飛び飛びで投稿しております、「被害者救済業務を分析」再開します

前回まで→ 被害者救済業務 を分析 ⑥

 「交通事故業務を弁護士の手に取り戻す」・・・そのためにはどうするべきか、今日から私の考えを示していきます。

 前回まで交通事故被害者を取り巻くを解説しました。保険会社主導で80%が解決されている環境下で何が必要か?私はそれを交通事故の初期対応に求めるべきと考えます。

 最初の表に戻ります。

 
      <完全解決までの基本的な流れと役割>

 

事故

発生

治 療

症状

固定

等級

認定

賠償交渉

解決



警察
届出


事故

報告

事故
状況
調査

健保
労災

手続

保険会社との折衝

保険

請求

検査

後遺
障害
診断

事前認定
or

被害者

請求

示談交渉
(直接交渉)

紛争センター
(斡旋)

裁判
(和解・判決)

報酬
支払

物損
処理


救急
処置

治療・検査・リハビリ

診断書
作成

リハビリ継続

行政
書士

 

サポート
(書類収集、代書)

立 証
(検査誘致)
(医師面談)

書類収集

 



 


法律相談・代理交渉

代理交渉

 

 

 

このように損害の立証、賠償交渉の前に被害者は様々な困難に直面します。それを事故の相手側である保険会社の完成されたシステムに頼ってきってまえば、保険会社の想定する賠償金で解決する道へ一直線です。被害者vs保険会社の図式の成立です。ちなみにここに加害者の姿はありません。保険会社は加害者に依頼された代理人です。交通事故のプロである巨大組織と一被害者、被害者は気付いていませんが、大変不利な戦いをしているのです。

 そこで被害者が受傷直後から、こちらにもプロ=弁護士を確保する必要があります。アメリカのような訴訟社会ではむしろ「事故が起きた」→「弁護士に連絡しなきゃ!」が一般的です。「保険会社への連絡」は2の次です。アメリカはあくまで極端な訴訟社会なので、それが正しいのかは議論がありますが、少なくとも被害者のための相談窓口はいち早く確保すべきです。現状それを弁護士が担っているのか?答えは「否」です。弁護士への相談はほとんどがこじれてきてからです。それまでは・・・

1、相手保険会社任せ

2、相手担当者と難交渉となり、保険会社の相談、市町村の無料相談へ

3、なんの解決策も得られず、弁護士会、弁護事務所の無料相談へ

4、無料だとらちがあかず、有料委任を検討へ

 この間に保険会社との関係はどんどん険悪化、そして治療費打ち切りが迫ります。ここでケンカ腰に交渉すると、保険会社も弁護士を入れてきます。弁護士対応とされれば、にっちもさっちもいかなくなります。

 これがよくある悪パターンです。では一切反抗せずYESマンに徹し、相手保険会社と穏便な関係を保ち、最後も保険会社の慰謝料提示に素直に印を押す。物損や軽いケガなら費用対効果の面からそれで良いかもしれません。しかし後遺障害が残るようなケガの場合、大変残念な解決です。なにせ一番軽い14級でも100~200万円もらいそびれるのですから。取り返しがつかなくなる前に受任、もしくは相談に来てもらわねばなりません。

 さらに、表のグレー色部分、被害者の事故発生から等級認定までの作業を見て下さい。治療中でありながら、解決に向けての諸手続きが山積しています。病院の選択や検査依頼、物損損害の解決、休業損害費用の確保、同意書の提出、健保使用・不使用の判断、健保使用の場合は「第三者傷害の届出」の記載、労災の手続き、公的補償制度の利用、既加入保険の内容精査、後遺障害診断書の依頼、後遺障害の等級認定手続き・・・本来は治療に専念すべき被害者に多くの難題が圧し掛かります。被害者はこれらのサポートを必要としているのです。

 だからこそ、初期段階から受任、もしくは相談窓口を用意している、薄緑色の部分を担う弁護士事務所が求められます。

 しかし、「等級が取れてから来て下さい・・・」

 実情はこのような弁護士事務所が圧倒的多数です。初期対応ができるか否かが、交通事故弁護士の力量を示すと思います。

 「交通事故業務を弁護士の手に取り戻す」

 れは「受傷直後から受任します!」、これにかかっているとさえ思います。

 つづく