交通事故の被害者になりました。これから解決までの長い戦いの日々が始まります。この間、加害者と交渉することは稀で、相手に任意保険がついている場合は、その担当者との付き合いが中心となります。そして被害者の8割超はその担当者と示談に及び、解決とします。しかしその示談の内容に満足のいく方はほとんどいません。
なぜ、不満足ながら保険会社と示談してしまうのでしょうか?それまでの時期に適切な対策ができなかったのでしょうか?これを分析してみます。

1、相手保険会社への(過度な?)期待

加害者に任意保険会社がついていました。自動車の修理費を修理工場に払ってくれました。ケガの治療費を病院に払ってくれています。休業損害も毎月支払ってくれます。ある意味これはとても親切なことで、「俺は被害者だ、そんなの当然でしょ」と思ったら、最初のつまづきが待っています。

民法上の損害賠償の原則は「挙証責任は被害者にあります」。つまり被害者自身で自身の損害の証明をして加害者に請求をするのがルールです。ルール通りですと、被害者自ら自動車の見積もりを提出する、治療費の明細を提出するなどして賠償を受けます。この間、整備工場や病院への支払いは被害者が立て替えるのが筋です。しかし保険会社は「一括払い」と言って、病院に直接治療費を支払ってくれることが多いのです。また修理工場にアジャスター(調査員)が足を運んで見積もりの検証をしてくれます。これは全部無料です。潤滑な事故の解決のために法律はさておき、合理的に動いてくれるわけです。しかしこれらは当たり前のことではないのです。

被害者はつい「自分は被害者なのだから補償されて当然」と考えがちですが、被害を受けた側が自動的に守られるなど、世界の常識にはありません。どこの国でも「やられた側」は「やった側」に厳しい戦いを挑まなければなりません。そして任意保険未加入の加害者に被害を受けた場合、泣き寝入りが普通なのです。

 日本は法治国家で国民の道徳心も高く、世界でもトップレベルで人を信用できる社会です。だからこそ被害者に甘えが出てしまうのだと思います。親切な保険会社に解決までどっぷり委ねてしまい、結果として最後の示談金で泣かされることになります。

最後に提示された賠償金額はあくまで保険会社の基準での数字です。当然、裁判や弁護士の交渉する基準より遥かに低いものです。しかしこれまで担当者のペースで進められてきたので、これから事を構えるのが面倒になり、妥協的な示談をしてしまいがちです。また、保険会社の基準がかなり低い、という事実にすら気づきません。もちろんこの事実など担当者は伏せています。つまり被害者側に圧倒的な情報不足があるのです。逆に言えば保険会社の被害者囲い込みが成功した?とも言えます。

ある法律事務所の事務員にこう質問されました。「秋葉さん、なんで保険会社はこうも安い示談金しか提示しないのでしょうか?いくら営利企業と言ってもあんまりではないでしょうか?」 確かに裁判で請求する金額の半分以下、下手をすれば3分の一にも満たないときもあります。私の答えは、「だって解決までおんぶにだっこ、専任の担当者が被害者の面倒を見てくれるのですよ、その手間は結局、無料ではない、ということです。そして民法においても示談は相互の同意で成立するものですから、その内容で被害者が納得すれば何ら問題ないのですよ」

被害者はこのからくりを理解する必要があります。

「自分は被害者なのだから加害者に手厚く補償してもらって当然だ。相手の保険会社がしっかり補償してくれる。別に弁護士などの代理人に頼らなくても上手くいくはず」  

・・・被害者の多くはこのような幻想に陥っているのです。

 対して加害者は事故など「運が悪かった」としか思っていません。一刻も早く保険会社に任せて事故など忘れたいのです。実際3か月もたてば謝罪の気持ちなど雲散霧消しています。そして保険会社はボランティアで被害者救済をしているのではありません。できるだけ少ない金額しか払いたくないのです。被害者とは利害が対立する存在です。これを忘れてはいけません。

 自分の権利を守るのは自分であって、加害者や相手保険会社ではありません。ではどうすればいいのか?

明日に続きます。

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