過去記事:たくさん通えば慰謝料が増える?~被害者に対する無責任なアドバイスについて ②、その第三弾を書きます。

 前回は、「3ヶ月以内の通院なら、慰謝料は毎日通院しても2日に1回以上増えない。」ことを解説しました。今回は掲題について検証します。

 交通事故被害にあってケガをした場合、入院や通院の費用を加害者に請求することになります。支払いは多くの場合、加害者加入の保険会社になりますが、その費用が妥当か否か、つまり、過大請求ではないかを当然に検証します。その検証すべき根拠は第一に診断書になります。細かい費用項目は診療報酬明細書を確認します。これらの診断内容から支払いに移りますが、素直に支払われないことが往々にあります。

 医師は患者の状態を診察して診断書を記載します。それは、交通事故の届出の為に警察へ、あるいは休業届けの為に職場へ、そして治療費請求の為に相手保険会社へ提出します。医師はあくまで患者の状態から判断・記載しますが、さらに踏み込んだ「事故との因果関係を証明して下さい」とのリクエストには常に慎重です。例えば、むち打ちで首を痛めたことは記載しますが、事故の衝撃など計りようもなく、原因には深く言及せず、その時の患者の訴えや症状から診断します。

 対して、保険会社は事故の衝撃によってある程度、症状を推測します。自動車の追突事故では、コツンとぶつけられた程度、修理費が10~20万、保険会社の査定で「小破」と判断されるもの、これらの衝撃から軽傷が限度、長期の通院になるような重傷とは思いません。回りくどい言い方が続きますが、要するに、「その程度の事故・衝撃でそんなに症状が重いのか?」と疑りの目を持つのです。もちろん、”事故で少し痛めて心配だから数日通った”程度では疑りません。数ヶ月も通院が続くような場合や、むち打ち程度で即入院する被害者さんに対して、です。

 軽度の衝突で病院通い? 治療費を支払う側は「大げさな!」と思うのはごく自然なことです。そのような場合、被害者さん達は医師の書いた診断書を盾に、治療費・その他費用の支払いを要求することになります。確かに診断書は専門家の証明書ですから、第1級の証拠に違いありません。それでも保険会社を甘くみないことです。保険会社は医師の書いた診断書など無視して、支払を拒絶することがあります。そして、争いが激化すれば、保険会社は弁護士を立ててきます(一応、加害者が雇った体で)。その弁護士は文章で、「これからは私どもが窓口です」、次いで、「これ以上、治療費が欲しくば、法廷で待とう(債務不存在確認訴訟)」と。

 その攻勢に、診断書一枚で対抗できるでしょうか? 追加的に、主治医に「100%事故のせいで、働けなくなったと証明して下さい!」とお願いしても無駄でしょう。そのような証明など医学上限界があり、何より、裁判沙汰・紛争となった場合、巻き込まれたくない医師は逃げの一手です。それでも法廷で戦った場合、追突事故で自動車の修理費が10万円ちょっと・・その程度の衝撃で、入院した、何ヶ月も通院した、半年も仕事を休んだと訴えても、裁判官は”診断書”だけで、被害者の訴えを認めるでしょうか。やはり、常識的に考えて「大げさ」と判断し、保険会社の反論を支持して被害者の負けとするはずです。医学的・科学的に症状をいくら立証しようと、常識が勝つ場面です。

 どこまで行っても、資本主義では”払う側”が強いのです。ごく稀に、軽度の衝撃で重い症状となってしまった被害者さんは、(大げさと判断されるであろう)常識を越える立証が課されれます。それは、絶望的とは言わないまでも、大変な苦労を覚悟しなければなりません。時には、ある程度の治療費・慰謝料で手を打つべきかもしれません。そのような判断の為にも、早期に弁護士など専門家に相談すべきです。巷の無責任なアドバイスに乗って、非常識な請求をすべきではありません。「この請求は非常識か否か」、この判断を間違えると、保険会社との大戦争が待っています。
 
 

弁護士による交通事故慰謝料の増額は、後遺障害の等級で決まります

 

【実績】後遺障害 初回認定率84% 【実績】異議申立の認定率55%(全国平均5%)

 

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