★ よくある間違いから 

Q.「交通事故では健康保健は使えません」と病院窓口で健保使用の拒絶されました。交通事故では健康保健は使えないのでしょうか?

  これは間違いです。業務外の事由による自動車事故をはじめ、第三者の加害行為で、病気やケガをしたときも健康保険で治療を受けることができます。健保の使用如何は被保険者(健保の加入者)の意志で決めるものです。  ただし必要な手続きとして健保組合に届出(第三者行為による傷病届)をすることになっています。これは健康保険法施行規則第65条に被保険者の義務として定められています。この届出を受けて健保組合では、その被害を受けた被保険者または被扶養者が、第三者(加害者)に有する損害賠償の権利を代位取得し、治療に要した費用を加害者(相手方)に求償するわけです。

 この手続きは健康保険法第57条で説明されています。基本として他人にケガなどをさせた人は法律によってその賠償責任を負うことになっています。この賠償責任としての治療費は皆の税金(健康保険税)を集めた健康保険で支払うより、まず加害者が負担するのが筋です。ですから健保組合は、本来その加害者が当然負担しなければならない治療費を一時立て替えている状況にあります。

交通事故以外にも、工事現場のそばを通ったとき何か落ちてきてケガをしたとか、喧嘩等による相手方の加害行為によってケガを負わされたとか、他人の飼犬にかまれたときなども該当します。

第57条(損害賠償請求権) 1.保険者は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額(当該保険給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から当該療養の給付に関し被保険者が負担しなければならない一部負担金に相当する額を控除した額。次条第一項において同じ。)の限度において、保険給付を受ける権利を有する者(当該給付事由が被保険者の被扶養者について生じた場合には、当該被扶養者を含む。次項において同じ。)が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。

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 昨日の山梨病院訪問は3件でしたので、石和温泉駅からレンタカーを使用しました。特急列車で現地入りして、レンタカーでまわる。新しい攻撃パターンです。  手続きの際、窓口で丁寧に保険を説明してくれました。それを踏まえ、レンタカーならではの内容を少し解説します。   ■ 保険補償額 1、対人補償 1名につき無制限(自賠責保険の補償額含む) 2、対物補償 1事故につき無制限(自己負担額5万円) 3、車両補償 1事故につき車両時価額まで(自己負担額5万円) 4、人身傷害補償 1名につき3,000万円まで 5、自己負担額について 続きを読む »

 自賠責保険は自動車保険を語る上でバイブルのような存在です。自賠責保険を使いこなすこと、自賠法を熟知することが非常に重要であると思います。先日の研修から抜粋します。

(自動車損害賠償責任) 第3条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己(1)及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、(2)被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに(3)自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

★ 運行とは?  「運行」とは、自賠法第2条2項で「人又は物を運送するとしないとにかかわらず、自動車を当該装置の用い方に従い用いることをいう」と定められています。そして「運行」の意義は専ら「当該装置」をどういうように解釈するかという形で議論されてきました。当初は「当該装置」とは原動機(エンジン)であるとの裁判例(原動機説)もありましたが、被害者保護の要請から次第にその適用範囲を広げ、ハンドル、ブレーキなどエンジン以外の走行装置も含む(走行装置説)との最高裁の判例も出、さらにその後、走行装置だけではなくて、ドア、荷台の他、ダンプカーのダンプ、フォークリフトのフォーク、コンクリートミキサー車のミキサー、クレーン車のクレーンなど特殊車の固有の装置までも含む(固有装置説)との最高裁の判例が出て、現在は「固有装置説」で処理されています。

<具体例>  Aさんは清掃作業員です。作業中、清掃車(パッカー車)から降りようとしたとき、先に降りた作業員がドアを閉めてしまい足を挟まれて足首の靭帯を痛めました。私はこの事故を受任し、パッカー車に付いていた自賠責保険に対し被害者請求を行い、有責(保険金の支払いを受けた)にしました。   → 非該当足関節挫傷(30代男性・神奈川県)

 このように「運行」は幅広い解釈が成立します。本件は法律条文・約款を読み解く力が実務に直結した好取組例です。

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 労災でも後遺障害補償があります。通勤中・業務中の交通事故で後遺障害を負った場合は忘れず請求しましょう。

★ まず鉄則を

1、「相手から後遺障害保険金が出れば重ねて労災はでません」 ⇒嘘です。

 正確に言うならば、後遺障害保険金の逸失利益と障害給付金がかぶるだけです。両方から満額を受け取ることはできず、支給調整と言って相殺をします。つまりすでにどちらかから支給を受ければ、一方の支給からその分は差し引かれます。

2、「障害年金と一時金」 ⇒ 以下のように整理します。

○障害等級第1級から第7級に該当するとき→ 障害(補償)年金、障害特別支給金、障害特別年金

○障害等級第8級から第14級に該当するとき→ 障害(補償)一時金、障害特別支給金、障害特別一時金  

 あとは研修会に同じく一覧表を。これを見れば一目瞭然です。  

障害 等級

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 お盆です。ご先祖様の魂が一時帰宅します。日本人の死生観をもっとも感じるこの季節、交通事故で亡くなったアニメキャラを通して、交通事故死亡者数の推移、自賠責保険の死亡限度額・増額の歴史を振り返ってみましょう。

 まずはおなじみのグラフから。このように1970年のピーク、1万6765人から減少を続け、90年代にやや盛り返しましたが再び減少を続け、現在は5千人を切るまでになりました。このような推移はやはり世相に反映するもので、70年代のドラマはやたらと交通事故のエピソードが多く、交通事故が身近なリスクと認識されていました。当然ながら子供が観るマンガやアニメにも交通事故の影響があるはずです。マンガやアニメをほとんど観ない私ですが、夏休みなので頑張って調べてみました。

