝負!はこちら側の事情ですが、審査する調査事務所も正確な審査をするため、正しい情報を必要としています。したがって、最初から正確な診断書を提出することは双方にとってよいことなのです。  

異議申立てBさん

 無料相談を回りながら、ご自身で学習し、初回申請に臨みました。結果は非該当。それでも、膝の痛みは受傷以来続いており、医師から手術の必要性すら示唆されています。    この状態で私へ依頼がきたのですが、「なんでこのような重篤な症状で、きちんと検査もせず申請してしまったのですか!」と半ば怒ってしまいます。保険会社や医師に症状固定を急かされた云々・・・言い訳は続きます。厳しいことを言いますが、この被害者は交通事故賠償という戦いの初戦で「負けた」のです。勝手に自分で進めて、失敗してから専門家のドアを叩く・・・こちらとしては「私に最初から依頼しなかったのだから、最後まで自分でやって下さい」と、喉まで言葉が上がってきます。

 Bさんはじめ異議申し立ての被害者は、この「負け」を認めることから再スタートです。中には「認定されなかったこと」を保険会社に対する恨みつらみに変えて、自身を悲劇の主人公のように思っている被害者さんもいます。このような方は冷静さを欠きますので、単なる自覚症状を羅列した感情的な異議申立文になりがちです。新たな医証すら得ていないのに、延々と泣き言や愚痴を並べても話になりません。    「負け」を「リベンジ」するためには、周到な準備と現実的な戦略が必要です。そしてある程度の妥協も必要です。    交通事故賠償は「戦い」である以上、「先んずれば人を制す」の格言のとおりです。とにかく、受傷後できるだけ早期の相談をお待ちしています。  

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