古い写真が語るもの      

幽霊の正体

 年が明けて令和2年、お正月休みは実家で遺品整理という名の捜査再開です。与えられた時間は3日、じっくり取り組みました。    生前、「生きてるうちに物を整理しなくちゃ」と、母は終活の素振りを見せていたものの、実際は、「何だよ!全然やってないじゃないか」と愚痴を言いながらの作業でした。自らの寿命が分かっていれば、終活もはかどろうものです。しかし、誰しも予期せぬ突然は在りうることです。まずは、自分も死後の整理リストでも作ろうかな、と考える次第です。

 さて、毎週の遺品整理は、ほとんど大量の衣服の処分に費やすことになり、このまま掘り続けたらアンモナイトの化石が出土しそうです。何層にも折り重なった地層から”その写真”を発掘するまで、実に半年も要したのです。    

 煤けた緑色の1冊の写真アルバムらしきものが、形を表しました。焦げた匂いに、、全体的にはカビ臭い。神経質とは程遠い私ですが、このまま素手で触ることがためらわれました。親指と人差し指で角をつまみ、擦り切れた表紙を少しめくると、バラバラと数枚の写真がこぼれてきました。

 白黒写真とセピア色の写真、あるいはカラーらしきものも混ざっていました。その写真は母の幼少期から成人するまでの数枚でした。今まで観たことのない写真ばかりです。こんなに写真が残っていたのか・・。写真嫌いの母でも、さすがに両親(私からは祖父母)は、最低限の記念写真を撮っていたようです。    そして、この写真から、「ある事を忘れていた・・」と気づかされました。    「もしかしたら・・。」    秋葉家の亡霊について、早くも謎が解けてしまった。     幽霊の正体はまったく簡単なことでした。     知っていればどうということでもなかった。        母は一卵性の双子。      窓の幽霊は母が化けてでたのではなく、双子の姉だったのです。   続きを読む »