タイガーマスク/伊達 直人 「タイガーマスク」

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対物賠償責任保険でお支払いの対象となるのは、法律上の賠償責任額(自動車の時価額)までです。しかし、実際にかかる修理費が、時価額を超えてしまうケースが考えられます。その差額分を補償するのが「対物全損時修理差額費用特約」です。

以上が損保ジャパンのパンフレットからの説明です。もう少し丁寧に説明しましょう。

 まず民法上の損害賠償について理解する必要があります。常識として「人の所有物を壊したら弁償する」・・・当然ながらこれが前提です。弁償の方法は、修理費を払う、新品に買い替える、代わりの物を提供する等があげられます。法律上、これらの算定金額はその物の価値までを限度に考えます。自動車だって使えば中古品となり、新車から価値がどんどん落ちていきます。民法ではあくまでその価値まで弁償すれば足りると考えます。中古品を弁償するのに新品価格で払えば、弁償される側は得をすることになってしまうからです。ここで問題となるのは、修理費がその中古価値を上回ってしまうことです。

 例えば120万円で購入したミライースも5年間乗れば価値はおよそ20万円(時価額)と査定されます。しかし事故での修理費が60万円かかるとします。被害を受けた側はしばらく買い替えの予定もないし、気に入った車だったのでなんとか修理して乗りたいのです。対して加害者側の保険会社は「価値が20万なので20万円までしか払いません。修理費の差額40万円はご自身でご負担下さい」となります。この法律を盾に取った理不尽なやり取りで、長らくこのような物損事故はもめてきたのです。

                     そこで約款上、法律を根拠としない費用保険というカテゴリーで支払える特約を作りました。これが対物全損時修理差額費用保険です。呼び名は各社多少の違いがあります。(対物超過特約など)  上記の場合、修理して乗るのなら差額の40万はこの特約で支払います。限度額は各社ほぼ50万円までとなっています。

 この特約のおかげで、古い車の修理額でもめることが激減しました。自身が加害者となったときには相手に優しい補償となります。しかし悔しいのは自身が被害に遭った時、例えば追突されてこの特約を付けていない加害者側保険会社から「時価額までしか払えません」と対応されることでしょうか。

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 後遺障害の審査は厳しく、調査事務所は請求者を常に疑ってかかっている意地悪な機関と思っている被害者、法律関係者も多いと思います。しかし私の印象はそのようなステレオタイプではありません。私は自賠責保険の被害者請求を保険会社時代から何年もやってきています。たまに「なんじゃこりゃ?」ってな判定を見ることがありますが、あくまで少数例。「よく見てくれているなぁ」と感心することの方が多いのです。さらに先日の出来事から・・・

 本件の被害者さんは腰椎捻挫で症状の改善が進まず、整形外科から整骨院に転院し、さらに鍼灸院に通って治療を継続しました。当然、相手の任意保険会社は腰痛と事故の因果関係に疑いを持ち、途中で治療費を打ち切りました。仕方なく健保で治療費を払っていましたが、このままでは事故は解決しません。この時点で私が介入し、症状固定を勧めました。しかし後遺障害診断書は鍼灸院や整骨院では書けません。書いていただくために整形外科に戻り、医師に事情を説明し、なんとか診断書を書いていただきました。  しかし、治療経過を見ると、途中から最後の後遺障害診断まで、”病院への”通院は3か月ぽっかり間が空いてしまっています。「神経症状を残すもの=14級9号」は他覚的所見が乏しくとも、症状の一貫性で認めてくれる余地があります。後遺障害の審査上、整骨院や鍼灸院の治療実績は軽視されますので、この3ヵ月の治療間隔は致命傷なのです。

 仕方ないので自賠責調査事務所の担当者と電話で直談判です。事情を説明したところ、本件の調査事務所の担当者はいきさつをご理解下さり、鍼灸院の領収書にて治療の継続性を認めてくれるようで、早速提出の運びとなりました。「非該当」を避けるべく、まるで等級が認められるようにこの担当者は柔軟な判断をしてくれているのです。つまり杓子定規な審査をするのではなく、被害者の事情に耳を傾け、症状の残存を信用してくれたのです。こうなると申請側の私と立場は違えど、同じ被害者救済の仕事をする同志です。

 やはり審査をするのは「人間」。担当者がすべての被害者を疑ってかかるのか、偏見なく被害者を見抜くのか・・・。やはり14級9号の真髄は「信用してもらうこと」に尽きると同時に、担当者の裁量次第、さらに言わば公平なジャッジは担当者の人間性で左右される時があるのです。

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 前回に続きます。まず下線部を解説します。

 保険会社にも6000万円の賠償を、とあります。これは被害者側に人身傷害特約(おそらくご家族加入の自動車保険)が加入されており、そこから6000万円の支払いを受けていたことを示します。保険会社もこの既払いにつき、加害者に求償を行うべく、この裁判に訴訟参加したものと思います。

 そして注目すべき論点が2つあります。

① 保険会社の人身傷害が9500万円の判決額全額を支払わない点です。

 人身傷害は保険会社の約款で「当社の基準で計算した額を払う」とありますので、普通は対人賠償とほぼ同額の基準で計算されます。つまり裁判の判決額はそれよりもはるかに高額な基準で計算されます。その差は2~3倍に及びます。この人身傷害が限度額(6000万円)いっぱいであれば問題はないですが、1億や無制限だったら・・・。

