【事案】

自動車の後部座席に搭乗中、右折してきた対向車と衝突して負傷、頬骨(きょうこつ:ほほの骨)を骨折した。直後から顔面の痛み、神経症状に悩まされる。
 
【問題点】

診察の度に医師が変わるため、長期的な話をすることができなかった。最終診察時の医師が後遺障害に無理解であり、何が何でも「完治」とする姿勢であった。


 
【立証ポイント】

本件は頬骨骨折といっても陥没骨折であり、吸収性の人工プレート・スクリューを入れて、頬肉が落ちないよう支えを作り、骨癒合を促す手術が行われた。執刀医によると、「陥没した骨が元の位置に戻ることはない。」という説明から、後遺障害診断時にはそのような記載を依頼しようと思っていた。

ところが、最終診察では執刀医ではなく、統括する医師の診察であった。頬骨陥没を伝えても、「骨癒合は得られており、完治している。<(`^´)>」との一点張りで、後遺障害など残存していないという姿勢であった。このまま引き下がるわけにもいかないので、粘り強く説明をした結果、渋々書類を記載して下さることとなった。

ご本人から聞き取った資料等を添付し、なんとか勝負できる後遺障害診断書を受け取り、陥没箇所を指摘した資料と共に後遺障害申請したところ、14級9号の回答・・。

本件は陥没箇所が元に戻っていないという理由から異議申立手続きも実施したが、医療照会を経た結果、認定は覆らなかった。自覚症状が比較的軽度とはいえ、医療照会の書面だけを踏襲して陥没をスルー。「骨癒合が得ら
れており・・・。」との理由で12級を否定されたことは残念であり、悔しさが残る案件となった。

(令和4年6月)