人身傷害特約における休業損害のアドバンテージ

 休業損害の請求について・・・自賠責基準ではでは1日6100円の定額、それ以上の場合は収入証明(源泉徴収票、申告書)を示し19000円まで(この上限額は、近年、主要社の約款から消えています)。また、加害者に請求可能でそれらの保険基準を上回る場合、収入に関する証明を示した結果、加害者側(多くの場合、任意保険会社)が納得すればその額の支払いを受けられます。しかしひき逃げでは相手(相手保険)はいません。ご自身が人身傷害特約へ加入していた場合、まっさきに請求します。

 人身傷害特約の約款を読むと、休業損害は「別紙に定められた算定基準に従い算出」とあります。つまり、この別紙より実際の収入が高ければ「個別適用」となり、源泉徴収票や申告書など、現実収入の証明が必要になります。以下、別紙の平均賃金と自分の収入を損得を比べて高い方を請求します。もっとも、「現実収入が優先です」と言って、この平均賃金ではなく、(より低額の)現実収入で計算してくる担当者も多いものです。
 
 まずは、自身の実収入と表と見比べて下さい(この表は平成23年当時の額で、現在は改定されてます)。

年令別平均給与額(月額)

年令

男性

女性

年令

男性

女性

18

187400

169600

44

482000

298800

19

199800

175800

45

485600

296500

20

219800

193800

46

489300

294300

21

239800

211900

47

492900

292000

22

259800

230000

48

495500

291800

23

272800

238700

49

498100

291700

24

285900

247400

50

500700

291600

25

298900

256000

51

503300

291400

26

312000

264700

52

505800

291300

27

325000

273400

53

500700

288500

28

337300

278800

54

495500

285600

29

349600

284100

55

490300

282800

30

361800

289400

56

485200

280000

31

374100

294700

57

480000

277200

32

386400

300100

58

455400

269000

33

398000

301900

59

430900

260900

34

409600

303700

60

406300

252700

35

421300

305500

61

381700

244500

36

432900

307300

62

357200

236400

37

444500

309100

63

350100

236400

38

450500

307900

64

343000

236400

39

456600

306800

65

336000

236500

40

462600

305600

66

328900

236500

41

474700

304500

67

321800

236500

42

474700

303300

68~

314800

236600

43

478300

301000

全年令平均給与額(全国計・学歴計)

男性

女性

41万5400円

27万5100円

全年齢平均給与額(全国計・学歴別)

男子

女子

大学卒以上

49万9400

36万6300

高専・短大卒以上

38万7900

30万1100

高校卒以上

38万9400

25万3600

上記以外

36万9400

21万8300

 
 3つの表を見ていかがでししょうか(現在、主要社は学歴別収入を約款から抹消、採用していないようです)。実額損失の治療費、文章料などと併せて、普通に人身傷害特約から支払いを受けるべきなのです。その際、最も有利な給与額を採用したいところです。損保会社の担当者が判断しますが、提示額で納得する前に、請求者がしっかり主張・交渉する必要があります。
 
◆ 労災を優先

 労災がある場合は、絶対に労災に請求します。制度の恩恵として休業損害特別給付が加算されます。次いで、足りない金額があれば、人身傷害へ請求することになります。労災には慰謝料の概念がないので、こちらは人身傷害に忘れず請求します。
 
◆ 労災、人身傷害保険の加入がない場合は、「政府の保障事業」に請求しますが、ほぼ自賠責保険基準での計算になります。