 私は判決額が決定したら、この判決額9500万円全額を保険会社に請求すべきと思います。 もちろん、保険会社は「当社の基準で支払うと決まっているので・・」と反論しますが、今まで同様のケースで判決額を全額請求した結果、なぜか保険会社は自社基準額を押し通さず、判決額を渋々支払います。人身傷害の支払基準は司法を介すると玉虫色となるのです。

 これは2年前、人身傷害の求償額をめぐった裁判で、「被害者救済上、約款基準より判決額を重視した」判決がでています。以降、保険会社は建前(約款)上は自社基準、司法が絡めば裁判基準とし、人身傷害の支払い基準は混とんとしたままなのです。

 この問題は「そして無保険車傷害は(人身傷害特約に)吸収された」のシリーズの続編として後日書きたいと思います。

★ しかし本件の場合、既払額6000万円はきりが良すぎる数字です。保険会社は既に契約限度額まで支払ったのかもしれません。ただし契約限度額=6000万円は半端な数字です。人身傷害特約は最低3000万円から無制限まで限度額を決めて契約しますが、もっとも多いのが5000万円、次に3000万円です。1億や無制限はかなり少ないはずです。したがって6000万円ちょうど、もしくはそれ以上の契約額もちょっと考えずらい。

 もしかしたら家族の車2台の人身傷害特約がそれぞれ限度額3000万円で、両方の限度額の合計6000万円を支払ったのかもしれません。であるならば既に支払った保険金で限度額いっぱいとなり、判決額全額を請求する議論とはなりません。  

② 現在の人身傷害特約では「自転車対歩行者」事故に関して、多くの保険会社は無責です。

 本件事故は今から5年前です。当時は自転車搭乗中のケガ、自転車による被害事故も対象となっていましたが、現在多くの損保会社はこれを補償から除外しました(三井住友、あいおいニッセイ同和、AIG、日新、全労災は補償範囲を堅持)。歩行中、自転車搭乗中のケガでは相手が自動車でなければ補償の対象外なのです。もしこの事故が現在に起きれば、被害者女性に支払われる賠償金に対応する保険は無く、加害者親子に丸々9500万円賠償金の支払いが請求されることになります。

 近年自転車の加害事故も重大化、賠償金も高額化しています。道路交通法上、自転車は軽車両となっております。自転車もある意味、自動車扱いなのです。再び人身傷害特約でこの部分も補償してもらえないものか・・・本件のような被害者はもちろん、加害者にとっても悲惨な事故から切に望まれます。

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親に9500万円賠償命令 少年が自転車で人はねた事故

 自転車で女性(67)をはねて寝たきり状態にさせたとされる少年(15)=当時小学5年=の親の賠償責任が問われた訴訟の判決が4日、神戸地裁であった。田中智子裁判官は「事故を起こさないよう子どもに十分な指導をしていなかった」と判断。少年の母親(40)に対し、原告の女性側と傷害保険金を女性に支払った損保会社に計9500万円を賠償するよう命じた。  判決によると、少年は2008年9月22日夜、神戸市北区にある坂をマウンテンバイクで時速20~30キロのスピードで下っていた際、知人の散歩に付き添い中の女性に衝突した。女性は頭の骨が折れ、現在も意識が戻っていない。  判決は「少年の前方不注意が事故の原因」と認定。少年側は「危険な走行はしておらず、日頃から指導もしていた」として過失責任を否定したが、判決は母親が唯一の親権者としての監督義務を十分に果たしていなかったと判断した。そのうえで、女性が事故に遭ったために得ることができなくなった逸失利益や介護費などを考慮し、母親には女性側へ3500万円、損保会社へ6千万円の賠償責任があるとした。 (25.7.5 朝日新聞より)

   本件は少年(15歳)の親御さんに「親権者責任」をずしりと科した点がポイントです。裁判では”親権者としての監督義務がちゃんと行われていたか否か”が争われました。でもどう考えても少年の事故における過失と、親の日ごろの指導は直接結びつかないように思います。つまり直接、事故に関与したわけではないが、少年に事故の責任がある以上、民事上の損害賠償責任を取るのは少年に代わって親、ということが本音でしょうか。確かに被害者側にとっては、「少年に支払い能力がないからチャラ」といわけにはいかないでしょう。

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 私は学校を卒業後、直ちに損保業界に入り、その後、一貫して交通事故分野一筋でやってきました。最近、依頼者さんから質問を受けました。    「秋葉さんはなぜこの仕事を選んだのですか?」    この質問には即座に答えることができます。この機会に少し語りましょう。    損保会社勤務の時、担当する顧客さまの御嬢さんが自転車でおばあちゃんにぶつかり、骨盤骨折をさせる交通事故がありました。この顧客さまの契約に個人賠償責任保険が付帯されており、この保険を使っておばあちゃんへの賠償を行うことになりました。このおばあちゃんは御年80歳、このケガから排尿障害や歩行不能となり、ほぼ寝たきりの状態になってしまいました。ご家族は会社員のご長男のみ。対して担当する顧客様(加害者側)に個人賠償責任保険の加入があり、最高3000万円まで支払えます。

 その後、10か月を超える治療を行いましたが、回復の兆しはありません。ついに、治療の長期化を懸念する保険会社の指示のもと、治療費打切り=示談の運びとなりました。事故後、数度にわたり顧客様(加害者)と謝罪に訪れ、それなりに馴染んでいる私が示談交渉に同席しました。

