お待たせしました。被害者さんと家族に症状の質問を始めます。

1、記憶障害

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☐ 昨夜、夕食は何を食べましたか?事故以来、物忘れがひどくなっていませんか?
 

 高次脳機能障害患者の80%に記憶障害があると報告されています。それは昔のことが思い出せない「逆向性健忘」と新しいことが覚えられない「前向性健忘」に大別されます。逆向性健忘とは以前の記憶が失われる記憶喪失の一種です。前向性健忘とは記銘力(そもそも物事を覚える能力)の低下です。
 

☐ カップラーメンにお湯を入れてそのまま・・このようなことはないですか?
 
 問題なのは「うっかりお湯を入れたのを忘れていた」との反応ではなく、「誰がお湯を入れたの?」とまったく覚えていないことです。これは前向性健忘でもさらに直前のことも覚えることができない「ワーキングメモリーの喪失」です。暗記力そのものが低下するので、カードの暗証番号が覚えられない、新聞を読めない、足し算も2桁になるとできなくなることもあります。
 

☐ 家族全員の名前、主治医の先生の名前、飼っているペットの名前が言えますか?

 確実に覚えているはずのことも、少し考え込んだり、間違ったりする・・・これは単なる度忘れなのか否か?家族の判断を聞く必要があります。これは「固有名詞失名辞」と呼ばれ、失語症の方に併発するケースが多いようです。人名、地名、固有名詞が想起できない、つまり意味や関係性はわかっているが言葉として出てこない状態です。
 ひどいと認知機能の障害に分類されます。認知機能の障害は痴呆のように明らかな知能低下の症状が現れますので、ここでしっかりチェックせずとも見逃されることは少ないと言えます。

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 固有名詞失名辞のある患者のMRI画像 左下側頭葉に出血がみられます
  

☐ 病院への通院日や外出する日を約束しても、単に「忘れていた」ではなく、まったく約束自体を覚えていないことがありますか?
 

 口頭での約束、これらが単なる「うっかり忘れた」なのか、記憶にとどめていないのか。また1時間前の会話の内容をまったく覚えておらず同じ質問をしてくる。このような言語・聴覚にまつわる記憶障害について、同じく家族から具体的なエピソードを聞きます。

 
☐ 近隣でも迷子になったことがありますか?新しい場所に行くと帰ってこれないことがありますか?
 
 道が覚えられないことは「地誌的障害」と言われています。また、親戚の家に行った際、初めて訪れたように家そのものを覚えていないこともあります。これは視覚による情報を留めておくことができない状態です。

 
 このように一口に記憶障害と言っても種類、傾向が分化しています。言語、行動、視覚などあらゆる角度から観察する必要があります。これは後の神経心理学検査の計画をする際、必須の情報となります。

 

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