(3)側屈制限、あるいは痛み・しびれ
 
② ケンプ徴候 

 下肢痛のある側に、腰を起点に上半身を側屈させると、下肢痛を誘発します。
  
 ⇒ ケンプ徴候あり

 この症状を示せば、まず腰部脊柱管狭窄症 (神経根性)と推定できます。さらに以下、腱反射の検査を行い、神経根の圧迫箇所を特定します。それが画像と一致すれば、確定診断となります。
 
<神経根障害の高位診断> L4~S1の運動・反射・知覚は以下の通りです。
 

 
 ⇒ ケンプ徴候なし  以下、AB二分類します
 
A 間欠跛行(かんけつはこう)あり

※ 間欠跛行・・・歩行などで下肢に負荷をかけると、次第に下肢の疼痛・しびれ・冷えを感じ、一時休息することにより症状が軽減し、再び運動が可能となること。
 
・神経症状、膀胱・直腸障害がある場合 ⇒ 腰部脊柱管狭窄症(馬尾型)    
 
・神経症状、膀胱・直腸障害がない場合 ⇒ 閉塞性動脈硬化症(の疑い)
 
B 間欠跛行なし  以下の検査を重ねます。
  
③ FNSテスト


 
 ⇒ 陽性(反応あり) ⇒ 腰椎間板ヘルニア  
     
 ⇒ 陰性(反応なし) ⇒ 椎間関節性腰痛
  
(4)椎間板ヘルニア

 以上の検査から、導き出される結論として多くを占めるのは「椎間板ヘルニア」です。椎体からはみ出た椎間板が、脊髄や左右の神経根を圧迫する事によって、腰から下肢への痛み・しびれなど神経症状を発症します。また、年齢変性によって腰椎体の角が先鋭化する、いわゆる骨棘形成(こっきょくけいせい)、これも脊髄や神経根へ圧迫して、同様の神経症状を引き起こします。
 

 

・ 髄核または繊維輪内層が周囲の繊維輪を突破して、周囲へ突出した状態。左図のように突出・脱出・剥離の悪化形態をとります。多くは膨隆(ぼうりゅう=バルジング)とよばれるやや突出した状態にとどまります。
 
・ 後側方脱出が多く、片側の足に痛みを発する。20~40代によく発症する。
 
・ 発症位置はL4/5、L5/S1、L3/4の順に多い。
 
・ ほとんどが保存療法で軽快を待ちます。ひどいと「ラヴ法」などの切除手術へ。近年は内視鏡を使った鏡下手術も用いられます。この場合、切開をわずかに抑えられるため、術後回復が早くなります。
 
 
◆ 手術について 👉 椎間板ヘルニアの手術、ラブ法について
  
◆ 前方固定術

 頚椎前方固定術とは、①頚椎椎体前方(首の正面~横)から切開し、②ヘルニアのある椎体の骨を削り、③はみ出た椎間板を切除、これにより神経の圧迫を取り除く手術です。椎間板を摘出した空隙には、自身の骨(主に腸骨の一部・・腰の横、骨盤の角を採取)や人工骨を椎間板の代替物として埋め込みます。


  
 つづく ⇒ 腰痛 分類と検査 Ⅲ ~ まとめ、後遺障害