 最近の個人賠償責任保険はある程度、保険会社の示談代行が可能となりましが、この時代は示談代行ができず、顧客様が示談交渉を行います。しかし、示談金がいくらになろうとも支払額は保険会社の認定額までです。つまり、保険会社の認定額以上の示談金は顧客負担となってしまいます。したがって、心配なので営業担当ながら私も同席し、示談交渉を手伝います。これは実質、担当者である私が示談代行(代理交渉だと違法です。保険会社の人間はあくまで「代行」なので違法ではないと解釈されています)をすることになります。

 そこで被害者親子に保険会社の提示額320万円の説明を行い、「申し訳ありません。これ以上支払いはできません」とひたすら土下座です。

 対して、心優しい親子は、    「秋葉さんがそう言うのなら仕方ないです。それで示談でいいです」と・・・。    会社に戻り、支払担当者から「秋葉くん、よくまとめてくれた!さすがだね!」と賛辞の嵐、支払部門は大喜びです。このように保険会社時代、営業担当でありながら、いくつもの交通事故を解決させました。

 この被害者さんは、骨盤骨折癒合不良による股関節の可動域制限、排尿障害で併合9級(自賠責基準で616万)となるような障害です。介護料なども勘案すれば少なくとも2000万程度の損害賠償が見込まれます。しかし、後遺障害のことなどまったく触れずに示談成立です。

 当時は現在のように後遺障害、賠償の知識がありませんでしたが、320万はあり得ない、その倍額位にはなるのでは?と思っていました。これからおばあちゃんはどのくらい苦しむのだろう・・・息子さんは介護のために仕事を犠牲にするのだろうか・・・それとも自費で介護を行うのか・・・320万では焼け石に水です。    もうね、嫌になったのですよ、保険会社側の仕事が。    このようなケースは決して珍しくありません。交通事故の実際とは、そして保険会社とは・・・時に被害者にとって大変厳しいものなのです。もちろん、保険会社の存在が、広く被害者を助けている現実は承知しています。それでも、重傷者の多くは十分な損害の立証を経ないまま、余りにも低い賠償金で解決されています。被害者が損害の立証方法や賠償額の相場を「知らない」が故、320万円で許すと言えば確かに民事上の契約成立=示談です。なんら違法ではありませんし、安い支払いに抑えることが営利企業である保険会社の望ましい立場です。それはわかっています。そこで割り切れるか否か、先のような経験が少なければ損保業界に残っていたでしょう。残念ながらそのような経験の数は多く、私は割り切れませんでした。しばらく腐って仕事はそこそこに、ロックバンドに加入、ライブ活動中心に生きていました。  

 それからなんだかんだで10数年、腐ったままにはあまりにも長い年月を経て思い立ちました。保険会社は確かに被害者を助けていますが、それはあくまで加害者側の責任を全うすることであり、契約者である加害者を助ける仕事です。結果として、反射的に”広く浅く”被害者を助けているに過ぎません。    そこからこぼれた被害者を担う、”狭く深く”助ける人も絶対に必要です。どうせ仕事をするのなら、そこで仕事をしよう!・・・そして現在に至るのです。    今なら、先の親子のために後遺障害9級の認定を行ない、弁護士と共に1000万を超える額を得るために戦うでしょう。    これが私の原点です。保険会社の社員・関係者は国内に10万人、少しくらい被害者の味方になっても良いと思います。

 すべての仕事に共通しますが、「志」のない仕事は単なる金儲けです。この精神を来月から研修を受け持つ後進に伝えていきたいと思います。  

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 今朝も病院同行まず一件。現在必死のパッチで遅れている請求書類の送付、異議申立書の作成、集金・送金事務を行っています。

 その中で弁護士費用特約の請求でT社さんが一件ペンディングです。いつも迅速な支払い処理の会社なのですが、どうしたのかな? 支払い内容に疑義でもあるのか請求してから2か月近く、「検討中」だそうです。払わないのなら別に依頼者に請求するからいいのですが・・・私の場合、依頼者は「弁護士費用から支払われなくてもお財布から秋葉さんに払うよ!」という方ばかりなので問題ありません。(でも保険会社は契約者から信用なくすよね。) 結局、この件は依頼者が直接報酬を支払ったので、T社は慌てて依頼者に払いました。最初から気持ちよく支払えばよかったのにね。

 そもそも弁護士費用特約に弁護士や行政書士が直接請求するのは単に事務の合理化のためで、イレギュラーな事と認識しています。法律家の仕事に対し、契約するのは依頼者自身です。その費用について、自身が契約している保険会社に請求するのは契約者のはずです。法律家と保険会社が契約するわけではないので、報酬について両者が協議するのはおかしな話と思います。

 巷ではこの弁護士費用特約の請求について、法律家と保険会社が険悪な状態になることが頻発しています。保険会社は約款上、「事前に弊社が認めた額を払います」と明記しています。だから契約者と法律家が”保険会社の了承なく”契約した報酬額を払う責任はありません。私はこれを十分に理解しています。  しかし実際、どの法律家も「弁護士費用で報酬がまかなえますよ!」と甘言をささやき契約するものですから、費用はすべて払われるものと解釈した依頼者と、事前に照会のない過大な費用請求を受けた保険会社がもめるのは目に見えています。つまり法律家の契約時の説明に問題があるように思えます。そもそも保険会社の言い分は「先生のホームページを見たら着手金無料となっているではないですか!なんで特約がある場合は別体系の費用なの!」・・・確かにごもっともです。問題の根底はここにあるようです。私の着手金は原則105000円です!(業界最高値?)・・・でも営業上問題ないですよ。

 一番大事な事、それは被害者の利益です。そのための保険(弁護士費用特約)であり、法律家の仕事です。両者とも基本を見失わずに仕事をすれば、もめることもないのになぁと思います。

