タイトルを見て、「何のこっちゃ」と思いますが、実は、現場ではそう珍しいことではありません。

 医師は、臨床上の判断で症状固定を判断しますが、それはあくまで医師の独断かもしれません。症状固定とは、一定の治療を経て、症状が一進一退となり、積極的な治療の見込みがない安定した時期に、賠償行為としての治療に区切りをつけるものです。これは医療用語ではなく、賠償用語と解されています。もちろん、医師の意見は重きを成しますが、最終的な判断は”賠償請求権者である被害者さん”が判断すべきと考えています。

 本件は、医師が良かれと思って設定した症状固定日が仇となり、治療費は打切られ、迷走しかけていました。佐藤が軌道修正しましたが、そのまま進めていたら・・恐らく大混乱、果ては後遺障害の認定なく残念な解決になっていたかもしれません。

 交通事故治療は複雑です。現場では、状況如何でしばしば症状固定日を変更しています。

力業? いえ、正しい記録に直しただけです
 

12級8号:尺骨茎状突起骨折(20代男性・東京都)

【事案】

業務で自転車走行中、駐車中の自動車のドアが突然開いて衝突、受傷したもの。尺骨の先端、茎状突起に骨折があった。その後、実家に帰省、現地の整形外科で治療をして、診断書も書いてもらった。

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【問題点】

東京に戻り、引き続き治療ができる整形外科を探すことになった。保険会社に事情を説明し、治療費の支払いを依頼するも、「すでに症状固定とされていますから・・・。」と支払い拒否???、仕方なく労災を適用して治療を継続した。

このような経緯で、事故から2ヶ月半後に弊社に相談にいらした。机に広げられた書類を見ると、なんともう後遺障害診断書が作成されていた。尺骨茎状突起が偽関節化しているため、医師が「おそらく癒合しないだろう」と、好意的判断で診断書を記載してくれたよう。つまり、帰省先の整形外科で症状固定されていた。

【立証ポイント】

まず、以前お世話になった整形外科にお連れした。その院長から「一度、手の専門医に診てもらった方がいい。」と紹介状を作成して頂いた。次いで、紹介先の専門医からは「TFCC損傷の疑い」があるとの事で、定期的に受診し、痛みが治まらないようであれば、手術も検討すべきとの結論に至った。

以後、リハビリとケナコルト注射によって痛みは軽減したが、尺骨の偽関節については不変であったため、改めて後遺障害診断書を記載頂き、保険会社が言う「症状固定日」を更新した。無論、帰省先の整形外科にも、手紙で新たに症状固定日が設定されたことと、旧?症状固定日の修正を依頼し、隙の無い申請書類を完成させた。

症状固定日が二つとならないよう、更新することで後顧を絶ち、自賠責へ申請した。約2ヶ月の審査を経て、狙い通り12級8号を得た。弊所が介入することなく、事故からわずか50日後に症状固定とされた後遺障害診断書を提出していた場合、結果はどのようになっていただろう?