自賠責保険の後遺障害申請に必要な書類として、診断書とペアで取得する診療報酬明細書があります。加害者側の保険会社が病院に直接、治療費を支払う場合(一括対応と言います)、保険会社が病院に対して、診断書と診療報酬明細書を取ることになります。その後、後遺障害申請を被害者側でする場合(被害者請求)、保険会社が取得した同書のコピーを貰えば足ります。
 
診療報酬明細書・・・患者が受けた保険診療について、医療機関が市町村の健康保険(国保)や健康保険組合(企業の健保)、労災、あるいは、交通事故を担当する保険会社に対して、治療費を請求する時に発行する医療費の明細書。単なる治療費の請求書に留まらず、どんな治療をしたか、どんな薬が使われたかがわかりますので、健保はじめ保険会社としては、治療費を支払う為に必須の書類となります。 ↓ 自賠責様式(通院)


 
 一方、被害者さんが労災を先行利用すると、病院は相手保険会社ではなく、労災に治療費を請求することになります。その際、病院が労災宛に、診療報酬声明書(労災様式)を送ることになります。治療費は、相手保険や自賠責保険に対して、二重に請求することはないので、病院は労災向けに発行するだけ、後から二重に診療報酬明細書を発行してくれないことが普通です。後遺障害の審査に必要であることは先に述べましたが、病院側にとっては、そのような事情よりも、「請求書を二重に発行する?」ことに抵抗感があるのです(例外的に、請求すると発行(コピー含め)してくれる病院もあります)。

 したがって、労災が所持している診療報酬明細書を「行政文章の開示請求」にて取得する必要があります。これが、大変に手間と時間を食いますので、労災を併用する場合のデメリットとなります。また、弁護士や行政書士が代理請求したいところですが、法定代理人や任意代理人の場合、戸籍謄本など、本人に代わる証明書をどっさり揃える必要があります。
 
(その手間)

1、開示請求申請書を記載、印紙300円を貼り付けて、担当労基ではなく、各県の労働局・総務課に提出します。ここで、行政文章の開示決定(全開示・一部開示・不開示)の審査を行うからです。たいていは、一部不開示の部分があるので「一部開示」が多いようです。診療報酬明細書はほぼ全開示なので、今まで問題はなかったと思います。
 
※ 窓口申請の場合は、当然に身分証明書の提示となります。郵送での請求は、身分証明書のコピーに加え、発行30日以内の住民票(原本)を同封します。
 
2、総務課の担当者は開示の決定をするにあたり、開示可能な個人情報かを検討します。30日以内に開示決定する決まりがあります。しかし、30日オーバーすることが多く、その理由は病院の回答です。審査上、該当する医療機関に開示する旨の確認をとります。病院によって回答がなかなか戻らず、開示決定が遅くなる最大の原因と思います。
 
3、開示決定通知書が届き、開示方法(コピー交付か閲覧か)を聞いてきます。コピー交付の場合、通知された切手代を同封して、返送します。
 
4、1~2週間ほどで、コピー一式が届きます。ここまで、2の病院次第でもありますが、軽く2か月かかります。過去、半年待ちもありました。
 
東京都の場合 👉 保有個人情報の開示・訂正・利用停止請求
 
 このように、自賠責保険への請求が遅れてしまうので、被害者さんと私達にとっては、負担でしかありません。とくに、秋葉にとって面倒な手続きの1位を争います。
 
 つづく ⇒