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 最近、重篤なケガの依頼が続いています。毎度、初期対応が大事です!と訴えていますが、私の心配など無用とばかりに、特に問題も起きず、なんと言っても保険会社が優しく、支払いについて何も渋らないそうです。これらはつまり、誰が見ても重篤なケガで、重い後遺障害が確実な被害者です。

 最近でも脳障害で3級が予断できる被害者、両足の骨折と神経麻痺で用廃の6級が見込まれる被害者さんに対する保険会社担当者は実に親切丁寧な対応です。そして治療費や休業損害はもちろん、装具代、自宅改造費用、差額ベット代やタクシー代等、無茶な項目でなければ快く支払に応じてくれます。

 さて、このような保険会社担当者の対応を分析してみましょう。(つまり保険会社の本音を言います)

 重い障害が必至で症状に疑いのない被害者さんに対し、もし厳しい対応、支払査定など行ったらどうなるでしょう・・・確実に被害者の敵意は向上します。すると弁護士に依頼され、高額な賠償金を請求してきます。そうです、本当に重い被害者は絶対に怒らせてはいけないのです。高い後遺障害等級が認定されますので、数千万円の賠償金が発生します。これを裁判基準ではなく、保険会社基準で示談させることに成功すれば、仮に4000万円の支払いが2000万円に節約できます。つまり保険会社は2000万円の支払を防ぐためにどうすればいいか必死になります。それが「優しい対応」なのです。私はこれを「仏顔作戦」と呼んでいます。それだけ保険会社基準が安すぎるのがそもそもの問題ですが。

 この保険会社の作戦、もとい被害者救済的対応が成功すれば、被害者も示談のときに「大変、お世話になりました」と言わないまでも、保険会社の提示額をベースに交渉、少し上乗せしたくらいで判を押してくれるかもしれません。

 ちなみに示談までに支払った治療費、休業損害は当然ながら既払い分となります。問題となるのは様々な費用、雑費などが精神的損害である慰謝料から差っ引かれることがあることです。今までの気前の良い支払いは何のことはない、示談金の前払い、ということになります。「仏顔」の裏には「鬼の顔」も隠れていることがあるのです。最後に泣かされてはたまりません。

 保険会社と喧嘩するのは愚の骨頂ですが、懐柔されるのも問題です。

 被害者とは常に冷静、クールかつ賢明、クレバーでなければなりません。

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事故を起こすと更新謝絶?

 代理店契約、通販型契約共に事故の常習者は保険会社から継続契約を断られます。毎年のごとく事故を起こした人、一年に2回以上保険を使った、その他モラルに問題のある契約者・・・これらが大同小異あれ、各社の内部規定で次年から契約謝絶となります。

 じつはここにも代理店契約と通販契約の数字や文章に表れない違いが存在します。私の代理店営業の経験では、1年に2度保険を使った契約者の更新は「営業社員の事前許可」が必要でした。例えば、ドアを車庫にぶつけて修理費10万円を保険を使って修理した契約者さんが、運悪くその年に交差点で出合頭事故となり、お互いの保険会社の示談で20:80で解決しました。これで2回事故となり、事前許可が必要な契約となります。

 しかし、私は会社の担当者に「善良な契約者さんでたまたま運が悪かっただけです」、「他に火災保険も加入してもらっています」、「次年度以降は無事故の指導を徹底します」・・・等々、大切な契約者さんを守ります。すると担当者も「秋葉さんがそこまで言うのならOKですよ」とほぼ継続許可となります。もちろん、契約者さんがあまりにも交通事故の常習者であったり、性格に問題あれば、私も更新契約はお断りです。ここに無味乾燥な契約関係に人間味が加味されるのです。

 対して通販にとっての契約者は知人の紹介でもなんでもなく、会ったことも見たこともないインターネットや郵便を介しただけの関係です。本音では「長い期間、事故がないから他社より安く引き受けているに・・・2度もかよ!」となります。そして数字だけでの判断(1年に事故2回)で更新契約は謝絶となるのです。さらに、

 いざという時の事故! さぁ解決で頑張って欲しいところですが・・・ここでも差がでると思いませんか?

〇 しっかりとした事故対応をして顧客の信頼獲得、来年も継続してもらおう!→代理店

● ややこしい事故を起こしてからに・・面倒な事になったら・・・来年は謝絶か?→通販

   このような構図にならないか心配なのです。継続してもらうために頑張る代理店、来年の更新を考慮しないかもしれない通販・・・。私の経験では、大きな事故を起こした人、保険会社に厳しい物言いをした人で、通販の契約者はほぼ次年度は違う保険会社に移っています。おそらく謝絶されたのでしょう。

 謝絶文を掲載します。  これを受け取った契約者は「失礼な!」と憤慨するわけです。

 私は決してアンチ通販ではありません。やはり安い掛金が最高の顧客サービスであるとも言えます。しかし安くても同品質ではないこと、そして契約も結局は人と人との信頼関係であること。それらを考えさせられるのが「代理店契約vs通販」の比較ではないかと思います。 

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 「自動車保険はどこがお勧めですか?」、「自動車保険はどこがいいでしょうか?」・・・交通事故で難儀した被害者の方からよく聞かれる質問です。

 各社、掛け金、補償内容とも違いがあり、一口に〇〇損保がいいですとは言い難いものです。契約者はネットや広告で色々と比較していますが、どこの会社もリスク細分型(細かく使用条件を絞る)ですので、大差はなく、どこの会社であってもしっかりと保険設計をすることが重要と思います。

