これは、交通事故後遺障害の立証を生業としている者の格言です。
 
 交通事故被害者の相談の中でも、後遺障害が取れるか否かは、賠償金の増減において重大な勝負所となります。誰が見ても明らかな骨折であれば、人体への”高エネルギー外傷”ですから、予後の機能障害や神経症状、付帯する靭帯損傷や軟骨損傷などは、高い信憑性をもって後遺障害の審査先(自賠責保険・調査事務所)に伝わります。問題は骨折等の器質的損傷が不明瞭ながら、関節が曲がらない、痛み・不具合が深刻なケースです
 
 被害者さん側は、「医師が診断書で○○損傷と診断したのだから・・当然、等級は認められるはず!」と考えます。しかし、自賠責が診断名とそれに連なる症状を認めるには、厳格に証拠を必要とします。それが第一にレントゲンやCT、MRIなどの画像です。画像に明確な所見がなければ、医師の診断名も被害者の訴えも信じません。つまり、等級認定はありません。。

 秋葉事務所でも、明確な画像所見を見出す為にシビアに画像検査を繰り返す、重ねて別の専門医や放射線科医に読影を依頼します。画像所見が得られない場合でも、打撲・捻挫程度の非器質性の損傷や「○○損傷の疑い」に留まる診断名では、神経系の検査などを用いて医学的に証明する作業を行います。それらは、(賠償問題に関わりたくないであろう)医師の協力を取り付けることはもちろん、検査設備のある病院への誘致など、大変に難易度の高い作業になるのです。
 
その実例(画像は不明瞭だが)
14級9号:第一肋骨亜脱臼?(50代男性・茨城県)
 
その実例(骨折はあるが、癒合後の変形を画像読影で立証)
14級9号⇒12級13号:頬骨骨折 異議申立(70代女性・東京都)
 
その実例(筋電図で立証)
14級9号⇒12級13号:外傷性頚部症候群 異議申立(40代男性・千葉県)
 
 「せめてどこか骨が折れてくれれば、苦労はないのに・・」となります。交通事故被害者はその被害者意識も相まって、症状を重く主張しがちです。治療費を支払う加害者(側の保険会社)から「骨折がないのに大げさな!」と思われるのも無理はありません。だからこそ、骨折のない場合や骨折が不明瞭な場合の諸症状の立証こそ、請け負った事務所の力量と根性が問われると思うわけです。

 画像所見や検査結果を抑えて12級以上を取る、決定的な所見はないが症状の一貫性と信憑性から14級に収める・・・連日、苦労と工夫が続きます。