高次脳機能障害の患者で家族を悩ます症状に「性格変化」があります。症状も患者ごとに様々ですが、代表的な例をあげると・・・

 ・ 突然キレたり、原因なく不機嫌になる。
・ 倦怠感がつよく、やる気がなくなり、ちょっとした家事でも途中でやめてしまう。
・ 早起きだった習慣が変わり、朝なかなか起きず、日中でも寝てばかりいる。
・ 何事にも無関心になり、以前趣味だったことにさえまったく興味を示さなくなった。
・ 以前仲の良かった友人と会っても、知らない人のようにそっけなく対応する。
 ・ 家族の誰かが意地悪をすると言う、被害妄想。
 ・ 思いこみが強く、虚言や見当違いの事を言う。本人にその自覚はない。
・ 以前は見向きもしなかった漫画やアニメをみている。ぬいぐるみを集めるようになった。幼児
  退行性。

 これらは「遂行能力」や「社会適合性」の障害として審査の対象になります。関連する検査はたくさんありますが、その中から3つ解説します。

 
■ 遂行能力 検査

ウィスコンシン・カード・ソーティングテスト (WCST)

 前頭葉の損傷で行動力(計画・立案・実施)に障害が出現します。この検査はカードの組み合わせゲームのようなテストを行います。最近はパソコンのソフトになっており、画面をみながらマウス操作をする検査になります。 1組のカード数枚を色、形、数で分類させます。その分類させるルールを途中で変更し、その変更したルールに適応できるかをみます。変更前のルールに固執する「保続数」、前のルールにとらわれてミスをする「保続性誤り」をそれぞれ点数化します。 通常、ルールの説明と練習をし、それから1段階、2段階と2回繰り返します。検査のようすを見ていると、一つの事に固執してしまう様子や新しいルールへの適応の困難が伝わってきます。これでは会社に復帰しても通常の仕事は困難である事が予想されます。 
 知能検査でIQが平均的な点数を取っているのに、このテストではガタガタに低くなる場合、相応の(遂行能力)障害があると言えます。

② 注意機能スクリーニング検査 (D-CAT)

 ランダムに並んだ数字から指示された数字を消しこんでいく。3回繰り返し、見落としや間違いの数を見ることで注意力を数値化します。
 この検査は見学したことがないので、今後機会があれば経験しておきたいところです。

トレイル・メイキング・テスト (TMT)

 紙面の1~25の数字、アルファベットを順番に線で結んでいきます。検査は2種類あり、パートAは数字のみ、パートBは関係のないひらがなも配列され、数字と交互に50音順で線で結ばせます。
 これは簡単な作業ですが、だからこそ(遂行能力の)障害が深刻な患者ほど集中力が続かず、とくにパートAとBの差が歴然とします。健常者はほとんど差がありません。 

②と③は獨協医大越谷病院で治療期間に実施された検査です。D-CATもTMTも短時間でできるので、簡易検査の感がします。症状固定時の本格的な検査ではWCSTを遂行能力の必須検査と考えています。

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