 しかし、従来の代理店を介した契約といわゆる通販型では厳密な差が存在します。違いは以下の通りです。

① 代理店が契約を仲介する場合、その代理店は営業担当者となりますが、通販型は損保対顧客ですので、決まった担当者はいません。通販でも「専任制」とうたっていますが、これは事故が起きたら事故処理担当者が選任されることを指します。 ② 通販型は掛け金が大幅に安い。仲介する代理店の手数料分がないのが決定的な価格の差です。

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 前日の被害者さんはその後どうなったのでしょうか・・

7、画像の請求のために医師に再度受診

 保険請求に使いますので・・・、なんとか主治医の許可を得、画像の貸出を受けました。貸出料金は1枚500円。10枚ですので結構な出費です。

8、健康保険に開示請求

 さらにレセプトですが、病院が出してくれないのであれば、提出先の国民健康保険に対し、開示請求です。市役所の国民健康保険課に訪問し、開示請求関係の書類を記載します。しかしここで大きな問題が発生しました。

9、第三者行為による傷害届けが未提出だった

 そもそも加害者のいる交通事故の場合、役所は相手からの賠償金(ここでは自賠責保険)が健康保険に優先されると考えます。そもそも本件は保険会社に打ち切られた後の健康保険使用なので、事故扱い如何が曖昧な状態で病院にかかり続けました。今の今まで健康保険使用に必要な届け出をしていなかったのです。そこで数枚に及ぶこの書類の作成に奔走することになります。

10、添付書類にまたもや苦戦!相手への誓約書・・・

 誓約書は加害者側が署名するものです。加害者本人と相手保険会社に署名をお願いしましたが・・・最初からなしのつぶて、まったく協力してくれません。「すでに賠償としての治療費は打切りです。その後の治療に責任は持てない。」と言われました。役所にはそれを説明し、事情により誓約書は免除してもらいました。役所では相手に打診し、拒否されてやっと誓約書の割愛を認めるルールとなっています。

11、そしてようやく追加書類の提出、そして結果は?

 症状固定から書類の収集・作成・提出で半年も食ってしまいました。そしてようやく自賠責から結果が届きました。  残念ながら接骨院中心の治療(正確には施術)だったので「非該当」です。したがって後遺障害保険金はもちろん、健康保険使用後の治療費や休業損害は一切認めてくれません。書類集めにかかった費用もほとんど認められず、膨大な時間も無駄となりました。

12、通院のみの傷害慰謝料では・・

 ここで弁護士に賠償交渉を依頼すべく相談しましたが、どの弁護士も「等級は難しい」と。そして「半年間の傷害慰謝料では弁護士を立てても経済的効果がないので・・」と受任に消極的です。 こうして泣く泣く二束三文の慰謝料で相手保険会社と示談です。

 お気づきと思いますが、この被害者さんにおける賠償交渉は最後の11、12のみで、受傷から症状固定、そして後遺障害認定までのほとんど「書類集積」に費やしています。本記事のテーマがお解りですね。交通事故の厄介なところは書類集め=証拠集めであり、それが事故相手以外の様々な機関が介在するが故、非常に大変な作業なのです。とくに本件の被害者さんは、本人の責任というにはあまりにも不運、各局面で面倒な方向に進んでしまいました。これはすべての交通事故被害者にとって他人事ではないのです。

 いつも主張する「受傷直後から相談に来て!」は各局面で間違った選択をさせないよう、私たちが寄り添って各機関と折衝し、スムーズな解決に誘導するためです。そしてある意味、賠償交渉よりこの初期対応の成否が勝負の決め手となるです。

 初めての事故、運が悪ければ誰しも間違った方向へ進みます。もめてから相談、行き詰ってから弁護士に・・・これでは手遅れになることがあるのです。

 結論、交通事故の依頼をする際は「初期対応」がしっかりしている事務所を選んで下さい。

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 交通事故は「もめごと」です。単独事故を除き、加害者と被害者の(第3者も加わるケースもありますが)争いとなります。当然お互いが権利を主張し合えば難しい交渉に発展します。しかし単なる2者のもめごとで済む問題ではありません。交通事故の場合、保険会社、病院、修理工場、健康保険、仕事・通勤に絡めば労災・・・等あらゆる機関が介在してくるのです。これが事態を複雑にすることが多々あります。

 本日の市役所同行もまさにそのケース。注意喚起の意味を込めて紹介しておきます。(若干フィクションを織り交ぜています)

1、事案は?

 被害者は停車中、追突されて腰椎捻挫となりました。相手は任意保険に加入しており、治療費を自由診療扱いで病院に精算してくれました。ここまでは普通です。

2、治療先は?

 被害者は今までにない下肢の痛み、しびれに苦しみ、改善が進みません。遠距離の病院への通院も辛かったので、近所の接骨院をメインに治療を進めました。病院へは月一回の診察のみです。

3、長期化する症状

 それから半年、症状の改善がないまま、相手保険会社は一方的に治療費を打ち切りました。打撲・捻挫で半年を超える通院は非常識とのことです。しかし本当に痛み、しびれは治っていません。仕方がないので健康保険を使って通院を続けました。

4、一年が過ぎ、症状固定へ

 さすがに治療の効果も薄れてきました。このままではいつまでも解決しないので、ここで症状固定とし、後遺障害診断書を医師に依頼しました。接骨院では診断書が書けないので断られたからです。・・・しかし病院は今更、健康保険での通院と診断書の依頼に対しつっけんどんです。なぜなら保険会社から治療費の打ち切りをされている状態ですので、もめごとに巻き込まれたくない、さらに接骨院をメインに治療費を払い、病院へは月一回、これでは面白いはずがありません。

5、それでもようやく診断書を書いてくれました。

 散々待たせて適当な(?)診断書が出来上がってきました。相手の保険会社の担当者とも関係が良くないので、直接、自賠責保険の被害者請求で進めることにしました。

6、必要書類を集めなければなりません!

 一人で請求書類を集めてなんとか提出しましたが、自賠責保険から、「全治療中の画像、そして診断書・診療報酬明細書(レセプト)を提出して下さい!」と追加の催促がきました。保険会社から治療中の診療報酬明細書のコピーをもらいましたが、それは打切り前までの分。それ以後は病院に請求しなければなりません。しかし病院は「画像は主治医の許可がないとダメです」と。そしてレセプト類も「健康保険に対し提出してしまったので、二重発行はできません」と言って請求に応じてくれません。

 ここで、手続がストップしてしまいました。病院、保険会社を何度も往復しても一向に埒があきません。

 なんで被害者の自分がこんなに大変な思いをするのか・・・

 つづく

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 現在、弁護士事務所を通じて損保代理店さんとの連携を模索しています。  私は損保ジャパンの代理店を併設営業していますので、地元の代理店さんから被害者の紹介を受けることがあります。

通常自動車保険に加入している方は交通事故に遭うと、加入している保険会社に事故報告します。それが物損事故や軽傷事故であれば、保険会社同士の話し合いで解決するケースが圧倒的だと思います。しかし後遺障害が残るような、また後遺障害が見込まれるケガとなると、保険会社に任せっきりでは少々心配です。なぜならいつも言うように、後遺障害による被害は一番軽い14級でも300万に近づく高額賠償となります。保険会社の支払基準はその半分にも満たないのです。そこで活躍が期待されるのは損保代理店さんです!

 代理店さんの顧客が被害にあった場合、代理店さんも様々なアドバイスを加え、解決までバックアップを行います。その中で、重傷事案であれば、早めに弁護士の委任体制も用意しておくべきです。大きな賠償金となれば、相手保険会社の提示金額や、自身の保険(人身傷害特約)では話になりません。したがって代理店さんには法律家への橋渡しを担って欲しいのです。

 そして法律家への費用負担は「弁護士費用特約」という強い味方があります。年間の掛金1600円(損保ジャパン)で交通事故被害に遭った時の顧問弁護士を確保できるのです。これに気付いている代理店さんからはどんどん紹介が入ってきます。

弁護士事務所と保険代理店を結びつける・・・これこそ私のやるべき仕事です!

連休明けからこの連携についても方々走り回ることになりそうです。   

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 週末は山梨相談会、4月も半ば過ぎだというのに冷たい雨の降る一日でした。

 今回はむち打ち被害が中心でした。むち打ち被害者の中には重篤な神経症状となる被害者も含まれますが、多くは捻挫のカテゴリーに入ります。保険会社も「むち打ち程度で3か月以上も通院なんて大袈裟な!」と思います。私たち被害者を助ける側も相談者の重篤度を見抜く目が必要です。そしてなんといっても詐病者(うその症状を訴える)、保険金詐欺の類は絶対的に排除しなければなりません。

 損保側も怒りの声を上げています。

 本損害保険協会の柄沢康喜会長(三井住友海上火災保険社長)は20日の記者会見で、保険金詐欺や不正請求を防ぐため、来年1月に協会内に専門の対策室を立ち上げると発表した。

 柄沢氏は「警察庁の統計では、自動車事故の保険金詐欺は、立件分だけで毎年数百件あり、被害額は数億円に上る。保険料負担の公平性の観点からも看過できない」と述べた。対策室では、損保各社から不正請求の情報を集めて分析し、防止策を各社で共有できるようにする。ホットラインで一般の人からの通報も受け付ける。手口などの情報をデータベースに蓄積し、各社からの照会に応じる態勢も整える。  協会は不正請求に対する消費者の意識調査も実施した。自動車に傷が付いて修理代を保険金請求する際に、前からあった別の傷の修理代も便乗して請求するケースを「絶対許せない」と感じる人は47.3%で、公園の花の抜き取り(52.8%)やガムの路上捨て(61.8%)よりも罪悪感が薄いとの結果になった。協会は「啓発活動に生かしたい」としている。

 車両保険の不正請求は日常に溢れかえっています。私も保険代理店を通して、様々な手口を目にしました。

〇 フロントガラスの跳ね石被害・・・この場合の保険金請求は無事故等級が据え置きとなります。わざとヒビを入れて、グルの修理業者にて修理。修理業者から謝礼?を受け取ります。このためか据え置き事故扱いは撤廃されました。

〇 車に落書きされて全塗装する・・・これもグルの修理業者と塗装費を請求する。

〇自動車が盗難にあった!・・・実はグルの中古販売店に売っていた。

 このように業者を介せば、簡単に偽装事故&保険金詐欺は可能です。

 保険会社の払い渋りを糾弾する意見をよく目にしますが、道徳心のない人が多いことが保険会社をスレさせる一つの原因ではないかと思います。

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 交通事故の現場検証も警察官により完了しました。もし重症で救急車で運ばれ即入院となった場合の現場検証や供述の聞き取りは、後日行われます。後日の検証であっても、被害者と加害者の同時立ち合いが原則ですが、それが入院等で不可能な場合、それぞれ別に行うこともあります。

1、物損扱いと人身扱い

 事故証明書の右下に「人身」か「物損」かの扱いが記載されています。この違いについては読んで字のごとくですが、問題なのはどちらにするかの選択を迫られた時です。明らかなケガ人がいれば当然「人身扱い」ですが、ケガが軽い、念のため1回だけ診断を受けてこよう・・・実際このような場面の方が大多数と思います。その場合、立ち合いの警察官がどちらにするか聞いてくるのです。迷っているとお巡りさんは「とりあえず物損扱いにしておきます。人身にするなら後で連絡して」と去ってしまいます。なぜなら警察は人身事故として受理すると、自動車運転過失致傷罪、つまり刑事事件として捜査をしなければならず、実況見分調書・供述調書などの刑事記録を作成して、検察庁へ送付しなければなりません。刑事記録の作成は、司法警察職員という資格を持った警察官でなければならないため、立ち合った交通課の警官が資格がない場合や、書類の作成が面倒などの理由で敬遠されがちなのです。    また加害者側へのペナルティも関わります。物損扱いなら罰金や減点はありません。しかし人身となると「刑事罰」の対象となります。さらに免許の点数が減点される「行政処分」が課されます。これはこのシリーズ中、表にまとめますね。

 このように病院へ行くならなるべく「人身扱い」が良いのすが、何かと周囲の影響を受けます。

★ よくある間違い

 追突してしまいました。被害者は大したことはないようなのですが、後になって治療費を請求されるかもしれません。運転の仕事をしていることもあり、なるべく物損扱いとしたいのですが、人身事故扱いにしないと保険がでないと言われました。

 原則として、物損事故では保険会社の対人賠償は生じません。しかし人身事故と言っても数回の通院で済む軽傷事故が大多数なのです。すべて律儀に人身事故にしていては警察もパンクします。保険会社も杓子定規な対応はできません。そこで物損の事故証明に「人身事故取得不能理由書」を添付し、物損事故にとどめた理由を説明します。これによって治療費や休業損害など傷害の支払いを可能とします。これは自賠責保険の請求でも同じです。  人身扱いとしなかった理由の多くは「軽微なケガであったため・・」となるはずです。では大ケガの場合、問題が生じるのか?実際は後遺障害を残すような事故でも物損証明+人身事故取得不能理由書で通しています。これは調査事務所も審査する際、「今更、届出を変更できないし、事実障害があるのだから・・」としているようです。本音と建前の世界ですが、相当の治療が必要なケガの場合は必ず人身事故とすべきです。

人身事故取得不能理由書→http://www.jiko110.com/topics/syoshiki/higaisya_seikyu/1-12.pdf

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 骨折や靭帯損傷など目に見える「器質的損傷」がない、あるいは微妙なケース、筋電図や検査数値で異常が検出されないもの、これらは他覚的症状がないものとして後遺障害は認められません。しかしながら治療状況、症状の推移から、一定の障害があると推測できるものには14級9号認定の救済(?)が果たされます。

 自賠責の認定基準は以下の労災の認定基準に準じています。

 そして「局部の神経症状」について、以下のように労災の認定基準が定められてます。

14級9号 局部に神経症状を残すもの 労働には通常差し支えないが、医学的に説明可能な神経系統又は精神の障害を残す所見があるもの。医学的に証明されないものであっても、受傷時の態様や治療の経過からその訴えが一応説明つくものであり、賠償性神経症や故意に誇張された訴えではないと判断されるもの。 医学的に証明しうる精神神経学的症状は明らかではないが、頭痛、めまい、疲労感などの自覚症状が単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるもの。 12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの 労働には差し支えないが、医学的に証明できる神経症状をいう。 知覚障害、局部のしびれ感、麻痺があるとき、それがレントゲン写真・CT写真・脳波検査・脳血管写・気脳写・筋電図等の検査によって証明される場合。

   自賠責は下線部に書かれているように、受傷機転、治療経過から説明可能な症状であり、単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されれば、14級9号が認定されます。この解釈に多くのむち打ち被害者は救われています。しかし、治療期間において任意保険会社に詐欺まがい・非常識な請求をした、担当者と大喧嘩した、精神病的な症状となり治療が長引いた・・これらの被害者は、「説明できる・推定される障害」とされない可能性が高まります。自賠責調査事務所はそのような情報を調査権限に基づいてキャッチするからです。

 もちろん詐病者や大げさな症状を訴える被害者を排除することは良いことですが、逆を言えば審査する担当者によっていかようにも判断できる危険性をはらんでいます。

 14級9号が認定されるであろう被害者、認定が危ない被害者について、事前に受傷からの治療状況を聞けば、私たちはほぼ予想がつきます。対して、JA共済の判断にはびっくりさせられることが多いように思います。自賠責共済ではなく、自賠責保険なら、認定は「損害保険料率算出機構・自賠責損害調査事務所」で行います。

 しかし、JA自賠責共済は、各都道府県のJA共済連にて独自に審査を行います。

 自賠責保険の調査事務所は一応、第三者機関ゆえ、公平中立である? という議論は別として、JAは単なる身内審査ではないか! 農協の職員に高度な医学的判断ができるのか! このような批判も挙がって良いと思います。    共済連の審査が独自と言っても根拠法は自賠法であり、その認定基準は同じく労災に準じています。しかし、どうも判断の自由幅が自賠責保険調査事務所より広く感じます。普通に14級9号が推測→認定される案件も、なぜかばっさり非該当とされることが多いように思います。また、どう考えても自賠責の基準上、間違っている判断も目にしました。

 JAは任意保険でも他損保と一線を置いた対応を見せます。損保は良くも悪くも横並び意識が強いので、対応・判断が読みやすいのですが・・・。

 やはり、JAの身内審査は不公平であり、何故、そのようなことが許されているのか疑問を感じています。       ★ 本記事は2013.3月投稿です。   現在、JAの後遺障害審査は自賠責保険・調査事務所へ委託されました(喜!)   詳しくは ⇒ 朗報! ついにJAが自賠責審査をやめる!  

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